■ モトクロッサー

ここ2週間ほどメカニック業務にはまっています。
物作りは疎かになっていますが、落ち着いてきたら通常に戻ると思います。

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メカニック頼まれているライダーにスタート練習もしてもらうつもりで作った一人用スタートゲートですが

オフビのスタートライン前に設置したら
撤去しろといわれたので、あそこでは使わないことにしました。
他のチームでは使っているのですが
ウチだけダメだというので、
何か個人的恨みでもあるのだろうと思って関わらないことにいたします。




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エンジンやサスペンションの組み立ては当たり前なのですが
社外マフラーを使いやすいように改造するのもメカニック業務の一環です。

これは今後のメンテナンスのため、マフラーを分解してグラスウールの素材を確認した後、リベット外しの面倒がないように
内側にナットを溶接して
ビス止めに変更しました。

ヘキサゴンレンチだけで外せます。



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ついでに、締め付け面の摩耗を軽減するためステンレスバンドを取り付けました。

バンドの製作は、図面を描いて
近くの精密板金工場でレーザー加工してもらいました。
少量でも引き受けていただけるので助かります。

このあとノーマルでは性能不足のCRF150を全日本仕様にする特殊パーツを次々に投入していくのであります。


正月明けに塗装剥離してあったCRF150Rシャーシ部品のペイントが仕上がりました。

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元国際A級ペインターに頼みましたが
代金は後日、体でお支払いする約束で
清算する予定です。

本田最高顧問が存命中は、本田の戦闘機カラーは赤と決まっていたはずですが
最近は忘れられているようです。

僕ら現役時代のホンダ車(CR)イメージに染めたかったのです。





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この車両は10年前の車体でエンジンOHやサスペンションモディファイ、ホイール組み換えを済ませ、自分で乗るつもりでしたが

別の人に貸し出す予定が出来て、最終チェックを行ってるところです。

明日試走が終わったら
またエンジン降ろして、使い古した駆動系部品を交換して本番に臨むという段取りです。

青ゼッケンはとりあえず仮の物です。
本番は白になります。


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スタートの必需品、ホールショットデバイスも
150用に作って取り付けました。
メーカー純正以外の市販品を使わないのが
我社のレースポリシーです。


外はザーザー雨が降っているので明日に備えてマディ用タイヤに交換します。
AM0:30時点










ML3(CR500R)フレームの改修が完了したつもりでしたが、ロアーパイプの凹み隠しに
ツインウォール加工した部分のやり直しすることにしました。
その理由はオリジナルの外観と違うと思われると失敗したような気がするためです。

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実は、CNC加工のクランクケースとリヤフォークも預かっていたので
治具代わりに使うことで、ロアーパイプ切除して取り換える方法で、オリジナルに近い外観で修復できると考えました。










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ロアーパイプ交換用のパイプを曲げて
接合部にパイプを差し込んで
パイプのズレを防止することと
接合部の強度アップを計ります。










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元のパイプは切断しました。

そのため残留応力が解除されたロアーパイプが自由になり
エンジンマウント位置が変わってしまいました。

フロントマウントとピボットの軸距離が5mm近くなって、マウントボルトが通りません。
ダウンチューブ下の2本のパイプを矯正して軸距離を元通りに修正して、フレーム治具を取り付けることができました。
新造のロアーパイプを溶接するときに治具で拘束したまま行います。


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ロアーパイプ仮止めしてTIGの電極が届く範囲で接合部肉盛りしてから
フレーム治具を外して残りの溶接を行います。



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ミドルマウント・プレートはオリジナルのパイプから切り離して使うことにします。

それで外観を元通りに近くなるでしょう。













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ダミーケースを取り付けてミドルマウント溶接しました。

センターガスケット厚み分のクリアランスが必要なので、ブラケット内側に0.8mmスペーサーを挟んで溶接します。


溶接熱が冷えてからマウントボルトを抜いてみましたが、スコスコ通りましたので
マウント穴位置は正常に出来ました。




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これで下回り凹みのないパイプに修復完了です。

塗装すれば修復したことが分からないようになっていると思います。











この2か月間KTMショックでエンジン始動不良症候群を患って、KX250Fのインテークも確認しておきたかったのです。
いまのところ快調なので、スロットルボディ廻りの仕様を目視確認する目的です。

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サブフレーム、エアクリーナーボックス、リヤショックと外していきスロットルボディへアクセス可能となります。

FI車なんで、各種センサーやリレーと接続するカプラーが多く面倒ですが
カプラーの隙間に泥水が侵入して固まるので、スムーズに脱着するためにマディ走行後洗車したら、カプラー外して清掃すると
よいコンディションを保てると思います。

レーサーはメンテナンスフリーではないんよ。

スロットルボディーは上向きでインテークポートに少しでもストレートに吸引するようにレイアウトされています。
スロットルボディ下にダウンストリーム・インジェクター固定のビス2本が見えますが
このビス外せばインジェクター抜き取れます。
インジェクター横の緑色のジョイントロックが識別色であることが後で解ります。

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確認したかったのは、この部分です。
バタフライが全閉のとき、空気の通路はあるかどうかです。

KTMのスロットルボディはバタフライ、チョイ開けによる通路でしたが
KXはチョーク通路が開いています。
スターターノブ(チョークレバー)がアイドリング調整を兼ねた構造で
チョークスリーブにプランジャーを押し込んで
スロー系の通路を絞ります。
スターターノブを左に回して突き当たりまで緩めるとアイドリングストップします。
スターターノブを引いた状態ならアイドリングします。

KXの吸気系特徴としてアップストリーム・インジェクターがエアクリーナー通過後に燃料噴射するので
スロー系を通過する空気は予め混合気の状態になっています。
これは吸引流速の低い低回転時でも十分な混合気が得られてトルク感が増すことを狙っているでしょう。

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さて二つのインジェクターがでてきました。

茶色と緑、形状が同じなので外してしまうと
アップストリームかダウンストリームか判別つかないですね。

実はこのあと入違って組み立てしてしまい
エンジン始動はできたのですが
パワー感が損なわれていることが判りました。

やはり用途別に、それぞれ違う仕様のインジェクターでした。


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実は色で識別していることが判りました。
前出のジョイントロック、緑色がダウンストリーム側で茶色がアップストリーム側です。

最初、色の意味は分からずインジェクターノズルの穴数で推測したのが間違いでした。
茶色の方は穴数10個、緑色の方は4個見えます。
そこで穴数が多い方がマニホールドに噴射するのに適していると判断したのが誤りでした。
燃圧は同じものがかかっているので10個穴のほうが穴径が小さく、燃料が微粒子となって噴射されるはずです。
4個穴の方が穴径が大きく吐出量が多いのだと思います。
だから流速が最大になるマニホールド内に噴射するのに適しているということでしょう。

再度組み立て直して正常にエンジン始動できました。
構造確認しておくとトラブル時に対応が早いと思うので、平常時からメンテナンスしておくことに意義があります。




新車から12年経ったCRF150Rのフレームとリンク、前後ハブを一新しようと、塗装剥離したりブラストに出したりしていたのですが、全く進んでいません。
そろそろレースシーズン入ってきたし、組み立てしなきゃならないから表面処理開始します。

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フレーム塗装を頼むショップで
自家製アルマイトやってくれるそうなので
前処理だけやっておこうと思います。

鋳物のアルマイトですが
鋳肌のまま処理すると発色がわるいことは
想像できます。
殆どのアルマイト品は精密なCNC加工の肌に処理しているため艶があるので
それと同等の仕上がりを目指して
バフ研磨しました。



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ハブ外周はバフ研磨機で磨けるのですが
タコ穴周辺は研磨バフが入りませんので
ホビーグラインダーに細かいフェルトバフ付けて手仕上げしました。

鏡面仕上げは長時間かかるので
鋳肌が消える程度に磨いておきました。

これでアルマイトの発色がよくなることを期待します。







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1月にエンジン止まったKTM350SXです。

燃料系をメインに不具合箇所を調べてきましたが、点火も燃料噴射も異常ないことが分かりました。
しかし、エンジンはかからないまま。

シリンダーヘッドも外してバルブも点検したが圧縮も正常です。

何も異常が発見されないまま元どおり組み立てしてセルスターターを回してみます。
スターターノブを押して冷間始動はできますが、スターターノブを解除すると即座にエンストします。

さて、原因はなんでしょう。
この文章だけでエンジンの構造、特に吸気系に詳しい人なら直ぐに分かったのではないでしょうか。

転倒センサーの故障だインジェクターのリレーの問題だのと全部新品交換したのが可笑しくなってきました。
答えは、何も分解する必要がありませんでした。なぜなら、どこも故障してないからです。

スロットルボディーを清掃しながら気が付きました。
アイドリング調整スクリューを全部緩めてしまうと、バタフライが閉じて吸気の通路が無くなってしまいます。空気が流れなければエンジンは止まりますね。
スロットルボディにはキャブレターのようなパイロット系の通路はないのです。
ボディ周辺と水温をセンサーが検知し、冷間始動と判断して、適切な燃料を噴射するようにプログラムされています。

アイドリング調整はバタフライをチョイ開けして低速回転を保つ仕組みです。
このスクリューが振動で少しずつ緩んでエンスト限界までバタフライが閉じてしまったのが原因です。
アイドリング調整スクリューを締め込んで問題解決です。

Fiモトクロッサー3台目になりますが、初めての経験だったので解明するまで時間が掛かってしまいました。
お陰でカワサキのモトクロッサーも手に入ったし、350はスペアマシンということで2台持ちでいきたいと思います。ウハハハ

練習車:KTM  本番車:カワサキ  いいぞいいぞ
モトクロス・スタートの、今や必需品とも言えるローンチ・デバイス。
フロントフォークを沈めてフロントアップを抑制することで確実なスタートダッシュを得る装置ですが
誰でも使っているので、装備してないと不利です。
殆どの人は用品店で販売されているものを購入して使っていると思いますが、
人と同じことをするのが嫌いなマイノリティーの私は買うより自作派であります。
何故か?その方が圧倒的に面白いからですね。

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初めての構造なので、考えながら作りましたが
想像したとおり動作するかは
実際に使ってみないと分からないと思います。

だから図面値は無くてイメージだけで加工しました。

初めてというのは、既存のデバイスは
ライダーがフロントを沈めて
メカニックがプッシュしてセットする必要がありましたが、これはライダー自身でセットできるしくみになっています。


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セット方法はこのとおり

引っかける爪を押した位置で抜け止めピンを指しておきます。

この状態でフロントフォークに荷重をかけて
沈めたところで自動セットされます。

爪が引っ掛かったらピンを手で抜いて
スタート準備OKとなります。




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フロントブレーキをかけて勢いよくフォークを沈めるだけでセット完了

メカニックが付いてなくても一人でできます。











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外したピンはタイラップなどに差し込んでおけば捨てることなく再使用できます。

私の走るクラスはサイティングラップ後に
素早くデバイスをセットする必要があり
手間取ることがスタート前のストレスになってしまうので、何としても完遂させたかったアイテムでした。

(買ってきて付ければ手間はかかりませんが、作った方が面白いからやっていると冒頭で書きました。)

初めて乗ったFI・MXerは14年型CRF450でした。タイトコーナーの進入でエンストしやすいエンジンで
エンストを恐れてクラッチ切ってばかりなのでタイトターンが遅かったです。
足場の悪いキックでの再始動も難儀で、結構モトクロスが嫌いになった要因にもなりました。
そんな時期にホンダのツインカム&セルスターターの250が発売されたので、最後のレーサーと思って購入して乗っていました。
そして一生に一回くらい外車に乗ってみるのもいいかなと、KTM350に買い替えて2年経ちました。
以前の450と比べてタイトターンでもエンストする気配がなく、半クラッチの頻度も減って乗りやすいマシンだと思って信頼を置いていました。
ところが先日、練習のため乗っていたらコーナーの途中でいきなりエンストしました。
嫌な感じの止まり方だったので、何等かのトラブルだと感じました。
エンジンの再始動は普通に出来たのですが、これまでと明らかに違う、低速が力強くないのでアクセル開けていないとエンジンが止まるようになりました。

パドックに戻って症状を確認します。セルスターターでエンジン始動はできますが、アイドリングさせておくと10秒くらいでエンストします。
トラブルの原因を推測してバラシし始めました。
FIランプの点滅はないので、各センサーに異常はない、バッテリー電圧もセルモーターの回転状態から
十分であろう。
燃料系に的を絞ってインジェクターや燃料ホースを外して汚れや異物の確認をしますが、目視で分かる不具合はない。
あとはタンク内のフューエルポンプを外したいが、埃っぽい場所だったので、走行を諦めて持ち帰って外すことにしました。

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フューエルポンプ外して
実施したいことはフィルターの清掃です。

フィルターは2か所
ポンプに直結したワンウェイフィルターと
ホースの連結部に入ったマイクロフィルターです。







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見た目で著しい汚れは認められないですが

ガソリンが流れる上流側にエアブローして
パーツクリーナーで洗浄して
再びエアブローしました。

先日マイクロフィルターだけ外して試走してみたら少し改善があったものの、エンストは再発したので
ポンプ側も清掃が必要と感じました。

インジェクターも洗浄(外注)に出したいですがフィルターと共に部品注文したので
入荷次第交換です。
最近海外便の入荷が遅く当てにならないので、再使用で組み立てして様子をみます。
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タンク内にポンプを戻す方法です。

ポンプ下側のネジ2か所にひもを括りつけて
ひもの反対側はタンク下部の穴を通しておきます。









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ポンプユニットをタンク内に押し込んで
2本のひもを引っ張り出せばポンプ装着完了です。

思ったほど苦ではなかったです。









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燃料ホース繋いで、ガソリン入れて
エンジン始動確認です。

ポンプ内にエアー入っていますが
セルモーター5秒くらい回し続けてあっさり始動してエア抜き完了です。

しばらくアイドリングで放置しましたが、エンストしません。
ブリッピングも良好です。

直っていると思いますが、今度実走で確認します。



四国に出発前、軽井沢のレースで泥水を浴びたのでKTM350SXFのリヤフォーク廻りを外して
グリスアップ整備したときだと思います。
KTMのスプロケットガードはリヤサスのボトム側チェーンスライダーを兼ねている部品なのですが
先週の練習走行で脱落、紛失してしまいました。
さすがにスプロケガード、チェーンスライダーを取り付けないで今週末のレースを走るわけにはいきません。
しかし、部品注文しても今週中に入荷することは不可能です。

一番確実なのは、スプロケットガード作ってしまうことです。

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伊田さんから450のスペアパーツ借りてきて、見本にして作ります。

先ずはチェーンスライダーを直線でフラットバーから削りだします。

中央の凸のレールがチェーンのローラーに当たるラインになります。







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スライダーを曲げて、エンジンとフレームにマウントするステーを削り出して溶接します。

この形状で車体にフィットすることは確認しておきます。

ボルト穴位置だけでなく
もちろんチェーンラインもフィットしています。







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上が見本の450用ですが350には取りつかないです。

下がアルミで作ったスプロケットガード
これで完成です。

一応、純正部品も発注済みですが
今週末はこれで間に合います。






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工場レーサー風になりました。

加工時間はほぼ一日掛かりでしたが
これが最短の方法なので迷わず実行です。











イタリア在住のお客さんからメールで教えていただきました。
3タイムス・125ccワールドチャンピオン。 キッコ・キオディ


まだ乗っているんですね。ていうか、体凄い。
小柄なライダーとして最高のお手本の人だと思っています。

忘れられないMXライダーの一人。
SUGOの世界戦で目前に見れたとき感激しました。












緊急事態宣言中ながら、不要不急の県をまたぐ移動を行って密にならない場所へ行ってきました。

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おや、噂のガスガスが2台来とるじゃないですか。

AMAスーパークロス開幕戦、J・バーシアによる衝撃の優勝を見たとき、
いままでのガスガスのイメージが一気に変わり、勝てるマシンにチェンジしてしまったのです。(いや、SXに力を入れてなかったメーカーからの転身という意味で)

しかし、それはアメリカの話遠い外国の出来事だと思っていましたが、日本でも急速に増殖してました。
僕の知り合いだけで3人も持っています。


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今日納車ということなので
きれいなうちに写真撮っておきましょうね。

このあと乾ききったパウダーで埃だらけになるのです。

ホイールだけ新品タイヤもったいないからKTMから外したのに交換してあります・・・

実はKTM450SXFと同じ車体ということです。

札幌から納車に来られた元国際A級源治さんに聞いてみたところ
ガスガスはKTMに買収されたから
同じエンジンと車体でガスガス外装にして生産されているということです。
だからスペイン製でなくオーストリア製のGASGASになりました。
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しかし、まったく共通というわけでなく
プラスチックの外装はもちろんガスガスオリジナル形状で
F1のスイッチが省略されていたり、三又の加工方法や
ケースカバーの形状も違っていたり、細かな変更があるようですが

ハスクバーナから踏襲された、ブルートゥースによるマッピング送信システムがステアリングホルダーに装着できるようになりました。
これでスマホのアプリからマッピング変更可能になったそうです。

5周ほど源治さんの新車に試乗させていただきました。サスは当然私には固いままで、途中でストロークが止まりますが、低速からパンチの効いたエンジン、大柄ですが軽い取り回しで156cmの私でも自分のバイクのように乗り慣れることができました。悪いクセがなく良く走るという印象です。
セッティング煮詰めていけば相当いいマシンになりそうです。

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今日は自分のマシン乗り回しです。
路面コンディションが苦手だったので無転倒でほどほどに、がモットーです。

去年からの変更点はTGRホイールに変わっていますね。
ようやく外車のスペアホイール持てるようになったか!
先日WPのフロントフォーク開けてみましたがオイルが全く汚れていなく、そのまま元に戻しました。内部の表面処理がいいのでしょうかわかりませんが、消耗が少ないということはありがたいことです。
アワーメーターは現在29時間ですが、源治さんによると、KTM450はスノーバイクで100時間ブン回して乗っても何ともないと言っておられましたので、これは350ですが、ようやく慣らし完了くらいってとこですかね。



150でレースしなくなって、早いもので8年経ちました。
メンテナンスノートの記録が2012年が最後でしたから。
前の記事で2020モデルに乗ってみたら、明らかにチョット違うと書きました。
それで思い立ったエンジンオーバーホールです。「20モデルと同じにしたい」

パワーに影響する部品は総取り替えです。
クランクシャフト、4軸のベアリング、ピストン、シリンダー、シリンダーヘッド、カムシャフト、IN・EXバルブ
部品代は15万円ですが、新車の3割くらいの出費で同じ走りなら悪くないと思いました。

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4軸のベアリングは左右のケースから抜き取り、ケースをストーブで温めて
ベアリングの自重で落とす焼き嵌めです。
圧入面に僅かな傷で軸芯が狂うのを防ぐ方法です。
ケース内のゴミは完全に除去しないと仕上がりが違ってきます。


組立てより前処理の時間が圧倒的に長いですね。
自分でやるから工賃はゼロですが深夜残業代はでません。


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20モデルが10モデルと違っていた理由が分かりました。

ピストンと燃焼室形状が変更されていたのです。
品番でみると12モデル以降が現行のピストンとヘッドで共通です。

カムシャフトも変更ですが、これは旧型カムシャフトのリコール対策品を適用したものでしょう。
初期型は鋳造カムシャフトでしたが
市場で折れるトラブルが出て製法が改良され強度保証されたと思います。
カムプロフィールは共通なのでパワーに影響する変更ではなかったです。

左がNEWヘッド、右が10モデル。
10モデルの方が燃焼室が狭いのですが、NEWピストンの頭が高く、新型はそれを逃がす形状で
燃焼室が拡大されている様子です。

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左のNEWピストンはインテーク側のバルブリセスが広い面積であることが分かります。

そのためピストンの最頂部が高いのですが
インテーク側の斜面を利用して吸気のスワール(縦渦)を生み出す効果があると思われます。
混合気のスワールは燃焼効率に寄与する効果でパワーフィーリングを改善させているでしょう。

何より人間テスターとしての能力が腐っていなかったことで安心しました。



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燃焼室だけでなく、ピストン裏側のデザインも興味深いです。

左がNEW、右が10モデル

NEWタイプはスカートが少し拡大され
首振り対策されています。
同時にピンボスとスカートを繋ぐリブが内側に寄せられ剛性アップに寄与していると思います。
ピストンは燃焼圧力をピストンピンで受け止めるのでピンボス周りの強度が低いと頭頂部の真ん中から割れてしまうのです。
ピストンのクラックは最もエンジンブローの原因として多いトラブルなので
補強されていると安心して酷使できます。

今日は金曜日ですけどモトクロス練習しました。
平日になにごとか!と言われても、この3か月は土日も全部仕事でしたから、平日に運動して
何も悪いことはないでしょう。

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自宅から30分で来れて平日もずっと営業しているオフロード・ヴィレッジ。

ありがたいですね、この時期絶対儲かってないはずですけど。
維持していくだけで至難の技だと思います。

レースのためではありません。
この体力的にハードでスピード感のあるスポーツは高齢者向きではありません。
単独で転倒する可能性もあるし、走行台数が多ければ他人を巻き込んだり、自分も被害を受ける確率が高まります。

だから体力の衰えかけた年輩は空いている日に走行できることがありがたいのです。

ハードパックのギャップが多い路面でタイヤのトラクションは失いやすく、サスの働きと体の柔軟性で衝撃をいなす乗り方に徹して乗っています。
2020年モデルのKTM350SXはトラクションコントロール・オン、オフ選択でき、パワーモードも2種類、#1は標準、#2はアグレッシブという意味でハンドル手元のスイッチで切り替えできます。
ハードパックでは#1が断然乗り易いです。
TCオンならアクセル急開時にエンジン回転数が4000rpmで抑制してからスムーズに回転上昇してくるので、下手なアクセルワークでもタイヤがスリップし難い性能を発揮します。
車体をリーンさせることでスリップするのは抑えられませんのでスライドのテクニックは通常どおりです。

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CRF450からFI車乗るようになって、タイトコーナーでのエンストがネックになっていたのですが、KTMのFIはエンストし難いので、タイトコーナーの憂鬱が解消されました。
それでも、今日は一回エンストしました。

ところが素晴らしいことに、エンストと同時にクラッチ切って惰性で動きながらセルで再始動、停車することなくリカバリーできました。

走行ライン上で停車することは危険です。特に後続車にとっていきなり避けきれない障害物が現れるわけですから、エンストの罪は重いです。


もうキャブ車やキックスターターのマシンには戻れませんね。

そういうわけで健康維持と老化防止のため平日練習はこれからの生活スタイルです。
天気が良いためか10台くらいは走行に来ていましたが駐車場が広いので「密」になることもなく新時代の幕開けです。


余談ですが、正回転(ダイナモ側から見て左回り)のエンジンはクランクシャフトの慣性モーメントと
一次減速のギヤを介してエンジン単体を後ろ側へ転がそうとする力が掛かっています。
車体全体としては、ドライブチェーンの張力によるリヤサスのスクワットやフロントフォークの反発力などが
組み合わさってアクセル開けるとウイリーになりやすい乗り物であると思います。
ウイリーのメリットは段差を超えたり、人前でかっこつけたいくらいのことだと思いますが、前に進もうとする動きに対してはデメリットとなります。
上手な人じゃないと確実に車体の姿勢が崩れるし、フロントを下げようとしてアクセル緩めるから加速が鈍る。
モトクロスですから発進加速はアクセル全開が普通なので、タイヤがスピンして斜めに走ったり、ウイリーになってバランスを崩したりします普通の人は。
そこで、リッターバイクなんかもっと高度ですが電子制御でエンジンの出力を抑えて、大丈夫な状態を維持しながらパワーを出していく制御系の技術なんです。
即ちアクセル全開でも車体の姿勢が乱れない加速をするためプロのスロットルワークをマシンが自動的にやってくれるというわけです。
これでマシンに乗せられているだけと思うのは間違いで
スピードが上がってくればタイヤも滑るし、大きく跳ねることは同じですから余計なことに気を使わないで
より高い次元でバイクの走りを味わっていけたら充実人生のひとつであるという考えですね。


MXレーサーには安全性のため駐車スタンドを装備していませんから、走行毎に箱型かリフトアップスタンドの世話になる必要があります。最も頻度の高いエクイップメントかもしれません。
何度も使用するから使いにくさがあっては、緊迫した状況の中ではストレスになる原因になるでしょう。

現役時代から自作スタンドを使うことがトラディショナルであったのですが、最近スタンド作ってないなと思い、気がつけば最後に作ってから15年くらい経過しました。
15年使ったスタンドですが、給油などのメンテナンスを行えば何の問題もなく使えるのですが、
マシンは何台も入れ替わっているのに、スタンドは同じままです。
久しぶりにニュータイプのリフトアップスタンドに更新することにします。

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アルミ角パイプで組み立てた、リンク式の
リフトアップスタンドです。

見本になるものはありませんので
加工寸法はオリジナル設計になります。

摺動部分が多いので、滑らかな動作を行うためには寸法管理が不可欠です。
それから、溶接部分も多いので
アルミ材が歪んでしまい、摺動部分の動きを妨げてしまいます。

そこで歪み矯正とアニーリングが必要になります。
具体的には歪み矯正は外力を加えて直し

拘束した状態でアニール(焼鈍し)して常温まで冷えれば設計した形状に直ります。

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2本の柱はフラットバーから削り出し、
軽量化と摺動面積を減らす目的で
溝加工してあります。

ピボットも軸が狂わないようにアルミブロックから削ったものを溶接しています。

作り方の要点として
部品を仮止めしたら、リンクが作動するか確認しながら作業を進めます。
一気に溶接していくと歪みがでて組立たなくなる可能性がでるでしょう。




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一般に売られているスタンドで満足できない理由として、運搬しやすさがあります。

パドックや洗車場へ持ち運ぶために、片手で持てる軽量さが必要なのでアルミ製にしました。
それから、トランポ内の狭い荷室に積み込む際、コンパクトであることが重要で

リフトアップ機能をやりやすくするフットペグを脱着式にしました。スクエアシャフトを差し込んでM6ボルトでロックするだけです。
またスタンド掛けする動作を車両の左右どちらでもできるように、両側ブランクの角材を溶接してあります。

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スタンド組立てできました。
作動良好です。

スタンド下りた状態の高さも重要ですね。
ダウン時、300mm
アップ時、400mm
高さ調整は、リンクシャフトの軸距離を変更するか、上面に板材を追加したりします。

滑り止めラバーはMTB用タイヤのリサイクル品です。
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フルサイズMXerも楽々リフトアップです。

解除するのも簡単、フットペグの下につま先を差し込んで持ち上げるだけです。








以上、快適MXライフのための道具作りでした。
ラインナップ品でも予告して仕様変更することがあります。
およそ20年前(96年から)に作成した古い冶具で3型やAR用も作ってきましたが
そろそろ需要がなくなる頃になって変更することにしました。

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全体的なフォルムは変更ありません。

マウントステーが取り付けられていないのは
これから持ち込まれる車両に合わせて付けるためです。

車両は以前にチャンバー作った2型のCRMですが
社外のサイレンサーに合わせてテールパイプ位置が決まっているので
ノーマルとは違うだろうという予測のため
冶具ではなく車両合わせでマウントステー取り付けします。



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変更内容は2点

パイプエンドのカバーが2重になっていますが、分割できるようにしました。
そのため、ぶつけて凹んでも修理または交換できる構造になっています。

もう1点は組み立てると見えない部分ですが、インナーパイプの差し込み部分。
寸法を見直しメス側に段差加工を施し
内径を同一として排気効率をアップしました。

どちらも工数は上がっていますが価格は据え置きの¥12300で提供しています。
2ストオフロード車向けサイレンサーは全車共通なのです。(消費税10%までは変更ありません)

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CRMサイレンサー作り始めたころは
トレール車限定のエンデューロレースが盛んだったので、それに向けたレース用部品として売っていたんです。

レース時は保安部品も外されていて問題なかったことですが、これを公道で使うようになると法的に問題になる騒音ではないですが、排気ガスがウインカーに当たってオイルで汚れるという打ち上げが出てきました。

ウインカーが汚れないためにサイレンサーの取り付け位置は変更できません。
希望者にはブサイクになってしまいますが
パイプ出口に斜め下方向に曲げたパイプを追加溶接することで対応してきました。
2ストに乗っていてオイル汚れを嫌うというのもどうかと思いますが、走り終わったら汚れを拭き取るか
パイプエンドに曲げパイプを追加する以外に無いと思います。
どちらも嫌だが2ストトレールは乗っていたいという人はノーマルサイレンサーをお使いいただきたい。

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社外サイレンサーのラバーマウントが純正部品でないもの使っていたので
急遽自作ラバーマウント作りました。

5mmゴム板2枚重ねに穴をあけて
アルミカラーを作って組み込んであります。

CRMのチャンバーのラバーマウントと
サイレンサーのラバーマウントは廃番になっていて購入不可能です。

別機種の部品流用するか、自作するしかありませんのでご注意ください。
純正のラバーは貴重品なのでなるべく捨てないで取っておくことをお勧めします。




フルモデルチェンジが噂されているYZ85ですが、16年ぶりにチャンバーの更新を行いました。
YZ85は低速域からアクセル急開してもパワーが出るまで時間がかかります。
そしてパワーが急激に立ち上がってくるので、フロントが持ち上がってしまいます。
このあたりを上手く乗るには回転を中速以下に落とさないこと、低速コーナーは半クラッチで回転キープするなどしてテクニックを駆使する必要があります。
せっかく高速のパワーは出ているのに、コース状況によっては使えないことありますね。

CR85の最終型は05年にチャンバー形状を変更しました。
燃焼室形状とポート位置の変更に伴ってのことですが、CRとYZはボア・ストローク47.5×47.8で
同じシリンダースペックです。
圧縮比がYZの方が高いのとクランクケースリードバルブも影響して高回転高出力型なのです。
そのため低速域を犠牲にしてしまった性能になったわけですが、
逆にピストンリードバルブと控えめな圧縮比のCRをYZに近づけるためのチャンバー形状ではなかったかと考察して、今度はCRタイプのYZチャンバーでパワー特性を見直したものにしました。

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YZに合うように新規作成しました。

冶具も作りましたのでラインナップに加えます。












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ロードテストしてみました。

先にノーマルチャンバーつけて
発進加速
中速から急開
低速走行
高速全開(場所の都合で4速まで)

なるほど低速パーシャル状態から
アクセル開けても加速しません。
しかし、ある回転数から急にパワーが立ち上がってフロントが浮きます。
高回転は十分なパワーです。
真価を発揮するのは12000rpmからですね。

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次にニューチャンバーに変えてのってみました。
同じような確認方法で
低速トルクはノーマルよりありますから
低速走行も楽になりました。
中速から急開してみると
ノーマルほど過激な立ち上がりでなく
スムーズに上昇していくので前後姿勢が乱れにくいです。
それでもフロントが上がってくるのは同じなので戦闘能力はあると感じました。

低中速が扱いやすくなって、ノーマルと同等に高回転まで伸びてくれるはずです。

2018モデル、直に見るのは初めてですが、これぞ新型のThe Motcrosser!ですね。
エレクトリック・スターターは指先の軽いタッチで、コールドスタートにも関わらず瞬間で始動します。
コーナリング中にエンストしたとしても足を着く前に再始動できるそうです。
あれだけ腰痛になるくらいキック踏んでいたのや、再始動に時間がかかって順位を落としてしまったり
そういうことがこれからのモトクロスには無くなるのだ。
不安が取り除かれることで嫌いになっていたレースも楽しみになってくるかもしれません。

リチウムイオン・バッテリーとセルモーターで僅か2kgなのに、潔いことにキックシャフトやギヤも存在しません。Rケースカバーにはキックを取り出す穴さえ無いんです。
走行しながら充電するし、3か月くらい走行しなくても電圧は保てるそうです。

さらにWiFiルーターがLサイドカバー内に取り付けられ、純正のセッティングツール無しでも
スマホでFIセッティングが無線で可能だという。
私が持っているCRFなんかセッティングツールとノートパソコン、12Vバッテリーが必要で
それぞれメインハーネスにカプラーで接続しなければ送信できないというわずらわしさ。
電源は車載のバッテリーを使うのでハンドルのスイッチで起動できるし
アクセル開度や水温、エンジンの運転時間などセンサーで計測されたデータは保存されて
任意に確認できるため正確なメンテナンス時期も設定できるでしょう。

そんなデジタル時代のオートバイですが、マフラー作りの現場はアナログの世界です。

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後方排気のエキゾーストは
特徴的なレイアウトでシリンダーに沿って回っていますが、かつてない太いサイズのパイプのため
手曲げの難易度が高くなります。

φ48.6の90度曲げに失敗して
チタンパイプ1mも無駄にしてしまいました。
限りなく利益が出ないと思いますので
ワンオフ製作しかやりません。

マフラーもレーサーとしては最大級です。
これより軽いやつを作ってほしいという依頼。
音量もノーマルで大きめだというので
手強い相手になりそうです。
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エキパイ繋ぎ終わったとこです。
フランジを固定しないと位置決めできないのですが
このとおり、マフラーとエンジンハンガーが付いた
状態ではアクセスできません。

何回も脱着して確認しました。


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マウントステーとスプリングフック装着。

φ48.6部分の曲げがうまくいきませんでした。
輪切りにしようかと思いましたが
比較的マシな部分を使って繋いでみました。
これくらいが手曲げ限界ですね。








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シリンダーを取り巻くエキパイ。

これは他メーカーのマシンと違って
張り出しがないので
転倒や跳ね石で凹むリスクが無い形状です。

転倒がつきもののモトクロスにはベストな形かもしれません。
後方排気とストレート吸気でなければ
こうなっていなかったはずです。

モノクロスから始まり4ストモトクロッサーや、5バルブなど
斬新なアイディアを世の中に排出して楽しませてくれるヤマハです。














ホンダ車の部品において、開発に長期間を要するものは2社手配していることが多いですね。
その訳は、一つは生産コストを競合するためです。
他メーカーより多くの発注を得るためには技術力と同様に重要な競争力です。
もう一つは生産工場が災害に遭った場合、別のメーカーで代用して量産を止めないためです。

そのため2社には同じ技術レベルを確保するように、最初から発注先をきめないで
開発段階から入り込んでもらう作業が必要になります。

そして国内生産車の大半は北米へ輸出して利益を得ていますから
貿易上の取り決めで米国企業にも一定の割合で発注することになっています。
発注先が違っても同じ図面で生産するわけですから、試作段階から2社の製品の検査や
耐久テストを行って見極めることは言うまでもありません。

そういうわけで、市販モトクロッサーにはショーワSSとカヤバ工業というサスペンションメーカーに2社手配していますが、私の保存用CRF250Rのキャブレター最終車には
フロントフォークがショーワ、リヤショックがカヤバという複合的なメーカーレイアウトを採用していました。

4輪サスペンション(ダブルウイッシュボーン)ではフロントに神戸製鋼、リヤに住友軽金属などという組み合わせもありましたから
前後サス別メーカーは珍しいことではありません。
あくまで完成車開発しているのはホンダであってサスペンションメーカー主導で開発しているわけでないので、分担した方が多くのデータが得られていいかもしれませんが
最終的に量産発注を獲得できなかったら辛いでしょうね。

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09のフロントフォークをメンテナンスするため車両を移動できるように
カヤバのエアサスを取り付けしました。

しかし、09のショーワはインナーチューブ径
φ47に対して
13Mカヤバのインナーチューブ径はφ48でした。

これによってアウターチューブ径も1mm大きいので三又ごとセット交換です。
ステムは同じなのでボルトオンです。




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フロントフェンダーの取り付け面が違うのでフェンダーも13に交換です。

最近のフェンダーは昔と違って
深いM字断面になっていますが、単なる意匠デザインではないようです。

昔のフェンダーはアーチ型断面といえますが、同じ断面積で剛性を上げるため
断面係数が高くなっているのです。

断面係数とは荷重に対する変形し難さを表す数値で
断面形状が3角形が最も変形し難く
平面が最も弱いと考えられます。

折り紙を例にとると、紙自体は自立することなく重力に負けて平らになってしまいますが、折鶴のように紙を折り重ねることで翼や首が自立するのと同じ理屈で
特にレーサーのステアリングに付く部品は軽い方がよい、しかし薄肉では剛性がなくては重い泥の付着で垂れ下がってしまう。
そこで肉厚を上げないで断面係数を上げた結果のデザインがM字断面だったということです。

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上が09カヤバショック
下が13カヤバショック

2者を比較すると
09は車高を下げる目的で
15mmストロークを詰めてあるのですが
取り付け長が軸芯で5mm長く
485mmに対して
13は480mmです。

ところがダンパーストロークは
ボディー端面からスプリングシート間で
09が115mm(ストローク詰めのため)
13が130mmということで
取り付け長が短く、ストロークは長いということが分かりました。
13はCRF450用のノーマルですが250に450用のショックを付けると車高が下がるということになります。

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クラッチは、今使っていないマグラの油圧に交換しました。
加工無しでボルトオンで付きました。

450にはリクルス付けているのですが
オートクラッチの場合、クラッチをレバーで切ったあと、ワイヤーのように戻らず
ピストンが引きっぱなしになってしまい
マスターが動かないという現象になるため
ワイヤーに戻していたのでした。

250に油圧クラッチは操作性最高に軽いです。
1本指でも握れそうです。


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こうやって13モデルの前後サスペンションに交換完了しました。

これは嫁のヒマン防止エクササイズ用です。
お互い熟年モトクロスなので怪我しないように、なるべく良好な状態にしたいです。
嫁は背骨と両腕と片足の骨にボルトが入っていますので、安全重視です。
「2ストは背骨が折れる」とか訳のわからんこと言ってますので、モトクロスは4ストしか乗らんようです。

治具製作が完了して車両返却の準備が整いました。

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今日は天気がいいので
試運転を兼ねてフォトセッション日和です。

1週間以上風邪ひきに見舞われ
体調が絶不調です。
オートバイに乗る気にならないので
アスファルト上でエンジン吹かすだけです。










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暖気運転してから、直線だけ全開加速してみるつもりが

中速域でホイルスピンしてしまうので
パワーが出ていてもスリップするだけです。
タイヤの接地面が数秒で溶けてしまいました。

やはりモトクロスタイヤは土の上でしかグリップ力を発揮できないですね。

急なアクセルワークでも息つきすることなく
強烈に加速しますが
排気バルブの効果なのか
高回転手前でもう一段加速が強まり
回転が伸びていきます。

2段ロケットのような感じです。
中速域はアクセルワークでコントローラブルに乗り、直線では高回転の伸びを使って車速を上げるような乗り方になります。
遠心ガバナーは中間にセットされているそうで、ここからもう一伸びか、中速寄りとかに変更できると思います。

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サイレンサーは菱形断面のアルミパイプ

ノーマルよりちょっと軽いのと
若干ショートタイプ

音はノーマルと同じ感じです。










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これで明日OFVへ納車するだけです。

急な仕事と体調不良で
モトクロスどころでないGWですが
連休明けに通常の業務に戻ります。

今日の残業はコレです。
もうすぐ全日本MX開幕ですから、凹んだエキパイの修理も日程が決まっています。

日常的にやらない修理なので記録に残しておかないと

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2017CRF450のエキパイ社外品です。

早くも凹ませていますが
このまま使うことはできませんね。


直しましょう。









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修理後の状態です。

傷は残りましたが、性能は完全に回復しているでしょう。





修理方法はパイプの開口部(3か所)を塞いで、窒素で加圧します。(およそ10気圧)
直したい部分をアセチレンバーナーで炙って赤熱します。
凸部を板金ハンマーで叩いて均すようにして形を整えると丸く戻ってきます。

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密閉する治具が引っかかるように
ストッパーリングを溶接しておく必要があります。

また直すこともあるので、このまま付けておくとよいでしょう。










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修理作業は3分ほどで終わりですが

蓋を3か所作らなければできませんので
一日掛かりになってしまいました。

修理代ようけもらわんと合いませんね。










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180度曲げのパイプの凹みを直した場合
カーブが10mmほど広がってしまうことがあるのですが
そのときは曲げ戻せば、取り付けに問題ないですが

今回のは1mm以内の歪みだったので
このまま修正なしで取り付くでしょう。

2輪車はエンジンだけでなく回転部分の多い乗り物です。
特に前後の車輪は最も大きな回転部分なので、車輪のメンテナンスを怠っているとマシンの性能も落ちるはずです。
高速道路でバランスの狂ったホイールで走らせると乗れたもんじゃないですよね。
オフロードだから、地面が凸凹なんでわかりゃしねえよ。という考えは浅はかです。
エンジンのクランクシャフトとホイールは駆動系で連結されているので、振れていることが
直接、加速や伸びに影響しているはずです。

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ノーマルのリムで1年も乗っていれば
リムが変形して真円でなくなります。
当然バランスが狂ってきますので
高回転回すほど振動になって回りが悪くなりますので
走りをよくするためには、狂ってないリムに交換してバランスをとる必要があります。

そこで、このDID強リム。
HRCのワークスマシンにも採用されている
ノーマルより高強度のリムです。

新品時にバランスがとれていても、走行中に変形してしまっては性能を維持できません。

なるべく良好な状態を保つために定期的に点検し、振れ取りが出来なくなったらリム交換が望ましいです。

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ハブは柳河精機
スポークは月星製作所(ムーンスター)

本田の純正部品は信頼性の高い超一流の部品メーカーが担当しています。
本田が要求する品質(数量)に応えられる
メーカーの存在がオートバイの生産に不可欠なものです。

1年以上も使ったホイールは泥水がニップルのネジに浸透してネジ山の摩擦抵抗を上げると同時に
アルミニップルとスポークの材質はSWP(ピアノ線)なので電位差からネジ山が腐食してニップルのトルクが上がってしまうか
悪化すると緩まなくなるので、切断するしか分解の方法がなくなります。
これはネジが腐食し始めていたので浸透潤滑剤をつけながら慎重にニップルを回す必要がありました。
ネジが生きていれば再使用するので、全部洗浄して汚れを落としておきます。

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リヤホイールはインナーとアウターでスポーク長が異なります。
フロントより幅広のハブなのでスポークの交差する部分をクリアするためにインナーを内側にオフセットさせた分、距離が遠くなるので長い方がインナースポークとなります。

あとはスポークの曲げ角度とハブとリムのタコ穴の向きが合うように加工されているので
間違った組み付けは不可能な設計になっています。





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専用の触れ取り台は持っていませんが
アクスルシャフトをバイスに固定して
ダイヤルゲージをリムの外周に当てて
振れ取りをしています。

最初はニップルの締め付けトルクを
緩めで均一になるように組立て
縦振れを無くすように締め込んで調整します。
縦振れが取れたら横触れを調節して
最後に全部のスポークの張力を確認して組立て完了となります。




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前後ホイール組み上がりました。

DID強リムの赤は一番人気なので
いつも品薄(というか受注生産)らしいです。

ウーム、また速くなっちゃうなー










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先週末は近所のCB専門店ジェイズさんと居酒屋で会合しました。

ツクバサーキットでZ勢に勝つことが目標だそうで、2バルブのZに4バルブのCBが勝てないことに納得がいかず、日々改良をする状況を伺い面白かったです。

4バルブなんで馬力は出しやすいそうなんです。但し加速は悪くなるので
ストレートの短いツクバでは加速のいいZの方が有利だということです。
私にも解決方法はわからないですが、成功した暁にはツクバサーキットに応援に行きたいと思いました。

実はお話しの大半はM繁さんが普段から取り入れているモトクロストレーニングについての内容で
ロードレースのライダーの多くはオフロード走行の経験が少なく、環境変化に伴うマシンコントロールができていないことが弱点で、頻繁に挙動変化するオフロード走行に対応できれば、オンロードにおける限界が上がると話されていました。
チューンアップとライディングテクニックという壮大なテーマに取り組んでおられる、お侍さんがおられました。



先日サスペンションのブリッツ・Sさんとこへ納品にいったとき
オーナーの中村ホールディングスさんが所有のハーレーダビッドソンFLH1800からインジェクターが外され、インジェクターの洗浄に出す話をしていたので
「私のもやってもらえませんか」と頼みましたら快諾してもらえたので、早速インジェクター外しました。

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4輪ではポピュラーなチューニング方法らしいですが
2輪も吸気系の構造は同様になっているので当然やるべきことだと前々から思っていましたが、なかなか機会がなく放置しておりました。

キャブレターでいうとメインジェットとニードルジェットのような役割のインジェクターですが
精密な部品なので僅かな消耗や汚れで性能が変わってしまうでしょう。

症状としてはインジェクター内のフィルターやノズルが詰まってパワーダウンします。
エアクリーナーに設置されたエアフローメーターで吸入空気量を計測しECUで瞬時に計算された燃料を適切な空燃比で噴射するという離れ技を行っているわけですが、電気的な信号を信頼するならインジェクターは動的な機械部品なので信頼性を保つことがエンジンの性能を発揮するために必要だと考えます。


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これがCRF450のインジェクターです。

フューエルポンプで一定の燃圧がかけられた状態で
インジェクター内のコイルに通電されると
ソレノイドが動いてプランジャーを開いて
燃料を噴射するというしくみです。

したがってプランジャーの開放時間が燃料の噴射量を決定するということなので
今回はその通路を洗浄して
設計通りの流量がえられるようにするという目的です。

施工業者さんから実施前後のデーターもメール送信されますので効果が可視化できます。データーは燃圧2.5ber時の噴射中画像と1分間の消費量で比較したものになるそうです。
燃料消費量が増えることで、元の状態よりスムーズな流れが得られたと考えられるわけですが
パワーアップと同時に燃費が悪くなるとお考えの方は誤りです。
例えば常用回転域でエンジンパワーが低いと余計にアクセル開けて回転数を増そうとしますから
これが燃費の悪化につながります。低速から十分にトルクが出せれば加速もよくなるので
結果的にアクセル開けなくてもよく走るということになるでしょう。

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インジェクター内部は壊さないと見れませんのでノズルの部分だけ観察しますと
このような穴が開いています。

ステンレスの板におそらくレーザー加工された精密な穴は
この機種ではφ5のノズル径に対して、推定φ0・2mmの穴が12個開いています。

この穴径と数が燃料の微細化と流量を決定していることから
吸入空気と吸気ポート内で混ざり合い燃焼室へ取り込まれる工程の要の部分であると言えます。

来週の水曜日に父親の四十九日法要のため、片道850キロ走って帰らねばなりません。
自走で帰る理由は、車両の運搬と納品を兼ねているからであります。

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こんなパイプを作っていますが、1本あたり3日掛かりますので土日休まずにやってもあと2本ちょっとしかできませんが
車両の返却がマスト要件なので月曜夜が積み込み期限で進行しています。

全長長いので通常のチャンバーより溶接が50%多いです。







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ビンテージチャンバーなのでガス溶接で繋いでみました。

車体は返却するので、治具で合わせたものと同等性を確認しているところです。

口元からテールパイプまで長いので僅かに傾いても位置が違ってしまうので、位置決めに相当な時間を割いています。

このような大きな商品は複数梱包すると荷物サイズの関係で、宅配便では送ってもらえません。
梱包も厳重に行わないと、運送中にダメージを受けることになるので、長距離ですが自走で運んだ方が安心ということです。

91年はホンダオブUKを立ち上げるためにイギリスに長期滞在しておりました。
土日は会社が休みなのでレース観戦に出かけるのですが、JULY 7th 開催の世界GPモトクロス500ccクラスは、ある意味で忘れられない日となりました。
それはレース当日の夕方5時の飛行機でベルギー出張の予定だったからです。
移動は出張者全員にカンパニーカーを貸与されていて自分で運転するのですが
会場のホークストーン・パークまで滞在先のファーリンドン村から2時間の距離です。
滞在はホテルを出て駐在員の社宅に居候していて、そこからヒースロー空港までは1時間の距離です。
F1レーサーのアイルトン・セナがスピード違反でつかまってニュースになったM40(モーターウェイ)を走ります。
この移動時間から、飛行機に間に合うためにはファーリンドンの社宅を3時出発がリミットでした。
従って早朝、ホークストーン・パークへ向かって午前中、500ccの公式練習と前座の250ccクラスのレースを観戦しました。
250のレースは当時AMAチャンピオンだったJM・バイルも出走していましたが、地元のカッコ悪いオッサンが速くて勝てないくらいレベルの高いものでした。
イギリスのコースはここに限らず、自然の地形を利用したものが多く、ハイスピードでテクニカルなものです。
日本に見られる狭い土地を平らにしてジャンプを造成したようなコースではスピードのレベルが違うことが分かります。
しかも長距離移動しなくても多くのサーキットが存在するし、ドーバー海峡を渡ればすぐフランスという立地の良さですから優秀なレーサーが育つのも当たり前かもしれません。
結局500ccのレースはスタートだけ観て、急いで帰りましたので決勝レースは観てなかったのでした。


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ホークストーンの売店で買ったTシャツ

KX500に乗るUFOのジャージは英国人ライダー、ポール・マリーンがモデルです。

この年はジョルジュ・ジョベがCR500の市販車で500ccタイトルを取りました。
ジョベやJ・マルテンス、B・ライルズなど本物のGPライダーの走りを目の前で観れたことに感動です。





ヒースロー空港に着いたのは搭乗時間30分前でしたが、同じ会議に出席するパーチャスセクション(購買部)のリック・スミスと偶然合流できたのでチェックインもやってもらってスムーズに飛行機に乗れました。
ベルギー・ブリュッセル空港には栃木からチーフエンジニアと現地法人の日本人が合流してホテルへ向かいました。
翌翌日はドイツ・ハノーバーで別のメーカーで会議。ドイツとイギリスは時差が1時間ありますので帰りの便は夕方5時にハノーバー発、5時ヒースロー着という不思議な体験でした。飛行は1時間でしたが地球の自転に逆行しているからなのですね。
ハノーバーの売店でスミスさんに「友人のコバヤシにドイツのエロチカルマガジンをお土産に買ってやりたい」と告げて本屋で物色していると、スミスさんが「そんなのイギリスにも売っている」と言うので
「いやいやドイツでしか売ってないのを探しているんだ」という意味の英語で伝えました。
法律でイギリスでは、男女の絡みは掲載禁止になっていますがドイツではOKなので、それを探していたのです。
ヒースロー空港に着いたらロングタームの駐車場に停めた社用車のバラードに乗り込もうとしたら、スミスさんが「ワイフに乗せてきてもらったから乗せて帰って欲しい」と英語で言うので乗せてあげました。
威勢よく走りだして、ヒール・アンド・トーでアクセルを吹かしながらクラッチミートさせていると
スミスさんが興味深く私のアクセルワークを見て「ヒール・アンド・トー!」と発声してました。

後日、国内のメーカーに出張するとき、今度はスミスさんのドライビングで乗せてもらって驚きました。
まるでラリードライバーのようなドライビングテクニックでタイヤをスライドさせながらブラインドのワインディング道路をカッ飛ばしていくのでビビリました。
モータースポーツの国ですから一般ドライバーが既に速くて上手いのです。
日本のように信号と一時停止で交通を遮断している国とはスピードに対する経験が違うようです。








預かり期限付きのYZ250のサイレンサーを作りました。
チャンバーも作る予定ですが、鉄板の在庫が無くなって取り寄せ中なので
アルミサイレンサーから先に取り掛かることにしました。
ラインナップ品ではありませんので、注文されても車体合わせなしでは作れません。
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構成部品をひとつずつ、加工していきます。

ステンレスパンチング以外はアルミ製です。











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車体に取り付けながら、サイレンサーの位置、マウントステーの寸法などを決めていきます。

図面指示はありませんので、目測で最適な位置を検討して決めています。
ようするにフリーハンドですから
2度と同じ物は出来ません。






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バフ研磨して、グラスウール詰めて組み立て完了です。
エンドキャップは通常リベット止めですが
お客さんの要望でM5ビス止めにしてあります。











明日からチャンバー製作に掛かりますので3日ほどお待ちいただきます。
実は06年アルミフレームにモデルチェンジされてからYZ250チャンバーは作っておりませんので
今回が新作になります。

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パイプは繋ぎ終えましたが
鉄フレームに比べてアルミフレームは厚みが違いますのでスペース的に狭いです。

元々コンパクトな取り回しを求めて、エンジン、フレームにギリギリの隙間で作ろうとするものですが
本当にギリギリで数ミリで交わしている部分があります。
パイプ本体は割りとスンナリ取り外しできましたが、テールパイプを溶接した途端、フレームを通過できなくなりました。
知恵の輪のようにひねりながら押し込む感じで、やっと取り付いた状態です。

マウントステーはこれから付けますがその前に、特別な追加工をする予定があります。

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これが追加工のパーツです。

エキパイより板厚分大きいパイプを作って
半分に切って使います。










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ツインウォール加工です。

250チャンバーは左右の張り出しがあり、転倒するとチャンバーが凹むだけでなく
最も外径の小さいエキパイ部分が曲がってしまいます。
この部分のパイプ強度を上げてダメージを抑えようという目的です。

これは試験研究の一環なので、お客さんの了解を得て追加料金無しでやらせていただきました。
加工時間と工数がどれくらい必要なのか確認する目的なので、通常品には行っていません。

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マウントステーも取り付け完了しました。

これで全工程終了です。

鉄フレーム時代、90年代と2001年ころにA級250で2人のライダーに装着していただきポイント獲得できたチャンバーと同スペックで作ってあります。
一桁入賞はワークスライダーなので、プライベートで15位以内入れば上々の結果だと思います。



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クネクネと複雑なカーブを描いてフレームに押し込んであります。

90年代からマスの集中化ということでタンク位置が下げられ、チャンバー位置がエンジンを囲むようにレイアウトされた、通称ローボーイが4メーカーで主流になりましたが、左右の張り出しと地面との近さから、コンパクトにレイアウトすることが命題となってしまったので、大変苦心したデザインであります。


07年を最後に生産中止になってしまったCR85ですが、ここに保存されようとしている1台があります。

05モデルを私も所有していましたので、チャンバーとサイレンサー、アルミサブフレームなど作っていました。MFJ公認レースではサブフレームの純正以外の使用を禁じていますので、趣味的使い方が目的です。中古で入手したサブフレームが歪んでいたらしくシートが取り付かなくなっていたのを修正に持ってこられた車両です。

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サブフレームの歴史は83年モデルCRシリーズ125、250が最初です。それまではシートレールがメインフレームに溶接されていましたから、クリーナーBOXの脱着性が悪かったり、シートレールが大きく曲がったときは直し辛かったでしょう。

アルミサブフレームを初めて作って一般向けに販売したのはトライアラーRTL用で、川越街道沿いのホンダショップ和光で扱っていました。

製造はドリーム・トキで、CR用も作っていて神戸のワールド零パワー(杉尾良文さんの店)でも扱っていました。

それ以外ではアルミサブフレームは成りを潜めていた感じでしたが、MFJレギュレーションで使用禁止では現役レーサーはレースで使えませんから仕方ないでしょう。

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なんと、この車両は我社のチャンバーとサイレンサーもチョイスしていただいてます。

サスペンションもブリッツ・シュネルでモディファイされているようで、大人のミニモトという感じに仕上がっています。

2ストCRは段々部品が無くなっていき、現在レースで乗っている人もいずれは、別の車両に乗り換えていくことになりますので、いつか誰も持っていない時期が来るでしょう。

そのときに本当に貴重な1台となっていることでしょう。

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苦労して作ったサブフレームもカバーをつけてしまうと、殆ど見えなくなってしまうのが残念なとこです。

 

これは、ラインナップではありませんが、お客さんの要望で作ってみました。

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アルミの筒とチタンカップの組み合わせですが菱形断面にしました。オーバルより曲率の小さいR曲げにより剛性があがります。

その反面、チタン板の曲げが固くで難義です。プレス機なしで手加工ですから力技で成型しています。

250サイレンサーと同じ形状ですが、450の排気量にあわせて全長で50mm長くしてあります。完成してから2mMAX法で音量計測します。

 

 

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2012年型CRF450です。オーナーはフラワーオートの嶋野さん。

80年代、ATV協会創世記のころの3輪バギーチャンピオンで、あの"ダミアン号"の運転手でした。60歳過ぎても新型の450でMXでトレーニングする理由は、同年代の仲間が薬飲んでないと健康でいられないのに、MXで体を動かし汗をかくことで体力を維持するためだといいます。

友人が「嶋野くんは本当に薬を飲んでないのか?」と驚いて聞かれたので「MXが薬の代わりだ、バイ〇グラは時々飲むけどな」と笑いとばしたそうです。

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サイドカバー付けた状態ですが、サイレンサーエンドの位置がノーマルと同じです。

エンジンかけて吹かしてみましたが、アクセルのレスポンスもよく乗りやすそうです。騒音も思った以上に静粛で、2mMAX法で計測してみましたら110.6dBでしたので250と同等の消音性能を発揮しています。

今年、MCFAJも登録されたそうなのでレースの方も頑張って続けていただきたいと思います。

05年の全日本MX会場の和寒でヤマハのパドック前に展示されたアルミ合金製ハイブリッドフレーム。ハイブリッドとはダイキャストや鍛造という異質な製法で作られたパーツの複合体であるという意味。

そして06年モデルとして発売されたアルミフレームのYZ125が最終仕様という認識でした。 CIMG0375.JPG

これはお客さんがエンデューロ用に購入したマシンです。

実はYZ125チャンバーは高張力鋼管フレームの時代にラインナップしていましたので、エンジンの基本は大差ないだろうという考えで当時もののスペックで製作しました。

最終型のパイプ形状が若干変更になっており、治具に取り付かないので車体合わせのワンオフ製作です。

我社のチャンバーとヤマハエンジンとの相性は良かったと思います。YZ125に乗った忘れられないライダーがいます。

彼を初めて見たのは守谷のコースでした。

KXに乗っていたA級の若手で、千葉の八街市在住ということで名門習志野レーシングかと思っていました。すると翌年YZに乗り換えて、チーム登録は土浦レーシングになっていたライダーの名は斉藤慎也です。全日本A級でチャンバーサポートして最も好成績を挙げてくれたライダーと評価しています。

01年にA級125クラスで4位入賞でしたが、常にトップを狙う意気込みでした。翌年250クラスにステップアップして、YZ250のチャンバーも作りましたが、トップカテゴリーで15位以内ポイント獲得していましたので若手最有力ライダーでした。

当時チームYZでは、ノーマルで勝てるマシンを証明するということで、社外のパーツ装着を一切禁じていましたが、斉藤選手は「チャンバーだけはこれを使わせて下さい」ということをYZのスタッフに願い出て認めていただいたという経緯がありました。

なんと律儀なことか、作ってもらった物に対する思いというか、なんとしても結果を残したいという意欲が他のライダーと違っていたように思います。残念ながら菅生でヤマハの合同練習中に不慮の事故に遭い選手活動に支障を来たして辞める結果になってしまいました。

そのころから、菅生の赤土の路面は予期できない滑りで頭から落下して死亡したり重症にいたる事故が続いたので路面の改善に力を入れ始めたということで、斉藤選手をはじめ、幾人かのライダーが身をもって危険箇所を教えてくれて、路面の改善を実現してくれたものと感じています。

 

スズキRMの前のモデルはTMという名称でした。昭和38年生まれの私でさえ乗ったことがありません。

エンジンや車体はほぼハスラー250ではないかと思います。ハスラー90は持ってましたけど、何処へやってしまったかさえ覚えていない遠い昔のことになってしまいました。

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さて今回の製作依頼はTM250のチャンバーです。下に置かれた純正品が老朽化のため新作することになりました。

当時のレーサーはサイレンサーもありませんが、テールパイプにスプリングフックは付いているので

オプションでサイレンサーを装着できたのでしょう。

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潰れたノーマルチャンバーを元に採寸して製作したニューチャンバー。

 

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口元フランジも絶版ということで、新作し、ニューチャンバーとセットになります。

採寸した諸元はこのようにガバリを作成して鉄板に罫書いて製作します。

IMG_0695.JPGそして、オプションのサイレンサーも取り付けました。

 

レストア中のこのマシン、クランクケースもOH中なので内部が確認できますが

これはプライマリーキックではないことが分ります。

最近のオートバイは全てプライマリーが当たり前になっていて、ギヤが入っていてもクラッチを切ってエンジン始動ができる構造になっています。

それはキックギヤとクラッチアウターのギヤの間にプライマリーギヤが存在してメインシャフトの連結をクラッチで解除しながらクランクギヤを回せることで、ギヤが入っていても始動できるわけです。

しかしTMにはプライマリーギヤの軸穴が存在しないことが右ケースを見れば分ります。

キックギヤとカウンターシャフトのギヤが直結の構造です。

即ち、ギヤをニュートラルにしてからキック始動できたということです。

ギヤが入っていれば押しがけはできますから、ロードレースでも押しがけスタートが主流でした。

モトクロスでは、今のようなスターティングマシンは無く、エンジンを止めた状態でオフィシャルの日章旗を振る合図でキックスタートでレースしていました。

当然、右足でキックして、左足でギヤを入れてスタートするわけですから、予めギヤをいれてキックできるプライマリー車の方がスタートが優位だったわけです。

古いマシンを乗っている人を見て、「新型のマシンの方がいいよね」という人がいますが

これは古い名作映画を観たり、懐かしい歌謡曲を聴いたりするのと似ていると思うのです。

新型が性能がいいのは当たり前、いつまでも自分の青春時代のマシンを楽しんでいたいという欲求があることを非常に理解できます。

このダウンチャンバーのリバイバルは口元フランジとサイレンサーも新作で3台分同時に、しかも前金で依頼されていますので、他の仕掛かり業務も含めて8月中に急な依頼がありましてもお引き受けできませんのでご了承ください。

2010モデルYZ250F用のエキパイをラインナップに加えました。 IMG_0663.JPGチタニウム製のエキパイとサイレンサーを50mmショートにしてオリジナルリヤパイプに換装しました

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エキパイはノーマルと等長ですがレゾネーター付、実用回転域のコントロール性向上と音量の低減が目的です。

サイレンサーはノーマルで音量に余裕があるのでショート化して排気抵抗を減らす目的です。

チタニウム製のオリジナルリヤパイプは騒音と排圧の調整をしたもので

音量は5000rpmで92dB/AでありますのでMFJのレースでも使用可能です。

気になる価格は、

エキパイ ¥21000(税込み)

リヤパイプ (ノーマルサイレンサー組み換え工賃込み)¥15750(税込み)

IMG_0300.JPG IMG_0149.JPG85ccモトクロッサー国産4メーカーとKTMに対応したチャンバーとサイレンサーを製作し、供給して参りましたが、現在のラインナップは以下のとおりです。

ホンダCR85 チャンバー サイレンサー 04以前、05~モデル

ヤマハYZ85 チャンバー サイレンサー 02~モデル

カワサキKX85 チャンバー サイレンサー 05~モデル

KTM85SX チャンバー サイレンサー 06~モデル

主なレース戦歴

CR85 04,05キッズスーパークロスチャンピオン

CR85、YZ85、KTM85SX 全日本レディースで優勝あり

価格4メーカー共通

チャンバー ¥18000 

サイレンサー(MFJ対応) ¥12000税込み 送料別途

全機種受注生産です。納期はお問い合わせください。

綺麗にレストアされたCR125、機種番号444。鉄騎兵跳んだモデル

全塗装に再めっきで新品シートレザー、新品プラスチックパーツ、アルミタンクは純正品をワークスもどきに追加工したスペシャル。リヤショックは懐かしいFOX製エアショックだ。

ご注文はチャンバーとサイレンサー。純正スペックを復刻したオリジナル製作、サイレンサーはノーマルがスチールのところオールアルミでスペシャル仕様に変更した。

生産台数2台のワンオフ(ツーオフ?)マフラーの完成です。

これでオーナーさんは今年のVMXに参戦する模様。IMG_0265.JPG

【サイドビュー】

新車のマシンを走らせる前に、先ず自分好みの仕様にコーディネートする。

コンセプトは、買ってきたものは(メーカー純正品以外は)極力使わない。自分で手間をかけた部分だけがオリジナルなのだ。
新品のホイールをばらして、リムはアルマイトにハブは塗装で足回りを引き締めて魅せる。
エンジンも下ろしてフレームやリヤサスも塗装する。
やはり、うちのレーサーは黒が純正のカラーだろう。
しかし、プラスチックパーツは本職のデザイナーが作った純正のままがいい。
実は黒と赤の色のコーディネートが最強の色相なのだ。
余計な飾りも不要、ノンスポンサーを強調することが、オリジナルの意気込みを表現する。
要するに、人にやってもらったことに対してあまり価値観を見出していなくて 自分で手間をかけた部分にマシンいじりのロマンを感じているわけだ。

【サイドカバーはずし】

ノーマルと明らかに違うスタイルはエキゾースト。
チタンニウムのエキパイは去年から使用している物でエンジン特性が気に入っているので再使用した。
焼け色が変わっていくのも楽しみの一つ。
全体が焼けたら、サンドペーパーで磨いて何度でも新しい焼け色を楽しめる。
一見ノーマル風のサイレンサーは中身とエンドパイプがオリジナルのものに取り換えてある。
シングルのエキゾーストをデュアルに作り変える試みだが、排気音とパワーの出方を変更する目的だ。
アルミのブレーキとチェンジペダルは他機種の純正部品で流用しただけ。
フロントエンジンハンガーはノーマルの高張力鋼板から超ジュラルミンの削り出しに取り換えてある。

【リアフォーク・スプロケット】

150R最大の欠点であるリヤフォークの強度不足を対策した補強リヤフォーク。

7Nー01材で曲げ応力が最大になる箇所の断面積を30%増して対応している。
町工場はメーカー任せにする必要はないのだ。
一見スペシャルのスプロケットはノーマルベースで112個の穴空けをして軽量化した。
ノーマルはなんと、820gも重量があるのだが、570gまで落とした。
しかし、タロンのアルミは270gしかないので2倍の重量だ。(残念)
但し、耐久性は3倍くらい期待できるので、コストパフォーマンスで断然勝っているはずだ。

【デュアルマフラー】

テスト中の新型構造はマフラー内部で二股に分岐させ、2本のパンチングパイプを通って排気され る。
ノーマルの開口面積と同等の2つ穴にした場合、約1dB排気音が上がることが分かった。
排気を2列にすることで排気ガスの流速があがるためと思われる。
これがパワー的に有利だということを示しているのだが、あとは、パイプ径の調整をすれば音量のコントロールも可能だ。

とにかく、いつも同じマシンに乗っていたのでは、ライディングそのものの情熱が冷めていってしまうので 常に新しい試みと、ベストコンディションを保つメンテナンスを怠らないことがモトクロスを長く楽しむ秘訣ではないかと思う。

2スト車の車体に4ストエンジンのスワッピング(換装)は何度もやってきた。 しかし今回のスワッピングは今までのとはわけが違う。

これまでのエンジンは旧式の空冷2バルブであったのに対し、これは新型の水冷4バルブだ。 おそらく日本で初めての組み合わせだろう。前後サスペンションはホワイトパワー。リヤはリンクレス。 ブレーキはフォーミュラの対向ピストン。国産には採用されないヨーロッパ製品が目を引く。 画像はエンジンのレイアウトを検討している様子でエンジン位置は決定したがフレームのパイプは繋がっていない。高くなったキャブレターにあわせたエアクリーナーの変更、シリンダーヘッドをかわしたガソリンタンク製作、フレーム中通しの専用エキゾーストパイプetc.難題山積みである。 おそらく実走できるのは夏頃だろう。

 この製作計画を聞いて殆どの人は無意味だとか、改造しないでそのまま乗るのが一番いいとか思われるだろう。 実は製作を担当している自分自身も同様に思っていたのだが、製作を諦めさせる説得をしながら、自分の気持ちが完成させて走らせてみたい方向に変化していった。

これを無意味なことと思う人は、マシン選びにどれ程の理由があるだろう。 メーカーのイメージであったりレースで上位を走る機種であったり、バイク店との付き合いであったり。いずれにしても明確な根拠は存在しないはずである。しかも、高額な支払いをして手に入れたマシーンも翌年にはあっさりモデルチェンジされて旧式になってしまう。本当に乗りたいものを決める手段が完全にメーカー任せになっていて、お客さんは踊らされている状態だ。そんな宛がわれたような選択肢では、ただ流行にながされて、他人の真似しかしない日本人の一員になってしまう。

他人と違う方式を試みる精神がこの車両の製作に現れているではないか。 これが完成して走っている姿をみて、どんな乗り味なのか興味を持つ人は多いだろう。しかしその答えは作った者、乗った者にしかわからない領域だ。

 無意味だと思う人には一生わからない答えだろう。 そしてこの製作を実現する手段に弊社を選んだ依頼者に満足していただくために腕を振るわなければならない。

チャンバーは溶接が主な作業と思われがちだが、実はこのような部材の成形に製作時間の大半を費やす。紙の上に設計されたパイプはテーパー状で、複雑に曲がっているため、形状を思い通りに仕上げることに長年の経験が必要となる。写真のパーツは一台分でつないだ全長は1メートルほどになる。ここまでできれば8割完成したも同然。 溶接でつないだパイプの完成品。成形された寸法精度が上手くできていれば溶接は容易にできるが、誤差が多いとつなぎ目に段差が出来たり、カーブが狂ってきて不良になる。パイプの成形が完成品の良否を決定する。この後、治具に装着し、テールパイプやマウントステーを取りつけて完成するが、全工程で15時間費やすのに、溶接は2時間くらいの作業だろう。コンピューター制御の工作機械全盛の世の中だが、チャンバー製作は自動化が不可能な手工業の世界でしか実現しないのだ。
アルミタンクはワークスモトクロッサーだけの物ではない。70年代後半までは量産車がアルミタンクだったのに、大物は金型でプレス成形されるが、溶接などハンドワークの部分に熟練が必要なため、生産性のよいプラスチックタンクへと変更されていったのだ。 昨今のビンテージオフロードの盛り上がりで70年代後期のレーサーもレストアされレースに参加する台数も増えてきた。ところが30年も前のプラスチックはどうしても劣化が進み、軽い衝撃でも割れてしまって、ガソリンが漏れてしまうのだ。接着材で補修しても耐ガソリン性のものはなくて使い物にならない。塗装しても揮発するガスで塗膜が剥がれてしまう。 そんな悩みを解決するためにアルミタンクを製作することにした。タンク専門の会社に依頼すると、量産とそっくりな形状の品物ができるが、必要なモデル代、金型代、を負担した上に製作費がかかるので、すくなくとも35万円は かかるらしいが、お客さんの依頼は1個だけなのでそのような金額では諦めてしまうだろう。今回はプレス成形を行なわない方法、アルミ板から叩き出す板金手法で作ったタンクだ。 全体のデザインを決めるアッパーハーフをハンマーで叩きながらカーブをつけていく。見本と見比べながら感を頼りに曲げていくのだ。一枚板では不可能なので、要所要所分割して成形して溶接で組みたてていく。フレームに組みつけるロアーハーフも車体に取り付け確認をしながら成形していく。アッパーとロアーを接合する前に形状を整えないと、後からでは叩けないのだ。溶接が全て終了したら、水を満タンに入れて洩れがないか確認する。エアーを入れて水没させる方法もあるが、加圧してタンクが膨らんでしまうことがあるので、水を入れた方が安心なのだ。これでプロの塗装を施せば、アルミ製の複製タンクであることはよく観察しないと気がつかないだろう。 アルミタンクはけしてワークスチームだけのものではない、むしろ庶民的な旧車マニアのためにあるのだ。

IMG_0088.JPGRF125R、オリジナルアルミフレーム

エンジン XR100モディファイド

前後サスペンション CR85R2

エキゾースト オリジナルチタニウム&アルミサイレンサー

ガソリンタンク オリジナルアルミタンク

レース 06イバモトGPS優勝車両

プレシャスファクトリーによる実験車です。

アルミフレームの試作により強度、走安などの確認を行う目的でした

詳細は極秘です。