■ 製造技術

ライトトラック(バン)用の標準ホイールはスチールホイル(鉄チン)なんですが
わざわざアルミホイールに交換して、車検時に標準に戻してを繰り返す人がいますね。

私も昔、ワゴンのキャラバンに乗ったことがあって、あれは乗用なんで標準がアルミホイールだったんです。
問題はアルミが悪いのではなく、ホイールに装着するタイヤにあると思いました。
普通は1トン積みの貨物は8PR(プライ)ですが、8人乗りの乗用だと6PRです。
タイヤの耐荷重の違いです。最近はロードインデックスLI(ラジアルのRと混同しないためL表示)
107とか105とか刻印に変わってきていますね。

これは守らないと非常に危険なことなんです。タイヤがバーストして操縦困難になると自分の命だけでなく、他人も巻き込むことになります。
しかもタイヤは時間で劣化するものですから、製造年から年月が経過するほど危険です。

実は前述のキャラバンで重大事故寸前に陥った経験があります。
常磐道のトンネル内で左後輪がバースト、時速110kmくらいでしたが急激に蛇行して「これは側壁に衝突して横転する」と覚悟しましたが、冷静にハザードランプで後続車に注意を促しながらハンドルで直進を保つようにして振られが収束するのを待ちました。
こんな時ブレーキなど踏んだら車が斜めになって車線からはみ出ると直感したので、アクセルを放しただけです。
運のいいことに左後輪だったので、トンネルを出たところで路肩に駐車し、スペアホイルに交換して一般道でゆっくり帰りました。右側だったら大型車なんかに引っかけられて死ぬでしょう。

その後、ミニバン専用タイヤに4本新品交換しました。 フー

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もう雪の心配ないんでスタッドレスから夏用タイヤに変えるのですが
中古ホイール取り寄せてみました。

キャラバンのノーマルスチールですが
すばらしい作りに息を呑みました。

ロールしたハイテン材のリムをフラッシュバット溶接したものですが
矢記のあたりが溶接部です。
見た目ではほとんどわからないくらい研磨仕上げされています。

ホイールに使う材料は60kg級ハイテン(高張力鋼板)を使用します。
高力ボルトは80kg級からなので普通のボルト並みの硬さのスチールでリム部の板厚3.5mmの圧延でリム断面に絞った平板から真円に曲げる技術を想像してみてください。
しかも固い材料ほどスプリングバック(元に戻ろうとする力)が起こりますので、製品と同寸に巻いたのでは製品にならないことが分かりますね。
製品より小さいRで巻いて、重なる部分を突合せに直して溶接する技術が必要になります。

そしてホイールに要求される直径と真円度が完成するわけですから、NC旋盤で加工されるアルミホイールよりスチールホイールの方が職人芸があると思うのです。
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スポーク部分は板厚4.5mmのハイテン材で、プレス成形品ですが
2ピース構造の生産性が安価に生産できる理由だと思いますが

このフランジ部分の寸法精度が出てないと
真円のリムと組み合わせたときに振れてしまうことになるので、
実は精密なプレス成形品だと言えるでしょう
(穴開けは後加工と思います)





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スチールホイールの国内トップシェアは
トピー工業です。

ホンダの標準装着ホイールも作っていましたが、残念ながら同社の製造工程を見せていただく機会がありませんでした。

品質部門からみて、全く不良を出す心配のない優良企業だったからに他なりません。

だから私はこれからもスチールホイール愛用でいきます。





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先日行けなかったチキチキVMXで乗る予定だったRMですが、なにやらエンジン降ろされています。

一週間、クルマに積み置きしていたら
荷室の床がガソリンまみれになっていました。

キャブレターのオーバーフローなんですが
多分、エアベントより吸入ポートの位置が低いので
クランクケース内にガソリンが流入し、
満杯になって排気ポートからあふれ出して
床にこぼれたと考えられます。



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そもそもコックはOFFになっているのに
コックの役目を果たしていなかったようです。

この車両がきた3年前にもオーバーフローしていたので調べたら
コックOFFでガソリンが止まりませんでした。
原因はパッキンが硬化してシールできなかったことですが
プレートのリベットを外したので、M4ネジで再組立てしたのでした。
自作のゴムパッキンを入れて復活していたのですが
ゴムですからへたってシール性が落ちたのです。
対応策はM4ネジを増し締めするだけでガソリン止まりました。 何をやっておるんかいねー

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エンジン降ろして逆さまにしてクランキングすると吸気、排気、プラグ穴からドバドバ、
ガソリンが噴き出しました。

ガソリンコックを点検項目に忘れないようにします。


しかし、空冷エンジンの造形が美しくて
ときどき眺めて癒されていますので
ずっと保存しておきたいと思います。





今日はちょっと残業のつもりが、大がかりになってしまいました。
もうすぐチキチキVMXの日なので、RM125の修理を行おうということで
去年の同大会でチェーンが外れてドライブプロケットのガードを欠損していました。
チェーン外れの原因はスプロケの山が摩耗したことなので、ダートプラスで部品注文して
428チェーンと共に新品交換してありましたが、ガードは無いので純正部品探すより作った方が早いかと思いました。

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3点止めなので、ネジを付ける台座をフライス加工しました。

M6ネジのスモールヘッドを使うことを考慮してTレンチが入るサイズの座グリが必要なのです。










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純正に似せた形状のプレートを台座に溶接して完了です。














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接合は裏表、しっかりと溶接します。

これでチェーンが当たっても壊れることはないでしょう。
純正はマグネシウムですがアルミにリプレイスします。










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プロテクターとブーツのホールドも兼ねているので、最適な形状だと思います。

作り方にマニュアルはありませんが
別の技術をお持ちの方は別のアプローチをすると思います。
手持ちの道具だけでやろうとするので
このような手順になりました。













2014年にモデルチェンジされたKX85ですが、今週末に関東選手権開幕ということで
急遽、チャンバー/サイレンサー作りました。

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エンドキャップを中にはめるタイプです。

アルミの丸棒から削り出すので
キャップ部分だけで3時間もかけています。

大会社なら型押しプレスで大量生産するところですが、
パンチング以外オールアルミなので
強度が必要な部分だけ厚肉にしたいことが
削り出しの理由です。






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ジョイントパイプ内径φ21から
エンドパイプ内径φ24に拡大しています。

この方がパワーフィーリングが良いということなので採用しています。
音量測定も去年合格しているので問題ありません。

2mMAX法になってから近接騒音時代より規制が緩い感じがするので
作り側からすると簡単です。





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チャンバーは一昨年、実走確認したタイプの継続です。
高回転高出力の割に低速の落ち込みも少ない仕様なので、扱い易さとパワーアップを両立できていると思います。


今週末はOFVで関東選チェックしに行きましょう。







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こんな取り付け状態です。

ノーマルと大幅に違っていますので
実車で確認するまでよくわかりませんでした。

適性なクリアランスを保って取り付いているので治具に反映させたいと思います。

ローボーイとアップチャンバーの中間のような形状でサイレンサーのマウントに合わせたか、テールパイプの距離を稼いだデザインのサイレンサー。
いろいろと考えられたデザインなのです。


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OSK(オーツカショウカキ株)さんとこのKX85です。
社長は18歳でHRC契約ライダーとなり
オートマチックRC250Mの勝利など
モトクロス界でも希な経歴の持ち主です。
現役時代に契約しなかったカワサキでやらせているのもメーカーのしがらみのない
独自路線で活動していく意思の表れかと推察します。

KX250F実車装着して発覚したのですが、エキパイの取り回しが右側に張り出している。
右足を前に出すときにブーツが当たってしまう、などの問題でエキパイを作り直すことにしました。

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前回、内側50Rで曲げたところを
40Rで曲げ角度180°にトライしました。
手曲げとしては限界のRでしょう。

たまたま一発でできたので、これを使います。










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パイプ切断長は前回と同様で
走行インプレッションは聞いてあるので
このままの寸法にします。

φ35からφ45まで拡管して繋いでいます。

これを溶接する前に所定の位置に穴あけしてサブチャンバーを挿入します。

低中速トルクと騒音軽減のための仕様です。





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溶接完了しました。

全体的にはホンダの250に似ていますね。












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内側40Rで右側の張り出し位置は
ノーマルエキパイと同等に仕上がっているはずです。

ノーマルは車体レイアウト上、最短距離の排気管長になっているようなので
パイプサイズアップと管長を伸ばして
出力特性の変更を行うことが目的のパーツ製作です。







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サイレンサーも進行中です。

去年型が全日本の音量ギリギリだったそうなので

少し消音のため加工を増やしました。

スパークアレスターは金網の線径アップと
エンドパイプにインナーバッフル装着しました。

計測は実車があるときに行います。





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2017でサイレンサーマウント位置が16mm前に変更されているのに伴い
サイレンサー更新しました。

上記インナーバッフル以外は昨年型と同等です。

私の前職は製造屋ではありませんでした。品質管理屋だったのですが
専門は新製法、新材料の鉄鋼と非鉄金属における部品品質です。
本田はエンジンやボディのような主要な部分を除いて、部品メーカーに製造を手配していますから
取引先メーカーの製造する部品品質を本田スペックに合わせることが仕事でした。
したがって会社に居ては何もわかりません。
メーカーの製造現場へ出張して製造工程を調べて重要管理項目を洗い出すことが品質管理の手法の一つでした。
そのため、単独ではなく設計や資材の担当者も交えてメーカーの会議室で打ち合わせして量産につなげていく作業を全ての重点管理部品に対して行っていたので、自分で製造はできないですが製造工程に関しては他の社員よりも熟知していたと思います。
それも25年前のことですから、技術は日々進歩しているので今は当時より高度な製造工程を展開されていることが予想されます。

そんな私は資金ない、技術ないという四面楚歌な状況から考え付いた方法でマフラー製作に取り組んできましたが、今回も人には説明できない内容を盛り込んだ新型のエキパイを公開します。

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マシンベンダーも金型もありません。
量産メーカーが持っている設備は皆無です。
お金を払ってメーカーに生産して貰えば考えることはないですが
仮に1千万円投資して1千万円売ったとしても収支はゼロですから
そんなことはしないで、一台分の材料費だけで形を作ろうとしているのが本プロジェクトの目的です。

手間げはパイプ径が太いほど、曲げRがちいさいほど難しくなります。
内側50Rで曲げていますが、90°以上は私の技術ではパイプが潰れてしまうので無理ですね。
チタンパイプφ35なら2mで一万円くらいしますから無駄にはできないので慎重に扱います。

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エキパイの仕様はライダーの意見を聞いて
ノーマルからどのように変えていくかを
自分の経験値で決めています。

細かいインプレッションはベンチテストではつかめないと思いますので実走確認しかないと思います。

今回は口元の成形方法を新製法にてトライしました。
形状を見て製法を想像してみてください。
あなたならどうするでしょうか?




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2017モデルKX250Fは16モデルから設計変更されているので
先日お預かりした車両を元に治具製作しました。
そのため、車体合わせは一度もしておりません。
これで問題なく取り付くと信じております。
(信じられるのは自分だけ)


日本の近代史が最も変革を遂げた時期は幕末から明治維新のころだと思いますが
特に鉄鋼の製造という分野において横須賀製鉄所なくしては語れないでしょう。

徳川幕府末期の勘定奉行、遣米使節団目付役を務めた小栗上野介忠順が中心となって
フランス人造船技師、フランソワ・レオンス・ヴェルニーを代表とする技術者たちに依頼して
日本で初めての近代的造船所を横須賀に建設したのは慶応元年(1865年)ということです。

名称が「横須賀製鉄所」と呼びますが鉄鋼の精錬ができたのではなく、軍艦や外国船舶の修理を行う
ドライドックという設備が主な事業であったようです。
当時は鉄鋼材料も工作機械も輸入に頼っていましたので西洋並みの機械技術に追いつくことが命題であったと考えられます。
そのなかでも日本の製造業として最も歴史的価値があるのはオランダ、ロッテルダムから輸入したスチームハンマーだといえるでしょう。

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3トンスチームハンマー

江戸時代に初めて導入された鍛造マシン

ヴェルニー記念館に展示されている、この機械は130年間現役で働き続け
90年代末期に発注を受けた仕事は
空母インディペンデンスの部品であったということから難易度の高い特注部品の成形が可能だったということが驚きです。

その後解体されショットブラストで錆落としや全部品の点検、再生を経て、当時の風合いに近い塗装を施して
この記念館の建設中に据え付けられたそうです。
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0.5トンスチームハンマー

同年式1865年製を示す鋳出し文字が巨大アームの側面に刻まれています。

江戸時代の役人や鍛造職人たちが、この刻印を読んだに違いないことから
自分も同じ物を見ることができるロマンがここには存在します。



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横須賀製鉄所にて3トンスチームハンマー稼働中の写真は70年代のもの

大きなヤットコで1200°Cに加熱した鋼材を二人掛かりで抑えます。
後方の台に乗った作業員がレバーを操作してハンマーの上下運動をコントロールします。

動力は蒸気機関でハンマーの上部にあるシリンダーに蒸気圧を送り込むバルブを手動で操作してピストンを昇降させる構造です。

江戸時代にこれを動かして造船所で使う設備の部品を製造することから始めたマザーマシンなのです。
そのころの動力は牛、馬、水車と人力しかなかった日本にとって圧倒的かつ革新的な機械だったのです。

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製品の例ですが

フックの鍛造工程を表しています。
金型に素材を置いてハンマーで打った状態は上下の金型の隙間にフラッシュ(バリ)が
はみ出します。

これを上にある型でプレスして、バリ切り一発成形します。







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これはフックの素材が丸棒であることを表します。

φ50くらいの丸棒の先端を叩いて尖らせてあり
金型に合わせたカーブに曲げるところまで
ハンマーで成形します。
その後、金型に置いて一発成形します。

そして上のバリ切りの型に付け替えて次の工程へ移行するわけです。






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日本政府は、このように歴史的に意義の高い重要文化財を保存する活動に動き出しています。

やはり実物が保存されていることが、人々の意識に残すことができる唯一の方法であろうと思います。

古さと性能の高さ、
これを作った人の知恵と労力

そして日本の近代化の先駆けとなった革命の動きに
ただ感動を覚えるのです。



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ヴェルニー公園の対岸に横須賀製鉄所の敷地があり、当時から現役のドライドックが並んでいます。

海上自衛隊の潜水艦が碇泊されていますが
噂によると世界最高の潜航能力を持っているらしく(軍事機密)
中国や北朝鮮の潜水艦は、これに狙われることを恐れて攻撃できないと言われています。





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東京湾岸から三浦半島を横断して
相模湾岸へ足を延ばし

油壷マリンパークへ行きました。


イワトビペンギン

癒されます。
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カリフォルニアアシカ


何も演技なし










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スケルトン標本

見事な染色技術に息を呑みます。













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チョウザメの群れ


原始のサメだそうです。










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ミノカサゴ

この世のものとは思えない美しさ













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生き物は
どんな人工物よりアーティスティック







下はニホンウナギ
絶滅危惧種






もうすぐ年末ですが、最後にいい物見れました。











このニンジャはチャンバー製作で終わりません。
県外から車両お持ち込みのため、いろいろとオプションをご注文いただきました。

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グラブレール

フルカウルモデルのため
取り回しするのに持つところがないという
問題を解決するものです。

パイプを曲げて、切って、溶接。

図面などはありません。
頭の中で描いた絵をハンドワークで作り上げるだけです。

リヤフレームに取り付ける場所はありませんので、リヤフェンダーに穴を空けて
マウントブラケットを溶接した後にフィッティングしたものです。
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塗装して取り付け完了です。

グラブレール下側の棒はサイドバック載せて走るときにタイヤと擦れないためのガードです。











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上がノーマルのバックミラー

下が取り付けたいバックミラー

しかし、取り付け座面が全然違う向きなので
取り付け不可能です。






そこで



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ノーマルのカウルステーに取り付けできる
アダプターを製作しました。

無垢のジュラルミンから削り出しました。
頑丈な作りです。











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バックミラー取り付け完了

狙い通りの位置で後方視界良好です。













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こんなフロントビューですが
満足いただける位置だと思います。

(これ以上どうしようもないですが)












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ご指示どおりラジエター前面に遮蔽版取り付けました。

走行風を遮るものなので
暖気運転は相変わらず必要でしょう。








それから


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キャブレターのJNクリップ段数
1段下げました。
見たことないキャブだったので試運転してきました。

開け始めの息付きが改善されています。
寒冷地仕様にセッティングすれば
もっとよくなるでしょう。



これにてご依頼の作業は終了いたします。

モトクロス活動35年を振り返って、最も走りが好調だった時期はノービスからジュニアに昇格した86年だったと思います。関東戦予選十組時代に優勝は無理でしたが125で3位、250で2位がベストリザルトで翌年全日本第一戦の予選一組で1位通過が記憶に残っていますが、
それ以上の成績を残すことはなく92年まで何となく走っていました。
一旦レースはやめて96年ころからMCFAJで走るようになり、今年で20年めになりますが
今年は今までと違う展開でEJ250、450共ポイントランキングが2位、両方合わせると最多ポイント獲得として残り2戦を迎えるわけです。

35年やってきて公式戦でポイントスタンディング上位ということは一度もなかったことであり
同クラスにエントリーする選手は僕を倒すために出てきていると思っているので、順位を譲るということはライバルに失礼に当たると考え気を抜かないようにしていくつもりであります。

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ショーワの金属スプリング入り両側ダンパーのフロントフォークに取り替えるのですが
14年式のためφ260ブレーキローターが使えません。

キャリパーは共通なので、アクスルホルダーのキャリパーブラケットの寸法が違うのです。
そこでφ260ローターを使うためには3つの方法が考えられます。
1.14モデルのブレーキング社ビッグローターキットに取り替える

2.L側フォークのアクスルホルダーを取り替える。(インナーパイプCOMPでもよい)

3.キャリパーサポートを加工する。

1.2.はコストが掛かり、余分な部品が残ってしまう。
3.は材料代300円くらいのアルミでできてしまうので、手間はかかりますが、この方法を選択します。

最初スチールプレートで位置決めしてから現品を計測してアルミの削り出しで作りましたが
1個目はやや寸法に問題があり、やりなおしたのが下側のワークになります。

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本来ブレーキパッドはローターと同心円上に合わせなければなりません。

ところがキャリパーにセットした状態では
パッドがよく見えないために現合で合わせたときにズレが生じていたのです。

この位置決めに苦労して6時間ほどフライスと格闘していました。







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ノーマルのキャリパーサポートと組み合わせてキャリパー位置を外側に変更するための部品が完成しました。

置き換えたボルトの穴位置が近いために
加工された締め付け面がオーバーラップして材料が貫通しているために
サポートの剛性を保つために外側の寸法を大きくして対応しました。

サポートがたわんだら、制動力が発揮できませんからね。




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これで使えると思います。

14のφ240ローターと15のφ260では全然制動力が違うのです。

今のMXコースはスピードが出ないレイアウトですからパワーがあっても使いきれません。
オートバイのスピードはエンジン回転数と減速比で決まりますから
排気量が大きくてもエンジンが回っている小排気量車の方が速く走れる場合もあります。
なのでエンジンパワーよりコーナリング性能やブレーキの制動力の方が重要ということになるでしょう。

訳があってCRF450のKYBエアサスからショーワの金属バネ入りフロントフォークに取り替えます。
しかし、このショーワは14年型で問題は15年型とブレーキディスク径が違います。
14年までは125と同じフロントブレーキだったので制動力が良くないのです。
15年からディスク径が20mm大きいので断然有利ですが、キャリパー位置も変更しないと
14年ショーワとφ260ディスクの両方は使えません。

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このとおりノーマルのキャリパーサポートではボトムブラケットの穴位置が違うので
取り付け不可能です。













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こういう場合最善の方法は
15年のボトムブラケットに取り替えることですが
カネが掛かるので安価に済ませることにしました。

適当なキャリパー位置を割り出し
現合でキャリパーサポートを追加しました。

いずれはアルミで加工すると思いますが
まずはスチールプレートで代用します。





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これでφ260ディスクが使えます。

この位置決めが難解で図面化が難しいので
このまま使ってみることにします。


こういうことやるのは商売を考えたことではありません。
今の世の中カネ次第でなんでも手に入りますが、カネを物に変えるだけの行為に
何の満足がありましょう。

会社をリタイヤすると老後が待っていますが
ある人は農業やったり、陶芸やったりで
思い思いの時間を過ごすわけです。
老後というものは65歳になったら急に始まるものではなく、50代から徐々に進行するものです。
私も既に老後を自覚し始めています。若いころのように体がいごきません。
それなんで、私の場合は鉄やアルミを加工して物作りして老後を過ごしたいなと思う準備の段階が今だととらえているわけです。

自分で作ったキャリパーサポートでブレーキが効いてくれたときの喜びを味わうために、今日も働くのです。

賛否両論あると思いますが、物欲で得た物を自分の一部とは思わないですから。
例えば、身長が低いから背の高い人をうらやましいとは思わない、
自分が持っている物でどうやっていくかしか興味がなくて、
人が持っている物を手に入れて同じようになりたいと思わないし、できない。
惑わされず我が道を行くだけです。
そうすれば行きつくところへ行くということだと思います。











444サイレンサーの続きです。

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サイレンサー本体は組みあがりました。

まだまだ完成ではありません。













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マウントステーをこしらえます。

純正同様のラバーブッシュは支給品ですが
純正パーツリストに品番はありません。

マフラーCOMPに組み込まれた部品なので
ブッシュ単品の設定がないのです。

これはゴムメーカーに発注して製造していただいた部品だと思います。

ラバーブッシュはカラーに圧入しますが
圧入荷重のデータが無いために
カラーの内径を精密に加工しなければなりません。
内径が小さいと圧入できません。
内径が大きいと緩くて抜けてしまいます。
圧入荷重を適切にする加工寸法は私独自の理論がありますので、今回はそれを活用して行います。

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ブッシュの圧入は最後に行います。
圧入後溶接だとラバーが燃えて無くなってしまうためです。

そのためダミーのブッシュを作ってカラーの位置決めと仮溶接を行います。









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シートレール下のマウントステー

こちらは純正のラバーマウントステーを用いて位置決め(仮止め)します。

仮止めの熱でもゴムが焼けてきますので
本溶接は車体から取り外して行います。









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ラバーブッシュ圧入

完璧な圧入荷重でした。
けして外れることはないでしょう。












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マウントステー溶接完了。

これにて444サイレンサー全行程終了します。

ホーリーさんとこで塗装して商品化される予定となります。





誠に勝手ながら今週末からしばらく連絡とれないとこへ行くため、ご用の方は29日以降にお願いします。

70年代スーパーカーブームに中学生だった私ら世代は訳もなくスーパーカーに魅かれていました。
その中の何人が将来スーパーカーのオーナーになり得ただろうか。
スーパーカーは皆の憧れであって必ずしも購入したり実際にドライブすべきものではないようです。

そのスタイル、そのスペックを眺めているだけで十分に楽しめる憧れの存在でいいのだと思います。
この動画を観て、社長の八郷(ハチゴー)さんは私と同期入社だとわかりました。
ものすごい格差ですが、その社長でさえ自家用車はS660ということで
会社のトップとしてもNSXは夢のクルマであることがわかりました。

そしてそのチームメイトと呼ばれた開発者と製造責任者も夢のクルマだと語っていました。
そんな自動車メーカーのトップが夢を現実のものへと具現化した物語をこの動画に集約していると思います。

私が担当した初代NSXを作った高根沢工場の映像もでてきます。
初代NSXでは軽合金の鋳造、鍛造部品を重点に品質保証を担当しました。
当時のLPLは40代だった伊藤さん(先代の社長)でした。
オールアルミモノコックフレームは複合素材の高剛性スペースフレームに進化し
3.5Lツインターボエンジンとダイレクトドライブモーターの組み合わせで581PSの高出力。
フロントのツインモーターはトルクベクタリングでステアリング操作と別のコーナリング性能を実現。
ギヤチェンジのタイムロスを無くしたデュアルクラッチの9速ATミッション。
他に類を見ないハイスペックに、心を躍らせる自分がいました。





車両価格2800万円、国内販売台数100台を予定している新型NSXを購入できる幸運の人は誰でしょうか。
2000万円のRC213Vより、こちらの方が圧倒的にお買い得だと思いますが
収益性の悪いスーパースポーツを作る意味
継続的に作っていく計画はあるのか
環境性能は適合できているのか
様々な疑問にも答えていただいているので長い動画ですが新型NSXに理解を深めるために視聴の価値ありと思いました。




444(79CR125)チャンバー無限MEタイプと呼んでおきましょうか。プロトタイプ完成です。

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オリジナル品のプレス成型品とは違いますが、手巻きと膨らましで作りました。

純正の444とは全く違うスペックに見えます。

計測はできませんが
お馬さんはおるかいねー。

曲ったサイレンサーに取り付けていますので、真っすぐなサイレンサー作りも急務です。




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このパイプは平らな板から切り出して作るのですが
最初から展開図が出来ているわけではありません。
一発目は狙いと違った寸法のものが出来てしまうので、そこから修正を加えて精度を上げていくので
このように展開した鉄板が大量にできてしまいます。







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車体に取り付けてクリアランスを確認します。














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マウンティングステー
補強のため座布団付きです。














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口元とスプリングフックの部分

エキパイ外径φ38













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テールパイプ

差し込み部分だけです。
非常にシンプルですね。












以上の仕様で初ロット50台分生産に掛かります。

急なご依頼には対応できませんので、ご了承ください。


80年代CR125の無限キットに使われていたピストンは444流用でした。
狭山レーシングで83の無限シリンダーを貰ったので、朝霞の無限本社までピストン買いに行った記憶があります。
444は市販車でもポーラスめっきシリンダーだったのですね。
それから世紀の失敗作フロント23インチもこの年(79年)だけの仕様。

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これはホーリーさんからの預かり物で
無限のファクトリーマシンらしく
前後サスペンションやチャンバーが量産とは違っています。
フロントも21インチに換わっています。

これが発売されたころ私は高専の2年生で
学生寮の勉強部屋にこれのカタログを貼っていましたが、高嶺の花で実車を見たのは
五明(松山オートテック)でしかありません。

まだどこの会社に入るかもわからない時代でしたから、これも何かの縁でしょう。



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今回はこの無限パイプの複製を頼まれましたが、プレス成型でなくハンドワークの手巻きと膨らましで似せて作ろうとしています。

量産型とは全然違う形なのでこのマシン所有しているレストアラー向けの補養パーツになるはずです。









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このパイプも激しく腐っています。
なんとか補修して使い続けようとした痕が見えますが、ここまで腐ったら諦めたほうがよいでしょう。

その代わりに寸法図って新品複製します。










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こんな感じで型を決めている最中です。

オリジナルもそうですが、ハンドル切ったときにフロントフェンダーが擦ってしまうので
なんとかギリギリ交わせたらいいのですが
難しいところです。



サイレンサーも横から突っ込まれて曲がっているので復刻する予定です。
これは位置決めの治具代わりです。




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なかなか似ているでしょう?

この型で行こうと思いますので明日から生産に掛かります。

完成までお待ちください。

辞めた会社の悪口を書いているように思われるでしょうが、実は強烈な後悔の念に苛まれることがあり
あのまま勤めていたらどうなっただろうか、辞めて別の仕事をしたらどうなるだろうか、
両方を知ることはできません。
おそらく辞めないで続けていれば思ったとおりの人生になったであろう。
しかし、辞めた後の人生は全く予想がつかず分からない世界でしたので、分からない方を選んだということでした。(あの時の心境を思い出すと)
本田技研工業のすごいところを挙げたらキリがないのですが、私の所属した狭山工場について語るなら
FCM(鋳造機械課)という部署があり、鋳鉄のシリンダーブロックを内製していました。
2000ccクラスの4気筒エンジンです。
砂型鋳造したシリンダーブロックの上下面研とスリーブ加工まで一貫生産です。
ちょうど在籍中にアルミシリンダーに変わりFCMはDCM(ダイキャストマシナリー)として新に工場建設したのでした。
自社製のエンジン製作を外注に出さない、まさに技術の本田です。
外注に出すということは機密事項である図面が外部に漏れるわけですから絶対に出さないでしょう。
クルマのデザインの要であるボディーパーツ、ボンネットやルーフ、ドアなど主要な外板も全て内作です。
定格荷重3000トンのプレス機で一発成形される鉄板は新日鉄と共同開発した本田特製のSPCCです。GA材(ガルバナイズドスチール)の溶融亜鉛めっき鋼板は本田専用ラインを新日鉄に作ってあります。
クルマの部品は1台分1万点以上あるのに、その全てに部品番号と図面が存在し、部品メーカーとの取り決めも詳細に行っており、一日2000台生産能力があるラインのタクトはおよそ1分。
1分間に1台ずつ完成車が生まれてくるスーパー工場なのです。

部品メーカーも凄いですよ。4輪ですから足回り部品は一日で8000個生産しないと間に合いません。
ホイールやハブ、ブレーキにサスペンション。毎日8000個ラインサイドに届けなければラインがストップします。本田の取引メーカー=超一流ということです。

私が最も不満に思ったことは、部品メーカーへ行くと品質課の課長は製造を経験したプロ、
すなわち自社製品の製造に従事したベテランなのに対し
本田の品質管理は製造の経験に乏しいか、全くの素人も多いです。
取り決めした品質基準書や工程表のような書類を管理して、取引先に遵守させるのが仕事なので
製造の経験が無い人でもできるということです。

もっともトラブルが発生した場合は原因を究明して対策しないと市場で問題発生しては遅いので
部品のバイヤーの立場からすると主導権をもって解決しなければなりません。

そんな品質管理屋しかやらせてもらえない職場では、人の失敗の後始末的仕事ですから、他の人に任せて私は辞めさせていただいたということです。(フー、お分かりいただけたかな)


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今回はサスペンション屋のブリッツ・シュネルさんからの依頼です。

うちはマフラー専門ではないですからね。
注文がマフラー中心になっているだけで
作れるものなら何でもいいんです。

エー、上がノーマルスプリング

下はブリッツさんで取り寄せたハードスプリング。
このショックに適合しているわけじゃないので、このまま取り付けは不可能です。

コイルの内径が大きくて座金ガガタガタで取り付きません。
プリロードはネジ式でなくカムを回す方式なのでスプリングの自由長が違うとプリロードが掛けられません。

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そこで、ハードスプリングに合わせた座金を作りました。

スプリングシート上下と長さ合わせのスペーサーです。










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スペーサーはアルミの無垢なので、軽量化のため穴加工で肉抜きしました。

全て私のオリジナルデザインです。

なに、カッコ悪い?
それじゃ、もっといいアイディアを出してくれんかの。







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部品3点加工でハードスプリング取り付け可能になりました。

スプリングコンプレッサーで縮じめて、アンダーブラケットをねじ込めば組立て完了。

世の中に無いものを自分のデザインで作れれば
他人の後始末業務をやっているより
精神的に幸福なのだと思いたい。
(給料が全然違うからね、後悔先にたたず)

無限ME125ですが、チャンバーとサイレンサーを繋ぐジョイントパイプはKA3同様だと思いますが
レストレーション中に紛失してしまったとのこと。
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85モデルですから純正廃番でしょう。

これではエンジンOH済みでも試運転できません。

部品探すより作った方が早いので
新造させていただきます。








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パイプカーブは目検討です。
ベンダーも必要ありません。
手でグイっと曲げます。

差し込みもパイプエキスパンダーなど使いませんが
φ25.4芯金作ってプレス圧入して拡管します。

これくらいなら全部ハンドワークでいけます。




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ジャストサイズにできました。

スプリングフックも取り付けて任務完了です。





このマシン、有名ですが細部を見るのはこれが初めてです。




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市販車に似ているだけで無限が各部に手を加えているようです。

例えば右ラジエターが大きいです。

多分KA5(CR500)のラジエター流用だと思います。
冷却効率はラジエターコアの表面積で決まるのです。







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リヤフォークエンドもこのとおり

量産はチェンテンショナーのボルトが後ろに突き出したタイプですが
これは突起のないエンドピースです。
転倒してボルトが腿に刺さる事故が起こるので安全のため対策されたものです。

アクスルのサイドカラーやナットがチタン合金の削り出しによるものです。

ワークスマシンは虚飾ではない実用的な機能美に溢れていて目を楽しませてくれます。

さてエンジン組み立て担当、COSMICのI岡さんとこへ急いで届けてきます。

今度はエキパイ製作です。
要件はノーマルのエキパイ、サイレンサー相互に取り替えられることなので
ノーマルとスペシャル両方で取り付け確認します。

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ノーマルに準じたパイプサイズですが
ノーマルのステンレスに対して
チタンパイプを使用します。

サブチャンバーがパイプセンターからオフセットされている理由はこれです。

パイプに排出と戻りの穴が二つ開けられていますが、穴側のチャンバーが広くなっている構造です。






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エキパイ完成です。

手曲げパイプと巻きチャンバーの組み合わせ構造になっています。

フランジはアルミ2017削り出しです。










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フルエキゾースト試作1号

2号機の予定は・・・
あります。

マスター車あるうちに治具製作しなければなりません。









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無事金曜日にオフビレのパドックへ納品できました。
青森出身、高木嵩雅レーシングの若手
国際A級平山力(リキ)選手です。

ぶつけ本番で明日の公式練習から走ってもらえるそうですが、
その前に車検通過できるか、軽く心配です。

全日本モトクロスは人生をかけた戦いだと思います。
いつでもできるわけじゃなく、体力的に最高の時期でないと通用しないので、
僕のマフラーを選んでくれた以上はマシンが快調に走ってくれることが最大の望みなのであります。

今最大の懸案項目がこのマフラーです。
昨年から新規受注に関して納期未定と回答してきましたが
全日本モトクロスの日程は待ってくれません。
そこで代替え案として社外マフラー2本修理して使っていただくことで
先延ばしにしてきましたが、今週金曜日にパドックへ納品を目指して作業しています。

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マスター車は13モデルですが
排気系は2016まで互換性あるそうなので
これに合わせて作っています。

今回はIA2クラス対応を考えて
従来の弊社オリジナルマフラーより
新に2項目の変更内容があります。

一つはサイレンサーボディーのアルミ5052板が従来の1mmに対して
1.5mmに板厚アップしています。
比重の軽い材料なので数10gしか増量しないのに剛性が格段に上がります。

おかげでベンダー無しで曲げていますので
ものすごく怪力が必要でした。
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もう一つはスパークアレスター付きにしました。

インナーパイプの中にステンレスメッシュを挿入しています。
主に排気音軽減の目的ですが
空ぶかしで未燃焼ガスがマフラー内部で
燃焼するアフターバーンが騒音を悪化させる要因なので
ステンレスメッシュを燃焼ガスが通過するときに冷却される効果があります。

以上2項目追加して対応しました。


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まだラインナップではありません。
ワンオフ製作です。

この後エキパイも作りますが、間に合えば金曜日にレース車にて取り付け確認させていただきます。


重量はノーマル3.0kg
  スペシャル2.2kg

800g軽量化はt1.5アルミとt1.0チタン使用の賜物です。






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排気騒音計測してきました。

2mMAX法で
ノーマル110.5dB/A
スペシャルは7回計測して
104.7
105.1
113.1
113.1
112.7
105.2
113.2 dB/A
アクセル開け方によってアフターバーンが起こるようです。
車検は3回計測して1回クリアすれば合格なので大体OKでしょう。
あくまで車検場の計測器で判定なので、不合格の場合は次の手も考えてあるので、ご安心ください。


チャンバーの取り回しを決めるのにフランジが無ければできません。
治具代わりのマスター車にはノーマル用のフランジが付いておりますが、リプレイス用は付いておりません。
なので、取り回しを決める前にフランジ製作が先になります。

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左右2個、アルミ2017の棒と板から削り出しです。

チャンバーの口元はOリング2本入りですが
以前使っていたOリングが廃番になっており

急きょ現行モデルから探しだして設計変更したものです。

ようやくエキパイ部分の取り回しができます。
サイレンサー2本も作らないといけませんので、あと3日くらいでしょう。




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フランジ組み付けてレイアウト検討したのですが
見当で作った型がダメで、部分的にパイプのカーブを作り直しすることにします。











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エキパイ左右共ダメだったので
こちらもカーブ作り無しです。

これはエキパイをクロスさせるだけならいいのですが、カウル装着できるようにコンパクトさが求められます。

ノーマルは左右振り分けのエキパイなので
アンダーカウルのスペースが厳しいのです。





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これでまあまあのレイアウトに収まったのではないかと思います。

予定を一日オーバーしてしまいましたが
頭が悪いんで、一回で決まらないんです。
時間がかかったからといって、余計に工賃をいただくわけにいかないので
よく考えながらやるしかないです。







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全体像が見えてきましたが
テールパイプの向きは
サイレンサーがなければ最適な位置が決まりませんので

続きはサイレンサー2本作ってからということになります。


外装部品の色は重点管理項目です。
板金塗装工場でボディーパーツを交換しますが、塗装はボディー色に調色しなければなりません。
修理した部分の色が合っていなければ、車両の価値を損ねることになりますので技術のみせどころだといえます。

では量産車の場合でも塗装ロット毎に調色しますので、その都度「初物事前報告書」で色の合否を判定しないと生産ラインに搬入を許可されない規則になっています。

ここで初物というのは、設計変更、金型更新、材料変更、製造条件変更、メーカー変更、etc
すなわち段取りが変わるときに最初のロットから製品の検査を行い、製品サンプルに検査成績書を添えて
受け入れ品質課から判定を受けて、生産ラインに搬入する一連の動きを差します。
もちろん不合格品は量産に流れることはできないしくみになっています。

その初物の中に「色」が含まれていて、塗装ロットからサンプルを抜き取り、受入品質課の判定を受けます。
本田狭山工場にも色のスペシャリストがいて、色差計による数値的な判定と同時に標準光の下で色見本とサンプルの比較を行って合否判定を行っていました。


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ここにタンクが二つ、右側は中が腐食によりガスが噴き出して塗膜が剥がれたもの。

左は未塗装の新品タンクを純正色で塗装してもらったもの。

両者の色が違っていることは明らかですが
私が色合わせのため支給したのは
フューエルリッドだけだったのです。
当然右タンク同様に日焼けした赤身の強い黄色でした。

ところが仕上がってきたニュータンクは青み掛かった黄色で我が目を疑いましたが
まもなく色違いの理由がわかりました。

塗装施工者さんが色褪せした見本を採用せず、オリジナルの色に修正していただいた結果だったのです。
お蔭さまで1976年製CJ360Tは新車当時の色に蘇っていたわけです。

依頼者の注文を鵜呑みにせず、黙って気の利いた作業をしていただいたことに心から感謝いたします。
467チャンバーの第1ロットはあと一本を残すのみなので、土日もやれば完了するはずです。
しかし、その前にやっておくことがあります。
これまで車体合わせで作ってきましたので、車両返却後も同等の物が作れるように
治具を作っておくことにしました。
それなので今日は治具製作を終えてから自分のマシン整備をすることになります。

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車体合わせで作ったチャンバーを雛型にして
治具を製作しました。

この雛型のみ車体と治具と両方に取り付くというわけです。










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車体との隙間が最も厳しい部分にゲージを取り付けましたので、組み付け不良になることは無いはずです。

大体3mmくらいの隙間目標の部分です。










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マウントステーの穴位置はこのように決めます。

タンク下のボディー位置はこのようなゲージで確認するようにします。

残りの1本は治具に合わせて製作して、車体に取り付けOKであるか確認をすれば
第1ロット終了になります。

それでは明日からレースに専念するため一旦中断させていただきます。




年内の受注は先月で打ち切って、バックオーダーの製作に集中しておりますが
年末までの具体的な加工計画を立てて、計画通りに事を進めないと
進行状況や今後の予定も見えないものですから、工程表を作成してそれに従い動いております。
まったく空き時間のない予定ですから、問い合わせ等は来年1月以降にお願いします。


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巻きチャンバーはポジショナーで回転させながら
一気に溶接したいところですが
このように曲がっている場合は、簡単ではないです。

鉄板が溶接の熱で歪んでしまうんです。
真円に巻いたリングが歪んで、接合面が適合しなくなって溶接不可能になります。

そこでリングの接合面を仮止めしてから溶接します。
この仮止めが不十分だと、溶接中に反対側の合わせ面に隙間が生まれて、溶接不良に至ることがあります。
なので、なるべく多くの点を仮止めしておきます。
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地味な旋盤加工ですが
口金の内径寸法が不良になることがあります。

これはシールリングの入らない、メタル同士を嵌め合う構造ですが
隙間をエキゾーストフランジの外径に対して
0.1mmの隙間で内径を仕上げます。
これがオーバーすると緩くて落ちてしまいますが
0・1mmだと手を放しても落ちないキツさになります。
0.05くらいになると相手物のバラツキで組み付けが難しくなるでしょう。
問題は加工中、ノギス測定をしながら仕上がり寸法を目指しますが、計測のやり方によって誤差が出ます。
この誤差に気がつかずに加工すると仕上がり寸法にも誤差がでますから、その場合は廃却して加工やり直しとなります。

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パイプを繋ぎ終えると水圧テスト全検します。

溶接は連続でつける場合は問題ないですが
これだけ曲がった形状のものは
溶接姿勢を変えるために、何度もアークを止めることになります。

アークを止めた場所は溶接ビードにピンホールができやすいのです。
ピンホールにならないためにはゆっくりアークを弱めていく必要がありますが、完全ではありません。
そのため目視で判定できないピンホールを見つけるために20kg/cm2の水圧をかけて
漏れた部分は溶接で補修します。

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マウントステーが小さく、溶接長さが十分にとれない場合は鉄板で座布団を敷いてから
ステーの溶接をします。

ステーが小さい場合はパイプ本体に振動などでダメージを受けるので座布団で補強しておきます。

曲った面に合わせた鉄板を張り付けるのも
ちょっとテクニックが必要です。

私は独自の板金テクニックで成形しています。
ヒトから教えてもらったことないんで非公開にしておきます。

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錆止めにCRC吹き付けておきます。

製品は耐熱塗装されると思いますが、納品は未塗装です。











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運送代が掛かるので大量に品物を詰め込むことはしません。

運送ダメージになることを防止するためで
品物同士が強く接触しないようにバランスを考えて梱包します。

過去に運送ダメージでお客さんから苦情を受けてやり直したことが一回あります。
宅急便なので保険は掛けていなくて、品代は保証してくれないですが、運送代を返送分だけ無料にしてもらいました。

防げるトラブルだと思うので慎重にやります。

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荷姿はわざと悪くして上積みできないようにしておきます。
箱が潰れなければ中身は保護できるはずです。



467チャンバーの1ロットは来週いっぱいくらいで終了して次の仕事に掛かる予定です。









非常に難解な3次元に傾いた形状のジョイントパイプのリプレイスを試みました。

用意したチタンパイプのサイズは、4種類 φ50.8 φ45 φ38.1 φ31.8
長さは少量ですが材料代5万円分が必要です。
φ45の曲げRが小さく、手曲げは不可能と判断し、輪切りにして繋ぐ方法にしました。

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集合マフラーの逆です。
分散マフラーです。

この二又部分に排気ガスが音速で衝突するため、突き合わせ部は尖っていた方が
抵抗が少ないでしょう。

同時に左右にハッキリと排気を分けるためにも尖っていることが必要だと思います。

集合マフラーでは1番3番、2番4番のエキパイを振り分けるために集合部分に板を入れたりしますが、点火時期別に流れる排気ガスを干渉させることが目的で
排気ガスは圧力の波ですが、高圧で流れたあと減圧したところに次ぎの排気が来ると排気ガスの流れが加速される効果を狙ったものです。
これはシングルのエキパイをツインマフラーに振り分けるものですから、このような形状になっています。
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左がノーマル、右がチタンパイプ。
パイプの仕様は同等なので
性能の変化はあまり感じられないと思いますが。
ノーマルより板厚が薄い部分と、チタンの放熱性の影響で排気ガスの温度は冷える方向になるはずです。
結果的に排気温度が下がると低速になるため低回転のレスポンスは良くなるかもしれません。

パイプの組み立ては目見当のフリーハンドでやった割りにはパイプのカーブや向きが高精度にできているではありませんか。
サイレンサーを付けるときに全く力を要せず穴位置がぴたりと合っていました。
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φ50.8のパイプはリヤショックのスプリングに擦ってしまうのを防ぐために
絞りを入れて幅を狭くしてあります。

エキパイの差し込みはガスケットなしで
スペシャルバンドで締める構造です。

重量ですが
ノーマル900gに対し
チタンパイプ390g

およそ半分の軽量化です。



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このように左右のパイプの傾きが違っていて上向き角度も左右別なので、パイプの組み立てが難解であることが想像できるでしょうか。
純正品は一日に何百台も作らなければなりませんから、型物のパーツを組み合わせていますが、これは素管から切り出したハンドメイドなので3日掛りでした。
無限さんみたいに上手にできませんが、
これは自家製なので若干の材料代と自分の時間を費やすことによってできます。

これで450フルエキの製作は完了しましたが、終わりではありません。
次の段階は実走です。
これもプロライダー頼むとギャラが必要になりますので、耐久テスト含めて自分でやります。
(鎖骨の金具が痛うて、もうしばらくできんと思います。)


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普通のMXerはマフラー1本あればよかったのですが、CRFは3点セットが必要になり
当然加工時間も3倍かかってしまいます。

では、これを頼まれると価格はいくらになるか?
悩むところですね、手間が3倍だからマフラー3台分だと高額になってしまいます。
しかし、マフラーのジョイントパイプの部分がシングルマフラーより簡素だと言えなくもない。
そこでYパイプがシングルマフラーのジョイント2台分と考えると、
マフラー2台分が妥当な価格でしょう。
弊社の場合、¥47000×2=¥94000也

純正の3点セットの価格は¥92000 税込みで¥99360とギリギリ10万円を切っています。
他社のシングルマフラーと比較すると大幅なコストアップになりますね。
それから、これは450用なので、250はベース車両ありませんから、今のところ作る予定無しです。








新品めっきも研磨が命、クロームめっきが仕上がってきました。

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車体取り付け寸法上、先端付近のボディーとのクリアランスが無いため

メガホンのキャブトン形状にしました。
完全オリジナルです。



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研磨する前に車体に取り付けて排気音を聞いてみましたが
相当の爆音でカミナリ族仕様だったので
消音のためバッフルを取り付けることにしました。

バッフルはマフラーエンドに差し込むパイプの内径と長さを変更して音量を調節します。

本体は隔壁2箇所入っていますが、グラスウール等の消音材は不要なのでメンテナンスフリーです。



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トライアンフのキャブトンタイプがあったのですが、あれは茄子のように中央が膨らんだ形状でしたから、金型を使ってプレス成形する必要があり、ワンオフは無理でしたが
これはロールベンダーでメガホンを巻いて
フタだけプレス成形しましたので
一台分だけ安価に作る手法を選んだということです。



昨日、富士総合火力演習の予行を観に、東富士演習場へ行ってきました。
日曜日の本番ははがきとネット申し込みの倍率が29倍という狭き門であるチケットが
木曜の予行ではありますがいただきました。
正規に申し込んでも入手不可能な栄誉ですから、仕事の予定を中止しても価値があるでしょう。
朝出発が遅れて5時に出発したのですが、現場到着7時半にも関わらずスタンド席は満員で
地べたのシート席に何とか座れましたが10時の開演まで雨の中濡れながら座って待つという
経験したことのない苦行。
しかし、目の前で戦車が走って大砲をぶっ放すのを見たら、一生に一度は見たほうがよいと感じました。
詳細は陸上自衛隊のHPなどで見れると思いますが、動画編集できたら後日アップいたします。


さて去年から計画していたCRF450マフラー、用事が多くて着手できずに1年が経過してしまいました。
着手しないと永久に始まらないと感じましたので着手します。

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CRFのオーナーでなければ、ツインマフラーがどのような構造なのか、不明だと思います。
このように右マフラー脱着式で、左マフラーはジョイントパイプに溶接された非対称構造です。

オリジナルマフラー作るに当たって段階を踏む必要があります。
それは、ノーマルジョイントを利用してマフラーの位置決めをするため
左マフラーも脱着式に改造します。



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まず左マフラーを分解します。
パンチングは特殊な形状をしています。
ステンメッシュが巻かれていますが
スポット溶接で固定されており抜けない構造なので切り裂いて取る必要がありました。

ウール交換だけなら切り裂く必要はないでしょう。

これからフロントキャップ部分を切断して差し込みジョイントを加工したいと思います。



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このようなパンチングですが
パワー本位の設計ではないでしょう。

騒音の自主規制のためだと思います。
折角高精度に作られたマフラーですが
多くのレーサーたちは、あっさり社外マフラーに取り換えてしまいます。

これはメーカーが考えた十分な出力と静粛性を備えた設計ですから貴重なものです。
無傷で保存しておきたいと思います。

しかし、FIのセッティングが良好なためか
カーボンの付着が全くありません。
街乗りマフラーを時々バラシますが、酷いカーボンの付着ですよ。いかにでたらめな空燃比で乗られているか予想がつきます。

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差し込みカラーの装着ができました。
スペースが無いのでマフラー内部に挿入する構造です。

パンチングがマフラー外形に対してオフセットされているので、パンチングの微妙な傾きを再現するのがコツです。








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左マフラー装着完了です。

ジョイントパイプ径φ38.1

ノーマルジョイントで左右マフラー製作が第2段階

ジョイントパイプのチタン材で製作が第3段階

こういう予定で進行しますので、不定期更新いたします。


帰省渋滞が始まっているようですが、まだ出発しないのでギリギリまで働きましょう。

キャブトンという英語が存在するのかと思っていました。
Come And Buy To Osaka Nakagawa(大阪中川まで買いに来い)の頭文字だそうです。
戦前、メグロと大型2輪車の製造を二分したメーカーでキャブトン号という車名があったそうですが
現在ではキャブトンマフラーという名称だけが引き継がれています。
ご存知W1やトライアンフのような水平で直管の中央付近が膨らんだ形状のマフラーです。

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まずはキャブトンの特徴的な丸みを帯びた
フタをこしらえるため、金型作りです。

プレス成形も素人なので、鉄板を上手く絞れるかどうか手探りの作業です。

φ90とφ110の丸棒は材料代5千円くらいですが
下手な旋盤加工で製作費を浮かせたいと思います。





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これが素材の鉄板を円錐に巻いたものです。

これを金型に押し込んで丸く膨らんだカップに成形しようと企んだのですが

それは素人の浅はかさ、
見事に期待を裏切る仕上がりでした。







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このように失敗作を繰り返しながら、
段々とやり方をつかんできました。

時間に限りもあるので、金型の修正は最小限度に、素材形状も少し変えながら
成形トライを進めてきました。

金型があれば、即OKなんて甘い考えでしたね。





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まあこんなもんですかね。

大体思った形になりました。

これをキャブトンマフラーのフタに使います。










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通常のキャブトンは筒抜けですから
いい爆音が出るんですが

オーナーが世田谷の住宅地に乗り入れるということで、少し爆音を控えるための
隔壁を2枚仕込みます。

排気ガスの速度を鈍らせる効果があります。
見本で仮組みされたトライアンフマフラーも中身に隔壁が入っておりましたので
大体の見当で作りました。



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こういうわけですよ。

テーパーになっているのは、JZRスリーホイラーのエキパイがボディーに近いサイドマフラーのため前側は太くできなかったのです。

テーパーはGL500のマフラーと同様にしてあります。

この後全周溶接して研磨しますが
めっき屋さんも休みなので
完成はお盆明けに持ち越しです。



タンク板金、溶接が終わっても、まだまだ先があります。

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アッパーロアー接合する前に、430の特徴であるラバーマウントの穴を加工します。

穴の縁からガス漏れしないようにφ22のカラーを差し込んで、両サイド溶接して密閉させます。


その後アッパーロアー接合面を全周溶接して容器になります。




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全周溶接できたら、キャップとコックを取り付け水没させます。
ピンホールなどあれば、直ちに気泡がでてきて発見できますが
これは一発OKでした。(プロなら当たり前)










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容器が完成しても、大事な加工が残っています。
後部マウントブラケットです。
3mm厚の板をプレス成形する金型を、これ1台だけのために作る気力が沸きません。

φ115の丸棒から削り出したリングから、一カケラだけ切り取ってつかいます。
ゴムバンドを引っ掛けるフックの一部になるだけですが
取り付けが上手くいかずに丸二日失敗を重ねてしまいました。



CIMG4375.JPG

こんな感じでゴムバンドのフックになるのですが、フレームに仮付けして取り付け位置を確認したにも関わらず

これではシートベースの前部が当たって取り付かないのです。
炙って下向きに修正したりしたがダメで
結局、切り飛ばしてやり直しすることにします。







CIMG4376.JPG

裏側はこんな状態ですが、これは取り外すと大工事になるので、外さないで利用します。












CIMG4377.JPG

ようやくシート取り付けに成功しましたが
シート無しで作っていたら完全に不良品でした。
キックも踏んでみたいですがエンジンはありませんのでノーチェックにします。

一応フロントフォーク取り付けた三つ又も左右に切って隙間を確認してあります。







CIMG4378.JPG

これで3年お待ちいただいたタンクができました。
これが出来ないうちは次の仕事はしないつもりでおりましたが
右肩の骨は出来ていないので、当分の間、療養モードになります。


あいかわらず、毎日のように注文が入るのですが、3月以降のオーダーが全部止まっているんですから、納期のお約束はできません。
突発の修理もご遠慮ねがいます。

タンク本体の板金が完了したら、次は機械加工部品が2つあります。
給油口のネジと燃料コックの台座です。

先ずは私の下手なフライス加工によって作られた台座です。
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これといって特筆することはないですが

ガソリン漏れを止めるのはOリングの役目です。
そのOリングが密着する面の加工は
端面から1.8mmの深さで、フィルター穴と同心で削るだけです。

M6ボルトは奥が袋になっていてボルト穴からはガソリン漏れはない構造です。




CIMG4362.JPG


ねじピッチ4.5ですが、当方のオンボロ旋盤にギヤが足りずに加工できませんでした。
そこで、近所のモトクロス仲間の本間さんに頼みました。
汎用の旋盤で見事に加工していただきました。
予備で2個作りましたが、一個は使う予定がないので、430タンク作ろうとしている人がいましたらお譲りします。

ネジ外径はφ44.5です。

ところで本間製作所の社長は、あの有名な野口種春さんのレーシングチーム、「スポーツライダース」の出身で、ヨーロッパメーカーと初めて契約した日本人モトクロスライダー鈴木都良夫さんの先輩にあたる人です。

若い人は野口種春さんから説明が必要ですね。 60年代、デビューレースが富士登山レースで練習無しの8位、浅間火山レースでは市販のヤマハYDSで125クラス優勝しています。
レース引退後に設立した「スポーツライダース」から輩出したヤマハワークスライダーはモトクロスの鈴木忠男、東福寺保雄。ロードレースは平忠彦。
東福寺さんと平さんはアマチュア時代から野口モータースで一緒に働いたそうで、当時の月給は5万円(70年代)だったと両人からききました。
野口モータースは早くから北米に進出してロードレーサーTZのチューニングを行っていて、野口さんに教わった弟子の一人がDGパフォーマンスを立ち上げ、DGでチューニングを習ったミッチ・ペイトンがプロサーキットを立ち上げたという図式です。
野口さんがいなかったら北米のチューニング業界も今とは違った形だったでしょう。


今日は一日サンダーマンです。
溶接したばかりのアルミを削るのは意匠を施すためです。

CIMG4358.JPG
先ずは盛り上がったビードをサンダーで削ります。
削り過ぎると修正が効かないので慎重に行います。
溶接はあっという間にできますが
完全にけずるには10倍くらい時間がかかります。

タンクの表面は溶接で歪みます。
ビードの端が引っ張られて凹んでくるので
これを修正するために
アッパーとロアーの組み立て前に行います。


CIMG4359.JPG


そしてダブルアクションかけます。

デフォームが分かりやすくなります。
僅かな凹みを見つけて裏側から叩いて修正します。

組み立ててから気付いても修正は不能ですからこの段階が仕上がりを決定します。







CIMG4360.JPG

ロアーハーフはサンダーが入らない形状なので、サンドペーパー手仕上げです。

セメント型で叩き出したのでハンマー痕が多くて滑らかになりません。

アルミ板金はイタリア職人が有名ですが
昔のGPレーサー用のカウリングもアルミ板叩き出しで作ったものでした。
最近はこういうことしなくてもハイテクのモデル造型機とプレス加工で高品質なものが作れますから板金職人目指す人もいなくなったのではないかと思います。

私は資金がないのでハンドメイドしかありません。

溶接は下手です。とてもじゃないけど溶接専門で商売できるほどの技術ではありません。
ガス溶接も、とりあえず火がつけられる程度です。
厚板なら被覆アークがやりやすいですが、1mm以下は無理です。
TIG溶接は左手に障害があって手が震えてしまうのです。
利き腕は右手なので、ガスのトーチは右手で持つのですが、TIGの電極は左手で持ちます。
左腕の上腕骨骨折してから骨にステンレスワイヤーの束が入ったままです。
そのせいか電極のスイッチを入れたときにステンレスワイヤーがコイルのようになって腕を震わせてしまうのです。
左手で慣れてしまったTIGを右手に持ち替えても、ビードコントロールが不器用でだめです。
左手が震えないように必死で我慢しながら行っているのです。

CIMG4356.JPG

タンクの内側を先に溶接します。
タンクはガソリンの容器ですから
ガス洩れがあってはなりません。
外側は研磨するので、溶接ビードは無くなってしまいます。
内側の繋ぎめを肉盛りすることで、完全な容器になります。

アッパーとロアーの接合部は最後に溶接しますからビードは削りません。





CIMG4357.JPG

次に外側を溶接します。
タンクの外側は意匠になりますから
繋ぎ目が無くなるまで削ってからサンディングで研磨します。

口金やコックの穴あけは切粉が入らないように先に空けておきます。

口金のネジが特殊ピッチのため、旋盤の換えギヤがありませんでしたのでNC加工にします。


何故、得意でもない仕事をやっているか。
目的は置いといて、方法論だけ言いますと
上手な人に頼めばいいではないか。
上手な人とは専門職ですね。専門職は高いはずなんですよ。
ある機械メーカーの金属加工の作業工賃は1時間あたり3500円で算出すると聞きました。
10時間で35000円。(設備代、材料代は別で)この時間工賃でタンク作ったら200時間で70万円ってことになります。
メーカーの試作なら普通だと思いますけど、一般のお客さんが一つの部品にそういう大金は払えないはずです。だから人件費削減して買えるくらいの値段にしています。



3年くらい前に製作を頼まれたアルミタンクを今頃になって作り始めました。
取り付けを合わせるフレームはお預かりしていますので、ご注文は継続していると勝手に解釈して
アルミ板を木ハンマーにて叩き始めました。

CIMG4351.JPG

ここまで成形するのに二日掛かりでした。

タンクの製作するのに必要なプレス機や金型などの設備は一切ありません。

板金鋏と万力、木ハンマーだけです。

セメントで造型しましたが、叩き台にはなりませんでした。アルミ板の形状を当てがって確認するために使います。

鉄板の作業台の上で叩いたら、大変な騒音で、警察に通報されたり、仕返しの嫌がらせをされても詰らんことになりますので
床のコンクリートの上にウエスを敷いて叩くのが一番静かでした。
ようするに、一般家庭の軒下で出来るくらいの道具ですから、どのような物ができるか保証できません。

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叩き出したアルミ板を仮止めして、形状の確認をしました。

すると、このままでは問題があることに気がつき、明日やり直しすることにします。

私は根気が無い方だと思いますので
同じ作業を繰り返していると段々仕事が雑になってくるので、気晴らしなどしながらゆっくりやるようにします。

去年はチャンバー6台分、奈良まで納品に行ったあげく、キックが当たって全部持ち帰ってやり直したんですから、
これはやり直してもタンク一個なんで大したことありません。

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不具合箇所を修正してアルミ板を仮止めしました。

この後、本溶接して研磨すればタンク本体は完了ですが、今度は溶接の鬼です。

口金とコック、後部ブラケットもこれから作りますので4日くらいの作業と思います。








第26回日本ものづくりワールドを見るため東京ビッグサイトへ行ってきました。
本田技研早期退職グループのシオハウスさんからお誘いがあり
「怪我で仕事できなくてヒマでしょう。機械要素技術展でも見にいきなさーい」と促され
仕事を投げ打って最終日の今日に間に合いました。

今回は出展社数2230社ということなので8時間かけて見て回っても1社当たり12秒しかかけられません。
広い会場なので全社素通りして歩くだけで終わってしまう出展数です。当然全部見るのは不可能なので
分かりにくい分野を飛ばして興味あるとこだけ厳選してみて回りました。
製造技術の一部だけですが、見たことを箇条書きに説明します。

3D金属積層造形   以前3Dプリンターは実物の材質までは実現できないと書いたことがありましたが、2001年ころにレーザー照射熱で金属の粉体を溶融する技術に成功したらしく、
樹脂を積層して立体模型を作る3Dプリンターと同様に金属粉末を焼成して造形する装置が既に実用化されていました。
偶然にも高専の卒業研究は粉末冶金をやったので、鋳造鍛造と違った金属結合については理解していました。しかし、レーザー溶接とプリンターの技術を導入することでこれだけ自在な成形が可能になるとは夢にも思わなかったことです。

CIMG4305.JPG
実用化されている部品の一つ
航空機用の主翼に使うフラップのヒンジだそうです。
材質はチタン製
チタン2種でも64チタンでも出来るそうです。
航空や宇宙開発の方が強度と軽量が必要な分野なので、早く導入されたようです。

アルミだとADC1とADC3 ダイキャストと同様です。
ステンレスや炭素を含まないスチール
ブロンズ(青銅)
耐熱材のインコネルや超硬のコバルトクロム
18ゴールドやシルバーも実用化されているようです。
スチールにカーボンの含有が不可の理由は上手く溶け合わなくて欠陥になるそうです。
したがって炭素鋼の3D積層は今のところ不可なので鉄鋼の熱処理品はできないですが
チタンやコバルトクロムで代用すれば、中強度の部品であれば実用可能ということになります。
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ジェットのノズルみたいですが複雑な集合パイプです。
材質はチタンで肉厚は1mmくらいです。
均一ですごく軽いです。

造形品はCADデータで設計されたものを基にしており、モデリングや金型製作のような工程は一切ありません。






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チェーンのように連結された造形も3Dならではの作りではないでしょうか。

粉末の中に浮いた固形物を表現すれば接触していないリング状のものを組み合わせることが出来る例です。

もちろん連結には組み立ても溶接もありません。3D積層だけでできています。








レーザー溶接とマイクロプラズマ溶接

これは画像はありません。溶接痕が見えないくらい小さいので、例えば平板を巻いた円筒の繋ぎ目が見えないくらい滑らかだからです。
最小で0.1mm厚の金属の板を突き合わせ溶接できるというのです。
TIG溶接との違いは、溶接電流10A以下になると溶接できないのに対して1Aの電流でも安定したアークが得られることにあります。しかも熱影響深さが0.1mmという極薄で溶融できるので、焼けや熱歪みが発生しにくいことも上げられます。
微小部分の溶接のため接合部を拡大鏡で見ながらの作業でした。
うちでは0.8mm以下の薄板は難しいので溶接しないですが、レーザーかマイクロプラズマ溶接機があれば出来るかなと思い、値段を聞きましたら
レーザーで1千万円、マイクロプラズマの安いタイプで350万円ということでした。
高度な溶接技術にはお金がかかるということがわかりました。


マシニング切削

今回の機械要素のブースは3Dプリンター関連のものが大半を占めていて、機械切削の分野は影を潜めてしまった感じがしますが、とんでもありません。
超絶切削加工は健在です。
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チタンの塊から削りだされた王冠

5軸の加工機を駆使して作られたオブジェですがコストを度外視すればここまで出来る技術力を宣伝したものです。

機械加工ですからワーク(加工物)をチャッキングしなければ切削できません。
ツールの移動する軌跡も不思議ですが
最後の加工ではどのような方法でワークを固定したかが謎のワークでした。

球体のマシニング切削するときのチャッキング方法は教えてもらいましたよ。

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これはプラモデルですが、キットの組み立てではありません。
おそらくゴムタイヤも切削ですが
車体もガラスもマシニング切削による
モデルだそうです。
艶出しは研磨です。









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ステンレス加工で電顕の筒の部分だそうです。
マイナス10気圧の真空で気密を保つため筒内部にアクセスするツールは全て丈夫なフランジ付きです。










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電顕の中で差し込まれたパイプはTIG溶接されています。
穴から手を入れて溶接するそうです。
熟練だねー











現在骨折治療中につきバックオーダーの製作延期または新規受注の制限など行っておりますが
毎日のように業務依頼の問い合わせがあります。
段々できるようになると思いますので、しばらくの間ご容赦いただきとうございます。

さて、骨折していても出来ることは進めておかねばなりません。
タンクのモデル造形中です。

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クレイモデルからグラスファイバーで型取りしたものです。

これの内側が製品表面を表しています。











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樹脂型にセメントを流し込んでいます。

白く見えるのは鉄板の蓋をポリエステルパテで押さえてセメントが漏れないようにしてあります。

型底は水平ではありませんので
セメントが乾きかけたところで成形して
型底形状に倣うようにしています。






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樹脂型を離型したところです。

セメントは砂を混ぜることで分子の結合力が増し、割れ難くなります。
アルミ板叩くには充分な固さです。
火炎で炙っても大丈夫です。

実はアルミ板金をフリーハンドで行うことに限界を感じていました。
なかなか思った形状にはならないです。
あと、なるべく溶接の少ない板取りをしたいんですが型紙を作成するのも
叩き台があれば、やりやすいのです。
というか、モデルがなかったら無理です。

そんなわけで過去に板金で苦労したことを思い出しながら成形トライに臨んでいるので、完成する保証はないわけですけど、一つ一つですよ。
もちろん、自分でやらなくてもお金払えば出来るメーカーさんも知っていますが頼んでしまったら永遠に技術は身につきませんので、このようなことをやっております。
世の中には大学のデザイン学科のようなものもあって、高額な授業料払って練習する人も大勢いますが、ここには先生もなけれな授業料も必要ありません。全て自分の思いのままです。


ほしいものがあれば、効率のいい仕事をして得た収入で買えばいいではないか。このように考える人もいるでしょう。

私の考えはこうです。
例えば陶芸家という仕事があります。
陶芸家は作品を買いたいと思うでしょうか?
自分で土をこねて、絵付けして、焼いて、作品を作ることに意義を感じていると思うのです。
結果的に作品の出来栄えに応じて値段がついて生活の糧となるけど
その裏には数え切れない失敗作もあることでしょう。
私も最初はオートバイメーカーで働くことを目的としていましたが
配属された職場は物を作らない職種だったことが退職の動機でした。
会社は組織ですから自分の希望どおりには物事が運べません。
ですから今は資金力や経験不足で苦労は多いですが
自分で考えたとおりの仕事を遂行しています。


肩が痛いので柔らかいものでも触ってみることにします。
アルミタンク作りの技法ですが、従来はいきなりアルミ板を板金して溶接でつないでいましたが、
それでは目標とするデザインとは違ったものが出来てしまう。
または、形状に不満があっても組み立てた後では修正もできません。

そういう問題点を解消するためには、予めモデル成形して完成予想図を見ながら検討するのがよろしいでしょう。
そして納得できるモデルができたら型取りをして叩き台を作るという手法をとります。
最初から外注するのでしたら、工業モデルから亜鉛型を起こして、大型プレス機でアルミ板を成形できる企業もありますから、予算が許されるのであれば高品質なタンクが出来ると思います。

しかし、外注するということは自分の意思は入りません。
注文者と製造メーカーとの契約があるだけです。
私が目指すものは、そういう商業的な経済活動をしたいのではなく、
自分の意思を具現化することを、自己責任(自前の資金と労力)で行うことにあります。

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先日、セメント型から叩き出したアルミの底板を乗せて位置決めします。

この状態でハンドルを切って、三つ又とタンクの隙間を確認するためです。

後ろ側はシートを乗せて、タンクとのつながりを検討しながらモデル成形します。







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先ずは発砲スチロールで大雑把な形状を作っておきます。

インダストリアル・クレイ(粘土)の量を節約するためですが、

意外と粘土の量が必要で、発砲スチロールは、なるべく完成形に近い形状になっていないとモデリングに時間が掛かることが分かりました。

なにせ素人なのに、何の勉強もせずに、いきなり実践というわけですから
わからないことが多いのは仕方がありません。

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案の定、粘土の量が分からず、成形する前に足らなくなって中断してしまいました。

明日、余分に粘土を仕入れておくので
入荷次第、モデリング続きを実施いたします。










CIMG4288.JPG

粘土を追加してコテで均しました。
大体こんなイメージです。

実はご依頼のデザインはワークスタンクなので見本がありません。
画像だけなので立体的な情報はありません。
しかも、装着する機種とワークスタンクはフレームが異なりますので
タンクの底板とアッパーハーフは形状が矛盾するものです。
なんとか、これを辻褄の合うようにするための造形が必要なのでした。


RC500M.jpg

見本のRC500Mですが
タンクのマウント位置が上のフレームと違いますので
250の底板と500のアッパーハーフを合体させる作業です。

クレイモデルから樹脂型を取って
セメントの叩き台を制作してから
アルミ板金という段取りを取る予定です。

力仕事なので作業は骨折の治り方次第で進行するでしょう。

467は空冷最終型CR250Rですが、この機種は触れるのは初めてなのでゼロからのスタートです。

CIMG4125.JPG

先ず、正規品のFフェンダーと差し換えということで送っていただいたFフェンダーは
目視で見る限りでは同型の物ですね。

艶がある方は塗装されているためです。
長さも違いますが
正規品の方は先端をカットしてありましたが、
取り付け確認に影響はないはずなので
このまま使います。




CIMG4126.JPG


467の特徴として旧型がシングルクレードルに対してダブルクレードルになっていて
排気がセンターポートであることです。

ダウンチューブが2本なので、チャンバーも外側へ追いやられる形になります。

ちょっと気になるのが
ダウンチューブを繋ぐクロスパイプに、明らかに量産ではないプレートが溶接されていることです。
溶接も量産のMIGではないので、後付けしたものでしょう。


CIMG4127.JPG

ノーマルチャンバーですがハンドルを右に切るとフェンダーと擦ってしまいます。

量産車ではありえない隙間なので
可能性としては
フレームのキャスター角が起きる方向に変更されている。
または三つ又のオフセット量が少ない(手前になっている)方向に変更されている。

これらどちらかだろうと思います。
ここにはノーマルフレームが無いので
確認は不可能です。


CIMG4129.JPG

お預かりしているチャンバーは2種類。

左はノーマル、右は無限で製作したもの。

プレス成形品ですが、形状寸法は全体的に変更されています。

大雑把にいうと無限の方が少し太い、チューンアップ用ということです。






CIMG4130.JPG


無限製はフェンダーの隙間が適正になっています。

しかし、取り付けには問題がありました。

この個体には装着不可能でした。

口元をはめて、サイレンサーも無理やり、マウントステーも移動させて、ようやく取り付く感じですが、
チャンバーのマウントステーはボルト位置が1cmほど違っていて無理やりでも装着不可能です。


CIMG4131.JPG

ノーマルが取り付くわけですから、こっちのチャンバーが狂っていると考えるのが自然ですが、

これも気になるところで
フレーム側のチャンバーマウントのネジが後付けされているように見えるのです。

467は狭山工場生産なので
狭山レーシングの先輩、堀越さんたちが溶接課で組み立てたフレームですから

このような団子付け溶接をするはずがないのです。

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明らかに溶接経験に乏しい団子付けですから、チャンバーの装着に難儀して取り付け直した可能性も考えられます。

これはノーマルチャンバーで擦る部分の隙間を開けて作れば、正規フレームなら問題なくなるはずなので
このフレームを治具として使いますが
マスター品とするためには
他の個体で装着確認が必要ということになります。



CIMG4134.JPG

もう一つ改造フレームとして疑う部分は
ヘッドパイプとメインパイプの溶接が
元のビードの上に被さっていますね。

しかも量産とは比較にならない団子付けです。
やはり、ヘッドパイプ上部に切り目を入れて再溶接したことを表しています。
そのためキャスター角が起きて、フェンダーとチャンバーが擦ったという考察が成り立つものです。

これは、チャンバーのロット生産をする前に試作品で正規フレームへの取り付け確認の後判断になります。

CIMG4135.JPG

実はチャンバー治具の前にアルミタンクの治具用にお借りした車体なので
タンク作りが先になりますが

今はロアハーフの途中なのです。
このロアハーフの上に発砲スチロールと
インダストリアル・クレイでモデル成形する段取りなので、もうしばらく先の作業となります。

素人なんで、経験も道具も、材料もありませんので、(もちろん資金も)
大勢のスタッフと資金力のある大会社のようにはいきませんから、大変ご迷惑をお掛けします。


最先端の高度な加工技術は高価な工作機械とコンピューターによるデザインの賜物だと思いますが
人間に掛かる工作の難易度は現代のものより昔の方がはるかに高いものだったことは容易に想像できます。
それは現代のように豊富な原材料と高性能な加工機の一切が無い状態から物作りをおこなったことを考えればわかります。
お前は現代人なんだから、先端の作り方をしろ。と言われるなら、こう答えます。
先端の作り方は会社員時代に学んだ、これからは古いやり方を尊敬して学んでいきたい。
日本人だって世界の工業技術から取り残された鎖国時代に、たたら製鉄で鉄を精錬して鉄砲や大砲を作った。
明治時代終わりごろには戦艦も作れるくらい生産能力が向上した。
当時の原材料事情や加工設備がどうであったか、などと想像してみると何でも簡単に手に入る現代の物作りなんてものは、昔の職人から比べれば全然楽な世界なんだろうと思います。
自分なんかが職人の境地に辿り着くことは到底不可能なことだろうと思いますが、少しくらい真似事をしてみたいと思うのは贅沢なことなんでしょうか。

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今日はこの金型を使って工作します。

内容は1mm厚の鉄板を巻いて
円錐台のテーパーコーンを素材に
テーパーエンドを内側にカールします。










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1個目の型を使ってテーパーエンドを折り曲げます。














CIMG4092.JPG

左から素材

右へ順番に工程後の加工形状を表しています。

テーパーエンドを内側に折り曲げるのに3つの工程で加工していきます。

金型を製作する旋盤が必要ですが
使用する道具は、鉄ハンマー
木ハンマーと万力だけです。

これで100年くらい前の板金方法でしょうね。

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このようなテーパーエンドが加工できました。

9速ATミッション作れるメーカーさんから見たら三流か工業高校の工作実習レベルかと
笑われそうですが

提示された予算は極僅かです。
何千万円も投資した工作機械や金型を使うわけにはいかないので、安価に作る方法を考えたらこうなっただけです。

こんなことはノウハウでもありませんので
真似して作る人は、ご自由にどうぞ。

会社辞めてから24年も経ってしまいました。
最初の3年くらいは何をやったらよいか、仕事も定まらず今のような体制になって20年が過ぎようとしています。
それは会社に在籍していたら今頃どうなっているだろうなどと未練がましいことを想像したりすることもありますが、これは不可逆反応なので失われた時間は取り戻せないのが人生というものです。
先日のホンダ経営陣の交代は、大問題になったエアバッグの責任を取った形かと思っていたら、違う理由だということです。
ホンダだけでなく多くのエンジンサプライヤーはフランスの発明家ピエール・ルペルティエの特許を購入してATミッションの製造を行っています。
初期のATは3速から始まり現在は6ATが高級セダンのパワートレインの主流らしい(買えないので情報だけ)ですが、これにホンダは意思を入れてしまって7ATを開発して製造を行いました。しかし、ハードとソフトが噛み合わず不具合を出して大きな損害が出てしまった責任を取る形が今回の退任に繋がったということです。
最新のATミッションを見ることが出来る唯一の場所は東京モーターショーで、部品館に駆動系専門メーカーのZFフリードリヒスハーフェンやアイシンAWなどのカットモデルが展示されています。
現物を目の当たりにしても複雑すぎて、私の低性能コンピュータでは理解不可能でした。
ATの部品構成はエンジン本体より部品点数や加工工数が圧倒的に多いと思いますので、最新の高性能、省エネルギー化の立役者は燃料噴射技術と並んでATミッションであると言えるでしょう。

1018ZF.jpg

そしてこれがZFが開発した9ATのカットモデルだそうです。
先述のピエール氏の特許に抵触しない独自の特許を取得してあるので、世界の自動車メーカーに売り込みされていくことでしょう。

画像からみてわかることは、従来の5ATから比較してもコンパクトにまとまっています。
4つの遊星歯車機構と6つのシフト要素で構成されているようですが、その動きは画像みても理解できませんね。

目的は加速性能向上と省燃費性能です。
9速もあるわけですから超クロスミッションで変速直後のエンジン回転低下を抑え
ローギヤからトップギヤの変速比が6ATの6・04から9.84へ向上しており超ハイギヤードの運転が可能ということです。

しかもコンパクトで軽量ときてますから、このZF製9ATの今後の動向にも注目していきたいと思います。(しつこいようですが買えませんがね)


セメント型にアルミ板を当てて叩きました。

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1枚の平板から叩き出しましたが
大体1日掛かりです。

銅鍋作る方が簡単かもしれません。

プロの職人さんが見たら笑うかもしれませんが、
商品と呼ぶには程遠い出来栄えです。




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原型となる樹脂型と比較しながら形状を整えていきます。

このあと実際にフレームに乗せて
上型のモデル製作に取り掛かる予定ですが

作業場のスペースと、まとまった時間が必要なので、止まっている仕事を進めてから
進行状況を更新します。

試行錯誤、最近の人はやり方がわからないときにネット検索して予備知識を得てからやると思います。
本格的に取り組みたい人は、それ系の学校に通って訓練するでしょう。
それ以外では師匠を見つけて弟子入りなどしてパワハラなど受けることもあるでしょう。
私の場合は上記のどれでもありません。
やり方は間違っているかもしれませんが、自分で考えてやったことだから結果をみて得られることは他人から教わったこととは全然違った内容になるのです。
よく、「やり方教えてください。」または「いくらで雇ってもらえますか」と聞かれることがあります。
そんなときは、「オレは誰からも教わってないよ」「いくら貰えますかと言うなら、何ができますか?と聞きたい」
何かができないときに自分でわからなかったら、その人はいつも他人に教わらなければできない。
自分の力でできたことだけは、自分のだけの財産なのだろうと思います。
「聞くは一時の恥」という言葉があります。普通はそれでいいんだと思えますが
昔の刀匠は、刀の焼き入れのときに水の温度を測ろうとした弟子の腕を斬り落としたといいます。
教えたことで、いつか自分がやられることを防ぐための策だと推察しますが、物作りを習得することに対する真剣さが伺えます。

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なにやら金属加工とは縁のないことをやっているようですが

石膏型に流し込んだセメントが固まっていますので型から取り出すときがきました。

この時点でも多くの失敗がみてとれて
たくさんのノウハウが得られました。

今度やるときは、もう少し工夫するでしょう。





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離型剤を塗ってあり、抜け勾配も付けてありますので簡単に取り外せました。

セメント型ですが、これの使い方は、品物となるアルミ板の型紙を作って、切り出した
アルミ板を大雑把に曲げておきます。
細かな絞りを再現するために
型に合わせてハンマー成型していきます。

まだ頭の中だけの構想段階ですから
実際に成型したアルミ板の状態は次回にレポートします。←(もったいつけているわけでなく仕事もしないとマズイことになるからです)

今月に入ってから稽古ごとに専念しております。
仕事は大量に溜まっているにも関わらず、当分の間売り上げゼロになる予定です。
また霞を食べて生活しなければなりません。

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美術の成績はいつもトップでしたが、それは絵画の話です。
彫刻や粘土は殆ど経験がありません。

柔らかい素材を練って、造形することは私にとっては未知の世界です。
要するに全く素人なので、こういうことで品物が作れるとは思っていません。

だから稽古ごとだと言っているのです。
しかし、半端な気持ちで造形できるわけがありませんので、仕事を止めて専念しているという次第です。



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上はオリジナルのアルミタンクから型取りしたポリエステル樹脂です。

下は樹脂型から型取りした石膏型です。

オリジナル⇒オス型⇒メス型

こういう工程です。

このあとセメントでオス型を作ります。

何ができるやらお楽しみ。
期待はしないでください。
どうせ初めて作ったもんなんか品物になりゃしません。

後日、少し形になってきたらアップいたします。
全然気が乗らない社外サイレンサーの修理ですが、3ヶ月も放置してしまって、今こそやる時がきました。
転倒のためか傷モンになったカーボンパイプをアルミに交換するだけの依頼だったのですが
損傷がフロントキャップに及んでいることが判り、一気に工数が上がってしまうため、優先順位から後回しになっていたのでした。

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カーボンパイプと同寸でアルミ板を巻いておきます。












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損傷していたフロントキャップも鉄板巻いて
溶接で修復しておきます。

リベット穴はアルミ筒を差し込んでから同時加工で
穴開けします。








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アルミパイプの溶接にはこれをつかいます。

パイプの内側にシールドガスの通路となるトンネルを取り付けて

表から突き合わせ溶接します。

裏ビードを酸化させないで健全な溶け込みを得られます。





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使い方はこんな感じです。

シールドガスは垂れ流しですが、流量を手元のバルブで調節して溶接作業します。

薄板の場合は裏側が酸化して溶接欠陥になりやすいので、溶接強度と作業性が向上します。







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アルミパイプにリプレイス完了しました。

頼まれたのは筒の交換だけですが
それ以外のことに労力が掛かる事例でした。
最大の難関はカーボンパイプの取り外しで、
前後キャップがパンチングと一体のため
パイプが抜ける力でパンチングが壊れていくという代物でした。

たぶん、安価にメンテナンスしようとするお客が、まともに分解できずに壊してしまうのが狙いかもしれません。
そうすれば、また新しいのが売れるかも(信頼を損ねるだけですが)しれないことを期待しての作りだと推察します。
とにかく人がいらなくなった中古品に手をだしていると、余計な金や労力が掛かるということです。

先月から残務ばかりで、今日現在まで1円も売り上げていない上、支払いしかしていません。
この状態では半年もたないで倒産するでしょう・・・
前にもこんなこと書いていたと思いますが、あれから1年以上経っているので、何やって食べているのかわかりませんね。(ある有名な冒険家は霞を食べていると言っていました)

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去年葬式のあとに愛媛から乗って帰ったサンバーの名義変更がようやくできました。

陸運事務所の三芳出張所、軽自動車検査協会に来ております。

父親が畑と農協の間しか乗ってなかったので平成21年車なのに1万kmしか乗っていません。
快調そのもので地元の自動車販売店で法廷検査も受けてあったので
このままユーザー車検に持っていきます。
これで晴れて川越ナンバーになりました。




年末に某メーカーのデザイン部門の人とディスカッションしました。
いろいろ話した中で、職場に3Dプリンターを導入したそうです。
自動車や家電製品の製造に無くてはならないのは工業モデルです。
実際に製品を作る前に実物大のモデルを製作してデザインの検討を行ったり、組み付け性の検査に役立ちますが、これをやらないでいきなり何千万、何億円も掛かる金型を起こすわけにいかないのです。
ところが、工業モデルも専門の会社に発注して、時間も費用も莫大にかかります。
それを設計した3Dデータさえあれば安価に早くモデル製作ができるわけですから、初期投資は仕方ないですが、新機種の開発にかかるスピードやコストが大幅に削減されるなら、いいことですね。

最も有効に働いている3Dプリンターの例は医療の現場です。
患者の病根となっている臓器をCTスキャンしたデータで3Dプリンターを使って臓器モデルを製作して
手術方法のシュミレーションに役立つという、デジタル技術の勝利ともいえる活用術に感心したりしましたが
ジャーナリストや評論家の中には「何でも作れる、製造業界の革命」などと大ウソを吹く人の話を読んだり、聞いたりすると、原発の話と同様に報道は真実を語らないものだと、つくずく感じました。
私の見立てでは、3Dプリンターによる製作物は実物には取って換わることはないということです。
私のいう本物かそうでないかは、形状や色だけでなく、材質が合っているかということです。
実用強度を満足できない製作物があったとすると設計不良といいます。
そもそも設計もしないで他人が作った物をスキャンして形状だけ真似することを盗作といいます。
どちらも正常な価値観の人なら製造物とは似ても似つかないことがわかるでしょう。

材質は図面値として最重要な数値と同様です。
金属部品であれば材料の硬さを決定する因子が材質で、母材金属に強化元素の添加する割合を決めてあるので、その配合割合が違っていると設計された図面値と違うので不良品となるのです。
また熱処理条件も材料の硬さを決定する要素ですが表面硬さを図面指示された部品も多く見られます。
熱処理とは鉄鋼なら浸炭焼き入れや高周波焼き入れ、窒化などです。
アルミ合金なら溶体化T4後強制時硬T6が代表的ですが、これらは材質が違うことで所定の硬さが出ませんので材料メーカーの成分分析表を確認後、熱処理工程に入るという取り決めをして保証するものです。
このようなコストも手間もかかる製造工程を経て部品が作られているのを知っていれば「何でも作れる」発言は無いのではないかと思います。
本当にできるのだったら、3Dプリンターで作ったクランクシャフトに組み換えますか?
耐熱鋼のバルブと同寸に作ってエンジン運転できますか?
キャストホイールくらいは容易に出来るでしょうからタイヤ履かせて走ってみますか?
どれかひとつでも本物と同等の物ができたとしたら、今の仕事は全部辞めて最新式の3Dプリンター買って商売変えします。

現役のデザイナーさんも言っておられましたけど、デザインというものは3Dの加工データが出来たらおしまいではないということ。
試作したもので実際に性能試験や耐久テストを実施して保証することを含めてデザインというのであって、形状寸法がクリアされただけで量産されていたら不具合だらけで、返って不良品改修にコストが掛かって商売にならないだろうと思います。
「3Dプリンターで何でも出来まーす」といった話は「STAP細胞は在りまーす」と似たようなことで
現実にありもしないことを、さも在りそうなこととして吹聴していることになります。
やはり日本の伝統文化は刀鍛冶に端を発する、道具作りのことであって
鍛えられた職人だけが得られる技術を机上の理論だけで機械任せに作ってしまおうとする
終末的な人類の行為ではないかと思っているのです。

何故なら、人間の仕事が機械に取って変わられた後に残るものが何であるか、想像すれば分かるではありませんか。
原材料やエネルギーの分野をみてもわかるように、機械で行えることは大勢の人の手によってお膳立てされた末端の世界でのことに過ぎないことがわかるでしょう。


4輪の新機種を立ち上げる仕事で、研究所と製作所が合同で進めることがあります。
新しい部品の製造トライには開発者(設計)と品質管理が製造部門へ集まって製造トライに立会います。
目的は製品が図面通りに出来ているか、出来立ての品物を前に多角的検証を行うのです。
主に鋳造や鍛造のトライでしたが、出席していたACE(アシスタント・チーフエンジニア)から、こんなこと聞きました。
立ち上がり日程の迫っている新機種の製造トライ現場にオヤジさん(本田宗一郎最高顧問)が視察に来られて、大型プレス機にセットされた金型の中に入り込んでグラインダーで削り始めたそうです。
慌てた開発担当者が言いました「やめてください!立ち上がりに間に合わなくなります」
するとオヤジさんは「うるさい!俺の金型だッ」と一喝したそうです。
金型を壊したとしても決済権を持った人物ですから怖いものがありません。
どんな役職の社員であっても創設者に適うはずがないという意味のことでした。
そして、そのACEは不思議とオヤジさんが指摘したことは、いつも正解でそのとおりに直していけば上手くいったと話しました。
開発者といっても、初めて担当する量産車の場合は間違いがあってもおかしくはなかったのです。
だから開発者の殆どは旧式車には見向きもしないと思います。
それは最初に作ったものより後で作った品物のほうが優れているから、過去の製品を見たくないことによります。

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マフラー内部に取り付ける隔壁になる部品をプレス成型しております。

製造コストを抑えるため自作の金型を使っています。
クリアランスバッチリで使いやすいです。
これで同寸の隔壁が作れますが
レベルの低さに大会社にお勤めの人から笑われると思います。
しかし、設備代や金型代を会社の予算で払ってもらっている立場の人からは分からない苦労でしょう。
私を笑いたければ会社を辞めて、同じ立場にしてからにしていただきたいと思います。


それでは、年内は代金前振込みの品物だけ作って終わりますので、新ネタは来年までございませんので、良い新年を迎えましょう。

長いテーパーは巻くのが困難なことは分かっていましたが、その大変さは実際に巻いてみないとわかりませんでした。
こういう形状を成型する方法は一つではありません。
冷間鍛造やスエージング(へら絞り)などですが、これには大型の工作機械と高価な金型が必要になりますので零細な個人商店では不可能ですね。
そこで鉄板を巻いて溶接する製法を取るわけです。
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ここでは板金鋏で切り出した鉄板を三本ロールで巻いて成型します。
しかし、三本ロールがあるといっても
簡単にはできません。
500mmも長さがありますから
ロールがたわんで、上手く曲がってくれません。
おそらく経験がない人なら作ることを諦めてしまうのではないかと思います。

なにせ作り方マニュアルはありませんからね。自分でなんとか考えるだけです。



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法事で帰省していましたから4日間仕事が止まっていました。
17日までにマフラー完成させて研磨屋へ持っていかないと、年内のめっき処理に間に合わないということなので
日曜も休みなしで仕事です。

あと3日しか猶予がないのに4台分出来るのか心配ですが、出来るだけ進めておきます。






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今日はMCFAJから来年のライセンス申し込み用紙が届きました。

説明文に書かれていることが、私にとっては?な内容だったので掲載しておきます。

レース離れが深刻化している要因は、こういうことではないですね。
日本の社会全体で2輪離れが進行しているので、さらにマイナースポーツであるオートバイレースの参加人口が減少するのは自然の流れです。
それでも好きでやっている者が離れていく理由はこうです。
限られた収入の中で捻出できる経費を節減されるのは仕方のないこと。

怪我や高齢化など身体的に活動が制約されていくことも、人間ですから普通のこと。
練習がレースに比べれば重要でないような記述も認められますが、練習して自分の技量に自信を持たないままレースに参加することはできません。
現在使用されているコースで危険箇所などということは、普通に練習さえできていればあり得ないと思っております。
元々安全なスポーツだと思っていないですから、危険でないようにするために練習しておくのがライダーの義務だと言えるので、練習軽視の発言は承服できません。
実際に私はレース中のアクシデントで、大きな怪我は上腕骨骨折と股関節亜脱臼がありましたが、二回とも自力で歩いてパドックへ戻っておりまして、長期間仕事もできないほど重症でしたが、どちらもレスキュー隊のお世話をしていただいておりません。
それでも文句を言ったことがないのは、「怪我と弁当自分持ち」の原則でやってきましたので、これからもそのつもりです。
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ちょっと残念な決定がこれです。

ジュニアとエキスパートの参加台数減少のため両クラス統合してエキスパートジュニアとするということです。
これは実質エキスパートは全員ジュニアに降格という意味になります。
エントリー代収入が少ないのに賞典をだすのが勿体無いと考えるのは理解できますが
ケチな賞典目的でレースしているわけではありませんので、規定台数割れのレースは賞典を無しにすればいいことです。

体調不良や身内の入院、葬儀などが重なって不参加のレースが続きましたので、今年参戦しなくても来年同じクラスなのですから
走る必要もなかったということになりますね。
こういう内容ですから、レースに参加する意欲が奪われるわけで、予選があったりフルグリッドの台数で行われるMFJの方にライダーが流れていくのも当然のような気がします。
以前のMCの仲間がMFJに転向していて、私も誘ってくれているので考えてみようと思います。
遅延に遅延を重ねて仕事が進みませんが、こういうときこそ試験研究が欠かせません。
メタルガスケットの試作も仕上げの段階になりました。
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上は素材となるステンレスばね鋼をレーザーで切り抜いたもの

下は金型上下セットです。
NC旋盤なら数値を入力するだけで正確な金型ができるはずですが
ここでは手動の旋盤で加工するので
ノギス計測が要となります。
計測が狂うと加工寸法に誤差が生じて
製品が作れなくなります。

老眼の目にはノギスの先端もはっきり判定できないので虫眼鏡や懐中電灯を駆使しながら計測して加工を行いました。

ガスケット専門メーカーなら基本的な製法だと思いますが、自分にとっては未知の分野。製法を教えてくれる先生もおりませんので、自分で考えてやることが試験研究です。どこかで作ってくれるからお金を払って頼もうとしたら、経験というものは得られないでしょう。
この無駄に過ごした時間こそが財産だと思うのです。
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プレス機も無いので先輩の工場にジュース差し入れて貸してもらいました。
15トンの油圧プレスですが
ハンドプレスなので加重の調節が容易いのです。
実はプレスして分かったことですが、バネ鋼のプレス成型にはスプリングバックが生じますので金型の寸法どおりには絞れなくて
加重に応じて絞り深さが変化するものでした。
製品の絞られ具合を何度も確認しながら狙いの寸法になるプレス条件を探し出します。

このガスケットの場合は板厚0.3mmで
加重7トンで数回に分けてプレスすることが条件でした。
成型はできましたが、エンジンに組み付けて圧縮漏れや水漏れの確認はこちらでできませんので
当該機種、88無限MEシリンダーキットを所有するホーリーエクイップさんに試運転を託したいと思います。

先週作りかけていた金型の加工ができました。

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これだけで一品できるんですが何でしょうか。

そいつは、教えられません。

プレス機械はありませんので、押し型として使うのですが、一発成型というわけにはいきませんけど、なかなか使い易いです。

これから鉄板成型トライして組み立てすれば一品完成ですが、数量が多いのでまだまだ先です。

大勢お待ちいただいておりますが、この仕事は全額前金でいただいておりますので
何より優先してやりたいと思います。

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パイプの差し込みの部分

板を巻いて作る場合は
展開した寸法を
内径+板厚×3.14で切り出すと
差し込み隙間がゼロになって圧入になってしまいます。
隙間0.1mmくらいを狙って大きめに切り出して巻きます。
巻いただけでは真円パイプにはなりません。
内径と同じ芯棒を作って圧入してサイジングすることによって真円度が増します。

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組み立て治具も必要です。
今回、車体合わせは一回もできません。
差し込み位置とマウントブラケット穴位置を合わせるだけなので、
車体との隙間関係は一切わかりません。
支給品と同じ寸法の物を作ればよいという単純な要件ですが
そのための金型製作と治具製作でした。

これで成型した部品を溶接組み立てする段取りが整いましたので生産にかかります。
製品の姿はお見せできませんのでご了承ください。


ドローイングナンバーと読みます。図面番号のことですが、そのまま部品番号となって、製品を作ったり部品発注する基の番号となります。
今回はパーツの在庫が無くなってバックオーダーになった部品の製造ですが、ひょんなことから溶接工程だけ請け負う3次メーカーとして働かせていただきました。
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6角パイプにフランジを溶接するだけの単純な作業ですが、久々に量産気分です。
元請けの会社、N田製作所さんの経歴と驚異的加工技術に魅了されることになりました。

これは6角パイプとフランジの手配と穴加工がN田さんの領域です。
一本あたり8箇所の穴加工があり、108点なので864箇所,板厚4,5mmにφ8,5の穴を空けるのも大変なことですが、特筆すべきはパイプ内側にバリが一切出てないことです。パイプ内面ですから面取りは不可能です。
どのようにしてバリの出ない穴空けをおこなうのか?その手法をN田さんに聞きました。
原理は分かりましたが実際やるとなると、私の技術では到底無理だと思いました。これが加工職人の技術力です。
2次メーカーですから一般ユーザーに部品がどこで製造されたかはわからないでしょう。
しかしN田さんの加工品は2輪ユーザーならほぼ100%お世話になったことがあるはずです。
たとえば、キックアームのボス、鍛造素材に穴加工して内面にセレーションを割り出し加工とか。
横型単気筒エンジンのインテーク、鋳造のエルボーの両端に角度の付いた面だしとオフセットされたフランジのボルト穴加工。
ドラムブレーキのアームやカムの加工、セレーションは割り出しして位置決めのポンチ打ちとか、
誰でも見た事のある部品たちですが、どこの会社で加工したか知らなかったのです。
こんな物もあります。
4気筒のセンターにタイミングギヤがあるタイプのクランクシャフトとか、当然ギヤより大きい外径の丸棒から削り出しです。
コンロッドなどは単純な方、アルミメッキシリンダーの内径研磨とポートの面取り。
これらに共通することは加工難易度が高く普通の加工屋さんが嫌がる(加工不良になる可能性が高い)品物ばかりということです。
N田さんは御歳70過ぎですから経験50年以上のベテランでしょう。
親会社はこういう難易度の高い加工を押し付けてこられますが、後継者はいないので将来困ることになると思います。
加工できる会社は多く存在するでしょうが、問題はコストを決められていますので、難しく手間の掛かることに高額報酬を求める会社では親会社の要求に応えられないのです。
こんな物も見せてくださいました。
ブレーキホースの加締める前の金具です。ブレーキ液漏れなど絶対あってはならない重要保安部品ですが、その内部の加工も超A級難度だと思います。
これの加工には特殊な刃物を自作して単能機で対応したそうですが、刃物代は殆どかからないそうで
クズ鉄屋へ行って捨ててある超鋼チップをもらってきてロウ付けバイトをこしらえるので、特殊刃物で汎用品は無いそうです。
ブレーキホースのメーカーに日輪ゴムという会社がありますが、ホンダは最初、日輪ゴムにバカにされたそうです。「直接取引はしない、製品がほしい場合はマツダかNISSANを通して買ってくれ」と言われたそうです。
N田さんは見事にホース金具を作って見せました。技術力の高さを専門メーカーに認めさせた瞬間だったと思います。
身近に貴重な加工技術者がおられて、何10年も2輪車の製造分野を支えて、今でも現役であることがわかったことに感動いたしました。

会社員みたいに残業手当はつきません。予定より多く働くだけで体力と時間が消耗します。
残業理由は予定の仕事以外に納期が決まっている仕事があるためです。
以前お買い上げいただいたサイレンサーの仕様変更です。
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ロードレースですから低速より高速のパワーが重要だと思い、素人考えで内径大き目に作ってあったのですが
「低中速のトルク感が少ない」というインプレッションと
内径小さい別のサイレンサーに付け換えると改善された、という情報によって
仕様変更することになりました。
チャンバーが一つしかないワンオフなので他の同一機種でも同様かは不明です。

分解したサイレンサーの構成パーツ。
ダウンサイジングしたパンチングと、それを保持するカラー前後、左右で4個作りました。
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パンチングを差込み、内径に段差がないように寸法をそろえてあります。

外径は既存のパイプに圧入する寸法です。










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カラーは元のパイプに圧入してあります。

エンドピースを差し込む段差を残してあります。









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そしてワンランク細いエンドピースを手曲げでこしらえて、溶接です。

これでダウンサイジング加工完了です。

あとはグラスウール詰め込んで組み立てれば残業終了となります。


今日も工場内38℃ありました。
その上火炙りに溶接ですからアチチです。
世の中には鋳造や熱処理の工場もありますから、それよりマシだと思います。

ビンテージチャンバーはTIG溶接で昔の風合いを表現することは難しいと判断しました。
そこで思いついたことは、ガス溶接で作ることです。
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15年前はチャンバー作りはガス溶接で行っていました。

愛用の吹管は田中式00号。
20年前から使っています。
いや、途中で壊れたので一回更新して2機目になります。
ゴムホースもひび割れて全部取り換えました。長い年月使ってきたのです。

TIG溶接の方がビードのコントロールが容易でガス溶接を使う必要がなくなっていたのですが、外観を昔風に再現するためには製法も昔と同様にやらなくては違った感じに出来上がってしまうのです。
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そして15年ぶりにガス溶接で接合したチャンバーを作りました。

スズキのテスト屋さんが、一生懸命に板金溶接してこしらえたであろうチャンバー部分の再現です。

ところどころアレンジしていますが、大体こんな感じでいいのではないでしょうか。
駄目と言われたら、限界なので自殺するしかありません。




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焼け幅が広いのがガス溶接の特徴ですが
熱原はアセチレンと酸素を混合したガスを燃やした火炎です。
アセチレンと酸素の混合比は目盛りがあるわけではなく、火炎の色や大きさを見てガス量を調節します。
鉄に火炎の先端を近着けると焼けてきて鉄板が液体になる瞬間を待ってからトーチを移動させていきます。
初心者は鉄が溶ける状態や早さが分からないので均一なビードが引けないみたいです。溶接棒は一切使いません。
肉盛りの必要な場所だけ溶接棒を溶かします。
そしてもう一つの特徴は溶接ビードをハンマーと当て金を用いて叩き均してあることです。TIGではこの工程はやりませんので接合部に角が出ますが、ガス溶接では丸みを帯びた形状になります。ビードが生のように柔らかいのでこのような成形が可能となります。

ここに2種類のベアリングがあります。DT125から外したものですが、クランクサイドの左右でサイズもメーカーも違います。何でなんでしょう。
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ベアリングはJISで規格化されていますのでメーカーが違っても名番が合えば使用可能です。
左はL側ケース用で名番6205、Koyo製
右はR側ケース用で名盤6304 C3、NTN
左右でベアリングメーカーが違う理由は同じ車種でも2社手配していることです。
2社でコストや品質を競合させる目的と、1社の供給が間に合わないときに、もう1社で賄えるというバイヤー側のメリットがあるわけです。
因みに、このエンジン装着だったKoyo製が取り寄せたヤマハ純正部品はNTN製になっていました。
国内有名メーカーは
NTN(以前NTN東洋ベアリングと呼んでいた)
NSK 日本精工
Koyo (以前光洋精工、今JTEKT)
NACHI 不二越
などです。ラジアルボールベアリングの外輪側面に刻印を見たことがあると思います。
ベアリングといえば非常に硬い部品という印象ですが、オートバイ部品のなかで最も硬い材質であります。軸受け用材料はSUJ2を使いますが金型用のSKDに等しい硬さで比較的安価な材料でもあります。SUJ2は成分系から高炭素クロム鋼であることがわかりますが、内輪外輪はパイプを切断し、熱間鍛造で、球は丸棒切断したものを平ダイスで転がして真球を作ります。
形状が整ったら熱処理します。焼き入れ焼き戻しですが、焼き入れ(クエンチ)は鉄の変態(トランスフォーメーション)を利用して硬化させる処理です。鋼中の炭素量に応じて800度以上に加熱するとマルテンサイト変態が起こります。この温度を保持したまま油中で急冷(オイルクエンチ)します。水でなくオイルで焼き入れする理由はオイルの方が比熱が高い液体であるからです。
焼き入れ後のマルテンサイト組織は非常に硬く、ロックウェル硬度Cスケールで65以上ありますが衝撃で割れてしまう性質があるので粘り強さを出すために焼き戻し(テンパー)します。およそ600度で2時間保持すると微細なソルバイト組織に変態して硬度は60まで下がりますが靭性が高くなり実用強度が増します。
内輪外輪、球とも同じ熱処理を施したあと砥石研磨で寸法精度を高めます。ベアリングに不良品が殆どみつからないのは、寸法全検で規格に適合したものしか製品化されないためです。通常1万個が製造ロットと言われますので少量生産が不可能なことも特徴です。(ワンオフのベアリングは有り得ない)
6304とか名番のあとにC3というボールとレースの隙間(クリアランス)を示す表示があります。数字が小さい方が隙間が小さい意味ですが、隙間が小さいとガタも小さいのですがボールとレースの接触面が増えてしまい、転がり抵抗も増える結果となります。
従って接触面が少なくなる隙間の大きなベアリングがエンジンの回転にとっては有利となりますが大きすぎると往復運動のレシプロエンジンにとっては振動になってしまうので、C3かC4を採用するエンジンが殆どです。
ボールとレースの摺動部は金属接触では直ぐに磨耗して寿命が短くなるためオイル潤滑が必須です。
ベアリングに潤滑目的でグリスを封入する場合がありますが、サイドシール付きなら効果あると思いますがオープンベアリングの場合は無駄だと思います。グリスは荷重を受けてはみ出しますし、グリスが障壁となってオイルの潤滑を妨げてしまうため、頻繁にグリスの交換ができない場所にはメリットが無いだろうと考えています。
2サイクルの場合は混合油からの潤滑しか供給されないため、新品ベアリング組んだときは、混合オイルをボールとレースの隙間に給油して馴染ませてから組み立てするようにしています。

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2サイクルのクランクシャフトはベアリング内輪に圧入になります。
自作のクランクシャフトインストーラーを使っています。
サービスマニュアルには純正の特殊工具を使うようになっていますが、
用途と目的が分かっていれば特殊工具を買ってくる必要はありません。
ケースとクランクウエブの隙間がゼロにならないようにシックネスゲージで0.5mmくらいに調節します。
片側軸を引っ張りで圧入することでクランクに傾きが生じることを防止します。

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クランクシャフトインストーラーの構造はこのとおりです。
フライホイールのナットを利用して引っ張っています。シングルエンジンならこれ一つで65ccから450ccまで使えます。
実はエンジン組み立てを習ったことがないのでプロの整備士の人が、どのようにやっているかは知りません。
サービスマニュアルも持っておりませんのでいちいち考えながらやっているわけですが
構造は勿論、部品の材質や製造方法にまで思いを馳せながら組み立てるようにしているのは製造屋の本性というものかも知れません。

CIMG3255.JPGCB400SSマフラーの鍍金が仕上がってきました。

上手く研磨できています。

 

 

 

 

 

 

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エキパイ類もこのとおり

 

 

よーし、つけるぞー!

 

その前にノーマルマフラー装着して試乗しなければなりません。

元国際田舎B級の私が、試乗インプレッションいたします。

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CB400に動力性能を期待するなんてことはナンセンスです。明らかに旧車デザインのこれはCB360Tの雰囲気を現代風にアレンジしたはずなのです。

国内ロードスポーツのお客離れ、特に我々の世代は若い頃CBに乗っていたりするのはちょっと不良で勉強なんか嫌いな少年たちだった。

岩清水ヒロシみたいなガリ勉が乗っているわけがないのだ。

そして大学で勉強したエリートがデザイナーになって単車作ったって、我々世代の気持ちをつかむデザインや音がするものを作れるわけがないのだ。よって新型ロードスポーツに見向きもしないというわけだ。 CIMG3261.JPG(単なる懐古主義なだけなんですがね。スポーツ用のやつはなるべく新しいのにのるべきだと思います。)

根本的にCB360TはツインですがCB400はシングルなので乗り味が違うのは当たり前です。

シングルのデュアルエキゾーストですからエキパイは細くてよいわけですが、見た目ツインマフラーのようにしてあります。

ノーマルは3000rpm以下の低速トルクは弱いですが5、6000rpmのパワー感が良好で一般道で非常に乗りやすい特性でしょう。8000rpm以上回しても加速感は一定でパンチが効いていません。ゆっくりと流す程度に乗るのが一番心地よいでしょう。

そしてツインマフラーに交換して最初に気付くことは「音」です。ノーマルの原付みたいな大人しさに比べて明らかに存在を感じる太い音です。しかも爆音ではないので周りに存在をアピールできる調度よい感じです。走りだして低速から開けていきますが、太いマフラーにありがちな低速の落ち込みは感じません。むしろ抵抗が取れた軽い吹け上がりに変わっています。5000rpmからの加速はノーマルより若干速いかなと感じますが、大きな差はありません。同様に乗りやすいフラットなエンジン特性です。前述しましたがブン回して楽しむ必要のないクルマなので、軽くなったエンジンレスポンスと太い音で快適なドライブができると思います。

なんたってリヤビューから車種が特定できそうもないスタイルを楽しめることが最大の売りです。

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排気が抜けるようになるとキャブレターのオーダーも違ってきますが、これは走行中に違和感は特にありませんでした。

通常は抜けすぎると全開時や戻したときにアフターバーンが出ます。吸入空気が多くなってガソリンの割合が薄くなるためです。

これは走行中のアフターバーンは起こりませんが回転を上げてからアクセル全閉で少し出るくらいです。エアースクリューを若干閉めるか、スロージェットをワンランク上げる程度で改善するでしょう。

 

 

突然ですが、エキスパンションチャンバーという部品はエンジン部品か車体部品のどちらのカテゴリーに入るでしょうか。

動力性能に密接に関わる同部品ですが正解は車体部品です。エンジンの開発はエンジン設計者が担当し、車体の設計は車体専門の担当者という具合に別々に行われます。また製造もエンジン工場ではエキスパンションチャンバーは作りません。車体関係の部品メーカーが製造します。

では、その手法はエンジンの開発はベンチテストで行われ、排気系の諸元はストレート図で表すまでです。そして車体屋によってストレート図に基づいてパイプを曲げて車体に取り付く形状をデザインすることになります。

今回、手巻き製法のチャンバーを製作しますが、これはプレス成形の型を決めるための前工程となるものです。しかし量産用のプレス型をつくる必要がありませんのでワンオフで終了ということになります。

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先日寸法計測したチャンバーのストレート図を基にテーパーパイプを作成して取り回しの検討を行います。

 

 

 

 

 

 

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パイプは溶接しないで傾きを調節しながらカーブを決めていきます。

取り付ける車体は極秘なのでお見せできません。

作業の進行状況をお知らせする目的だけです。

フレームやラジエターとの隙間がギリギリに設定されていますので、取り回し検討だけで一日掛かりです。

このパイプは全部開いて展開図となります。

これからが製作本番です。

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取り掛かるまで気にしていませんでしたが問題が幾つかあることに気付きました。

それは、見本となる写真と預かった車体の仕様が異なること、チャンバー取り付けに必要なラバーマウント、ボルト類、テンションスプリングなどは一切ついてないこと、サイレンサーの取り付け位置も決まっていないなど懸案が続々です。

なんとかパイプが繋ぎ終わったのですが残念なことにテールパイプの傾きがいまいちです。シートレールに対して前下がりに見えます。

低いラジエターの干渉を避けるためチャンバー位置を下げたことが原因です。テールパイプをあと1センチ上げたいと思います。ここで妥協してしまうことは許し難い結果になります。

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こだわりの1センチです。

テンションスプリング付いていますが、見本がここでジョイントになっていたため忠実に再現します。

テールパイプがシートレールと同じ傾きに変更できました。

ホンダ純正のラバーマウントは既に廃番で入手できません。ホーリーさんとこで別メーカーの在庫を見繕っていただき、430用テンションスプリングと一緒に送っていただいたことでスムーズに取り付けステーの加工ができました。

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サイレンサーは推定84モデルKA4だと思いますが、リヤフレームとのオフセットを決めるため専用カラーをラバーマウントに装着して固定できました。

実車はお見せできませんが、チャンバーはこのとおり完成いたしました。

実に半年遅れの仕事でした。

明日から1ヶ月ほど身柄拘束されますので電話は出られないと思います。急用には対応できませんが用事のある方はメール送信していただければ、終業後に返信いたします。

 

 

量産部品は必ずロット生産されています。ロットの種類や大きさは製造過程における品質特性によって様々です。量産でロット管理しなければならない理由は、材料ロットや熱処理ロットのように納入や処理条件が同一のグループで区別してトレーサビリティー(履歴追跡)を持たせることによって、あとで不具合が発覚したときに選別することにあります。

不具合の追跡調査が出来ないと対象の製品が分からないので改修コストが莫大になることを防ぐ目的があります。

弊社では生産数が少なく一品ずつハンドワークで加工するために部品の不具合は、加工時点で分かってしまいますのでロット生産することはありません。 CIMG2915.JPG

普通は注文数は1個なので構成パーツは1台分ずつ作りますが、今回は4個一気に作ります。

 

これだけ作るのに3日も費やしています。

1日1本製作するのが難しいアルミサイレンサーです。

 

 

 

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構成パーツを溶接組み立てしたところです。

部品が揃っていれば連続溶接できるのですが、同じ姿勢を長時間続けることによって血行不良になります。

エコノミークラス症候群という症状ですが、私の場合は肩こりや腰痛になってしまいます。

もう年寄りですね。

 

 

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溶接完了したらバフ研磨です。夏場と違って体が温まるくらいなので助かります。

研磨は自社製品しかやりません。

お客さんに頼まれても専門の業者さんを紹介するだけです。

 

ここまで出来れば、グラスウールを詰め込んで組み立てるだけです。

明日の段取りを考えながら発送の準備します。

 

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おまけはCBヨンフォア専門店シオハウスさんからお借りしたVMXマガジンから

ジム・ワイナートとトニー・ディスティファーノの接戦です。

トニーの顎にジムの左グリップが入っていますね。

トニーの右ブーツはジムのフロントフォークに引っかかっています。

ものすごい勝負への執念です。安全運転至上主義の私は見習いたいです。

 

ここに無限ヘッド(CR125R)があります。ヘッドガスケットが廃番になっていて、代替のガスケットを作る必要がでてきました。

CIMG2699.JPGホーリーさんとこでシリンダーに傷がついた無限をスリーブキットで再生したのですが銅板ガスケットが圧縮漏れでよくないと聞いて

お節介に「水冷ヘッドにはバネ鋼のガスケットが良いでしょう」と提案してしまった責任を取るためにメタルガスケットを作る役を請け負うことになりました。

昔、ボアアップで純正のメタルガスケットのボアを拡大したことはありましたが、材料から新造した経験はありません。

これは自己啓発として就業後に少しずつ進めますので作業日誌は後日アップいたします。

87年型CR125の純正ガスケットも見本としてお借りしていますが、材質はアスベストです。アスベストは耐熱性が高く、弾力もあるので高温での気密性に富んでいると思われます。

ヘッドガスケットに必要な性能は高温でもバネのような弾性をもっていることです。

シリンダーヘッドはM8のスタッドボルトで締め付けられますが、この締め付け荷重はどれくらいのものかといいますと

エンジン関係に使用されるボルトは100kg級の強力ボルトです。材質はSCM400(旧435)で、めっき可能な最高強度のボルトになります。めっき後のベーキング(水素脆性除去処理)が必須です。

足回りに使われるボルトは120kg級ですが、高負荷で亀裂を防止するため、めっき処理は不可で通常は耐食性にすぐれたダクロコートを施します。

100kg級の意味はmm2あたりの引張り強度が100kgということで、強度区分で10Tと表記されます。80kg級は8T、以下7T、6Tという具合に材質と熱処理の違いで強度を設定しています。

ではヘッドのスタッドボルトはM8ですから有効断面積(ねじの呼び径ではなく、ねじ底の断面積)は36.6mm2で引張り強度3400kgですがこれは垂直に引っ張ったときの破断荷重なので、ねじの締め付けでは耐力2894kgで考えます。

耐力というのはボルトを締め付けたときの軸力と伸び(またはトルク)線図で直線で表す領域(弾性域)から0.2%軸力が下がった点(降伏点)を耐力と定めています。

実際の締め付けでは降伏点を越えるとボルトが永久伸びを起こしてしまいますので、降伏点直前がボルトの限界になります。ボルトの規定トルクは、降伏点に達しない上限と緩みが発生しない下限値が指定されています。何故規定トルクに幅があるかというと、締め付け座面やネジの状態でμ(摩擦係数)が違うために軸力がばらつくためです。締め付け作業はトルクレンチを用いたとしても締め方によって軸力が変わります。レンチを締めるスピードや回数で、同じ目盛りでも軸力が変動します。

ネジ山や座面が滑っている状態を動摩擦、止まった状態から再度締めるときは静摩擦と呼び、静摩擦の方がボルトを回転させるのに大きなトルクが必要になります。締めすぎたボルトを緩めるときに大きなトルクが必要なのは、このためです。

話を元に戻します。スタッドボルト1本あたり2800kgの締め付け力とすると6本で16.8トンの荷重がヘッド面に掛かっていることになります。この荷重に耐えられる硬さのガスケットが必要と考え、バネ材を仕入れましたが、純正部品の材料は一般の鋼材屋で扱ってないことから、それに近い性質のステンレスを選定しました。

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これからガスケットの加工に入りますが、これくらいの形状ですと図面を書いてレーザー加工を頼んだ方が安上がりで加工精度もよいと思いますが、ここでは手持ちの加工機でどこまで出来るか試してみたいと思います。

使用する道具は板金ハサミ、ボール盤、旋盤くらいです。

最初はスタッド穴基準とするため穴位置を割り出してマスター板を作って下穴を空けていきます。

 

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ステンレス板にスタッド穴を空けておきます。

スタッド穴基準でセンターと外周を旋盤加工するための加工治具はこのとおりです。

ステンレス板の外形は板金ハサミで荒く切っておきます。これら6枚を重ねてフランジにボルト締めして加工を行います。

フランジで挟むことによって薄板の剛性があがってバリの少ない切削面に仕上がります。

 

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旋盤で外径φ101、内径φ55に加工しました。

思ったとおりバネ材は硬いです。

超硬チップで切削しますが刃物の消耗が早いです。

下穴はハイス(高速度鋼)のドリルを使うので、重ねて穴空け加工は困難です。

 

 

 

 

CIMG2704.JPG右がノーマルのヘッドガスケットでスタッド穴が5個です。

ウォーターラインを同等にするための見本です。

排気側の長穴を空けるのにフライス加工だと材料が硬いのでエンドミルが割れて全部ダメになることを恐れ、地道にドリルで下穴を開けました。

穴が繋がったところで、切り残した部分はヤスリで手仕上げすることにします。

アルミホイールやメッキシリンダーなどバリが出る製品は量産でも手仕上げでバリ取りするものですから、手仕上げは立派な加工工程なのです。敢えてハイテクを使わないでハンドワークで処理することが我社の物作りの原則です。

 

CIMG2706.JPG加工終了です。6枚セット取れました。

加工治具は使い捨てになります。

量産のメタルガスケットはウェーブ加工されており、穴の周囲を囲むように凸の部分が当たって密着するようになっているのでバネ材が必要なのでした。

しかし、これは平面で密着させる構造なので、シリンダーヘッドの平坦度とヘッドナットの締め付け力が成功のKEYであると考えられます。 

 

 

先日、金属加工業のお客さんとディスカッションした中で驚くべきアフターパーツ業界の実態を聞きました。

私もオートバイ仲間から社外品のロッカーアームが形状不良でバルブが完全に閉じないとか、バルブのウエスト部分から破断してエンジン壊れたとか、聞いたことがありますので、やはりそうかと思いました。問題の当該品に対してクレームをつけても「レース用パーツなので自己責任でお願いします。」といって問題の論点を逸らそうとする始末。

大体、販売店の窓口が実態を把握していないか、クレーム処理のプロフェッショナルのどちらかだろうと思います。私は社外のキットパーツなどには頼りつもりはありませんし、手間やコストが掛かっても自分で加工手配するのが一番信頼性のある改造だと思っています。

金属加工では加工物に刃物を当てると異材であることに気がつきます。切削条件が変わりますから、疑問に思って支給先の担当者に材質を聞いても答えられない。即ち製造に関する知識に乏しい人が商売してお金を儲けているということです。一般のお客さんは広告を信頼してパワーアップできると信じてお金を払うわけですが、その成果はどうであったか・・・これこそ「自己責任でお願い」です。

例えばカムシャフトに熱処理が施されていないとか、某国製では常識のようです。カムシャフトは素材を鋳造か鍛造で(原価と性能の関係で)成形して高周波焼入れかLCN(塩浴軟窒化処理)してジャーナルとカム摺動面を研磨仕上げという工程になりますが、某国では熱処理の部分を省略するか、そもそも知らないとか、勿論材質も疑って間違いありません。その結果、エンジンは試運転で終了ということになります。

以前ホンダでは材料の研究部門を持っている記事を書きましたが、開発された材料は図面に反映されて量産部品の製造に投入されていくわけです。実際は加工業者や熱処理屋では材質を確認するには材料メーカーのミルシート(成分分析表)を見るわけです。そうすることで材料ロットと加工ロットが一連になって管理されるので図面通りの品質が守られるというわけです。当然品質管理にはコストが掛かりますので、ホンダと取引先の間では協議してコストと責任区分も厳密に取り決めされています。

従ってホンダに供給している部品メーカーは品質的にも量的にも超一流でないとホンダの要求に応えられないので出来てくる部品は信頼性が高いということになります。そんなメーカーの中でもホンダの要件以上に品質管理をされるメーカーもあります。たとえば東海TRWというボールジョイントのメーカーがあります。タイロッドエンドやサスペンションアームの揺動する連結部に使う部品ですが、目立たなくて過酷な条件で使用されるのですが、ボールジョイントの使用条件を熟知して通常より遥かに厳しい耐久テストをクリアさせて備えています。材質の管理は勿論、鍛造や熱処理の技術も高く専門メーカーとして理想的な会社だったことを覚えています。

実はそんな専門メーカーの技術者をゲストエンジニアとして研究所に招きいれ、開発テストや設計までやってもらっているのが実態です。自動車部品の9割は部品メーカーの供給によって成り立っているので、いかに優秀なメーカーと取引するかが自動車業界の要であると思います。

最近悩み事があります。バックオーダーで3ヶ月以上お待ちいただいているお客さんがいるにも関らず、レース用のマフラーの修理を頼まれることがあります。納期は次のレースに間に合うように指定されます。その修理を先に作業することで、バックオーダーの納期がさらに遅れるということになります。

先入れ先出しの原則でやっておりますので、注文の順番で作業するのが平等ということになります。スペアマフラーを持たないでレースに出られている人はスペアを購入されることをお勧めします。とても次のレースまでに修理を間に合わせることができません。

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社外マフラーも優先順位としては後になるでしょう。

自社の製品が間に合っていないのに社外品の修理を優先する理由がないのです。

高額な支払いをして手に入れたものを少々壊れたくらいで諦めたくない心理はよくわかります。

社外マフラーの製造元や販売店に修理を依頼しても断られる話を聞きます。それなのにこれらの製品に無関係な我社に修理が回ってくるというのもおかしな話。予め問題点は説明しておくべきだと思います。

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文句を言いながらも修理してしまうのは、送られてきたマフラーをいつまでも置いておくわけにいきませんので、サッサと片付けます。

修理といってもケブラーの筒にグラスファイバーで補修するのではありません。

同じような修理を以前にも数台頼まれましたが時間がないのでグラスファイバーで補強していましたが、今回は筒をアルミで作るという指示でしたのでやっておきました。

マウントステーは取り外して再利用するのでこのような治具に固定して溶接しました。

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グラスウール詰めてリベット止めして完了です。

画像では簡単ですが、丸一日掛かります。

その間バックオーダーの製作も後回しになっていることは言うまでもありません。

やはり、これからは先入れ先出しの原則に則って仕事を進めさせていただきます。

 

1年ほど放置しておりましたCRM250の2WDの続きです。

この車両は2輪駆動車の走行性能を確認するための実験車両なので、MXやEDを目的としているのではありません。前輪を駆動する方法やその運動性能について、机上の理論や想像で語る人は時々見かけますが、実際に走行可能な車両を作った例は非常に珍しいので、廃却されるのが惜しいと思って動く状態で保存しようと思ったのです。

実は某2輪メーカーで、これと同様の機構で試作車両を作り実走テストまで行いましたが、安全性とコスト高、舗装路面における不具合などの理由で市販車としては不適切と結論つけたものです。

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おかげで世界に1台の稀有なマシンになりましたが、動態保存するためには時々走行確認する必要があります。

前回フロントタイヤが老朽化のため18インチのフロントタイヤを交換しましたが、サイズが太すぎてハンドリングが重かったので、今回は幅の狭いトレールタイヤに交換しました。

DL、D603 3.00-18

 

 

 

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前回フロントに履かせたK695はリヤにコンバートしました。

100/100-18

2WDの場合前後のタイヤ周長が同じでないとタイヤの周速に差が生じて、タイヤや駆動系に負荷が掛かってしまいます。

直進時は問題なくとも、コーナリング時にトレッドの横に接地面が移動するため、周速が前後で違ってきます。それが舗装路でのハンドリングの重さに繋がったり、フロントに駆動力があるために、アクセルを開けたときにオーバーステア気味になるなど、通常の後輪駆動車と比べるとクセがある乗り味となります。

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この方式の真価はフロントが回らなくなるような泥、砂地や急勾配で発揮するものです。

普通路面では後輪駆動車に対してメリットはありませんが、癖のあるハンドリングを味わってみたいと思います。新しい乗り方を追求してみるのも良いかもしれません。

 

 

 

 

 

CIMG2561.JPG一年以上ぶりに乗りました。コースはジャパンVETの前日で綺麗に整地された路面でしたが、フロントのストロークと減衰不足でコーナー新入のギャップで底突きます。ジャンプを飛んだ場合はもっと恐ろしいショックを受けるため、ジャンプ区間はスローダウンするしかありません。

コーナリング特性はやはり独特で乗り慣れるのに20分2ヒートが必要でした。

散水後のスリッピーな路面は当然前後タイヤが滑るのとフロントヘビーなので慎重になりますが、フロントタイヤに駆動力がありますので前輪が引っ張っている感覚が味わえます。

三つ又の幅はハンドルを切ってもチェーンが当たらないギリギリの寸法ですがフロント18インチのためかギャップで激しく振られることがあります。スピードを出したギャップ走行は要注意です。

結局通常のMXマシンよりギャップの浅いところを狙うとか、フロントから突っ込まないように工夫して走りますので体力が必要で、よいトレーニングになりました。今度MXマシンに乗るときが楽しみになりました。

CIMG2563.JPG周りのパドックに現行車は見当たりません。非常に楽しい雰囲気です。

83年型CR250は私が関東選デビューしたマシンと同型です。

新入社員で田舎者でしたから、プレイライダー誌(森岡さんが作った雑誌)の広告をみて、最初はモトレオン(後のロッキースポーツ)へMXer買いに行ったのですが在庫がなくて、帰り道にあったモトバムに寄ったら「取り寄せてあげる」といわれて初めて新車を買うことができました。勿論ローンでしたけど 

 

 

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こんなマシンもあって感激です。81年型無限ファクトリーマシンですがラジエターはアメリカのビルダーさんによる新品だそうです。

スイングアームはコークボトル、インテークとエキパイにはサブチャンバーが取り付いていたり、市販車と違う部分が多くてワクワクします。

81年型CR125は学生時代最後に乗ったマシンと同型で懐かしいです。

 

 

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綺麗なKX250、75年型。私は中学1年生でした。このころは未だMXに出会ってなかったですが、月刊MC誌のカタログで知っていました。実車に2013年に出会えた奇跡です。

しかもオーナーの田山さんがビンテージクラスで快調に走らせているのを見て、飾りじゃないことを知りました。

 

 

 

 

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他にもたくさん懐かしいマシンがありましたが、カスタムマシンではこれが目をひきました、上山さんのXT500.ビッグシングルなのに走りもよくて、エンジン、サスなどかなりチューンアップされた話を伺いました。

これをみて、鈴木忠男さんがXT500改で全日本参戦していたのを思いだしました。

体力トレーニングも出来たし、珍しいマシンも見れたし、結構満足できた一日でした。

 

 

4月もあっという間に過ぎ、連休に突入してしまいました。しかし、私に休みがあるはずがありません。XR500の加工は途中で別の仕事をはさみましたので1ヶ月を少しオーバーしましたが、出来る部分は終了しました。

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新たに加工したトップブリッジも無事に取り付き、メーターやスイッチ関係も装備できました。

ビッグタンクにガソリンを入れてエンジンも始動してみました。あとで書きますが、キャブレターに少しトラブルを抱えていることが分りました。

灯火類点灯のためのバッテリーは放電してしまって不能でした。

依頼された加工内容と別のところで悩んでおります。

 

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XTRIGのPHDSはファットバー専用ですが、取り付けるハンドルを預かってなかったので、標準バーにカラーを加工して装着しました。

ハンドルがないことには押して移動することもままなりません。

タンク前部についているベントパイプはガソリンリターン用の穴です。ガソリンが漏れてないときはポンプから空気が送られるだけです。

実はガソリンオーバーフローさせようとして車体を横倒しにしてもガソリンが漏れてきません。エンジンも掛かるのですが、直ぐに止まってしまいます。旧車なのでオーバーフローパイプの詰まりかもしれないと思ってキャブレターをバラして確認しました。テスト的にフロートバルブ未装着でフロート室にガソリンを送ってやると、正常にオーバーフローします。

そこで原因はフロートバルブの磨耗で、油面がさがってもバルブが閉じた状態になっているようです。フロートバルブ新品交換で治るはずですが、連休なので来週まで部品手配ができずにいます。

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細かいトラブルは後で直すことにして、XR500パリダカ風加工の一幕は終了です。

このあとシートレザーの新調やタンクの塗装に引き継がれると思います。

オーナーさんは遠方にお住まいなので連絡はしてありますが、しばらく預かりの形です。

 

 

 

 

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迫力のフロントビュー。

ビッグタンクとアンダーガードが幅を効かせています。こかさないようにして下さい。

隣は2WDです。

一年以上放置していましたが、エンジンは一発でかかりました。フロントタイヤが太すぎるので少し細いトレールタイヤを注文して履き替えます。

開発者の吉田さんに連絡して動かしてみたいと思います。来週末のジャパンVETへ持っていくかもしれません。興味のある方は会場のオフロードビレッジへお越しください。

 

 

 

 

 

 

 

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ワイドステップです。

ノーマルステップに鉄の帯を足してあります。

最近のオフ車のレーサーはデカペダルが主流になっていますが、81年頃のステップはかなり小さいものでした。

ワイドステップに改造して普通サイズのような感じがします。

 

 

 

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燃費を向上させるガソリンリターンキット。

左が負圧ポンプで、キャブレターからオーバーフローしたガソリンを吸い上げてガソリンタンク上部に設けたベントパイプからタンク内に戻す方式です。

オフロード走行における燃費を2割程度向上させることが可能です。

右はインテークマニホールドに負圧取出しのパイプを取り付けたものです。

 

 

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負圧ポンプの取り付け状態。

ステンレスのマウントステーを作って固定しています。

真ん中のホースが負圧、ガソリンは下から吸い上げ、上のホースでタンクまで導きます。

 

 

 

 

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これはガソリンホースのジョイント。

タンクは両側コックになっており2本のホースを繋いでキャブレターへ送ります。

細かいパーツの製作が続きますが、トップブリッジの少々不満な部分がありますので新たに作り直すことにしましたので、あと三日掛かります。

メーターステーやヘッドライトマウントもトップブリッジに取付けるので、今週中に完了するでしょう。

ようやく先が見えてきました。この段階でないと仕事のお約束もできなかったわけです。

 

3日ほど急用で止まっておりましたラリー車再開です。

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エキゾーストはデュアルエキゾーストから作ります。

集合部分から後ろのパイプは堅いので手で曲がりません。図面書いて機械ベンダー屋さんに外注します。

来週、曲げが完了したら引き取ってきて続きにかかります。

 

 

 

 

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エキパイ溶接で熱歪みが発生するため、フランジ面がずれないように治具で固定して行います。

パイプが冷えるまで放置しておけば、このままの形状で固まります。

 

来週はジョイントパイプとサイレンサー製作の予定です。

 

 

 

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サイレンサーができました。

オーダー内容はノーマル風アルミで、ということなのでこんな外観にしました。

たぶんラリー以外では日本の道路を走られるのでしょう。

ジョイントパイプと曲がったメガホン部分はステンレス製、消音器はアルミという組み合わせです。

アルミは黒塗装するかもしれないので研磨しないでおきます。

 

 

 

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出口形状はノーマルを模倣した形です。

テーパー状に広がっていますが、通常パイプエンドから排気されたガスは周囲に膨張して拡散しようとします。

パイプエンドが奥に位置することによって、拡散する方向が後方に規制される効果があります。

排気音を広範囲に飛ばさない目的でしょう。

因みにスパークアレスターは付けていません。砂漠のラリーでは燃えるものが無いと思います。

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大分できてきました。

これからマップホルダーの取り付け加工に取り掛かります。それが終われば、ワイドステップと燃費向上させるキットパーツを取り付け、スピードメーターステーとヘッドライトステーを作り、フロントウインカーも取り付け、メインスイッチのブラケットも作成し・・・

大体そんなとこで、お引き渡しできる状態になります。

2ヶ月以上止めているバックオーダーの催促が私に大きなプレッシャーとして圧し掛かっていますが、負けません!

ビッグタンクなので通常の2倍時間を掛けております。まだどこも固定されていないために次の作業に掛かるためにはフレームにマウントされていることが必要です。

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タンク底の形状が単純でないのでマウントの方法に丸一日悩みました。

マウントステーの台座を立ち上げてからアルミステーを溶接しました。

ラバーマウントなのですが、溶接時は熱がかかるためグロメットと同じ幅のスペーサーを作ってボルト締めしてあります。

 

 

 

 

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フューエルコックは左右に取り付けします。

ガソリンを最後まで使い切れる位置にして航続距離を稼ぐためです。

左右のホースは連結してキャブレターに流します。

 

 

 

 

 

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36Lタンク、大きいです。シートのキャッチが上手くできるか、これで確認できます。

仕上げは研磨屋に持ち込んでバフ研磨してもらうことにしますので、タンクの加工作業はこれにて終了(タンクキャップが部品待ちのためネジの取り付けは後日)

明日からトップブリッジ加工に取り掛かる予定ですが、そろそろ全日本MX開幕なので来週はMX用マフラー製作をやっておかなければなりませんので、3日ほど中断します。

 

 

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翌朝、我慢ならずにシートを取り付けてしまいました。

加工内容は

シートレザーを剥がし、シートベースの邪魔な部分をバンドソーでカット。

スポンジをディスクグラインダーで削る。

シートキャッチを移設、アルミ板を介してリベット結合。

シートレザーの余分な部分を切り取り、ステープラーでシートベースに貼り付け。

これでシート取り付け確認は完了です。

本番用はシート屋に頼んでバックスキンのレザーで作ってもらうと思います。

 

今週はドリーム50のアルミタンク製作です。お預かりして5ヶ月くらい経過していますので、お客さんも待ちくたびれているかもしれません。

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依頼内容はRC116のような形のタンクにしたい、ということです。

実車はホンダコレクションホールにあるのですが、2月末まで館内改装のため休館です。

仕方なく画像を見ながら作ってみることにします。

しかし、驚くほど細長いタンクです。

 

 

 

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作り始めてみますと、RC116とドリーム50はフレームのレイアウトが全然違うことに気がつきました。

おそらく、ドリーム50はサーキット走行だけでなくツーリングに使っても支障ないようにシート幅が広くなっています。そのためシートレールも幅広ですから、こちらのフレームに合わせたタンク形状にしないと取りつけが困難なことがわかりました。

画像は底板の上にタンク上部と横板を仮止めして形状確認を行っています。

 

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板金で成形したアルミ板を溶接で繋ぎます。

外側の溶接ビードは研磨して消しますので内側の溶接をしっかりとつけておきます。

明日外側の溶接作業にかかります。

かなり進行しているように見えますが、完成まであと3日くらいかかるでしょう。

 

 

 

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普通のタンクはメインパイプの上まで被さっていますが、このタンクはシートレールの上まで伸びていますので、トンネルの形状が複雑になります。

2枚の隔壁はガソリンの移動を抑える目的とタンクの剛性を上げる目的があります。

RC116はワークスマシンですが、ドリーム50は市販レーサーCR110に似せて製造されたマシンですからフレームの構成が違うわけです。

 

 

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ガソリン溜まりにコックを取り付けますが

本体への溶接は研磨後にします。

突起物が無い状態の方が取り扱いしやすいためです。

RS125から移植するタンクキャップも同様です。

 

 

 

 

 

CIMG2171.JPG溶接はひととおり終わり、接合部の研磨と表面の均しを大雑把に行いました。

タンク容量は7.0Lです。ノーマルの容量は知りませんが、DE耐とか走るようでしたら気になるところですね。

ノーマルはCDIユニットがシートレールの上にはみ出しているため取り付け位置を変更してタンク底板をフラットにしてあります。

前下がりだったノーマルタンクはガソリンが前方に残ってしまい最後まで使いきらないらしいですが、このタンクは水平になっていますのでガソリンを使いきれるでしょう。(給油量を制限される耐久レースでは有効です)

CIMG2172.JPGニーグリップ部分はシートレールより狭くなっています。RC116はもっと狭いですが、フレームとのマッチングでこれくらいが狭さ限度でしょう。

本来は赤色塗装ですが、お客さんの要望でアルミ地肌で終了です。

お客さん独自のプロジェクトがある限り私の業務も続いていくでしょう。 

 

 

 

 

CIMG2179.JPG仕上げにサンドペーパーで磨きました。ハンマー痕や溶接ビードなどで表面の細かな歪みを平滑に均していきます。

60番から磨きはじめて180番で止めておきました。鏡面に仕上げるよりこれくらいの粗さの方が塗装の密着はいいでしょう。さらに磨きこんでポリッシュすることも可能ですが、あとはオーナーに委ねます。

ホンダはHSV010でGT500に挑戦しているというのに、このプロジェクトは何とささやかなものか。

全部手仕上げですからね、ハイテク一切無し!

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カーレースの方はホンダのお家芸だと思うのですが、GT500では苦戦を強いられているようです。

技術力だけでは負けないと思うのですがそれだけじゃないんですね。

F1よりこっちの方が道路で乗れるクルマに近いので好きですね。絶対乗れないわけですけど、少年時代のスーパーカーブームを彷彿させます。

 

 

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もてぎ貸切で極秘テストですかー

金持ちのレーシングチームは違いますね。というより、サーキットも自社所有でした。

研究所もテストコースも部品メーカーもなんでも揃っているのに何故、勝てないのか!

今年こそはレーシングスピリッツ見せてもらいましょう。 

しかし、この顔 強そうやな。

 

 

 

 

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エキパイの鍍金が仕上がりましたので、マフラー製作の続きです。

 

今日はマフラーのジョイント部分とマウントステー作りに取り掛かります。

見本は量産品ですから、全て金型を用いてプレス成型により作られたものです。

量産は少なくとも千個ロットの生産だったでしょう。マウントブラケットなどは下請けのプレス工場などに外注して大量生産して安価に作られたものです。

しかし、当方には金型などありません。見本の形状を真似て成形するしかありません。充分な予算をいただいてあれば安心して立派なものを作れるのですが大概の部品は製作に費やした時間分の全てを請求するわけにはまいりません。それは、必要な生産設備が無い上に初めて成形する部品であるために、長時間を要するためです。

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これはジョイント部分ですが、非常に凝った形状であります。

ボルトを差し込む部分が袋状になっており、左右で4個のフクロを作って溶接で取り付けしてありますが、この部分だけで半日費やしています。

これができれば、エキパイにマフラーを差し込んで、位置決めに掛かれます。

 

 

 

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メガホンの溶接ビードは全て消してあります。

溶接のまま研磨屋に出しますと、ピンホールやハンマー痕などが残ってしまって、鍍金の仕上がりに影響してしまうため、研磨の下地はこちらで整えておかなければなりません。

研磨は全てお任せでは、上手く仕上がってこないことが分りました。

 

 

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ちょっとユニークな形状のマウントブラケットです。

上は見本ですが、なるべくノーマルのデザインを崩さないように真似ています。

締め付け面の凹ましが必要なので、イレギュラーな方法で鉄板を成形してみました。

鉄板はなかなか、言うことを聞いてくれません。

 

 

 

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なんとかマウントブラケットの成形ができたので、左右マフラーの取り付け位置を確認しながら溶接しました。

あとはエンジン下側に付けるマウントステーが残っていますが、今日はここまで。

明日、最後のステー取り付けを行って研磨屋に持っていく段取りが整うはずです。

 

 

 

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日付が変わって、エンジン下部に取りつけるマウントステーを作って溶接しました。

2枚合わせのステーですが、これも純正になるべく似せて作ってあります。

純正に似せる理由は、それ単品で見るとオリジナルだと思わせるようにしなければならないからです。

復刻されない希少なパーツを新品で再現するということは、旧車の維持には不可欠なことで、商業的に利益を得る目的の「偽物ブランド」とは全く次元の違う話だと思います。

 

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オリジナルと再現品を並べてみます。

B級マフラーと思いますが、大体同じ形状に出来ているでしょう。

鍍金が仕上がってきて、ピカピカになれば、素人さんならどちらが本物か見分けがつかないと思います。

これで私の作業は終わり、研磨屋に持っていってカネを払ってくるだけです。

ここまでエキパイと合わせて10日ほど掛かりましたが、一段落ということで会社なんかだと祝杯を上げたりするでしょうが、私にはあのような発酵した水など飲んだら気持ち悪くなってしまうので祝杯は上げません。そのかわり、気持ちよくなる音楽でも聴くとしましょう。

スパイロ・ジャイラのモーニングダンス。ものすごく爽やかな気分になります。寒気が来ていますので気分だけでもトロピカルでいきましょう!サンキュー、Mrベッケンスタイン(SAX)

'>1979年リリースの楽曲ですから、34年も経つのですね。カセットテープが擦り切れるほど聴いていましたが、何年経ってもエエモンはエエ! 

 

 

 

製造屋になろうと思ったときに別の会社の下請けの仕事ではなく、完成品を売ろうと決めていました。そして製造コストを下げるために、自分で出来ることは極力、内作する必要がありました。

しかし、設備や知識、経験で専門職には敵わないこともあります。

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クローム鍍金は迷わず外注する工程です。

鍍金を頼んだ経験のない人は、品物を処理液に浸込んで電気を流すだけと思う人もいるみたいですが、この光沢を出すためには表面を滑らかに研磨しておく必要があります。

これだけ長くて曲がったパイプを全面磨くのは相当な労力です。

しかも狭い内Rを磨くには小さいサイズのバフに付け替えながらの作業なので、道具も手間も掛かるでしょう。お金を払っても納得の仕上がりです。

 

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中古のエキパイも研磨してもらいました。材質がステンレスなので、研磨剤に青棒を使うのですが、青棒には6価クロムが含まれていますので、自家製のバフ研磨では使用しません。

研磨屋さんでは強力な集塵機を完備していますので作業者が粉塵を吸い込むことはありません。

アルミ用の白棒ではここまで艶を出すのは無理なので、頼んで正解だと思います。

 

 

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アルミサイレンサーは自家製のバフで研磨します。

白棒でまあまあの艶が出せますので、外注費を節約しています。

材料代や外注費は削減できません。自分の工賃を安くして単価を下げております。

利益はあまり出ませんが、大量生産品との勝負に勝つための努力です。金儲けをする欲望を捨て去り取り組んでおります。

まあ、アントニオ猪木に素手で向かっていくようなもんですけどね。

先日ディスカバリーchを観ていたら、長年忘れていた疑問が解けたような気にがしました。小学生のころ宮本武蔵が好きだった関係で中学生になると剣道部に入り、次第に最高の武具として有名な日本刀に興味を持つようになっていました。そして現代でも日本刀を作る仕事があると思い、普通に会社就職はせず、刀鍛冶になりたいと思ったのでした。そのために金属の勉強はしておく必要があると考え、高専に進学していたのでしたが、周囲に刀鍛冶に関する助言を出来る人がおらず、何時しか刀匠への夢は消えておりました。

ところが30年前に知りたかったことが明らかになったのでした。日本刀の原料になる玉鋼は島根県の炭焼き精錬所でのみ作られている。鉄の強度を阻害する硫黄やリンといった不純物の少ない良質の砂鉄が採れる場所であること。土釜の高炉にコークスを入れて燃やし、50トンもの砂鉄を溶かすが、温度管理は炭の焼け色を見るだけなので、社長と数人の弟子たちが3日3晩不眠不休で火の番をする。純鉄にコークスから出た炭素を少量含有することで硬い鉄が出来る。こうして取り出され、さらに厳選された玉鋼を刀匠に託す。

現存する刀匠の流派は二つのみ、その1人は京都におられるが、日本刀作りにもう一つ重要な役割、砥ぎ師があるが、こちらは以外にも東京に1人のみ。精錬と刀鍛冶と砥ぎ師という三つの専門職があってようやく日本刀は完成する。

刀を鍛錬する工程は叩き延した鉄を折り曲げては叩き延す作業を何百回と繰り返すことによって炭素を繊維状に微細に分布させる目的がある。そして鍛錬が終わってから鋼に純鉄を挟んで日本刀を成型していくが、この時点で長さやデザインは刀匠の頭の中に出来上がっているという。純鉄と鋼をサンドイッチさせる理由は、全て硬い鋼で作ったとすると衝撃が掛かったときに刀が折れてしまうためで、柔らかい鉄との二重構造により折れない刀になるというBi METALなのである。

砥ぎ工程により美しい刃紋があらわれるのが日本刀の特徴であるが、砥石研磨したとき、柔らかい鉄の部分が鏡面に仕上がり、硬い部分が白濁した色に仕上がるわけだ。金属顕微鏡でそれぞれの組織を顕鏡するとフェライト組織とマルテンサイト組織であることが確認され冶金学的に証明されている。

刀匠により鍛造成型された刀の最後の工程は焼入れである。焼きいれ温度は焼色の目視確認のみ、「エイ」という掛け声と共に一気に水焼入れをする工程は、炭素鋼をマルテンサイト変態温度に加熱保持したあと急冷する熱処理を行っていることになる。経験と勘を頼りに伝承されてきた製造技術は大量生産では置き換えられない尊いものだ。第二次大戦中、軍人に持たせるため大量生産された軍刀は粗悪品で、国宝級の日本刀とは比べ物にならなかったという。

全て映像で解説されていて昔抱いていた好奇心を呼び覚ましてくれました。いい時代になったものです。

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やはり単車のエンジンは空冷が美しいですね。

水冷になったRZでさえ保存するのに大変な労力をかけているというのに、RD250ですからね。

このころ2ストクウォーターが流行ったんですね。

スズキRG250、カワサキKH250、ホンダはCB250Tがありましたが、クウォーター路線には乗っかっていなかったですね。

空冷2ストツイン、保存する価値ありますね。

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これがオーナーさんから渡された見本のチャンバー。

凹みや傷は少ないですが、亀裂や排気漏れが多かったようで、複数のロウ付けが見られます。

個人的には、亀裂のロウ付け補修はされない方がいいと思います。理由はロウ付け箇所は溶接不可能になります。

過去にロウ付けで修復不能になったフレームを持ってこられて、真鍮ロウを除去するのに苦労した思いがありました。

空冷ですが諸元はRZと同じでよいとのことでRZの過去データを調べましたが、見本とは少し違っていました。以前はRZ用のチャンバーなら大量に出回っておりましたが、全部諸元は違っていて、どれが良いかはすべて取り寄せて、ダイナモ計測と実走テストをしないと答えはでないでしょう。

そこで妥協できるところを探ってみます。

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結局、新しく展開図を作って製作することにしました。一部は過去データに基づくものと見本品を掛け合わせた感じです。

 

 

 

 

 

 

 

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フレームのレイアウトが違っているためか、以前作ったRZ用エキパイのカーブではパイプの最適な位置は満足できないことがわかり、エキパイも新型で作り直しです。

余計に時間が掛かっておりますが、掛かった時間分代金請求することはありません。

時間が掛かるのは能力の問題なので、能力が低い部分を販売価格に転嫁するわけにはいかないのです。

幸いサイレンサーは支給されていますのであと一日くらいで完成です。

 

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ロードバイクのカスタムは楽しいですね。

ブレンボやオーリンズの装着に加えワンオフパーツを駆使してオリジナルマシンに仕上がっています。

チャンバー装着は簡単なようですが、サイドスタンドやセンタースタンドブラケットが丁度よく邪魔な位置にあるためフィッティングに丸一日悩んでようやく完成しました。

 

 

 

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美しい造形の冷却フィン。余計なものがついていないシンプルな乗り物です。

高度成長期の2輪メーカーが生んだ、実用と芸術の分野を兼ね備えた乗り物ですが、この年代のオートバイが道路に溢れていたあの時代を思いだします。

 

マスプロは自動車部品の場合、高額な金型代をPayするために1万個以上製造する前提で行います。しかし、ここにあるものは少量生産にも関らず金型を起こして作っています。

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ビンテージMXのHollyさんから支給していただいたサイレンサースキン。

アルミのプレス成型品ですが、これを作るためには、上型とシワ押さえ付きの下型と100tくらいのパワーが出せるプレス機械がなければ、この形状は絞れないでしょう。さらに外周のバリを一発で抜くヌキ型を用いないと合わせ面が歪んでしまいます。

世界中の顧客の要求に応えるためとは言え、少量の生産にこれだけの投資に踏み切る背景にはビンテージMXに掛ける並みならぬ情熱を感じます。

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これは支給されたサイレンサースキンを使ってサイレンサーを組み立てる工程です。

テールパイプのサイズがφ22.2に会わせて成型されていますので、ステンレスのパンチングメタルを巻いてインナーパイプをつくります。

位置決めのリングとテールパイプを差し込むカラーも取り付けておきます。

 

 

 

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グラスウールを両方のスキン内側とインナーパイプに取り付けて接合する準備をします。

グラスウールは圧縮してサイレンサースキンを万力で挟みます。

スキンのバリの部分を数箇所づつ、TIG溶接で仮止めしてから本溶接にかかります。

 

 

 

 

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溶接はなるべく止めないで一気におこないます。

アルミが暖まった状態の方が溶融速度が上がるので、冷えないうちに付けてしまうのが効率がよいのです。

テールパイプへの固定はテンションスプリングを用いますので、スプリングフックも取り付けしています。

 

 

 

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装着確認です。

部品メーカーでマスプロされたような外観ですね。

これで、この商品が完売されることを期待いたします。

iPS細胞や素粒子ヒッグスが発見される時代に私はいかに低レベルな仕事をしているのだろうと、恥ずかしい思いでありますが、およそ20年前に本来の労働の姿というものを追求した結果が今の状態になってしまいました。

世の中に自分の作った物を残したいと思ったときに、自動車や建築物ですとデザイナーだけの製作物のように評価されますが、全然違いますね。新機種1台100億円のプロジェクトには資金を融資する銀行から始まって、試作、開発、製造など何百という部品メーカーとその下請けまでいれると何千人の人が係っているか分りません。これで一部の開発者の作品のように言われましても違うでしょう。目的は大勢のお客さんの欲求を満たし、事業に携わったひとの利益とすることです。自分の個性を抹殺して組織のために働くか、自分の責任だけで個人商店を営むか、人生の岐路の選択がありました。

自分で考えてやっていることですから、苦労は苦労でなくなりますね。 CIMG1869.JPG

パイプをこの状態に持ち込むことができれば

あとは溶接して接合するだけです。

これは3種類のパイプを水圧成型して所定の位置で切断し、これが重要なのですが接合面を段差が出ないように擦りあわせします。

接合面がピッチリ合わさっていれば溶接が上手くいきます。

これがいい加減だと接合不可能になりますので重点管理項目です。

 

 

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全体の取り回しは治具にセットして隙間関係を守りながらパイプを繋いでいきます。

段々完成に近づいてくると苦しみから解放されるように気分が晴れやかになります。

 

 

 

 

 

 

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これはサイレンサーもセットの商品なので昔の由緒正しいスチールサイレンサーを作ります。

鉄板を巻いたパイプと型押し成型した蓋が4つで2台分。

 

 

 

 

 

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テールパイプ差込側のパイプと蓋は先に溶接しておいて

パンチングにグラスウールを巻きつけて差込ます。

エンドパイプは排気を下向きになるよう曲げておきます。

 

 

 

 

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サイレンサーも治具で、ひねり具合とステー溶接位置を統一します。

オートバイは車体レイアウトがコンパクトに出来ていますので、サイレンサー位置が数ミリ違ってもベストな取り付けが出来なくなります。

最初に実車で位置決めした要件を治具で抑えることが、複数作る場合の必須になりますので治具製作が重要です。

しかし、使わない治具は5年くらいを目処に廃却することにしています。需要がないものをいつまでも管理することが無駄になりますし、次々に新作したものが溜まってしまいます。

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チャンバーとサイレンサー、取り付け金具など2台分ですが1週間でこれだけしかつくれません。営利目的ではないことがお分かりいただけるでしょうか?

報酬はお客さんとの交渉によるものなので公表しませんが、だいたい純正部品の量産品並みと考えてください。

これで世の中に自分の作品が残るのであれば、大きな組織に属しているより気分が良好ということになります。

 

バックオーダーは1ヶ月分残っていますので、社外品マフラーの修理は優先的にはできません。2ヶ月以上お待ちいただいているお客さんの注文がありますので順番に進めております。

不運にもマフラー壊してしまった場合は、新しいものに交換されることをお勧めします。

また実車は殆どありませんので取り付け確認などが必要なほど変形している場合も保証できないことをご了承いただきたいと思います。

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カーボン樹脂製のエンドキャップが割れてしまって交換が必要ですが

補修パーツもありませんので、鉄板で作って代用します。

 

 

 

 

 

 

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ビレットパーツのマウントステーですがリベットが外から外せない構造でしたので、ボディーを切って内側のフランジを削除して外しました。

マウントステーの面積が小さいので加重を受けるとボディーに食い込んでしまう難点があるようです。

 

 

 

 

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チタン材は非常に高額になりますので、アルミ板でボディーを作って代用します。

修理というより半分製作という形になります。

メーカーから補修パーツが販売されることが理想だと思います。

 

 

 

 

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マウントステーの取り付け位置は全く不明なので実車をお借りしてマーキングしてから取り付けることにしました。

今回は隣の川越市在住の国際A級ライダー松本耕太選手のガレージにお邪魔してきました。

彼はお父さんの会社で働いているのでお給料でチャド・リードと同仕様の前後サスペンションを購入してCRF450Rに奢っています。モトクロスは気が向いたときだけ乗るというお気楽モードが信条のようです。レース出てもお金になりませんからね。

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NSR250R 89モデルです。これはチャンバー製作のためお客さんに持ち込んでいただいたものですが、私が会社員時代に新車で購入して乗っていました。

2年ほど通勤やツーリングで使用しましたが出張が多くなり、オートバイとも不縁になりがちで段々乗らなくなり手放してしまいました。

あれから25年も経つのに、このように綺麗に保存されている人がいることに感心します。

 

買いなおそうと思っても、この年式は高額になっていることと、純正部品も絶販が多くなってきていますので止めておきます。チャンバー製作記は後日(1ヶ月ほど)掲載することにして

今回の題材はこれです。

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純正のサイレンサーですが、この何気ない部品に非常に高度な鍛造技術が使われています。

このボルト締めのフランジ部分と筒が一体成型であること、この製法が想像できるでしょうか。私は別の部品製造の打ち合わせで某鍛造メーカーへ出張したときに、この部品を見つけました。ホンダが発注するサイレンサーのメーカーは別にあるのですが、その会社から手配された2次メーカーだということです。

一般的には認知される企業ではありませんが鍛造専門として自動車工業界を支えている重要なスポットにあると思います。当時の打ち合わせの目的は、設計からは図面が出され、購買部でメーカーを選定して発注する、製作所では部品を受け入れて組み立てる。という自動車製造の流れの中で部品メーカーと受け入れ側の取り決めを行っていないと、担当が別々の人間が行っているので勝手に作られると量産が成り立たなくなるためです。

搬入の何週間前に発注するとか、ロットの大きさ(一回に製造する数)などは購買で取り決めします。私の担当は受け入れる部品に不良が混入しないための取り決めです。不良の検出は検査によって行いますが、製造工程で不具合を出さないことが重要で、そのための重点管理項目はどのようになっているか、現場ではどのように行っているか、実際に確認する必要があります。

そんな製造現場で見てきたものの中にこのサイレンサーのような一体成型があったわけですが、特殊な金型と大型のプレス機を使って、ビレット(仕込み重量と形状を管理された材料)を金型に押し込み、筒の部分は金型の隙間を滑りながら伸びてくるという、想像を絶する塑性変形を伴います。

通常は冷間で行うようですが、このような変形抵抗の大きいワーク(製作物)は必要におうじて加熱炉で温めて柔らかくしてから鍛造します。ここで、非常に高荷重で金型と材料が滑って変形していきますので金型と材料には特殊な潤滑材も塗布されています。

普通の鍛造はワークの型抜けを考えて「抜け勾配」がついているものですが、これは抜け勾配ゼロなのです。押し出し成型に近い製法であることが伺えます。

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これがエンドキャップ部分ですがフランジを内側カーリングで荷締めて固定されています。

これで非分解部品となるわけですが、ここまでの工程でサイレンサー外筒部分にフランジのタッピング以外に加工はありません。

全て金型と専用機で成型しますので人間の手作業はワークの運搬だけということになります。

品質は工程で作られるもの、人為的なミスや熟練の度合いで製品がバラつくことを防ぐということが量産の考え方でした。

なにしろ切削加工なしでサイレンサーが出来てしまいますので、無駄がありません。こういうことを業界用語で「歩留まりがよい」といいます。厳密にコストが算出され、安価に提供せよという親会社からの要求に応えた形ではないかと思います。

今の私の仕事は全く逆のことをやっています。量産はできないので、一個だけ作る人為的技術が製品の可否を左右します。おそらく量産を経験していないと、こういう発想も起こらなかったでしょう。

埼玉県にロードレーサーのアルミタンクを作るメーカーがありました。タンク作りが専門ではありませんが自動車の主に車体関連の部品を試作、量産できる会社です。

ロードレーサーの、しかも全日本やWGPの契約ライダー専用で、空気抵抗を減らすためニーグリップや肘の収まりがいいように、契約ライダーの体型に合わせて型取りされた形状で作るため少量だけ生産されます。

その製法について聞いたことがありました。タンクのモデルは粘土で成型して、モデルをセメントに埋めてメス型を取ります。そのメス型に離型材を塗ってセメントを盛ってオス型を取ります。そして、このセメントの型を使ってアルミ板を大型のプレス機で絞って、タンクの部品を成型します。上型と下型は別々に成型して溶接すればタンクが完成するということです。

弊社の場合は大型プレス機がありませんので、同じような手法はできません。簡単な形状に板金加工したアルミ板を溶接で繋いで組み立てますので、成型できる形状は制約されますので、得意な仕事ではありません。どうしても形状変更や容量変更が必要だというお客さんには、その必要性の度合いを聞いてからなるべくお断りするようにしています。それはタンクの組み立てに非常に時間が掛かるため、さらに仕事が遅れてしまうことを懸念するからです。

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現行車は全て燃料噴射になっていますのでガソリンを供給するポンプが内臓されています。

キャブレターの場合は燃料コックだけで済んだのですがFI用のタンクはこのような大きなフランジの製作が必要になります。

これはφ130の丸棒から削り出しますので大幅なコストアップです。

自動車業界では常識なのかもしれませんがインジェクターで燃料を高圧にして噴射するのは分りますが、燃費がリッター30km以上走るエンジンですから噴射量は極微量だと思うのです。それなのにこのような大きなポンプでガソリンを圧送しなければならない理由が理解できません。供給量はあくまでキャブ車以下のはずです。

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お客さんの依頼内容はタンク容量を15L以上にしたいということで、可能な限り大きくしました。

大容量のタンクでガソリンを大量に運ぶより軽いタンクで給油の回数を増やせばよいのでは?という質問が愚問でした。

このクラスに限らず、長距離走るライダーにとっては頻繁に給油することがわずらわしいだけでなく、出先でスタンドまでの距離が分らないときにガソリン残量が多いことが安心に繋がるということを、オートバイでツーリングした経験がある人なら理解できることだと思います。

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セロー250ですが、タンクの両側はシュラウドでカバーされていますので、横幅を増やすには限界があります。

従って上方向に容積を稼ぐ形になっています。角ばって見えるのも、3次元における限られたスペースで最も容積が大きいのは球体より立法体であるということで丸みを極力無くしています。

 

 

 

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非常にハンドル切れ角が深いため、ハンドル操作に影響が出ない最大限度の形状がこういうことになります。

ガソリン満タンで17Lを達成しましたので、仮にリッター30km走るとすると航続距離510kmになります。

250クラスのオートバイとしては最大級の数字ではないかと思います。

製作時間は40時間といったところです。金額は時給ウン千円で計算してください。

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エンジンパーツの先鋒は、やはりピストンです。燃焼圧力を直接受ける部品ですから。

ピストンヘッドの堆積物は除去します。

エンジンは内燃機関ですから熱効率を追求しなければなりません。熱サイクルを考えると廃熱された状態と燃焼状態の温度差(圧力差)が大きいほど熱効率が良いということになります。

アルミピストンを使う理由は熱伝導が良いからで、ピストンの堆積物は熱伝導を阻害する物ですから、それを除去することが整備の基本となります。

CIMG0758.JPGピストンサイドにスカートは存在しません。あのφ30クランクピンによる、コンロッドの横剛性のため、ピストンの横方向への首振りが無いのです。

前後に最小限度のスカートがありますが、アルミメッキシリンダーと鍛造ピストンのため熱膨張率が極めて近く、ピストンクリアランスを詰められる理由であります。

2ストレーサー時代は鋳造ピストンが主流でした。材質はAC8Aでダイキャスト製法なので薄肉で強度も充分だったのですが、シリンダーが磨耗してピストンクリアランスが大きくなったときだけ、スカートが割れたりしました。

CRFで4スト化と同時に鍛造ピストンを採用しているわけですが、アルミである宿命で耐熱性という観点で高温時の強度が低下することが懸念されました。特にピストン頭頂部がヒートスポットになり割れたり、解けてしまったりするトラブルも稀に起こります。アルミ素材メーカーでは鍛造ピストン用材料の開発を行いました。アルミの耐磨耗性を向上するためSiC(炭化シリコン)を添加し、耐熱性向上元素のFe、Niの配合比率を変えた溶湯から鋳込んだテストピースを作り、エンジンの通常運転状態をシュミレートした温度で引張り耐久試験を実施してAC8Aを上回る材料特性の成分を発見したそうです。

そうやって開発されたA4032という材料を押し出した丸棒を素材とした鍛造をピストンの製法に取り入れたことで、このような高強度で軽量なピストンに仕上がったわけです。点検は外径寸法に問題なくてもピストンピンの差込みがスムーズにならなければ、交換することにしています。クリップ溝にバリが出ることもありますが、これはペーパー修正で直りますが、ピンボスが僅かですが歪んで、ピンの通りが悪いこともありますので、その時点でダメージをうけているということになります。

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過酷な使用条件としてはミッションが最高だと考えられます。それは歯車の山一つにエンジンパワーと路面からのトラクションを受けて回転しているからです。

ミッションは衝撃破壊試験を実施して強度確認されています。ダミーのエンジンにミッションを組み付けて、ドリブンスプロケットにチェーンを固定して、試験機でチェーンに急激な張力を掛けて破壊させます。用件をクリアしなかった部分の材質や熱処理、肉厚形状などを検討してきたと思います。CRFの5速ミッションはCR時代から10年以上の実績がある部品ですから、信頼性が高いですが

長時間乗り込むとギヤが割れたり、シャフトが折れたりしますので、中古車は特に点検が重要でしょう。

ギヤの磨耗、欠け、ドックの磨耗、肉薄部分の亀裂などがないか入念にチェックしますので、シャフトからギヤを外しています。6速時代は、ギヤの厚みが薄かったので現行の機種よりミッションは壊れたと思います。ミッションの耐久性は乗り方で大幅に変わってくると思います。例えば、クラッチを使わないでチェンジするとトルクが掛かったままギヤが切り替わりますのでダメージを受けやすいです。負荷の大きい路面もエンジンパワーだけでなくマシンの重量と路面のトラクションの影響で、特にジャンプの着地やスタックからの抜け出しのときに衝撃が掛かると思われます。速く走るためにダメージを受けるのは仕方のないことですが、不必要に荒い乗り方をしないことを心がけることが長持ちさせる秘訣でしょう。

長々と書きましたが、現代のオートバイ部品の高性能化は加工機の性能向上だけで実現しなかったであろうということ、素材メーカーが自動車開発者の要求に答えられるように材料の添加元素や熱処理条件などを地道に研究している成果であると思います。

鉄鋼や非鉄金属材料の元は鉄やアルミといった基本材料の中に開発された添加元素を粉末にして溶湯に混ぜています。充分に撹拌したところで、蛍光X線などの分析器を使用して成分分析をしながら調合していきます。こうやって分析された溶湯が材料ロットとして記録され、押し出しされた棒や圧延の板になって、加工メーカーに納入されるという流れを採っています。

日本のメーカーは材料の研究開発にも重きを置いていますので、外国やアフターパーツのメーカーと比較にならない信頼性を誇っていると思います。これらの高品質な部品でできたマシンを安価に購入できて乗ることができる喜びを味わおうではありませんか。

 

 

脚の怪我で暫らくの間、MXはできません。特に問題はありませんが、中古マシンのため、エンジン周りを分解点検しておこうと思います。 CIMG0750.JPG

全バラにして、部品一つずつ点検します。

前オーナーが自動車整備士ということもあり、整備状態は良好のようです。

シリンダーヘッドとバルブ周りのカーボン除去、バルブシート擦り合わせ程度で大丈夫だと思います。

 

 

 

 

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OH!ヒンソンのクラッチアウターに交換されています。こういう中古マシンは歓迎です。

ノーマルのクラッチアウターはダイキャストなのでクラッチプレートで叩かれて摺面に段付き磨耗が起こりますが、ヒンソンは硬い材質で削り出しなので耐久性がUPします。

よって部品交換頻度が少なくて済みます。

 

 

 

 

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クランクシャフトの振れもはかってみます。

規定値はL(テーパー側)0.05以内

R0.03以内ですが

これはLが0.03、シャフト部分で0.01以下、Rが0.01以下ということで全く問題ありません。

 

 

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このクランクシャフトを見て、すごいなと思いました。コンロッドスモールエンドの首下とクランクウエブの隙間がこれですよ。

クランクウエブの角に逃がし加工が施されていますが、鍛造の金型に成型された形です。外周や側面の殆どが未加工の鍛造肌のままです。クランクピンの圧入基準と肉抜き穴だけ加工されているにすぎません。

これは精密熱間鍛造という製法で、厚み公差±0.15という精度が保証されています。茶色は銅鍍金で細かい傷を埋めて表面を滑らかにして、オイルの撹拌抵抗を軽減するものです。

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クランクピン径はなんとφ30です。コンロッドビッグエンドのクリアランスを一定とするとピン径が大きいほどコンロッドの横剛性が上がり、軸受けの摺動面が広がり、耐焼き付き性が向上します。

ピンとシャフトがオーバーラップしていますので圧入は内側からしか行えません。

ウエブ外周の加工面は大荷重で圧入するための基準面となります。外径がスモールエンドのギリギリまで拡大されている理由は、ビッグサイズのピン圧入によって外周が歪まないための肉厚を確保するためです。

L側シャフトセンターからオイルが圧送されクランクピン横穴からビッグエンドを潤滑してピンの反対側ドレンから排出されるようにオイルラインが加工されています。

このように部品を観察していると、設計者の思惑が推察されて非常に興味深いものです。同時に、このような精密な機械加工品を安価に手に入れることができる喜びも感じずにはいられません。

 

CIMG0755.JPG燃焼室と吸排気バルブの堆積物を除去して、バルブシートとバルブフェースの当たり具合を、光明丹を塗布して確認しています。

バルブの擦り合わせは排気バルブのみ行いました。CRF250の吸気バルブはチタン合金(推定材料Ti6AL4V)を使っていますが、酸化処理という、チタン中に高濃度に酸素を固溶させて硬度を高める熱処理が施されています。

64チタンは調質した鋼に匹敵する強度を持っていますが、耐磨耗性については問題があります。そこで、酸化処理による硬化層がバルブとしての性能を実現できるわけですが、50μmほどの硬化層深さのため、擦り合わせによって酸化チタンが失われることを問題としていますので、バルブシートの修正はシートカットで、吸気バルブは新品交換が基本となります。今回は当たり面に問題なかったので、このまま組みたてます。

では、排気バルブが耐熱鋼(推定材料SUH35)である理由ですが、チタンの酸化限界温度が700℃付近で、それを超えると急激に強度が落ちます。排気ガスの温度は800℃に達しますが、鋼材の酸化限界温度は850から1050℃なので、高温に曝される排気側は信頼性の高い耐熱鋼を選択したのでしょう。別機種では排気バルブ用チタン合金TIMETAL@1100を採用している例もありますが、コストと信頼性で現在の仕様に決まったと考えられます。

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カムシャフトも目視点検ですが、亀裂や摺動面の磨耗が無いかチェックします。

従来のカムシャフトはFC(鋳鉄)製が当たり前でしたが、レーサーモデルでは鍛造品を素材としています。目的は軽量化ですが、これも中空シャフトになっており非常に肉厚が薄くできています。そのため材料に強度がないと、変形したり亀裂が入って問題が起こります。炭素鋼かクロームモリブデン鋼で調質(焼きいれ、焼き戻し)により靭性を持たせてあります。

カム摺動面の耐磨耗、耐かじり性を向上させるためLCN(塩浴軟窒化処理)という熱処理を行い、窒素と炭素を浸透させ硬化層を形成していますので、油膜が適正であれば消耗は殆どありません。

従来のカムギヤはフランジにネジ止めでしたが、これは軽量化のために圧入されているだけです。急加速、急減速を繰り返す運転次第でカムギヤの圧入がスリップしてバルブタイミングがズレてしまうトラブルが懸念されますので、カムシャフトとギヤの境目にマーキングして確認することをお勧めします。

このようにエンジン部品の多くは塑性加工と冶金学を駆使した工業製品の塊なので用途と品質特性を踏まえた見地で確認作業を行っています。

現在、ロード、オフロードの競技用オートバイはミニバイクと一部外車を除き、アルミフレームが主流となっていますが、その歴史は長くありません。オンロードではヤマハTZR、ホンダNSRなど80年代からアルミフレームの市販が始まっていましたが、モトクロッサーのアルミフレーム化はずっと後のことでした。

90年代末期まではオフロードにアルミフレームは向いてない、またはスチールフレームのほうが優れているとさえ思われていました。それは、アルミフレームでは激しい衝撃に耐えられずに壊れてしまうかもしれない。または製造コストが高く、商品化できないのではないか。こういう疑問があって、現実的でないと思われていました。事実、全日本MXで走ったのはYZMやホンダRC、無限MEといったワークスマシンだけでしたので、市販車でアルミは無いだろうと思っていました。 CIMG0745.JPG

では、鉄フレームを安っぽいと思われている人が多いのではないかと思いますが、それは間違っています。

一般的に実用されている鉄の種類はSS400という構造用鋼、これは引張り強度400N/mm2以上の鋼材。

S45Cなどの炭素鋼、カーボン含有率が0.45%ということでS10Cから58Cまであり、熱処理することで、強度が増します。

SCM435などのクロームモリブデン鋼、これは熱処理でさらに高強度で特に靭性がある材料です。

高張力鋼、ハイテン材ともいいますが自動車用のスチールホイールに使われているのが、この材料で引張り強度600N/mm2です。バンパービームに至っては1000N/mm2です。

このように強度の高い鋼材ですが、溶接可能な最高強度のアルミ合金7N01(T6)でさえ引張り強度430N/mm2ですから鋼材の性能がいかに高いかがわかります。比重は鉄がアルミの3倍ありますがアルミフレームと同じ強度を出すために必要な鉄フレームは断面積を小さくできるので、スペース的に有利となり、車体の設計に自由度が多くなるというメリットが生まれます。

コスト的には80年代初頭まで使用されていたクロモリ鋼管はアルミより高価です。クロームやモリブデンといった強化元素がレアメタルであるからです。そこで比較的安価で強度の高い高張力鋼管が用いられるようになりましたが、クロモリとの違いは耐久強度にありました。クロモリは、靭性があるため亀裂が入ってから破断するまで時間がかかりますが、ハイテン材は割れたら一気に進展する欠点があります。

ホンダが量産型のアルミフレームに踏み切ったのは97年型CR250からです。まだ15年しか経っていないのにいまでは当たり前のようになっています。ヤマハが最初にYZ125のアルミフレームを量産したのが06年、カワサキは05年にワークスのアルミフレーム化で失敗して全日本MXのIA250クラスからカワサキ車が消えたことがありました。翌年某メーカーと同じデザインで登場したのは有名な話です。

そしてスズキはRMZ450のデビューと同時にアルミフレームということで、一番後発のメーカーとなったわけです。あれが07年ですから、アルミフレームが4メーカー揃ってから、まだ6年めという新しさです。

随分定着した感じですが、私が想像するのにアルミ化のメリットは、設計製造上の問題だと思うのです。それは、近年のオートバイ設計はコンピューターによるもので、形状寸法のデザインは勿論、FEM有限要素法を取り入れた応力解析もコンピューター上で行っているので、板やパイプの組み合わせで作られた鉄フレームより溶接継ぎ手が少ないアルミフレームの方が都合がよいということ。

特にヘッドパイプからダウンチューブの一体成型やリヤクッションのアッパー、ロアーブラケットまわりなど、鍛造製法を採っているパーツの設計はコンピューター無しでは不可能でしょう。

コスト的にも、一体成型が多いアルミフレームは、鉄フレームのようなガセットや補強パッチが無いため構成パーツが少なく、溶接部分も減らせます。しかも塗装無しでOKなので、フレーム全体の組み立て工数が大幅に削減できて量産に向いていると考えられます。

では、アルミの材料についてですが、私がモトクロッサーの生産に係わった時期は1985から87までの3年間でKA3、KA4、ML3(CR125、250、500)ですから高張力鋼管フレーム時代なので、現行車の図面の材質欄は見た事がありませんので、推定で考えます。

アルミといってもその種類は用途によって様々ですが、フレームに使用するということで、高強度で溶接性が良くなくてはなりません。最高強度のアルミ合金は7075 T6ですが、これは溶接性が悪くて使えません。固いですが伸びがありませんので溶接後に低温割れを引き起こしてしまいます。

そこで溶接できるAL Zn Mg系合金として7N01が挙げられますが、押し出しのパイプか圧延による板材になりますので、ヘッドパイプやクッションブラケットのような鍛造材にはMgSi系の6061を使うでしょう。パイプはベンダー(曲げ)をかけるだけですが、ブラケット類は複雑な形状を型打ち鍛造で成型しますので、伸びが良く、押し出し成型性の良い材料を使います。

7N01や6061は時効硬化性の合金なので、溶接部が一旦柔らかくなります。放置しておいても元の材料の硬さに戻る性質を持っていますが、年月を要しますので、量産では強制時効という熱処理を行います。T6というのが強制時効処理ですが、その前にT4を行います。別名、溶体化処理といい、材料の内部応力を除去する目的があります。強制時効中に内部応力によって歪みが生じるのを押さえる役割があります。

熱処理は処理済かどうか見た目では判断できないですが、フレームの強度に係わる重点管理項目です。通常は不滅インク等で検印されます。熱処理炉の温度と時間の管理は記録されて保管し、熱処理ロットで決められたサンプルを抜き取り、硬さ検査します。ロックウェル硬度計は平面にスライスされた試験片を切り出し、研磨して行わないと正確な数値が出ませんので、抜き取り品は破壊検査となります。熱処理忘れや条件に不備があると製品に欠陥が生じ、全品改修となることもあり得ますので、失敗の許されない仕事です。

アルミ合金特有の問題として応力腐食割れという現象があります。航空機が飛行中に破壊して初めて具体化したものですが、溶接できない7075材をリベット結合した機体でしたので、リベット穴に沿って繰り返し応力が掛かって金属疲労したと考えられます。高い応力をうけたアルミ合金の結晶間に電気が発生して腐食を引き起こすので、材料の内部に腐食が進行した場合、局部的に強度低下を起こし、酸性雨や海水といった腐食雰囲気と複合で不具合が起こります。オートバイのフレームは応力腐食割れを起こしにくい材質と、充分な板厚を持っていますので、亀裂発生の原因の大半はジャンプ等の大荷重を繰り返し受けた金属疲労によるものと考えられます。剛性バランスと耐久強度を保ちながら軽量化とコスト削減という難題を解決してきたのが現代のアルミフレームといえるでしょう。

 

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チタンパイプに砂を詰めて手曲げします。

これはφ35ですが180°曲げは相当な経験が必要でしょう。

バーナーで炙りながら金属の固さを腕に感じながら柔らかくなったところで曲げていきますが、失敗するとパイプが潰れてしまったり、内Rにシワがよったりします。

曲げ可能な最小Rというものがありますが、これは内Rで45Rです。太いサイズほど曲げRは大きくなっていきます。

ベンダーマシンはありませんので、手曲げ技術だけが頼りの作業です。

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YZ250Fのノーマルエキパイを切ったものと比較ですが、遜色ないカーブを描いています。

オフロード用のエキパイはこれができないと形になりませんので必須テクニックでしょう。

 

 

 

 

 

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フランジの部分ですが、YZは口元が2mm拡大しています。フランジで押さえるためのツバ出し加工もしてあります。

フランジはA2017削り出しです。量産ではチタンやスチールのプレートをプレス打ち抜きやレーザーカットするのが普通ですが、スタッドボルトの締め付けで撓んでしまいますので、A2017の厚さ10mmのほうが、撓まず放熱性も良いので採用しています。

 

 

 

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後半のパイプはφ41.3ですが材料代が2mで16000円と高価なもので、2万円のエキパイを1本だけ製作すると完全に赤字です。2本作って材料代が払える程度ですから厳しい商売です。

こんな感じで購入した材料代を回収するために日々、仕事に励んでおります。

何故これを作るかといいますと、ノーマルエキパイに亀裂が入ったり、潰れたりして、修理を頼まれることがあります。修理可能な程度には限りがあります。その場合は新品購入をお勧めするのですが純正品でも相当高価なもので、なるべく出費を抑えたい要望に応えようとしているわけです。

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通常シングルのエキパイならR曲げは2本で出来ますが、複雑な3次元カーブで形成されるデュアルエキゾーストは7つのR曲げが必要でした。

微妙な取り回しで構成するため、曲げたパイプを必要な長さで切断して繋いでいきます。

 

 

 

 

 

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口元とフランジも加工します。

フランジはアルミ2017をフライス盤で切削。

口元はパイプと同じ材質SUS304の丸棒から旋盤で切削します。

この状態で排気ポートに取りつけ、パイプのレイアウトを決めていきます。

 

 

 

 

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2本のエキパイの仮組みができたら、ジョイントパイプの曲げ形状を決めます。

2本のエキパイを1本のジョイントパイプにまとめるためテーパー状のパイプも成型してあります。

差込の部分は少し外径が小さくなるため、丸棒から切削加工して、差し込んでいます。

 

 

 

 

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パイプを全て溶接組み立てしました。

エンジンはME08ですが、シングルのエキパイに比べると4倍くらいの工数になります。デュアルエキゾーストは同じ金額ではやりたくない仕事ですね。

ここまでの作業で2日掛かりです。

明日、ノーマルのヒートガードを取り付けて完成します。

再生中だったCRM250の2WDですが、欠品していたフロントフォークのスプリングが組み込めましたので、走行可能な状態になりました。

世の中の多くの理論は聞いた話や本で読んだりした知識に基づいています。実際に体験したことと見たり、聞いただけの知識では、理解の度合いに大きな隔たりがあるものです。やってみなければ、答えがわからないから無駄なことに、お金をいただくわけでもなく大きな労力を費やしてきたのです。そして4輪メーカーがあれだけ多くの4WD車を普及させてきたのに、2輪の2WDが普及しない理由を身をもって体験したのでした。

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この車両がトレール車のスタイルをしているため、試乗にはMXコースが適しているだろうと思いオフビレで走ってみました。

平な路面は、当たり前ですが普通に走ります。前後輪が互いに駆動力を持って転がっていくので両輪が別々の方向へ向かおうとします。そのことが独特の直進性とハンドルの重さを発揮するようです。この時点では普通の1WDの方が乗りやすいでしょう。

このクルマの構造上、MXコースを走るには問題がある点が大きく二つあるように思われます。

一つはこの三つ又の幅、ハンドルを切ってもフロントのチェーンが当たらないギリギリの幅ですが、ノーマルのそれとは大きくことなります。同時に幅広のフロントタイヤ、フロントアクスル。これらがハンドルを切ったときの慣性モーメントを増大させ悪影響を発生します。特に高速でギャップを通過するときに路面からのキックバックを激しく受けてハンドルを揺さぶります。抑えるのに相当な力を要しますので、危険でしょう。

二つ目はフロントの重量、駆動系とフロントホイールなど、おそらく10kg近く増量に加え、フロントフォークが89年式のノーマルなので、明らかにサスペンション性能不足です。中型のオンロードバイクでジャンプを飛ぶくらいのイメージです。あっさり底突きしてしまいますので、深いフープスや連続ジャンプの走破は無理でした。そもそもMXではフロントを上げてギャップを通過するテクニックが必要ですが、このクルマでは苦手です。こういう結果でオフロードをハイスピードで走ることには適さないという結論に至りました。この2WDの真価を発揮するには、グリップの悪い登坂路面か、タイヤが潜ってしまう泥か積雪の路面のような場所が適しているでしょう。また機会があれば、雪が積もった日にこのクルマを持ち出して試乗してみたいと思います。1WDでは走行不能なコンディションであれば2WDのすばらしさを堪能できると思います。

以上が2WDが市販されない理由だと思いますが、この問題点をクリアさせる技術開発をおこなったとしても販売台数的に利益が見込めないと2輪メーカーが判断したと想像します。いずれにしても、貴重な実験車両を保存して、いつでも走れる状態にしておきたいと思います。

 

英国のバーフィールド社が発明したのでバーフィールド型等速ジョイントと呼ぶこともあります。国内では富士重工と東洋ベアリングが共同開発して1966年にスバル1000に装備されたのが始まりとされています。

オートバイの2WDにはこのメカニズムが必要不可欠といえるでしょう。

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正立フォークの2本のアウターチューブを繋ぐ形で取り付けられる等速ジョイント。ジョイントの揺動中心部をステアリング中央に設置することにより、ハンドルを切りながらチェーンでフロントホイールに動力を伝達することが可能になります。

2軸の回転運動を伝える継ぎ手としてユニバーサルジョイントがありますが、これでは軸の交差角度によって回転速度に変動が生じます。また7度以上の切れ角で振動が著しくなって円滑な運転ができなくなります。これは回転数と同じ周波数でフックが揺動を繰り返すことが振動の原因になるからです。

等速ジョイントではこの問題が解決されていて、2軸の回転数を等速で、交差角度がついても円滑に伝えられることができます。

4輪車ではFFや4WDには必ず装備されているメカニズムでもあります。これは、駆動輪が操舵輪を兼ねているためで、サスペンションの揺動とステアリングの操舵と同時に軸が回転運動をするという複雑な動きをしなければ成り立ちません。

別名ダブルオフセットジョイントともいいますが、ディファレンシャル側を入力軸(インプット)、ホイール側を出力軸(アウトプット)と表現します。どちらも軸の先端にボールベアリングを装備して相手側の軸にボールを受ける溝を掘ったケースが一体となって動力を伝達します。

インプット側は変動する軸距離を吸収するようにボールがスライドしながら回転運動を伝達します。

アウトプット側は両軸間角度の2等分面上にボール溝を配置したケースがついて、操舵による揺動と回転を同時に伝達して、ハブ&ディスクに繋がっています。

これら等速ジョイントの製造にはベアリング用の鋼材を冷間鍛造と砥石研磨、熱処理という工程を踏んで作られています。本田車の等速ジョイントは栃木県の真岡製作所で内作されています。ボールベアリング部分はNTN東洋ベアリングから支給され、ボール溝のついたケースを製造してアッセンブリーしています。

冷間鍛造で溝の形状を成型し、ミクロン代の精度で砥石研磨で仕上げられます。その後、高周波焼入れで所定の硬さに熱処理されますが、加熱方式は連続炉です。治具に固定されたワーク(加工物)をベルトコンベアでトンネル型の連続炉に通し炉中の温度と加熱時間を管理されます。浸炭焼入れなので炉中雰囲気は炭酸ガスで置換されます。

高周波焼入れは部分焼入れとも呼ばれ、製品の形状毎に製作されたコイルで誘導加熱されます。加熱が充分に達すると水スプレーで急冷されて焼き入れ完了します。材料の粘り強さを持たせるため、連続で焼き戻しされます。

処理後の重要な品質特性の一つ表面硬さですが、これは熱処理ロット毎に抜き取りで破壊検査となります。ロックウェル硬さとマイクロビッカース硬さですが製品を平面にスライスして鏡面仕上げした面を測定するため検査品は破壊となります。ロックウェルCスケールでHRc58以上、マイクロビッカースで硬化層深さまで測定して品質保証されます。

この2WDに使用された等速ジョイントは車種は不明ですが、軽自動車のものと思われます。ゴムブーツが破れてグリスが飛散したためブーツ交換を行いました。塗装の剥離した部分を再塗装して組みつけたいと思います。

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錆びない元素として有名なクロムを電気鍍金により処理した技術で一般的に"クロームめっき"と呼んでいます。

クロムの前処理で銅めっき、ニッケルめっきの層が乗っていますが、直接クロムが乗り難いことと、細かい傷や凹みが金属表面に残っている場合、厚付けした銅めっきを研磨して修正することもあります。

表面に光沢があるのは処理前に研磨されているためで、研磨の仕上げが鍍金後の光沢を左右します。

従って研磨なしで鍍金処理しても光沢は生まれません。研磨工程と鍍金がセットになった大変な手作業なのであります。

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画像はDT200WRのチャンバー。

通常は未処理で出荷しますが、お客さんの希望により耐熱クリア塗装を施す場合もあります。

誤解のないように、弊社は鍍金だけの依頼は受け付けしておりません。弊社のラインナップ品に限りオプションで、外注先の工場へ持ち込んで依頼しています。

このチャンバーのサイズで処理料¥15000いただきますので品代総額¥40000(税別)になりますので結構高額ですね。

レーサーモデルのチャンバーにはお勧めしません。重金属なのでパイプを保温することになり、冷えが鈍くなります。即ち、パワー特性にも影響するということと、走行毎に洗車して整備するのが当たり前なので、防錆も自然にできるでしょう。

ところが、ストリートモデルでは毎回洗車などあり得ないでしょうし、屋外保管も多いでしょうから、ノーメンテナンスで腐食を防ぐにはクロームめっきは最適なのです。

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鏡面仕上げなので、カメラを構えた自分が映り込んでいて、絵的に良くないですね。こういう場合は望遠で離れたところから写すべきです。

研磨状態が分るように撮りましたが、溶接ビードが少し残る程度の仕上げにしています。

さらに研磨を進めるとビードも見えなくなるのですが、板厚が薄くなって強度が落ちてしまうので、これくらいがベストでしょう。

また、どんなに慎重に扱っていても転倒したり、物にぶつけてしまって、凹みが目立ってしまうことも起こります。

そんなときは、弊社の商品に限り修理サービスも行っています。水圧で膨らませながら、凹んだ部分だけ叩くことによって盛り上がってきて直ります。熱はかけませんので焼け痕がつくこともありません。用品店と違うところは、売った物に対してアフターサービス出来るところが強みなのです。そのかわり、社外品には冷たく当たりますのでご了承ください。

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NSR50のロードレーサーが今回の議題。

GPmonoでレースをされているナオキさんの練習車ですが、ミニバイクは転倒も多いそうでダウンチャンバーだと、サイレンサーは路面に擦ってしまうため

サイレンサーをリヤカウルの中を通す、センター出しに改造するためチャンバーをアップタイプに変更してフレームの中を通すレイアウトに作り変えるというもの。

 

 

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チャンバーを作るとき、最初にやることは元になるチャンバーの寸法を測ってストレート図に書き直すことです。

写真の上側は元のチャンバー

下側はストレート図に基づいて作られた模型

円盤はパイプの内径を表し、軸芯の棒はパイプの長さを表します。

この模型を曲げて車体に取り回すレイアウトを検討します。

 

 

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このようにエンジンやフレームとの隙間を確認しながら形状を決めていきます。

同じものは二度と作りません。この車両だけのためのワンオフ製作です。

このあとアンダーカウルやキャブレターの燃料ホースなどに当たらないようにクネクネと複雑なカーブを描いて、狭いフレームの隙間にチャンバーが収まっていきます。

明日は模型の形状に合わせてパイプを成型していきます。

 

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成型されたパイプを接合しました。

模型のカーブに似ていますが、車体がアップチャンバーを想定して設計されていないために取り回しはミリ単位でフレームをかわすシビアなものになりました。

アンダーカウル装着のため、フレームギリギリに寄せないと、グラスファイバーのカウルを溶かしてしまうことになります。

明日はラジエターのマウントとセンター出しサイレンサーのフィッティングを行います。

 

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震災の前日から製作に取り掛かっていたタンク作りですが、3日ほど動揺して通常の業務ができませんでした。とりあえず、やりかけた仕事を完了させるべく再開しましたが、計画停電で一日のうち3時間くらいは業務中断になってしまい、非常に効率悪いです。

被災地の電力不足、燃料供給不足を考え、工場の空調や石油ストーブを止めてやっております。幸い寒冷地ではないので、寒いですが我慢しながら仕事しています。これも支援の一つと考えております。

義援金や救援物資だけが災害支援ではありません。最も強力な支援は国の力だと思うのです。自衛隊や消防庁に指令を出したり、車両を動かしたり、職員の人件費を払ったり、全て税金でまかなうのですから被災していない地域の人ができる最も重要なことは、今やっている事業をしっかりと遂行して税金を払うということであると思っています。

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アルミ板金でこしらえたガソリンタンク。

オーナーさんはジムカーナでNSR250に乗っていますが、ノーマルタンクの張り出しが大きいことと、エアクリーナー吸気口を塞いだデザインを改善するという目的でタンク製作に踏み切りました。

フィラーキャップはノーマルを使用していますので鍵を使って開閉します。

 

 

 

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タンク底板の形状です。エアクリーナーボックスを逃がすデザインです。

中央付近に二つ穴が設けていますが、フィラーキャップの構造上、エアベントと水抜きのパイプがタンク内部を貫通しています。

 

 

 

 

 

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車体に装着した様子です。

フューエルコックは左下に設置してあります。

レーサー用の部品で、リザーブ無しです。

タンク容量は13L、大体これでご要望にお答えできると思います。

停電や燃料の調達が悪く通常より効率悪いですが、まだまだバックオーダー抱えておりますので、なるべく早く仕事を進めていくだけです。

先週から加工中の三つ又が大体完成したので、組み付け確認しました。

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クランプ部分のノーマルボルト装着、

φ39フロントフォークはチェッカーズ所属島田さん所有のワークス467(80年式)を拝借して挿入してみました。

ステムシャフトはノーマルを圧入してあります。

3点の穴位置が正確でないと組み立て不良になってしまいますが、装着確認できましたので安心です。

 

 

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裏側の肉抜き加工も手間をかけてあります。実車では見えない部分ですが、必要な剛性を確保しながら軽量に仕上げるという意味で重要な加工です。

本職の機械加工屋さんなら3次元測定器を使った精密な測定で寸法を割りだすでしょうが、ここではノギス測定だけで寸法を決めて設計しましたので、寸法誤差が非常に心配でしたが、組み付け確認の手ごたえは0.1mm程度の誤差で収まっているでしょう。

クランプ径が隙間ゼロで加工してありますので0.1mmほどクリアランスを増やしても良さそうな感じでした。

機械加工の工賃が聞いた話によると、日立製作所で1時間あたり3500円ということで一日10時間労働したとしますと、1日35000円になります。

ハンドワークなので全工程で6日間かかりましたから、上下セットで210000円が世間の相場ということになります。メーカーの試作でしたら、それくらいが妥当だと思いますが

これは一般のお客さん向けの商品ですから、そのような高額な取引は成り立たないでしょう。そこで大幅にディスカウントして提供ということになりますが、商売上の秘密で金額は申し上げることは差し控えさせていただきます。これは加工技術の訓練ということでお許しください。

現行のモトクロッサーであればマシニングで削り出しの三つ又などはバイク用品店で買ってくれば事足りるでしょう。しかし、430(77-79モデルCR250R)に付けるとなると簡単には見つかりません。

当時のファクトリーマシンの写真でしか見たことがありませんが、近年のNCマシンによる加工に比べるとかなり荒削りな作りであったように思えます。とにかく、ノーマルの三つ又が付いている量産車では唯の旧車でしかありませんが、削り出しの三つ又に交換することでファクトリーテイストに蘇るとお考えのマニアもいらっしゃるかも知れません。

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アルミ合金の塊、重量32kg

三つ又上下セットで5台分ということですが

NC加工頼みますと設計から加工で総額何十万円になるかわかりません。それよりNC加工で仕上がりは美しくなると思いますが79年当時の風合いを出すためにはフライスでハンドワーク加工をするしかないでしょう。

外観をそっくりにするには作り方も当時のままに、ということです。

当然、生産性悪いです。しかし、滅多にやらない加工なので記録をとっておきたいと思いました。

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手前がトップブリッジ、奥がボトムブリッジ。

ステムシャフトはノーマルを取り外して使います。

材料はA2017、社外のトップブリッジはA7075を使うことがありますが、実用強度は大差ありません。強度が充分で比較的安価であり何より加工性が良いことが理由です。

ノーマルを寸法測定し、無駄がないように素材を切り出してあります。

ノーマルはA6061の鍛造です。

トップブリッジにAC4Cダイキャストを使った機種もありますが、鍛造とダイキャストですと金型や成形マシンなどの設備代がダイキャストの方が量産向きでしょう。鍛造の方が材質が上なので、当時のレーサーには採用されていたのでしょう。

このように、部品の性能がらみだけでなく、加工方法に適した材質を選択することが必要です。

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三つ又としての最も重要な品質特性は

三つの穴が正確に空いていることです。

フロントフォーク穴のサイズ、430はφ39.

フォーク穴の距離。

そしてステム穴のオフセット量。

どちらもハンドリングに影響する数値で

フロントフォークの幅が広いとフロントの剛性が上がるが、ハンドリングが重い。

オフセットはキャスター不変のままトレールを決定し、オフセットが大きいと直進安定性が向上するがハンドリングが重い。などが一例ですが、製品としては三つの穴の精度が悪いとフレームやフロントフォークが組み付かないという不具合が生じることです。

フライスでハンドワーク加工する場合はある程度加工テクニックがないと難しい作業です。

では加工の進行に応じて状況を報告していくことにします。

CIMG0195.JPGトップブリッジとボトムブリッジ。

上面と外周を削りました。

次に裏返して下面の加工を行いますが

これだけで一日仕事です。

 

ちょっと別の用事で2日ほど加工は中断ですが週末、再開します。

連日猛暑日であろうと、世間はお盆休みであろうと、私には関係ない。

大勢のお客さんが私の作るマフラーを待っていることも充分承知しているが

どうしてもやらねばならないことがある。

それは、このようなものを作ることを約束してしまったからだ。 IMG_0704.JPG

これをつけて走るとどの様な喜びがあるのかは私は知らない。

これは私が考えて作ったものではないが、作った人に再び頼めない理由は

製作者がやめてしまったためであり、既に廃盤の商品になっているからだ。

それなのに、この見本だけで製作に必要な加工寸法を割り出し、材料を選定し、切削工具も購入し

取り掛かっている。

おそらく全工程に費やす時間は100時間を越えるだろう。

時間工賃を1000円で計算しても10万円になるが材料代や工具代は別に実費で払わなければならない。

おそらくこれを希望するお客さんは、そのような計算は一切、頭の中にはないだろう。

もちろん、掛かった全額をお客さんに請求するつもりは毛頭ない。

最初から利益にならない仕事だということを私は分っていたからだ。

それでは何故、儲からない仕事を引き受けたかというと

やってもいないことを、大変だということが嫌いだからだ。

自分がやって経験したことだけが、語っていいことだと思っているからだ。

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アルミの塊からマニュアルのフライス盤で削り出す。この加工時間を加工しないで算出できる人がどれだけいるだろうか。これはピボット部分のパーツ

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土曜日夕方までかかってここまで出来た。

クッションブラケットとリヤアクスルのパーツ。図面が無いので寸法計測しながら加工していくので

非常に時間がかかる。明日のレースの整備があるので、これにて中断。

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本日はアーム製作。

手前がアームの型で、上の4つが絞って出来たアームの部材。

作り方は教えてもよいが、割愛しておく。

よく、作り方を自分で考えないで他人に聞く人がいるが、

調べたり、トライする努力なしに安易に情報を得ようとする行為なので適当に答える。

自分で考えて物事を運ばない人は、新しい物を考案する能力は得られないと考えられるのだ。

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アームを溶接で接合してから、スイングアームの形状に合わせて曲げてある。

組み立て治具に各パーツを固定し、仮留めする。いよいよ本溶接ができる状態だ。

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溶接完了し、バフ研磨して組み付け確認。

100時間を超える全工程が終了した。オリジナルに引けをとらない仕上がりではないか。

こうして絶版のスイングアームは復刻された。溜まっているバックオーダーが恐ろしい。

大分のホンダウイングイワオ様から特注の製作依頼です。

10モデルCRF250Rのエキパイ製作ですが

ノーマルがステンレスと鉄のフランジに対してチタニウムとアルミフランジでリプレイスします。

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チタンパイプφ35とφ38.1の2種類を使います・

片方に蓋を溶接して砂を詰めます。

この砂詰めが不十分だとパイプが潰れたり、皺が入って不良品になってしまいます。

1台分のパイプ代が1万円くらいしますの無駄にすることはできません。

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量産のエキパイは100%機械曲げです。

パイプを潰さないように曲げるためにはR曲げ専用の機械が必要で非常に高額な投資になります。

我社は高額な投資はしません。なぜなら、お客さんの必要数は1本だけだからです。

1本だけ曲げるのでしたら、このように万力と炙りバーナーだけで充分です。

180°曲げですが熟練した手曲げ技術がないと高価な材料を何本も無駄にしてしまうでしょう。

これができないとマフラー屋とは呼べませんね。

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取り回しは車両がありませんので、このような治具を作って合わせます。

イワオさんからノーマルのエキパイと取り付け状態の画像を送っていただき、それを元に車体との位置関係がうまくいくようにゲージを作っておきました。

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曲げたパイプをつなぎ合わせてノーマル形状のエキパイが出来ました。

フランジはアルミ板をフライス加工で作ったものです。

ホンダのモトクロッサーはHRCのキットパーツが別売りされていますので純正部品はコストダウンの対象なのでしょう。

やっぱり他メーカー並みにチタニウムにしていただかないと私の仕事が増えてしまいます。

今回は2ストMXer用のアルミサイレンサーの製作工程を紹介します。

ステンレスパンチング以外の構成パーツをアルミで製作することにより軽量化に貢献します。

最も作業時間の必要なオーバルの蓋の加工です。 IMG_0351.JPG

アルミの丸棒から削り出します。フライス盤に乗っているのはサーキュラーというターンテーブルで

ワーク(製作物)を回転させて円弧の切削を行うことができます。

IMG_0352.JPG左の丸棒をスライスしたものが素材、右が加工後の蓋。

IMG_0353.JPGこれがサイレンサーを構成するパーツの全て。

小さいパーツだが一個づつハンドワークで加工している。

このタイプのサイレンサーを完成させるのに10時間もかかるのはこうしたパーツ作りを1個づつハンドワークで行っているためである。

パーツが準備できたら溶接で組み立てていく。

IMG_0354.JPG溶接が完了した状態。この後バフ研磨してグラスウールを詰め込み組み立て完成となる。

IMG_0355.JPG完成したサイレンサー。

作っておいたチャンバーとサイレンサー2セット注文のため梱包して出荷します。

これはYZ85用です。どうもお待たせしました。                                                                                                                                                  

ショックの減衰力を簡易的に測る方法は、スプリングをはずしたダンパーを

ヘルスメーターに押し当て、一定の速度で圧縮して荷重を測る方法がありますが

詳しく調べるには機器を用いる必要があります。

私はメーカーで試験機を使って、重要保安部品のスペック適合の合否を判定していました。

減衰力の前にスプリングのバネ定数を測定する方法から説明します。

バネ定数とは、バネが弾性変形をしている状態の1mm変位させるのに必要な荷重。

単位はkg/mmで表します。

使用する試験機は引っ張り試験機、機械式(ねじにより変位する)で最大荷重10トンで最大変位1mまで計れます。

精度が0.1gまで保証されたロードセルと1μまで保証された変位計で荷重とストロークを同時に計測して出力します。

この試験機でコイルスプリングを1回ストロークさせただけで、荷重ーストローク線図をレコーダーに作図しますので、ばね定数が容易に求められます。

次にダンパーの減衰力をどうやって測定するか

私は振動試験機を使いました。サギノミヤ製で、最大振幅1m、最小周波数10Hzで

定格荷重10tのロードセルと1μ精度の変位計つきの油圧式アクチュエーターが運動します。

振動波形は正弦波、矩形波、任意の波形と周波数を自由に設定可能で、荷重制御か変位制御のいずれかを選択します。

油圧シリンダーに対して垂直に支持したダンパーを圧縮します。

ダンパーはピストンスピードによって減衰力が変動しますので、荷重制御にして、大荷重に設定するとピストンスピードが速くなるということです。

計測データは出力されて、荷重ーストローク線図を記録しますので、初期、中間、底突きなど任意の状態の減衰力が荷重で読み取れるということです。

この振動試験機はストローク回数の設定もできるので、耐久テストや、フロントフォークの慣らし運転にも応用できます。

では、ショーワやカヤバといったサスペンションメーカーはどのようにして

実走で減衰力やピストンスピードを計測したかといいますと

テスト車に特注の計測器を組み込んだフロントフォークやリヤショックを取り付け実走します。

ダンパーロッドはピストンが固定されていますのでダンパーロッドに歪ゲージを貼り付けて荷重較正

して専用のロードセルを作成していました。

計測した電気信号を電波で飛ばしてコース脇の記録計でデータ収集します。

こうやって設計上のバルブ設定と実走による計測で減衰力のシュミレーション行ってサスペンションという製品

作りに反映させているところを垣間見たのでした。

先日、MXデモデイ会場で久々にモトハウスプロダクツ山下さんと雑談したときの内容。

YZ450Fスペシャルマシンを前に質問をしてみた。

「なぜ、ダンパーロッドをアルミで製作したのですか?」

その答えを要約すると以下のとおり

アルミの材質は7075で、ニッケルめっきの上、クロムめっき、チタンコートを施してある。

アルミ化したのはロッドだけでなく、バルブを組み込んだピストンやシールケースも同様である。

その目的は、軽量化はもちろんだが、熱ダレによるダンパー性能の低下を防ぐものだという。

アルミのシリンダーに鉄のピストンでは熱膨張の違いで隙間ができてしまい、ダンパーの性能は著しく低下する。

 

なるほど、これでわかった。鉄をアルミに置き換える軽量化だけでなく

7075超超ジュラルミンで強度を確保し、アルミ地にクロムめっきとチタンコートで硬さも純正品以上に

仕上げてある。

そして本当の目的は構成パーツの熱膨張を均一に起こさせ、熱ダレの影響を低減することにある。

これだけ施せばノーマルのサスペンションと比較して、レース後半の安定性が顕著に違うと思われる。

それに掛かるコストも相当なものだろう。一般ユーザーではそのコストに対するメリットが理解できないほど

高額な投資と思われるが、他ではやっていないことを実際にやって確認せずにいられない情熱を感じることができた。

そこで、「熱ダレが問題であることは私も感じていましたが、液化窒素のタンクを積んで、ある程度、

加熱されたダンパーボディーに噴射してはどうですか?」

と以前思っていたことを話してみた。

(ニトロ(元素名ナイトロジェン=窒素)は強心剤やダイナマイトの原料に使うニトログリセリンとは全く別物で、エンジンの吸気側から超低温の液化窒素を噴射して空気を圧縮させ充填効率を上げるという加給の一種をニトロチューンと呼ぶ)

すると山下さんは、ダンパーにウオータージャケットを設けて、冷却水を流してみたことはあったという。

しかし、効果は感じられず、熱だけが原因ではないかもしれないということで終了した。

メカニズムの薀蓄などは本を読んだりして誰でも語れるものだが、手間とコストを掛けないと知りえない

話をしてくる山下さんは、商売人というより技術者といえるだろう。

もう一つの話は10YZ450Fの後方排気を改造するということだ。

新型の450は重量配分のせいか解らないが、フロントの安定性に欠けるということで

後方排気のステンレス製エキパイが相当な重量であることから

エキパイをチタニウムでフロント通しに作り直すというものである。

同時に長いサイレンサーも極力前方に移動させて、軽量化と重量配分をフロントへ移動させてみるという試みである。

そのエキパイの加工を請け負うかもしれないので、今度MHで実車を前に打ち合わせすることにした。

実際に製作に取り掛かった場合はレポートすることにしたい。

 

【サイドビュー】

新車のマシンを走らせる前に、先ず自分好みの仕様にコーディネートする。

コンセプトは、買ってきたものは(メーカー純正品以外は)極力使わない。自分で手間をかけた部分だけがオリジナルなのだ。
新品のホイールをばらして、リムはアルマイトにハブは塗装で足回りを引き締めて魅せる。
エンジンも下ろしてフレームやリヤサスも塗装する。
やはり、うちのレーサーは黒が純正のカラーだろう。
しかし、プラスチックパーツは本職のデザイナーが作った純正のままがいい。
実は黒と赤の色のコーディネートが最強の色相なのだ。
余計な飾りも不要、ノンスポンサーを強調することが、オリジナルの意気込みを表現する。
要するに、人にやってもらったことに対してあまり価値観を見出していなくて 自分で手間をかけた部分にマシンいじりのロマンを感じているわけだ。

【サイドカバーはずし】

ノーマルと明らかに違うスタイルはエキゾースト。
チタンニウムのエキパイは去年から使用している物でエンジン特性が気に入っているので再使用した。
焼け色が変わっていくのも楽しみの一つ。
全体が焼けたら、サンドペーパーで磨いて何度でも新しい焼け色を楽しめる。
一見ノーマル風のサイレンサーは中身とエンドパイプがオリジナルのものに取り換えてある。
シングルのエキゾーストをデュアルに作り変える試みだが、排気音とパワーの出方を変更する目的だ。
アルミのブレーキとチェンジペダルは他機種の純正部品で流用しただけ。
フロントエンジンハンガーはノーマルの高張力鋼板から超ジュラルミンの削り出しに取り換えてある。

【リアフォーク・スプロケット】

150R最大の欠点であるリヤフォークの強度不足を対策した補強リヤフォーク。

7Nー01材で曲げ応力が最大になる箇所の断面積を30%増して対応している。
町工場はメーカー任せにする必要はないのだ。
一見スペシャルのスプロケットはノーマルベースで112個の穴空けをして軽量化した。
ノーマルはなんと、820gも重量があるのだが、570gまで落とした。
しかし、タロンのアルミは270gしかないので2倍の重量だ。(残念)
但し、耐久性は3倍くらい期待できるので、コストパフォーマンスで断然勝っているはずだ。

【デュアルマフラー】

テスト中の新型構造はマフラー内部で二股に分岐させ、2本のパンチングパイプを通って排気され る。
ノーマルの開口面積と同等の2つ穴にした場合、約1dB排気音が上がることが分かった。
排気を2列にすることで排気ガスの流速があがるためと思われる。
これがパワー的に有利だということを示しているのだが、あとは、パイプ径の調整をすれば音量のコントロールも可能だ。

とにかく、いつも同じマシンに乗っていたのでは、ライディングそのものの情熱が冷めていってしまうので 常に新しい試みと、ベストコンディションを保つメンテナンスを怠らないことがモトクロスを長く楽しむ秘訣ではないかと思う。

2スト車の車体に4ストエンジンのスワッピング(換装)は何度もやってきた。 しかし今回のスワッピングは今までのとはわけが違う。

これまでのエンジンは旧式の空冷2バルブであったのに対し、これは新型の水冷4バルブだ。 おそらく日本で初めての組み合わせだろう。前後サスペンションはホワイトパワー。リヤはリンクレス。 ブレーキはフォーミュラの対向ピストン。国産には採用されないヨーロッパ製品が目を引く。 画像はエンジンのレイアウトを検討している様子でエンジン位置は決定したがフレームのパイプは繋がっていない。高くなったキャブレターにあわせたエアクリーナーの変更、シリンダーヘッドをかわしたガソリンタンク製作、フレーム中通しの専用エキゾーストパイプetc.難題山積みである。 おそらく実走できるのは夏頃だろう。

 この製作計画を聞いて殆どの人は無意味だとか、改造しないでそのまま乗るのが一番いいとか思われるだろう。 実は製作を担当している自分自身も同様に思っていたのだが、製作を諦めさせる説得をしながら、自分の気持ちが完成させて走らせてみたい方向に変化していった。

これを無意味なことと思う人は、マシン選びにどれ程の理由があるだろう。 メーカーのイメージであったりレースで上位を走る機種であったり、バイク店との付き合いであったり。いずれにしても明確な根拠は存在しないはずである。しかも、高額な支払いをして手に入れたマシーンも翌年にはあっさりモデルチェンジされて旧式になってしまう。本当に乗りたいものを決める手段が完全にメーカー任せになっていて、お客さんは踊らされている状態だ。そんな宛がわれたような選択肢では、ただ流行にながされて、他人の真似しかしない日本人の一員になってしまう。

他人と違う方式を試みる精神がこの車両の製作に現れているではないか。 これが完成して走っている姿をみて、どんな乗り味なのか興味を持つ人は多いだろう。しかしその答えは作った者、乗った者にしかわからない領域だ。

 無意味だと思う人には一生わからない答えだろう。 そしてこの製作を実現する手段に弊社を選んだ依頼者に満足していただくために腕を振るわなければならない。

チャンバーは溶接が主な作業と思われがちだが、実はこのような部材の成形に製作時間の大半を費やす。紙の上に設計されたパイプはテーパー状で、複雑に曲がっているため、形状を思い通りに仕上げることに長年の経験が必要となる。写真のパーツは一台分でつないだ全長は1メートルほどになる。ここまでできれば8割完成したも同然。 溶接でつないだパイプの完成品。成形された寸法精度が上手くできていれば溶接は容易にできるが、誤差が多いとつなぎ目に段差が出来たり、カーブが狂ってきて不良になる。パイプの成形が完成品の良否を決定する。この後、治具に装着し、テールパイプやマウントステーを取りつけて完成するが、全工程で15時間費やすのに、溶接は2時間くらいの作業だろう。コンピューター制御の工作機械全盛の世の中だが、チャンバー製作は自動化が不可能な手工業の世界でしか実現しないのだ。
アルミタンクはワークスモトクロッサーだけの物ではない。70年代後半までは量産車がアルミタンクだったのに、大物は金型でプレス成形されるが、溶接などハンドワークの部分に熟練が必要なため、生産性のよいプラスチックタンクへと変更されていったのだ。 昨今のビンテージオフロードの盛り上がりで70年代後期のレーサーもレストアされレースに参加する台数も増えてきた。ところが30年も前のプラスチックはどうしても劣化が進み、軽い衝撃でも割れてしまって、ガソリンが漏れてしまうのだ。接着材で補修しても耐ガソリン性のものはなくて使い物にならない。塗装しても揮発するガスで塗膜が剥がれてしまう。 そんな悩みを解決するためにアルミタンクを製作することにした。タンク専門の会社に依頼すると、量産とそっくりな形状の品物ができるが、必要なモデル代、金型代、を負担した上に製作費がかかるので、すくなくとも35万円は かかるらしいが、お客さんの依頼は1個だけなのでそのような金額では諦めてしまうだろう。今回はプレス成形を行なわない方法、アルミ板から叩き出す板金手法で作ったタンクだ。 全体のデザインを決めるアッパーハーフをハンマーで叩きながらカーブをつけていく。見本と見比べながら感を頼りに曲げていくのだ。一枚板では不可能なので、要所要所分割して成形して溶接で組みたてていく。フレームに組みつけるロアーハーフも車体に取り付け確認をしながら成形していく。アッパーとロアーを接合する前に形状を整えないと、後からでは叩けないのだ。溶接が全て終了したら、水を満タンに入れて洩れがないか確認する。エアーを入れて水没させる方法もあるが、加圧してタンクが膨らんでしまうことがあるので、水を入れた方が安心なのだ。これでプロの塗装を施せば、アルミ製の複製タンクであることはよく観察しないと気がつかないだろう。 アルミタンクはけしてワークスチームだけのものではない、むしろ庶民的な旧車マニアのためにあるのだ。

ピストンサイズ

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ピストンサイズの中でリング溝、ピストンハイトなど詳細は置いといて、外径についてのみ述べます。
メカニックの経験のある人は常識だと思いますが
ピストンはヘッドが小さく、スカートが広いテーパー型となっています。
その理由は燃焼による熱影響を受けるピストン冠面が最も熱膨張が大きく、スカート下部が膨張が少ないためです。
熱膨張による外径変化を考慮して常温の寸法は小さく加工されています。
従ってピストン外径を測定するのは最大となるスカート下部ということになります。
エンジンのパワーと耐久性に影響するピストンクリアランスはシリンダーのボア(内径)とピストン外径の差で管理されます。
通常(アルミシリンダー、アルミピストン)0.05mmクリアランスを取ります。
0.03mmくらいが限度ですが狭いと圧縮が上がるがメカニカルロス(摩擦)が増え
広いと圧縮が下がるがメカニカルロスは減るということで調度よいバランスをとることがエンジンチューニングの要ということです。
もちろん運転によって変動する数値ですので適時に測定しなければ数値とエンジンフィーリングの相関は取れません。
内燃機加工ではボーリングの機会は減ったと聞きます。
最近はメッキシリンダーが多く、オーバーサイズのピストンが設定されてないためです。
以前は鋳鉄スリーブの焼きつきや磨耗限度を越えたとき0.25や0.5オーバーサイズのピストンに合わせてボアアップすればシリンダーの寿命を延ばせたのですが、現在はメッキシリンダーの磨耗一回がシリンダーの寿命になってしまいました。
公道認定車でもオーバーサイズピストンは廃止されているようです。
ボアアップによって認定時の排気量を超えることが違法という解釈によるものですが、何とも頭の固い役人の考えではないでしょうか。
最新のチューニングでは鍍金の膜厚を厚めにつけてホーニング(砥石によるスクラッチ加工)によってボアサイズを調整するという裏技もあるようです。