■ コラム

私の生まれた年に生産発売されたヒストリックバイクがあります。
名神高速も開通してない1963年に鈴鹿サーキットを建設し、レース組織MFJを発足させ
同時に第一回日本GPロードレース選手権にエントリーするための市販レーサーまで生産したホンダ。

その記念すべき最初の市販レーサーCR93(125cc2気筒)であります。

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CR93ロードレーサー
これと同じ車体の公道バージョンも発売され
総生産台数200台余りという希少モデルですが
同じ町内会のレストア場で全バラのCR93を見ました。
殆ど知らなかったですが
63年当時のエンジンがツインカム、シャフトドライブのギヤトレインと4バルブの2気筒であることに驚きました。
後世に同じスペックの125ccは生産されてないですからね。

そして運のいいことに、もう一台のCR93が組み上がったばかりで庭で押し掛けしてエンジン音を聞かせていただくこともできました。
過去にきいたことのないレーシングエンジンのサウンドにしびれました。
私の地元から近い香川県にはCR93が多数保存されているらしいですから不思議なものです。


市販レーサーCR93のベースとなったに違いないワークスマシン、RC143

おそらく世界でもトップクラスの予算を投じたレストア工場がホンダコレクションホールだと思いますが
そこで動態復元のための作業を収録した番組です。

展示車を見ても分からなかったエンジン内部の秘密が明かされます。
抜き取られたクランクシャフトから同爆(360°クランク)であること
2本のカムシャフトの回転方向を同一にするためのプライマリーギヤを含めて4枚のカムギヤが
ヘッドに繰み込まれていること。
通常バルブのシートリングをベリリウムカッパーで製作し、液体窒素で冷却収縮したものをはめるのが定番のヘッドチューンですが、これは燃焼室全体を一体型のベリリウムカッパーで製作して、アルミのシリンダーヘッドに繰み込んであるということ。

63年の図面は手書きの紙図面でありますから、再生する部品の生産を現代の加工機で作るための
データ化など、大会社の動態復元の手法が垣間見える、よい動画でした。

マスプロは自動車部品の場合、高額な金型代をPayするために1万個以上製造する前提で行います。しかし、ここにあるものは少量生産にも関らず金型を起こして作っています。

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ビンテージMXのHollyさんから支給していただいたサイレンサースキン。

アルミのプレス成型品ですが、これを作るためには、上型とシワ押さえ付きの下型と100tくらいのパワーが出せるプレス機械がなければ、この形状は絞れないでしょう。さらに外周のバリを一発で抜くヌキ型を用いないと合わせ面が歪んでしまいます。

世界中の顧客の要求に応えるためとは言え、少量の生産にこれだけの投資に踏み切る背景にはビンテージMXに掛ける並みならぬ情熱を感じます。

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これは支給されたサイレンサースキンを使ってサイレンサーを組み立てる工程です。

テールパイプのサイズがφ22.2に会わせて成型されていますので、ステンレスのパンチングメタルを巻いてインナーパイプをつくります。

位置決めのリングとテールパイプを差し込むカラーも取り付けておきます。

 

 

 

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グラスウールを両方のスキン内側とインナーパイプに取り付けて接合する準備をします。

グラスウールは圧縮してサイレンサースキンを万力で挟みます。

スキンのバリの部分を数箇所づつ、TIG溶接で仮止めしてから本溶接にかかります。

 

 

 

 

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溶接はなるべく止めないで一気におこないます。

アルミが暖まった状態の方が溶融速度が上がるので、冷えないうちに付けてしまうのが効率がよいのです。

テールパイプへの固定はテンションスプリングを用いますので、スプリングフックも取り付けしています。

 

 

 

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装着確認です。

部品メーカーでマスプロされたような外観ですね。

これで、この商品が完売されることを期待いたします。

震災の前日から製作に取り掛かっていたタンク作りですが、3日ほど動揺して通常の業務ができませんでした。とりあえず、やりかけた仕事を完了させるべく再開しましたが、計画停電で一日のうち3時間くらいは業務中断になってしまい、非常に効率悪いです。

被災地の電力不足、燃料供給不足を考え、工場の空調や石油ストーブを止めてやっております。幸い寒冷地ではないので、寒いですが我慢しながら仕事しています。これも支援の一つと考えております。

義援金や救援物資だけが災害支援ではありません。最も強力な支援は国の力だと思うのです。自衛隊や消防庁に指令を出したり、車両を動かしたり、職員の人件費を払ったり、全て税金でまかなうのですから被災していない地域の人ができる最も重要なことは、今やっている事業をしっかりと遂行して税金を払うということであると思っています。

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アルミ板金でこしらえたガソリンタンク。

オーナーさんはジムカーナでNSR250に乗っていますが、ノーマルタンクの張り出しが大きいことと、エアクリーナー吸気口を塞いだデザインを改善するという目的でタンク製作に踏み切りました。

フィラーキャップはノーマルを使用していますので鍵を使って開閉します。

 

 

 

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タンク底板の形状です。エアクリーナーボックスを逃がすデザインです。

中央付近に二つ穴が設けていますが、フィラーキャップの構造上、エアベントと水抜きのパイプがタンク内部を貫通しています。

 

 

 

 

 

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車体に装着した様子です。

フューエルコックは左下に設置してあります。

レーサー用の部品で、リザーブ無しです。

タンク容量は13L、大体これでご要望にお答えできると思います。

停電や燃料の調達が悪く通常より効率悪いですが、まだまだバックオーダー抱えておりますので、なるべく早く仕事を進めていくだけです。

91年頃、会社員として最後の仕事。当時ホンダがエンジン供給して英国ローバー社で自動車を生産していましたが、次のプロジェクトは英国で完成車工場を立ち上げることでした。エンジン工場はすでに稼動していましたが、車体工場は全くの更地の状態。部品メーカーの選定や打ち合わせ、職場に導入する設備の調達などの目的で英国に長期滞在していたころの話です。

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勤務先のホンダオブUKは土日休日のため

休日は社用車を借りて観光です。

これはバッキンガム宮殿前、エリザベス女王の住居ですね。

イギリスは道路が発達していてロンドンを中心としたリングロードと放射状に伸びたモーターウェイは日本が明治時代に首都圏の道路の構造を参考にしたというほど昔から完成されたものでした。

移動の殆どは社用車で行うのですが、ロードマップを見ながら好きなところへ行きます。

大抵の日本人はゴルフ三昧で、サマータイムの時期は、夜10時ころ日没なので平日でも夕方からコースへ出てラウンドできるくらい昼間が長いのです。冬は逆ですけど

朝は3時から明るいですし、一日が非常に長く感じられます。

 

 

 

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英国は街ごとにレース場がある感じです。

国土が適当なアップダウンがあって樹木が少ないのでMXコースが自然の地形のままできるのです。一日に何回も小雨と晴れが繰り返す天気なので、コースコンディションが常に良好なのです。

それからオートバイメーカーの多さでは日本の比ではありません。さすが産業革命の国、日本メーカーは英国車の真似をすることからオートバイ製造が始まったのでしょう。

そして、ライダーの体格。250ccのマシンがまるでミニバイクのように見えます。この男たちとぶつかり合うことが日本人にとってどれだけ不利なことか、この男たちの体格を見れば想像がつくでしょう。

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ブリティッシュチャンピオンシップのスタートです。美しい緑のコース、どこでもこんな感じでパドックも観客席も緑の草で覆われています。

人口的なセクションを作らずとも、ダイナミックなコースができています。

英国ではライダーのことをジョッキー(騎手)と呼びます。オートバイが馬の代わりであることを示す文化の象徴でしょう。

このレースのスピードを観て、当時全日本チャンピオンだった宮内選手が彼らと走ったとして、はたして通用するだろうか?と思いを馳せましたが、その答えは翌年、鈴鹿サーキットで開催された世界選手権で答えを知ることができました。

 

 

CIMG0264.JPGプライベーターのマシンと思われますがメーカーのロゴを大きくアピールしたグラフィックはヨーロッパからの発案でした。

日本ではこのようなオリジナルのデカールなどはワークスマシンだけのことで

市販車に貼るデカールなどは全く見られませんでしたが、英国では既にオリジナルデカールが多数販売されていました。

 

 

 

 

CIMG0266.JPGレース場の売店で現地のオリジナルデカールを購入して自分のマシンに貼っていました。

日本ではこれが最初だったでしょう。

テクノセルというノンスリップ加工のシートレザーも現地で仕入れてきました。

マシンは91年型CR125Rですが、長期出張で練習不足。この年は殆どレースにでられませんでした。

それが会社を辞めることになった一因かもしれません。

 

レースの開催日や場所は現地のオートバイ雑誌を購入して調べて行っていましたが、その雑誌の記事のレベルが日本のものとは隔絶したものを感じました。例えば素人向けのメンテナンス講座などではなく、本職のオートバイ屋が参考にできるような解説とか。

ステアリングヘッドのベアリングの圧入が緩んでしまった場合のバックアップの方法とか、燃焼室のスキッシュの変更とその効果や排気ポートにサブチャンバーを追加して容積を変更する手法とか、実戦で培われたメンテナンスやチューンアップの方法が惜しげもなく紹介されていて、大変面白かったことを覚えています。さすがモータースポーツ先進国です。

CIMG0265.JPGこれは世界選手権125ccクラスのステファン・エバーツの走りです。

当時16歳でしたが、こんな速い125ccの走りは他に見たことがありません。

確かこの年、初チャンピオンを獲得しています。

他にも日本では見られない500ccのGPも観ましたがCR500の市販車でチャンピオンだった、ベルギー人ジョージ・ジョベも観ることができました。

 

 

CIMG0267.JPGこれはF1、イギリスGPでシルバーストンに行ったときのスナップ。

コースサイドまで自由に入って芝生でくつろぎながら観れます。現地の応援団は凄まじく、自国のドライバーに対する声援はF1サウンドに引けをとりません。

観戦のしやすさは鈴鹿とは比較にならないでしょう。コースの近くに駐車場も沢山あるので、当日渋滞もなくゆっくり来れますし、チケットも当日、自販機で購入して即入れます。

このレースはウイリアムズのナイジェル・マンセルの母国GP優勝でした。

CIMG0269.JPG帰国してしばらくして、当日の朝まで極秘でVIPが狭山工場に訪問すると聞いていました。セキュリティーのためか当日、知らされたVIPの名前はチャールズ英国皇太子妃ダイアナさんでした。

間接部門から歓迎のため100人ほど選抜されて出迎えしました。

ダイアナ妃もモータースポーツ好きでクルマの生産現場を見たいということで、東京から一番近い本田の狭山工場に白羽の矢がたったのでしょう。F1のエンジンを英国のコンストラクターに供給していることも関心を持たれた要因でしょう。

無線で「ただ今関越道川越インターを通過」という連絡が聞こえ、間もなく前後を警視庁のパトカーに護衛されたロールスロイスに乗ってダイアナ妃が入場されました。パトカーはニッサンスカイラインだったことが残念ですが、警視庁もレジェンドのパトカーを用意してもらいたかったですね。クルマから降りてきたダイアナ妃はどの男性従業員より背が高く見えましたが、もともと180cmでハイヒールをお履きですから、かないませんね。

MXの修行にアメリカを選ぶ人が多いですが、アメリカは広すぎて田舎です。イギリスはモータースポーツが凝縮されていて技術的に濃い感じがします。世界でリーダーシップを取るには、世界を知らなければならないでしょう。

オール読物新人賞作品、佐々木譲原作の小説を、にっかつが実写化したビデオフィルム。

この映画封切り当時、80年ころだったと思いますが、オートバイ誌で上映されていることは知っていましたが観ることはできませんでした。それもそのはず、ポルノ映画の劇場でしか上映されていなかったので学生だった私はどこでやっているかわからなかったのです。

最近になって埼玉ラングラーズ・・・もとい、チェッカーズの島田さんからお借りして観賞できました。

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主演:石田純一(新人)が岩田貞二役、洋子役が熊谷美由紀(故松田優作夫人)という大物役者を起用しています。

2輪を題材にした映画で好きなのは「汚れた英雄」と「マッドマックス」でしたが、これを観てからは後世に残したい2輪映画として一番に挙げたいと思いました。

時代背景がモトクロスを始めたころの私たちと全く同じで、しかも練習場として映像にも登場する、吉見のコースや高坂のコースが写っているばかりか、セーフティーパーク埼玉や鈴鹿サーキットのレースシーンもたっぷりと収録されています。

しかも、映画の取材も行われたチェッカーズの原口選手や石神選手がライダー役を務めていたり、岩田貞二のライバルの根元役は鈴木秀明選手という豪華な顔ぶれで、これはフィクションではなく実録といっても過言ではありません。

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基本はポルノ映画なので、貞二と洋子は本田航空の滑走路脇でラブシーンとなりますので18禁ですが、今時の中高生はもっとすごいの見てますから問題ないでしょう。

埼玉では新入社員が筆おろしに行く大宮にある劇場に、取材協力したチェッカーズ御一行が上映中の鉄騎兵を観にいったところ、サトケンが入籍前の水沢アキ似の彼女と同じ劇場にいるところを発見したというエピソードを聞きました。  

 

 

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実際に開催されていた東京ダイナミックシリーズというレースシーンの設定で本物のプロライダーのパドックも写されています。

若き日の鈴木秀明選手と唐沢栄三郎選手。

私が初めてライディングを教わったA級ライダーは唐沢さんでした。今でもその教えは忘れていません。

貞二が所属している埼玉ラングラーズですが、推測ですけど

私が会社就職して初めて買ったマシンが83CR250だったのですが、そのお店が東京のモトバムでそこのチームスポンサーがラングラーというジーンズのメーカーだったことと、モトバムの代表池沢さんがモーターレク推進本部の出身でしたから映画製作に関って埼玉ラングラーズと命名したのでしょう。ホンダはスポンサーでないようですのでモトクロス界に顔の効く人が身内だけで好きな映画を作ったということでしょう。

映画のラストシーンはヨコハマ杯鈴鹿サーキット大会で貞二が優勝できなかったらモトクロスを辞めるという設定でしたが、惜しくも最終コーナーでライバル根元にかわされて2位でした。

私は是非、現代判「鉄器兵、跳んだ」を制作してもらいたいと思いました。石田純一と熊谷美由紀が子供を作り、モトクロスでA級ライダーを目指す物語を・・・

 

2月13日オフロードヴィレッジ大会の開幕です。3週間以上雨が降っていない関東に金曜から雪が降ってしまって、土曜も小雨が降り続くなか、コース下見に行ってきました。

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レース前なので完全コース整備!

かと思いきや、レールは3週間前から変わらず、固く締まった路面は水が浸み込まず

このとおり非常に滑りそうな状態です。

関東地方大雪の天気予報は大袈裟でした。

これはフープス後の2コーナー

 

 

 

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最近変わった部分の一つ逆バンク

イン側のレールをはずすとタイムロスは免れません。

しかし、ここも3週間前と同じレールがそのまま残って水が溜まっています。

完全にアクセルワークとバランスの勝負が予想されます。

諦めの境地

 

 

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唯一、スタートラインだけは入念に整備されていました。

看板も4月の全日本MX用に出来上がっています。

去年の2月、3月はレースに出ませんでした

なんでこの寒いのにオートバイに乗らなければならんのか、仕事もはかどっていないし時間が勿体無いという理由でした。

今年はそんなことではいかんと思い直し、開幕から走ることにした訳は

オートバイにかぎらず、柔道とか剣道とか自分の種目を続けていく諸先輩方を何人も見てきて、尊敬の念を抱いているからです。

当然、年齢とともに体は衰えていき、実力も下がってしまうわけですが、それを受け止めて自分に向き合って生きていく姿勢が人生そのものであると考えるのです。

他人と闘っているわけではありません。自分を磨くために相手になってもらっているだけです。寒いとか路面の状況が悪いとか、言い訳を言って楽な方へ逃げてしまっては自分を堕落させていくだけでしょう。

中学のとき剣道をやっていましたが、人間関係が嫌になって辞めてしまい

高専で空手部に入りましたが、蹴りが手に当たり右手親指を開放骨折して鉛筆が持てない手になってしまい、学業に支障を来たすようになって辞めてしまい

モトクロスは幸い30年続けてこられたので、これを自分の種目と思って諦めないことにしたのでした。

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公式練習や午前中のレースは凍結した泥が解けてきて超マディーになってしまいました。

私がエントリーしているSE150のヒート1もドロドロで、無理すると転倒しそうでしたが、最終ラップにライバルと絡んでコケテしまいました。

最後まで開けきれなかった自分の弱さが出てしまった結果でした。

トップクラスのGPヒート1では元ホンダのワークスライダー対決も観れて豪華です。このころは路面もドライでスピードが上がってきました。

クラブマンMXは毎年登録するチーム名を自由に決められます。そこで去年までは、辞めた会社のクラブSAYAMA RTで登録しておりましたが、今年はHONDA SPEED CLUB(HSC)にしました。

HSCはホンダの契約ライダー、高橋国光選手や北野元選手が所属してマン島TTや世界GPへ参戦した当時の社内クラブの名前ですが、MCFAJの歴史からはその名前を聞くことはなくなってしまいました。現在でも久保和夫さんの城北ライダースや長谷見昌弘さんの青梅ファントムなど日本のレース史の創世記から残っているクラブ名があるのに、HSCもクラブマンの歴史に残したい名前であることが理由であります。(年配のライダーしか分らないでしょう)

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マディーのいやがらせから一転、ヒート2終了後の我マシン。全然汚れていません

しかし、轍が固まった路面は快適ではありませんでした。再び自分に負けて11位というリザルト(16台中)に満足はしていません。

満足しないからこそ、また挑戦するのだろうと思います。

 

先週から加工中の三つ又が大体完成したので、組み付け確認しました。

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クランプ部分のノーマルボルト装着、

φ39フロントフォークはチェッカーズ所属島田さん所有のワークス467(80年式)を拝借して挿入してみました。

ステムシャフトはノーマルを圧入してあります。

3点の穴位置が正確でないと組み立て不良になってしまいますが、装着確認できましたので安心です。

 

 

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裏側の肉抜き加工も手間をかけてあります。実車では見えない部分ですが、必要な剛性を確保しながら軽量に仕上げるという意味で重要な加工です。

本職の機械加工屋さんなら3次元測定器を使った精密な測定で寸法を割りだすでしょうが、ここではノギス測定だけで寸法を決めて設計しましたので、寸法誤差が非常に心配でしたが、組み付け確認の手ごたえは0.1mm程度の誤差で収まっているでしょう。

クランプ径が隙間ゼロで加工してありますので0.1mmほどクリアランスを増やしても良さそうな感じでした。

機械加工の工賃が聞いた話によると、日立製作所で1時間あたり3500円ということで一日10時間労働したとしますと、1日35000円になります。

ハンドワークなので全工程で6日間かかりましたから、上下セットで210000円が世間の相場ということになります。メーカーの試作でしたら、それくらいが妥当だと思いますが

これは一般のお客さん向けの商品ですから、そのような高額な取引は成り立たないでしょう。そこで大幅にディスカウントして提供ということになりますが、商売上の秘密で金額は申し上げることは差し控えさせていただきます。これは加工技術の訓練ということでお許しください。

現行のモトクロッサーであればマシニングで削り出しの三つ又などはバイク用品店で買ってくれば事足りるでしょう。しかし、430(77-79モデルCR250R)に付けるとなると簡単には見つかりません。

当時のファクトリーマシンの写真でしか見たことがありませんが、近年のNCマシンによる加工に比べるとかなり荒削りな作りであったように思えます。とにかく、ノーマルの三つ又が付いている量産車では唯の旧車でしかありませんが、削り出しの三つ又に交換することでファクトリーテイストに蘇るとお考えのマニアもいらっしゃるかも知れません。

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アルミ合金の塊、重量32kg

三つ又上下セットで5台分ということですが

NC加工頼みますと設計から加工で総額何十万円になるかわかりません。それよりNC加工で仕上がりは美しくなると思いますが79年当時の風合いを出すためにはフライスでハンドワーク加工をするしかないでしょう。

外観をそっくりにするには作り方も当時のままに、ということです。

当然、生産性悪いです。しかし、滅多にやらない加工なので記録をとっておきたいと思いました。

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手前がトップブリッジ、奥がボトムブリッジ。

ステムシャフトはノーマルを取り外して使います。

材料はA2017、社外のトップブリッジはA7075を使うことがありますが、実用強度は大差ありません。強度が充分で比較的安価であり何より加工性が良いことが理由です。

ノーマルを寸法測定し、無駄がないように素材を切り出してあります。

ノーマルはA6061の鍛造です。

トップブリッジにAC4Cダイキャストを使った機種もありますが、鍛造とダイキャストですと金型や成形マシンなどの設備代がダイキャストの方が量産向きでしょう。鍛造の方が材質が上なので、当時のレーサーには採用されていたのでしょう。

このように、部品の性能がらみだけでなく、加工方法に適した材質を選択することが必要です。

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三つ又としての最も重要な品質特性は

三つの穴が正確に空いていることです。

フロントフォーク穴のサイズ、430はφ39.

フォーク穴の距離。

そしてステム穴のオフセット量。

どちらもハンドリングに影響する数値で

フロントフォークの幅が広いとフロントの剛性が上がるが、ハンドリングが重い。

オフセットはキャスター不変のままトレールを決定し、オフセットが大きいと直進安定性が向上するがハンドリングが重い。などが一例ですが、製品としては三つの穴の精度が悪いとフレームやフロントフォークが組み付かないという不具合が生じることです。

フライスでハンドワーク加工する場合はある程度加工テクニックがないと難しい作業です。

では加工の進行に応じて状況を報告していくことにします。

CIMG0195.JPGトップブリッジとボトムブリッジ。

上面と外周を削りました。

次に裏返して下面の加工を行いますが

これだけで一日仕事です。

 

ちょっと別の用事で2日ほど加工は中断ですが週末、再開します。

昨年末にピストン交換とヘッドメンテナンスしたので、新しいうちにパワーチェックしてみました。

CRF150Rの主要諸元によりますと最高出力24.5ps/12500rpm、最大トルク1.47/10000rpm

ということですがカタログ数値はカウンター出力(エンジン動力計による測定)である場合が多く後輪出力よりも数値が高く表示されているはずです。しかも上記の数値は2006年当時の96dB仕様のマフラーで現行の94dB仕様とは異なるデータに違いありません。実際のパワーは駆動系のパワーロスを含みますので実測の数値を知っておくことがチューニングの指針になることは明らかでしょう。

測定は我社から徒歩2分という近さのmotoGLADさんに依頼しました。マシンを押して行けるほどの距離にあります。

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motoGLAD店舗風景

日光街道杉並木(R407)沿い

我社から国道を隔てた向かい側に位置しておりオンロード系の販売、整備

レーサーの製作などが主な仕事です。

 

 

 

 

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ダイノジェット測定室です。

マフラーに差し込まれているのはA/Fセンサーで回転数毎の空燃比も同時に測ります。

CRFはダイレクトイグニションのため回転数のパルスをコイルから検出できません。コイルにつながるハーネスを調べてCDIユニットのカプラー付近から検出できました。

 

 

 

 

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測定は2タイプで行いました。

昨年使ったモディファイ品とSTD品をそれぞれ付け替えてみました。

普段走行に使用している状態と完全ノーマル仕様の出力カーブとA/Fを把握することが今回の目的です。

エンジン温度の変化によっても数値が変動するということで、熱ダレしてくると数値が下がってしまうということもあり、1時間くらいの冷却時間を空けて別々に測定しました。

 

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モニターの画像は左がスピードメーター、

右がタコメーター、下の横長のグラフが

Air、Fuel Ratio(空燃比)を表しています。

運転状態をリアルタイムで確認できます。

測定データーはパソコンに保存されプリントアウトできますので次に説明します。

 

 

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完全ノーマル仕様のグラフ

MAX POWER=20.3PS

9500rpm付近がピークで緩やかに下がっていきます。レブリミットは13500rpm

MAX TORQUE=1.3kgm/ 12500rpm

上の曲線は馬力のデータ、下の曲線はトルクのデータを表しています。

その下はAFレシオ(空燃比)データを表しています。

 

 

20年経過した車種なので、新規にサイレンサーのラインナップに追加することを渋っておりました。

モトショップ鷹様の熱烈なオファーによりラインナップすることになりました。                             

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上がノーマル、下が今回ラインナップに加えたアルミサイレンサー。

重量はノーマルの2kgに対して、僅か630gという軽量で、重心から遠い車体後部の軽量化に貢献するでしょう。

ノーマルは非分解で生ガスが溜まったら抜けるようにブリザーパイプがついていますが

アルミサイレンサーはリベットをはずして、湿ったグラスウールを交換できるようになっています。価格は特価¥12000也

ですが、現在バックオーダーで2ヶ月分業務が溜まっておりますので3月以降でないと作れませんのでご了承ください。

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ラインナップするためには、ノーマルのサイレンサーが取り付くように治具製作しなければなりません。

この治具で位置決めしながら製作しますが

最初は車体に合わせて確認しておかないと

取り付け保証はできませんので、マフラー現品送付でワンオフ製作を希望される場合もありますが、治具製作も含めて了承していただく必要があります。

 

 

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鷹さんの車両ですが、取り付け確認できると安心できます。

チャンバーとセットでこの様な感じで出来ました。

2スト、旧車のマフラーも続々出てくるでしょう。

現行車は高性能ですが非常に高価格で不景気な今の経済状況だと一部の富裕層しか購入できません。それほどお金かけなくても、いじって楽しめる旧車が時代のニーズに合っているのでしょう。

 

 

昨年中に終了予定の業務が大晦日の午前中まで掛かってしまい、午後からようやく工場の大掃除を始めることができました。工場の掃除は元日の夕方6時まで行いましたが、物が多くて適当なところで区切りをつけた次第です。工場は築26年経過しているため木製の柱が老朽化で倒壊しそうになっていたので鉄骨の柱3本で補強工事を行ったので予定より時間が掛かってしまいました。

元日から重労働の後、夜は翌日練習するオートバイの整備、前後サスペンションOHなど行って深夜2時ころ積み込み完了です。2日は体の試運転を兼ねて新年から逆回りになったらしいオフビレへ

CIMG0171.JPG コースは早く営業したいためか不十分な状態でしたので早々に切り上げて3日は榛名山へ行きました。

榛名とはアンリミットという名のラジコン飛行場の敷地内に建設したMXコースのことで、オーナーが若い頃、MXをやっていて20年ぶりに乗りたくなって始めたそうです。オーナーの自宅がある東京のあきるの市に程近いオートスポーツ清水さんが行き付けの店で、オープン当事はオートスポーツ清水専用練習コースとして宣伝されていました。

ここは県外のMXコースとしては一番近いので時々利用させていただいておりますが、行き始めたきっかけは、昔スガヤのチーム員だった元BELLレーシングの中沢さんグループに誘われて遊びに行ったことでした。そのころ(07年)はコースは今よりコンパクトでしたが、オーナーの本業が建設業なのでコース作りが非常に上手なのです。何しろ自分で走って楽しめるようにダイナミックかつ安全な設計です。

CIMG0169.JPG 土質は水はけのよい黒土で固く締まっているためギャップが少なくて疲労感が無く走りやすいです。

バンクの形状も美しく仕上げられていて様々なライン取りを試すことができます。

これがプロの土建屋さんのテクニックです。

 

 

 

 

 

CIMG0170.JPG ジャンプの斜面はこのように長く取られていてマシンの姿勢が乱れることなく安全にジャンプを飛んで行けます。

アクセルを開けただけ飛んでいく感じなので段階的にレベルアップしていける安全設計です。

斜面に作られたバンクのコーナーも土管が埋設されていて水溜りになる部分は全くないので雨上がりでもコースコンディションの回復が非常に早いのです。

                                                              

 

 

CIMG0167.JPG アクセル全開で評判のいい上りのストレートですが、日陰はこのように凍っている場所もありますが、この時期は仕方ないでしょう。滑る部分もコントロールする練習になりますので歓迎します。

私はレースを走ることが目的ではありませんが、体力の維持と練習の成果を試す目的でクラブマンMXでレース活動する予定です。モトクロスで走るときは実戦を想定して緊迫感を持続することにしていますが、緩く走るよりその方が楽しめるためであります。

 

カワサキのビッグオフロードKLX450のエンジンを修理することになった。基本設計はレーサーKX450と同様に見えるが、これはセル始動用のギヤが追加されているのが特徴だ。

CIMG0161.JPG 時期が年末なので部品の発注が既に終了してしまっているが、今回は部品の交換が目的ではないので

分解組み立てに必要最小限度の部品だけ手配して全バラすることにした。

CIMG0160.JPG これが不具合の箇所

オイルドレンのネジをなめてしまったらしく、アルミで作ったネジを溶接で追加したようすなのだ。

しかし、ここにミスがあってオイル洩れが止まらないということが不具合なのである。

一箇所のオイル洩れのためにケース交換をすることは、非常に高額な出費になるので回避したい気持ちは理解できるが

不具合を解消してケースを使い続けるためには手間を惜しんではならないという例である。

 

オイルはドレン穴から排出されていてもケース内はオイルが付着した状態なので、溶接の熱でオイルが噴出してくるはずだが、アルミの溶接にオイルなど不純物が巻き込んでしまっては溶接不良となって

上から溶接棒で肉盛りしてもオイル洩れはとまらないだろう。

従って手間は掛かってもケースをばらして

内部を脱脂してからでないと完全な修理は不可能と思うのである。

ネジの修理はヘリサート挿入でよいと思われがちだが、KX系のオイルドレンはネジの途中に横穴が空いていてオイルが抜ける構造なので、ヘリサートでは横穴を塞いでしまってオイルは抜けなくなってしまうのである。

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エンジンを分解していく途中で不具合が発生した。

ドライブスプロケットのロックナットが緩まない。フライホイールホルダーで回り止めをしながらソケットレンチで緩めるのだが

ホルダーのアームが広がってスプロケットの山を乗り越えてしまう。明らかにオーバートルクで締まっているようだ。

 

インパクトを最強にして緩めようとするがビクともしない、ナットの角をなめてしまっては分解不可能になってしまうので、フライホイールホルダーより確実にスプロケットを固定するため、治具を製作することにした。

スプロケットの谷底とクランクシャフトの3点を固定する治具は即興で考えた。在りものの材料でこしらえる。エンジンが転がらないようにチェーンで作業代と連結させて、緩めトルクをかける。

通常のレンチでは全く緩まないのでパイプで延長して渾身の力をこめて、ようやくナットを回転することができた。部品の交換は素人でも組み立つように設計されているものだが、このようにイレギュラーな作業をするとき、経験と技術が修理作業の結果を左右するものと考えるのだ。

CIMG0163.JPG ちょっと足止めされてしまったが、ばらし終わったエンジン。

この状態で問題のクランクケースを洗浄して脱脂することができる。

オイルドレンの上にオイルポンプが装備されているので、オイルが相当残った状態なので、溶接する場合は必要な作業なのである。

このあと不具合部分の削除を行って、新しいオイルドレンを構築する作業に入る。

CIMG0164.JPG

ケースをフライスに固定してオイル洩れの部分を切削して除去する。

アルミが溶け合ってない欠陥の部分も明らかになってくる。

元の肉厚を削りすぎないように注意しながら出来るかぎり平に仕上げる。

 

 

 

 

CIMG0165.JPG

古いネジ穴をドリルで抜き取り、あたらしいネジを差し込んでTIG溶接で肉盛りする。

オイルで汚れた部分を切削してアルミの地金を露出しておけば、オイル洩れの原因となる欠陥は発生し難くなる。

目視では問題ないように見えるが、念のため洩れ検査を行う。

 

 

 

CIMG0166.JPG

これはケースの内側からオイルドレンが浸るように湯をいれた状態。

湯を入れる理由は熱でアルミが膨張するのでピンホールなど小さい欠陥があるとたちどころに湯が滲みでてくるので水洩れを発見しやすいことである。

またオイルを入れてしまっては含侵された油分を脱脂することが困難になるが

水であれば熱で簡単に蒸発するので再溶接する場合でも問題にならない。

こうしてケース分解した状態で水洩れ検査しておけば組み立てOKということになるわけである。

 

預かり車ですが、社外の捨てるには惜しい程度のマフラーがあって、付けたいとのこと。

ストレートのスリップオンサイレンサーでしたら、あまり悩まないのですが

これは別車種に合わせた設計でサイレンサーの入り口が斜めに角度がついているために取り付け位置に自由度がないことが位置決めの難しさを生んでしまいました。

CIMG0143.JPG取り付いてみると自然ですね。

最初から付いていたような位置ですが、なるべく車体やサイレンサー本体を改造しないでそのまま取り付けられるようにアダプターとジョイントパイプを製作しました。

マフラーの容積がノーマルより大きなものなので排気音は静粛で、この手の改造に異論を持つ人は少ないのではないかと思います。

即ち、このまま車検適合だということです。

 

 

CIMG0145.JPG 取り付け状態はこのような感じですが問題は取り付けバンドの位置がノーマルのステーとかなり離れていること

ジョイントパイプの前後の嵌め合い寸法が違っていること、ガスケットが付いていますが

パイプ本体がφ60.8に対して

前がφ48で後ろがφ50.0という微妙なサイズ違いで、サイズ変更してあります。

 

 

 

 

CIMG0146.JPG これが社外の中古サイレンサーでVF用ではなく、入り口が斜めになっています。

これを作り変えようと思ったのですが、ジョイントを合わせれば取り付け可能だと判断して手をつけませんでした。

バンドの取り付けも斜めに溶接されていましたので取り外して並行なものに作り変えました。

 

 

 

 

CIMG0147.JPG これは取り付けを可能にするためのアダプターとジョイントパイプです。

微妙なオフセットや角度が調整されていることが試行錯誤の跡を示しています。

ジョイントはチタンパイプφ60.8を使いましたが前後のパイプ径を変更して前側だけ角度を付ければストレートのままで取り付くことが判りましたので、このようなデザインになりました。

 

2日ほど悩みましたが、決まってないことを決めることが私の仕事です。

去年の10月から乗っているCRF150Rのピストン交換です。特にトラブルはなかったのですが

通常のメンテナンスです。ここで気がついたことがありました。

CIMG0140.JPG はずしたピストンとヘッドです。カーボンが堆積している状態が確認できます。

バルブも吸気側は焼けているだけですが排気側はカーボンの層がウエスト部分から下にかけて堆積しており、辛うじてバルブフェースが残っている状態です。

フェースの段差は認められませんのでバルブを磨いて再使用します。

ピストンヘッドもカーボンの堆積が確認できますが燃焼ガスの吹き抜けやコーティングの剥がれも少なく運転時間の割りに良好な状態といえるでしょう。

 

CIMG0141.JPG カーボンを除去したバルブと燃焼室です。

バルブフェースは擦りあわせして組みたてますが磨くときに0.01mmほど削れますので

シム調整が必要となります。

バルブや燃焼室を磨く理由は、これは内燃機関ですから熱効率を有利な状態にすることです。

そもそも機械部品ですから堆積したカーボンは図面値に無いものなので図面数値に戻す意味が一つ

アルミのシリンダーヘッドが鋳鉄ヘッドより高性能である理由は熱伝導率の違いによる冷却性能が起因しています。

内燃機関は燃焼ガスの圧力がパワーの元ですが、最高圧力を高めるだけでなく最低圧力が低い方が大きい圧力差が生まれます。燃焼室と行程容積は一定ですから燃焼圧力と燃焼ガス温度は比例関係にあります。

従ってシリンダーヘッドやピストンで燃焼温度を放熱することによって大きな熱サイクルを得られるということになります。そのため金属表面に付着したカーボンを除去することが熱効率を良好にするという効果が得られるのです。

CIMG0142.JPG シリンダーヘッド周りのメンテナンスとピストンを新品交換しましたので標準の状態でパワーチェックする予定です。

近所に歩いて行ける場所にダイノジェットを持っているお店がありますので持ち込んで測定してもらいます。

部品の寸法測定や外観である程度消耗の度合いは分りますが馬力の低下までは分りませんので、基準の馬力を知っておく必要があるのです。

組みあがったマシンで走行してみましたが

はっきり違いが分ったことはエンジン始動時にキックの重さが全然違っていて2割くらい圧縮が上がっているような感覚でした。もちろんリヤタイヤに感じるトルクも力強くなっています。新品のピストンとリングで良好な圧縮に戻ったということでしょう。

来年も同じエンジンで走りますので1年間維持していきたいと思います。

古いオートバイのリプレイスはエキスパンションチャンバーだけでは済みません。

それをマウントするためのステーも廃盤になってしまって入手困難な状態です。

年数が経つとゴムが硬化したり剥離したりしてしまうので新品に取り替える必要があるのですが

純正部品が廃止になっている場合は別機種から流用するか、新作するしかありません。

CIMG0135.JPGのサムネール画像 ラバーを焼付けするには専門メーカーに依頼するしかありませんので、現行車のラバーを組み込むマウントステーを作りました。

  アルミの丸棒から旋盤でカラーを削り出します。30個加工するのに1日掛かりです。

プレートはフライスで加工しますが30個で6時間ほど掛かりました。

このあとカラーとプレートを溶接します。

 

 

 

 

30個くらいの加工は量産とは言えませんので自動機で作ると割高になってしまうので汎用機を使ってハンドワークで加工するのです。

大体どれくらいの数量が量産と言えるか、それは全自動の加工機で製作したり、金型を製作してプレスしたりダイキャストや鍛造をしても、妥当な単価で販売できる数量ということになります。

時々、「3台くらい頼みますから安くなりますか?」というお客さんがいますが、ハンドワークを3回繰り返すだけなので安くできる理由はありません。

私は1ロット(1回に手配できる材料や加工数の大きさ)少なくとも1000個くらいから量産だと思います。

ハンドワークと量産では製造方法や設備が全く違うのです。

ホンダの狭山工場では4輪車を1日に2000台製造する能力がありました。1勤で500台、2勤で500台のラインが2つで、毎日2000台の完成車が生まれてくるのです。

4輪ですからホイールは8000個、ショックも8000個、ブレーキも8000個、しかも毎日供給できないと完成車が組み立たないことになります。部品メーカーはそれに間に合うように毎日量産し続けなくてはなりません。もちろん不良品は一つも許されません。部品メーカーの生産能力は驚異的です。

それよりも親会社は、エンジンのダイキャストから機械加工、組み立てを1日で2000台完成させますし、ボディーもプレス成形から溶接組み立てをしてホワイトボディー2000台完成させますから

その生産効率はどの部品メーカーも凌ぐでしょう。世界的に見ても輸送機器関連の製造工場としてはトップクラスなのではないかと思います。

CIMG0136.JPGのサムネール画像 溶接が完了したマウントステー

これに市販のラバーとカラーを組み込めば完成です。

チャンバーの取り付けのためジャストサイズでなければならないのですが市販のラバーマウントステーで満足な物が見つからないために製作する必要がありました。

 

 

 

 

 

標題の学徒出陣と関係ないではないかと思われそうですが、全工程で10時間以上も旋盤に向かって加工しながら思い出したことがありました。

昭和5年生まれの父親が中学生のころ、戦闘機に使う部品を製造するために旋盤に向かって働いていたことを

故郷の東予港のあたりを私が子供のころ「飛行場」と呼ばれていましたが、飛行機も飛んでないのになんで飛行場か?と疑問に思っていましたが、戦時中は戦闘機の滑走路があったということを聞きました。

兵隊に行けない学童や婦女子は兵器工場でお国のために働かされていて大変だったと思いますが私たちは、自由で恵まれているなと思うのです。職業の選択は自由ですし、休日にオートバイ遊びに出かけられるし、親たちの苦労の後で私たちは何不自由なく育てられて優雅な生活を送っているわけですから

今の苦労は昔の人から比べたら、全然生温いことなんだろうなと、考えながら旋盤に向かっていたのでした。

こうしている現在でも、一番近い隣国で戦闘態勢が行われていて、好む好まざるに関係なく強制的に巻き込まれている人々がいることを考えると

そこへ行かなくていい、法律や国家に守られながら好きなことが出来ている自分たちの立場を非常にありがたいことだと思い、この自由な時間を大切に過ごしていかなければ勿体無いと思っているのであります。

今年中に完了させるべき業務の一つ、これはエルシノアCR125のリプレイスパーツで

VMXショップホーリーエクイップさんで取り扱いの商品です。この1年間で20台分ご注文いただきましたがエルシノアの75ー77年あたりが適応車種なので、国内ではなかなか走っているのを見かけません。

どうやら欧米豪のビンテージMXマニア向けらしく、古いものをメンテナンスして使う文化があちらの方が盛んだという証拠ですね。

2輪メーカーとしては古い車種を大事に乗られては新車の販売が伸び悩んでしまうので、こういう文化には一切協力しない姿勢が見て取れます。20年過ぎた部品は次々に廃盤になってビンテージマニアを苦しめますから、現存する消耗パーツを世界中から探して取り寄せておられるようです。

CIMG0132.JPGのサムネール画像 このようなリプレイス(置き換え)パーツ製作の構想は弊社創立当時から思っていたもので、ようやく理想の形になってきたような気がします。

当時は板金鋏とハンマー、万力とガス溶接だけが手持ちの道具で鉄板でこしらえたチャンバーくらいしかできなかったので

量産ではなくて注文された数だけ一つずつこしらえるのがロスのない商売の仕方と考えたのです。

利益を追求するなら、ユニクロやニトリ、ソフトバンクに代表される大量生産で安く販売して顧客を獲得し売り上げを伸ばす方法がベストですが、自分の力だけ(お金、労力)でやろうとすると弊社のスタイルでやるしか方法がないだろうと考えています。

実は少年期になりたかった職業は刀鍛冶だったのです。

剣道を一生懸命やっていて、宮本武蔵こそが日本一の武芸者として崇拝し、侍の命とも言える刀の美しさに憧れの念を抱いていました。

刀剣は現代でも居合抜きの武具として使われたり、美術品としての価値もあり、それを製造する刀匠という職業も存在しますので、その道へ進みたくて高専の金属工学を専攻しました。残念ながら身近に刀工の道へ進むアドバイスをしてくれる人が存在せず初心が貫けませんでした。

そして現代の戦闘機はオートバイである、オートバイに関わった仕事も悪くないではないかと方向転換して現在に至っているということで、人生どうなるか分らないものです。

 

80年代初頭、ホンダの大型ロードスポーツの世界戦略のため開発されたエンジンレイアウト

スーパーバイクRS1000RWのテクノロジーを踏襲したVF1000Rが我工場に

CIMG0131.JPG     私がホンダ入社したころの大型二輪フラッグシップモデルでしたが、MXバカだったので、このマシンの実車に触れるのはこれが初めて

これは84年型なので実に26年経過していますが、中古車市場ではまだ高値で取引されているようです。当時の副社長入交昭一郎氏の命令により並列4気筒を凌ぐ新しいエンジン形式を開発することになりました。

すでにワークスレーサーNR500でノウハウを得ていたV4をスケールアップしたものですが16バルブを開閉する4本のカムシャフトはカムギヤドライブによるもので、市販車では非常に奢ったメカニズムです。

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それは常設のMXコースが存在しなかった40年以上前から、あたりまえのように行われていたでしょう。

私らがMX始めた30年ほど前も海岸の埋立地や山を崩した休日の工事現場、大きい川原の河川敷などを見つけては工夫して練習していました。それはレース場はありましたが家から遠く、学生で金が無いなどの理由で、遠方の常設コースへ行くのが贅沢な練習だったからです。

就職して会社の仲間と練習するようになってから、関東ですから利根川や渡良瀬川という大きな河川に作った練習場に行くようになって、練習の殆どは河川敷というのが常識の時代もありました。

常設のコースは走り慣れてしまうと単調で、ライディング技術の向上にとっては向いていませんでした。それに比べてコース全体が荒れていて自然の地形を利用して様々なバリエーションの練習ができました。その成果の証明として利根川で練習した全日本のトップライダーが大勢誕生しました。

しかし、その河川敷の練習コースは大きな問題も抱えていたことを最近思うようになりました。

 

CIMG0118.JPG これは20年以上練習してきた川原の現状を見にいったときのものですが、走行していた付近に複数の立て看板がありました。警告の発信元は国土交通省です。河川の地形を変えた場合は元の状態に修復せよということです。

法律で定められているので、身に覚えのある人は来なくなるでしょう。この川原の流域に多くの練習場がありましたが同様の理由で潰れたという話を聞きました。

国土なので所有者である国の言うことは聞かなければ存続は難しいでしょう。

 

それに対して土地を登記して合法的にMXコースを建設されている人もいます。建設費や維持費が掛かっていますので、走行料を徴収して管理されるのですが、それを利用したくない人の言い分としては

走行時間が限られているのでお金がもったいない、コース整備が悪いのでお金を払いたくない、一日練習する時間が取れないので自宅の近くで乗りたい、

身勝手な言い分かと思いますが、そういった理由で法を犯して川原へ行く人もいらっしゃるようです。問題はそれだけではありません。

CIMG0121.JPG これはレーサーを購入したときについてくるオーナーズマニュアルですが、表紙の裏に全ての機種に同じ文言が記載されています

多くの購入者が違反していますね。

これを指導するべき立場にある販売店の人だけでなく2輪メーカーの従業員でさえ守られていません。何のための法律であるか

守る必要がない法律がいらないのか必要があっても守らなくてよいのか、メーカーの人に問うてみたいですね。

なぜなら、こういう車両を生産し販売しているから起こる問題ですから。

 

「そんなに目くじらたてなくてもいいだろう」とか「特に問題が起きていないのだからうるさいこというな」とか聞こえてきそうですが、そういう思想の先にMXライダーがプロスポーツとして世間から取り上げられない原因があるに違いないと切実に思うからこそ提言するのです。

おそらく口に出さなくても分っている人はいるはずです。違法に習得した技術でタイトルを獲得したとしてそれを評価することが違法に技術習得することを推奨することになることを。 私は25年ほど違法に練習してきた経緯があって思うのですが、確かにその行為によって罰せられたことはありませんので罪の意識もありません。しかしMXをやらない、または合法的にやっているひとの立場から見て違反者をどの様に見ているかということを考えると、違反と知りながら走り続けても練習に身が入らないし、行政の力で違法コースを撤去してきたおかげで、昔のような満足な練習場も無くなってしまったので行く必要もなくなったということです。

この法律のポイントはレーサーは国交省認定は取ってなく、登録されたナンバーなし、自賠責保険も入っていませんし、灯火類も装備されていないので当然道路は走れませんが、道路から外れていればよいかというとそれも駄目です。人身事故が起きたときに運転者の言い分は全く通らないでしょう。

もう一つは自動二輪免許を持たない人が運転して事故を起こすと無免許運転として処罰されます。許可された教習コース以外で運転するということが川原で練習することに相等します。

同伴の免許取得者は無免許幇助罪で罰せられます。

事故さえ起こらなければ問題は発覚しないと思いますが、私が知っている幾つかの場所で死亡事故または重症事故が起こりました。死亡の場合は警察が入りますからその場所は完全に閉鎖ですし、重症の場合は救急車を呼ぶと問題になるので仲間が病院へ搬送しました。そういうことを何度も見たり聞いてきたので、自分は大丈夫という保証は全くないということで法に従う方向に気持ちが向いてきたのです。

CIMG0119.JPG 高架下などは雨の日でも濡れないということで格好の練習場になりますが、河川を維持しようとする人の目の前で堂々とできないですね。やはりウシロメタイ行為なので、私はできません。

雨で乗れないときこそ、マシン整備であるとか、体力トレーニングとか、やるべきことはいくらでもあるはずです。

散々、悪いことしてきて今更なんだ!と思われるかもしれませんが、実は本当のワルというやつは他人にばれないように悪いことするんです。ですから、どうしても自分だけ練習したいときの鉄則は、他人の目につく場所でやらない、必要の無い人を誘わないということです。

秘密のコースに大勢の人が集まってくることによって問題が起こって、やがて走れなくなってしまうことを経験が物語っていますので

ドイツの伝統的オートバイ、米のハーレー、伊のモトグッチのように特徴的なエンジン配列を長年作り続けているBMW。

エンブレムにも表されているように回転するプロペラのモチーフは航空機エンジンが創業時の主力で

そのエンジン技術がオートバイ用にフィードバックされ第二次対戦時の軍用として活躍したり

近年ではR100GSなどビッグオフローダーも開発され、パリダカールラリーで世界の頂点を極めたことは記憶に新しいです。 IMG_0839.JPG

小学生のころR75/5のプラモデルを持っていたのでBMWは細部にわたってよく観察していました。

このR100RはR75/5の後継モデルR90Sに似せて作られたデザインでパリダカを走ったGSのエンジンと同仕様を採用したOHV 2バルブの最終モデルなのです。

オーナーは元本田和光工場でエンジン組み立てをやっておられた熊木さん。

社内チーム明和レーシングチームでモトクロスをやっていて、予選10組時代に一緒に走った旧知の仲です。現在は富士見市のセイコーモータースクールで整備士をしておられ、多数の名車を乗り継がれ現在はこのマシンを所有しておられるそうです。

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無骨なドイツ仕様のビッグタンクの上からみても大きく張り出した空冷水平対向エンジン。

クランクシャフト同軸でコンロッドが前後に並んでいるため右シリンダーとキャブが右足に近いことがわかります。

コンパクトなヘッドはカムシャフトがクランクケース内にあり、プッシュロッドでロカーアームを駆動する

OHV方式でタペットの調整が非常に簡単でキャブ調整やプラグ交換もやり易いのが水平対向のメリットでしょう。

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縦置きのトランスミッションのためシャフトドライブも伝統の技術です。シャフトのハウジングがスイングアームも兼ねた片持ちフォークと1本サスは旧型と大きく違う部分で

国産のシャフトドライブではGL1000やGX750などがありましたが、加速時にリヤが持ち上がる特徴がありました。このクルマは2箇所の等速ジョイントのおかげで違和感のないドライブフィーリングを発揮するそうです。

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めずらしいクルマに興奮しておりますが、熊木さんの依頼はサイドスタンドの改修です。

ノーマルは車体を起こすと勝手にスタンドが収納される構造になっているため、オートバイを倒してしまうオーナーが多いということ。その対策のためにリターンスプリングのフックの位置を変更して勝手にスタンドアップしないようにしました。

もう1点はシートに座った状態でスタンドを出せるように長いステーも追加しました。

スタンド取り付け位置がかなり前方で足が届かないのです。大柄なゲルマン民族は問題ではないのでしょう。

それにしても美しい造形のシリンダーヘッドです。新しいモデルよりこっちの方が私は好きです。

 

 

レース用のサイレンサーは消耗しても機能回復できるように分解できるように作られています。

弊社オリジナル品はエンドキャップ取り外してグラスウール交換します。

以前はねじ止めにしておりましたが、熱と振動で緩むことがありましたので

現在はステンリベットで加締めに変更しました。従ってリベットはずしはサンダーでフランジ部を削り落としてからドリルで抜き取りします。

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エンドキャップをはずしたら、パンチングパイプとグラスウールを引き抜きます。

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グラスウールは残っていますがガラスの性質上、熱影響により固体化してきます。

固くなったグラスウールが消音性能を低下させる原因となりますので、定期的に交換する必要があります。

消耗したサイレンサーを使い続けていると、サイレンサーの内部容積も変化して、適切な排気圧が得られなくなってきてエンジンの調子も変化してきますので、なるべく同じコンディションに保ちたいことがメンテナンスの目的です。

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予めパンチングパイプを差し込んでおき、繊維が引っかからないようにパイプの端をテープでカバーしてからグラスウールを詰め込んでいきます。

グラスウールの詰め込み量は経験値で調整しますが純正サイレンサーより若干多い目に入れるのが性能を維持するコツです。

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ステンリベットで加締めますが強力なのでエアリベッターを使います。

穴ずれで苦労しないように、全部リベットを差し込んでおきます。リベットのフランジでアルミの筒が磨耗してきますので、ステンレスバンドでバックアップして磨耗を防ぎます。

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サイレンサー点検してボルト締め忘れ→脱落破損という事態に陥る場面を時々見かけます。

取り付けは確実に行いましょう。 ハブアグッドライディング!

YZ販売台数日本一のモトショップ鷹の店長マシン。

3XPの初期型ですが、あまり乗ってません。美車です

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チャンバーはラインナップ品です。サイレンサーも車体をお預かりしていたのでワンオフ製作しました。

お問い合わせはモトショップ鷹まで!(売ってくれるとは聞いてませんけど)

MTBプロライダー、日本人として始めて海外メーカーと契約し世界選手権を走った世界ランカー。

アジア選手権2連覇、JCFシリーズチャンピオンなど輝かしい戦績をもつダウンヒルライダー

井出川直樹選手はホンダレーシングとも契約してRN01で戦ったこともある。

現在、彼は京都のダイアテックと契約し、カナダのEVIL(イービル)というメーカーの自転車に乗っている。

しかし、このEVILは国内に1台しか輸入されておらず、

即ち井出川選手専用のプロトタイプでスペアマシンもない。

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これが、EVIL社スイングアーム、部品単価は聞いてないが、メインフレームだけで40万円くらいだそうだ。

これをハンドワークで1品だけ製作頼まれても、この前のスイングアームより3倍くらい手間が掛かりそうだ。大体、切削部品をこのクオリティで仕上げるにはNC(数値制御)マシンに頼るしかないわけだが、NC加工の工賃は段取り1回の金額なので1個加工するのと50個加工するのとあまり変わらないので、1個だけ加工すると莫大な金額になってしまうので普通はやらない仕事だ。

幸いこれは2箇所のヘアクラックを補修するだけなので問題はない。

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クラック2箇所、塗装を剥離してからTIG溶接することになる。

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亀裂を溶接だけでは再び発生してしまうだろう。

再発防止のために補強パッチを追加しておく、これで寿命は格段に向上するはずだ。

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こちらはビード肉盛りで様子をみる。

このスイングアームは左右非対称な接合方法で、こちら側だけ突き合わせになっていることが

強度不足の原因とおもわれる。

高負荷の足回り部品を溶接する場合、荷重の方向に対してなるべく長手方向に接合することが

セオリーなのであるが、突き合わせが最も不利な条件なのである。

いずれにしても日本屈指のダウンヒルレーサーが溶接修理を頼ってきてくださったことに感謝いたしまする。

連日猛暑日であろうと、世間はお盆休みであろうと、私には関係ない。

大勢のお客さんが私の作るマフラーを待っていることも充分承知しているが

どうしてもやらねばならないことがある。

それは、このようなものを作ることを約束してしまったからだ。 IMG_0704.JPG

これをつけて走るとどの様な喜びがあるのかは私は知らない。

これは私が考えて作ったものではないが、作った人に再び頼めない理由は

製作者がやめてしまったためであり、既に廃盤の商品になっているからだ。

それなのに、この見本だけで製作に必要な加工寸法を割り出し、材料を選定し、切削工具も購入し

取り掛かっている。

おそらく全工程に費やす時間は100時間を越えるだろう。

時間工賃を1000円で計算しても10万円になるが材料代や工具代は別に実費で払わなければならない。

おそらくこれを希望するお客さんは、そのような計算は一切、頭の中にはないだろう。

もちろん、掛かった全額をお客さんに請求するつもりは毛頭ない。

最初から利益にならない仕事だということを私は分っていたからだ。

それでは何故、儲からない仕事を引き受けたかというと

やってもいないことを、大変だということが嫌いだからだ。

自分がやって経験したことだけが、語っていいことだと思っているからだ。

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アルミの塊からマニュアルのフライス盤で削り出す。この加工時間を加工しないで算出できる人がどれだけいるだろうか。これはピボット部分のパーツ

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土曜日夕方までかかってここまで出来た。

クッションブラケットとリヤアクスルのパーツ。図面が無いので寸法計測しながら加工していくので

非常に時間がかかる。明日のレースの整備があるので、これにて中断。

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本日はアーム製作。

手前がアームの型で、上の4つが絞って出来たアームの部材。

作り方は教えてもよいが、割愛しておく。

よく、作り方を自分で考えないで他人に聞く人がいるが、

調べたり、トライする努力なしに安易に情報を得ようとする行為なので適当に答える。

自分で考えて物事を運ばない人は、新しい物を考案する能力は得られないと考えられるのだ。

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アームを溶接で接合してから、スイングアームの形状に合わせて曲げてある。

組み立て治具に各パーツを固定し、仮留めする。いよいよ本溶接ができる状態だ。

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溶接完了し、バフ研磨して組み付け確認。

100時間を超える全工程が終了した。オリジナルに引けをとらない仕上がりではないか。

こうして絶版のスイングアームは復刻された。溜まっているバックオーダーが恐ろしい。

盆休み前に片付けておきたい仕事がこれ、預かりスペースが狭いので

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依頼内容はスリップオンサイレンサーの製作だが、このようなカタログ写真しかない。

図面もデザイン画もない、いつものことである。よほど信頼されているのだろうか。

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お客さんの希望がショートタイプなのだが、公道仕様のため、静粛性に配慮して作らねばならない。

特殊吸音構造はMXレースで培ったノウハウが活かされている。

実は、排気量が大きくてもシングルよりマルチシリンダーの方が容易く消音できるのだ。

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これが完成した状態、カタログの見本よりイケてるに違いない。

そして、音質とパワーフィーリングの確認のためロードへ繰り出してみる。

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音はショートタイプに関わらず、ノーマルのように静粛だがアクセルを開けたときの重低音が気持ちいい感じだ。

走りだしてみると、パワーが抑えられた感じもなく一気に吹け上がる。

短くても内部容積を充分に取ってあるので、何処やらのショート管よりトルクが出ているのだろう。

これならオーナーさんにも気に入っていただけるに違いない!

いつものことながら、これはワンオフ製作でラインナップはしておりません。

スズキRMの前のモデルはTMという名称でした。昭和38年生まれの私でさえ乗ったことがありません。

エンジンや車体はほぼハスラー250ではないかと思います。ハスラー90は持ってましたけど、何処へやってしまったかさえ覚えていない遠い昔のことになってしまいました。

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さて今回の製作依頼はTM250のチャンバーです。下に置かれた純正品が老朽化のため新作することになりました。

当時のレーサーはサイレンサーもありませんが、テールパイプにスプリングフックは付いているので

オプションでサイレンサーを装着できたのでしょう。

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潰れたノーマルチャンバーを元に採寸して製作したニューチャンバー。

 

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口元フランジも絶版ということで、新作し、ニューチャンバーとセットになります。

採寸した諸元はこのようにガバリを作成して鉄板に罫書いて製作します。

IMG_0695.JPGそして、オプションのサイレンサーも取り付けました。

 

レストア中のこのマシン、クランクケースもOH中なので内部が確認できますが

これはプライマリーキックではないことが分ります。

最近のオートバイは全てプライマリーが当たり前になっていて、ギヤが入っていてもクラッチを切ってエンジン始動ができる構造になっています。

それはキックギヤとクラッチアウターのギヤの間にプライマリーギヤが存在してメインシャフトの連結をクラッチで解除しながらクランクギヤを回せることで、ギヤが入っていても始動できるわけです。

しかしTMにはプライマリーギヤの軸穴が存在しないことが右ケースを見れば分ります。

キックギヤとカウンターシャフトのギヤが直結の構造です。

即ち、ギヤをニュートラルにしてからキック始動できたということです。

ギヤが入っていれば押しがけはできますから、ロードレースでも押しがけスタートが主流でした。

モトクロスでは、今のようなスターティングマシンは無く、エンジンを止めた状態でオフィシャルの日章旗を振る合図でキックスタートでレースしていました。

当然、右足でキックして、左足でギヤを入れてスタートするわけですから、予めギヤをいれてキックできるプライマリー車の方がスタートが優位だったわけです。

古いマシンを乗っている人を見て、「新型のマシンの方がいいよね」という人がいますが

これは古い名作映画を観たり、懐かしい歌謡曲を聴いたりするのと似ていると思うのです。

新型が性能がいいのは当たり前、いつまでも自分の青春時代のマシンを楽しんでいたいという欲求があることを非常に理解できます。

このダウンチャンバーのリバイバルは口元フランジとサイレンサーも新作で3台分同時に、しかも前金で依頼されていますので、他の仕掛かり業務も含めて8月中に急な依頼がありましてもお引き受けできませんのでご了承ください。

泣く子もだまる(そんなわけない)国際B級(掃いて捨てるほどいる)時代の私。 IMG_0681.JPG

マシンは我社(前の勤め先)で製造したCR250R、88モデル

コースは成田エアポートMXランド。

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ジュニア時代、87年全日本MX第1戦桶川大会の予選1組。

マディーの予選を制したのは私。最も勢いのあった頃だった。

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スタートを正面から見た様子。既に1コーナーへ向けて最短コースへ加速している。

マディでトラクションさせる能力に秀でていたに違いない。

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ジュニア125クラス決勝は残念ながら転倒で16位に終わってしまったが

MXキャリアの中で最も充実していた時期なので忘れることはできない。

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狭山レーシングのエース、井本敬介選手。87年は国際A級2年目

この年の前期は全員125ccでのレースだった。

朝霞研究所、第2研究ブロック操安グループに席を置き後にCRFシリーズの開発責任者になられた。

奥にチームグリーンの岡部篤史、長沼朝之、隣に無限の鶴田忍の姿が見える。

市販CRでワークスライダーに引けをとらない堂々とした走りだった。

井本氏の指導がなければ私の国際B昇格も無かったかもしれない。

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84年関東選手権、予選10組時代。あの頃はとにかく必死だった。

予選を通過しないことには決勝は走れぬ。

あの頃の経験があったからこそ、今の自分がある。モトクロス最高!

依頼されてくる車種は大半がオンロードモデルで今回もその一つ。

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フランスヤマハ製で新車で2ストローク車を生産していますが

法律で出力規制が掛かっているとやらで

もう少しパワーアップを希望しているのがお客さんの願いです。

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ノーマルのチャンバーからは正確なチャンバー諸元が分りません。

そこで過去の同一排気量のデータから適当なものを選んで

形状を車体に合わせて新作しています。

微妙な変更はテストを重ねないと無理ですが、ノーマルより強力な物にするには

レーサーの諸元を引用することで可能となります。

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サイレンサーについても、デチューンの対象ですから排気の抵抗を下げつつ消音効果のある物に作り変えます。

オールアルミでバフ仕上げは2ストモトクロッサーで性能実証済みのアイテムであります。

完成後、チョット公道で試乗してみましたが、美味しい2ストのパワーとサウンドで早くオーナーさんに乗っていただきたいと思いました。

IMG_0677.JPG今回の依頼にはオプションがありまして、coocaseというボックスつきリヤキャリアの取り付けです。

ボックスはワンタッチで脱着できてツーリングに買い物に役立ちそうです。

但し、この車両にはボックスを装着できるキャリアが装備されていないので新作する必要があったのです。

IMG_0679.JPGこれはボックスをはずした様子。

グラブレールのねじ穴を利用してボルトオンにしてあります。完璧な立て付けです。(自画自賛)

 

2010モデルYZ250F用のエキパイをラインナップに加えました。 IMG_0663.JPGチタニウム製のエキパイとサイレンサーを50mmショートにしてオリジナルリヤパイプに換装しました

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エキパイはノーマルと等長ですがレゾネーター付、実用回転域のコントロール性向上と音量の低減が目的です。

サイレンサーはノーマルで音量に余裕があるのでショート化して排気抵抗を減らす目的です。

チタニウム製のオリジナルリヤパイプは騒音と排圧の調整をしたもので

音量は5000rpmで92dB/AでありますのでMFJのレースでも使用可能です。

気になる価格は、

エキパイ ¥21000(税込み)

リヤパイプ (ノーマルサイレンサー組み換え工賃込み)¥15750(税込み)

本日はYZ85サイレンサーの音量計測と走行テストのため軽井沢MPへやってきた。

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伊集院号、練習車と本番車。今日の天気は朝から小雨、午後時折本降りという状態。

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ライダーはこの人、伊集院忍さん。大学1年生、ようやく念願の一桁ゼッケンだがマディコンディションになると、たちまちトップライダーに変貌する才能の持ち主である。

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今回のテストはこのサイレンサーで行った。

YZ85はノーマルで音量オーバーにより車検落ちすることがある。

このサイレンサーは音量を規定値以内でパワーもアップしようという狙いがある。

まず、完熟走行後、温まったエンジンで計測したが、ノーマルで100dBを超えている。

「おかしい」と思って別の車種で計測してみたが、やはり数値が高いので測定器の調整が狂っていると判断して、ノーマルとの差異で評価することにした。

ノーマルとアルミサイレンサーの差異は8000rpmで2dBもアルミの方が低いことが判った。

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次は走行フィーリングだが、雨で滑り始めた路面でも低回転からトルク感が出ている感じで

扱いが楽であるとのこと。音量も下がったし、実用域のパワーも出ているということで

次の全日本北海道大会から実戦投入していただくことにした。

伊集院選手の今後の動向に注意していきたいと思う。

お得意先のGEN'Sさんから事情があってRZRをお預かりしました。

2輪専門誌に掲載されたという同マシンを当ブログにも載せたいという思いで書いております。

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テイスト・オブ・フリーランスで数々の勝利を収めてきたゲンズさんのブログはこちら

今回はレース車ではなく、ストリート用のマシンを持ってきていただきました。

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2スト乗りなら1度は欲しくなるRZR、それをゲンズさんの手により様々なモディファイが加えられたスペシャリティマシンであることは、外観だけでも覗えます。

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丹念に整備されたエンジン部、YPVSはドラム式の可変ポートタイミングで電気式モータードライブで制御されています。

この方式はヤマハの特許であり、可変ポートタイミングの理想的な動きが可能であるのに、ホンダではこの方式が使えず難義なHPPやRCバルブなどを開発せざるを得なかったのでした。

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エンジンのみならず、洗練された足周りはTZを移植してあります。キャリパー取り付けボルトの正しいワイヤリングが、レース屋さんらしい気配りを感じさせます。

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レースのスポンサーのひとつ、NEはWPC処理(2硫化モリブデンショット)を行っている会社。

NEのムラタさんはうず潮RCでMXをやっていて、80年代私と予選10組時代を戦ったライバルでもあります。彼の方が1年先に昇格してしまいましたが、現在もビンテージMXやDE耐などで活躍している現役のライダーでもあります。 NEムラタさんのブログはこちら。

WPCはショットピーニングの一種ですが、微細な硬球を金属部品に高速で衝突させ金属表面の強度を上げる効果があります。

金属の破壊は最表面の微小な部分の亀裂を基点として発生します。硬球が衝突した圧痕(ディンプル)が圧縮の残留応力を発生させ、引っ張り応力による亀裂の発生を無くすというメカニズムです。

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ゲンズさんからチャンバーの製作にあたって提示していただいたスペックです。

誤解を招くことの無いように説明しますが、弊社のマフラー作りは独自に試作、テストしたもの以外は

製作する物の寸法やスペックが分るように提示していただかないとお引き受けできません。

作った実績の無いものを、設計やテストの工数を無視して品代だけで製作可能だと思い込んでいらっしゃるお客さんが非常に多いのです。

今回のRZRのケースにおいても、ゲンズさんからのスペック提示により実現したもので

当然、同商品は弊社に直接問い合わせいただいても、お答えできません。

それはゲンズさんの企画した商品を、製作の部分だけ担当させていただいただけですので。

 

IMG_0613.JPG18歳、高専4年生のころ、四国選手権でMXデビュー。

ライセンスナンバーは四国ブロックのため、関東ブロックとは違うナンバーだ。

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マシンは81年型CR125R、自分で買った3台めのレーサーだ。

MXは親から反対されていたので、学業の合間、必死でアルバイトしていた。

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当時は学生の間でパーマが流行っていたが、実はMXライダーも皆、パーマだった。

モトパンはクシタニ、ブーツはSIDI、カッコだけは一流だ。

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今日はレースだ。愛車は一つ前の79年型RM125

少年の胸中は如何に、お前の将来をオレは知っているぞ。

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このころ、もう一台所有していた愛車、ホーク2 CB400T。

もちろん親には内緒、納税通知が実家に行ってバレないように

名義は友達のを借りて登録していた。

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四国山地をバックに瀬戸内海の埋め立て地で練習に明け暮れる少年。

ストリートでは無敵だった。検問突破、白バイ、パトカーも振り切って暴れまわった。

エネルギーに満ち溢れていたあのころ。

ロードスポーツだけど、なぜかMX用のフルフェイスにスコットのゴーグル

ブーツはコミネオートセンター、これが少年の戦闘スタイルだった。

停学2回やって留年しないで高専卒業できたのは彼だけに違いない。

頭脳派のワルだったのだ。

そして就職とともに大人の世界へ羽ばたいていくことになる。

私のオートバイ人生の始まりはこのTVドラマからだった。

原作は望月三起也先生の1969年から少年キングに連載された漫画だ。

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これを不朽の名作として紹介する理由は

オートバイが主人公となって暴れまわるTVドラマとして、古さこそ月光仮面に譲るが

オートバイが中心となったスタントシーンが最も多い作品だということ。

仮面ライダーやキカイダーをも凌ぐ、オートバイドラマの王様と言えよう。

http://www.youtube.com/watch?v=OA-13gGTgks ←ワイルド7動画はこちら

原作のアクションは非常に過激で実写化不可能と言われていたが

1972?1973に日テレ系で放送された。その過激な表現や暴力シーンで社会問題となって

PTAから反対されて、僅か半年で放送中止となったが

7時台のドラマの最高視聴率を現在も破られていないという人気ぶりだったのだ。

小学生だった私も彼らとオートバイの虜になって楽しみに見ていた。

母親は亡くなっていて、父親が残業で帰って来てない時間だったので

ドラマを見た後はただちに夜のロードへ自転車を走らせ、いつかオートバイで走りまわるのを夢みた

少年時代だったのだ。

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オートバイは正しく乗りましょう。右手に拳銃持って、アクセルとブレーキは操作できるのか?ゲラゲラ

原作は発売したばかりのホンダCB750が主人公飛葉の愛車だが

実写版はスズキがスポンサーだったため、登場するマシンはGT750、2スト水冷トリプル。

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お揃いの制服が真面目そうなワイルド7。悪を持って悪を制す、法律で裁く必要のない極悪人を正義の名の下に処刑する。

現代の社会にこそ彼らは必要だ。

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草波隊長と映子。若い川津祐介と真理アンヌだ。

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主人公飛葉の役は小野進也。時代劇でよく見かける。ゴーグルのバンドはヘルメットの下なのだ。

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ロケ地は湘南の国道だと思うが当時はヘルメット着用の義務は無かった時代。ライダー役は団次郎、

帰ってきたウルトラマン。

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ギョエー!脚が長い。股下1メートルだな。

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とにかく小学校3年生くらいで、こんなもの見せられたおかげで単車馬鹿になってしまったわけだ。

今の子供らにはわからんじゃろう。

台詞の中でMXライダーなら注目すべき部分があった。

時代背景は世界GPでスズキのジョエル・ロベールやシルバン・ゲボスらが活躍していた頃。

日本人ライダーでは吉村太一さんや鈴木忠男さんたちが渡欧して成績を残していた時代。

 

IMG_0534.JPGこのシーンでは草波隊長が隊員たちに犯人の正体を説明しているが、その内容が興味深い。

「犯人は黒木だ!かつて彗星のごとく現れ、

全日本MX選手権シリーズの阿蘇、松山、さらには鈴鹿と、片っ端から制覇し

天才の名を欲しいままにしながら世界GPの直前、突然理由もなく姿を消し

以来、ようとして消息の知れない男だ。」

TVドラマの台詞に実在のMXコースの名が出てくることが他にあるだろうか?

そして黒木という悪役の顔がJ・スチュワートそっくりなのに驚きだ。

IMG_0529.JPGこの男がJ・スチュワートそっくりさんの天才ライダーの設定。

ハスラー250で走りまわる。

IMG_0533.JPG歩道橋をハスラーで登ってジャンプ、なかなかの腕前だ。

IMG_0531.JPGハスラー250は3型かな? 下りのフォームもセオリーどおり、この人MXやっているね。

IMG_0537.JPG飛葉もハスラーに乗り換え、黒木との決闘に臨む。筋書きどおり主人公が勝つんだけどね。

ナナハンやトレール車が走り回って全日本MXの話題も織り交ぜたTVドラマは二度と制作されることはないと思われるので、この作品を後世に残したいと強く思った。

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現代の2輪車は大型車から原付自転車まで燃料噴射を標準装備する時代。

4輪車は30年ほど前からキャブレターから燃料噴射へ移行していたのに2輪が遅れていた理由が解ったような気がする。

最大の理由は排出ガス規制に対応することにあった。

2輪の場合は規制が強化されたのが最近であることと、4輪のような高性能な燃料噴射装置を採用する車体のスペースと販売価格の低さが、開発の遅れとなって表れたのだろう。

地球温暖化の対策や低公害、省エネのために自動車会社の出した答えはハイブリッド車に並んで

高性能な燃料噴射装置の開発であった。

コモンレール式燃料噴射とピエゾ素子インジェクターが現代最高の環境対応技術といえるだろう。

ピエゾ素子は圧電素子の一種で、応力を加えると電流が起きる物質の総称で

温度、加速度、超音波など各種センサーに使われたり、身近なところにはエプソン、リコー、ブラザー社のインクジェットプリンターはピエゾ素子を使ってインクを噴射している。

写真のような精巧な噴射制御が出来ることからも、燃料の噴射制御も正確に行えることが想像できる。

原始的な燃料噴射は機械式の燃料ポンプで燃圧を上げて、バネで閉じられた弁を圧力で開けて噴射する方式。当然、正確な噴射はできなかった。

燃料の排ガスに与える影響は濃い過ぎるとPM(黒煙)が出たり、燃焼温度が上がってNOxが増加する。薄すぎると出力が出ない、不完全燃焼でCOやHCが増えるといったところ。

コモンレール式燃料噴射は蓄圧式とも呼ばれ、燃料ポンプが単なる燃料の供給ではなく、最新式では2000気圧という超高圧で燃料を加圧して、インジェクターに供給する。

酸素やアルゴンなど高圧ボンベが150気圧なので、その10倍以上だ。

何故そのような高圧が必要かというと、圧縮された燃焼室に微細な粒子として燃料を噴射させるためである。粒子が微細なほど燃焼という化学反応が迅速かつ確実に行われ、出力の向上と排ガスの清浄化に役立つのだ。

それからピエゾ式インジェクター、これは従来のソレノイド(電磁式)バルブに比べ、応答が速いのが特徴で

最新のソレノイドでも1回の燃焼に1から3回の噴射に対してピエゾ式は最高で7回の噴射が可能だという。

噴射間隔でいうとソレノイド式が900分の1マイクロ秒、ピエゾ式が1万分の1マイクロ秒である。

この1燃焼に対して多段噴射が必要な理由は、燃焼を段階的に発生させることで、完全燃焼と燃焼温度を低減させることだ。

そのために、コモンレール式燃料噴射とピエゾタイプインジェクターが不可欠ということだ。

残念ながら製造コストが非常に高価で、おそらくシステム全体で自動二輪車1台分くらい必要だろう。

それ故、2輪車にこれが採用されることは現実的ではない。

最初にコモンレール式燃料噴射を量産したメーカーは1995年、デンソーである。

主にトラックの直噴用で車両価格が1千万円クラスなので採用できただろう。

それに対して高級乗用車をターゲットにコモンレール式を量産したのがボッシュだ。

BMWやメルセデスベンツなので高額なシステムでも全体の割合からすると大したことはない。

遅れをとって後にトヨタレクサスにもデンソーのシステムが採用された。

我々の興味があるのはオフロードレーサーの燃料噴射システムだが

認定モデルではないため、排ガス規制の対照ではない。

したがって、高額な投資をして燃料噴射を開発する必要がない、キャブレターでも充分な性能が出せるなど、4輪のような高性能な噴射装置は装備しないだろうと考える。

4輪のような燃焼室直噴も聞いたことがないし、吸気通路に空気と混ぜてポートから吸入する

ウォールガイド式(空気流動で成層化)が主流だろう。

これが進化すると、ストイキ直噴(理論混合比で成層化)、スプレーガイド式直噴(高圧で噴霧で成層化)ということになり、吸気管内方式と比較して15%も燃費低減できるという。

こういうわけで、全ての認定車が燃料噴射に移行してきたように、車両価格の高いレーサーから燃料噴射化が進んでいくのが時代の流れなのだろう。

いずれ小排気量車も製造コストの問題が解決次第、移行することになるだろう。

航空機エンジン用に開発された、金属表面を洗浄しテフロン皮膜処理を同時に行う高性能オイル添加材として有名なマイクロロン。

名称は知っていたが、非常に高価であることとモトクロスでは、その効果を発揮したとしても

速さは運転技術で決まってしまうと考えているため

いままで試してみる機会がなかった。

「ガソリンやオイルの添加剤などオレには必要ないぜ」と考えている諸君

そんな考えは現実には全くそぐわないと思う。何故なら

添加剤の入っていないガソリンやオイルは皆無であるからだ。

ただ、その添加剤の種類や効能を選んで購入していないだけなのだ。

そして、マイクロロンは、明確な目的を持って選ぶことのできる添加剤であることを認識したい。

オートバイなどに金をかけるのが無駄だと思って定期交換部品もケチっている人がいるかもしれないがこの添加剤を使用しないということが、部品交換しないのと同じくらい罪が重いことになるだろう。

それはこの処理によって自動車なら10数万キロ走行しても効果が持続する耐摩耗性が

たとえ整備がルーズなオートバイユーザーにとっても充分な恩恵をえられるということになる。

もちろん全てのカテゴリーのトップレーサーにおいてもエンジントラブルの可能性を低減してくれるものであるだろう。

今回これを使用するチャンスが得られたのはMOTO1の大塚選手がマフラー改修のお礼に賄賂をくれたお陰である。

総額¥69800もするのだが、使い残しであるのが気になるが贅沢は言ってられない。

注意すべき点は用法、用量を守らないとエンジンを壊してしまうことだ。

人間に例えると薬のようなもので、間違った使用をすると死ぬことになるのだ。

それは、正しい整備やオイルの給油の上で効果を発揮するもので、性能を過信してはいけない。

給油の初期にエンジン内の汚れを強力に洗浄し、その後テフロンコーティングを施すということなので

エンジンオイルは溶剤によって希釈されるため、初期は潤滑性能が低下する。

このことから規定量以上、添加して高負荷運転をするとエンジンが壊れる。

溶剤はエンジンの熱で揮発して無くなるので2時間運転後は潤滑性が戻るということらしい。

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X4 32oz(946ml)¥36750

                    ポルシェ、フェラーリ、BMW、ドゥカッティなど高性能車にお勧め

                    航空機エンジン用に開発され、速効性で注入後2時間走行で処理

                    の90%以上が完了するため、注入後の慣らし運転が短縮できる。

     エンジンオイルの8%が適量なのでMXerなら約44mlで1回分¥1750程度の処理費用だ

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Top end 4oz(118ml)¥16800

                       レース用車両の燃料系統用トリートメント

                       フューエルポンプ、キャブレター、インジェクターなど燃料通路

                       の金属摺動部分の摩擦磨耗を低下

    ガソリンの0.2%―0.5%が適量なので10Lに20ml―50mlを混合する。

    ガソリン10Lの場合¥2847―¥7118と処理費用が非常に高価である。

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Hi Tempグリース 14oz(397g)¥15750

                            フッ素樹脂加工物配合で耐水性で高圧部分の摩擦    

                            低減。ベアリング、機械部品の組み立て用

                            メーカー指定の部品交換インターバルを延長できる。

       早速、ステムやリンクのベアリングに塗布して使いたい。もうイモグリスは使わない。

こういうわけで、乗るだけがオートバイの楽しみではない。活動の50%はメンテナンスによってマシンの性能を持続させることである。部品交換だけではその寿命を延ばすことに限界があるが、オイル添加剤の力を借りて性能を向上、維持していきたい。

後世に残したいオートバイを一台だけ挙げるとすれば、迷わずこれだろう。

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今更説明の必要もない、ホンダがWGP参戦して9年目に偉業を達成したワークスマシン

RC166である。イラストのゼッケン16は1966年Mヘイルウッド車

同年はWGP50ccから500ccの5階級のチャンピオンを獲得し、50と350の階級は消滅したので

2輪メーカーとして永久に破られることのない偉業となった。

とくにRC166の250ccクラスは不参加の2戦を除いて、Mヘイルウッドのライディングにより

10戦全勝した究極のマシンでスペックはこのとおり

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このマシンが活躍した年は3歳だったので記憶にないが、小学校低学年になると百科図鑑のオートバイのページにはこれが載っていたので知っていた。

そのころからの記憶がこんなオートバイを作ったメーカーに憧れて、就職を決定することになったのかもしれない。

実車は茂木のホンダコレクションホールに展示してあるので、いつでも見ることができるが

私にとっては、これらの偉業の他に運命を感じる出来事があったのだ。

それは今住んでいる市内にRC166のクランクシャフトを削りだした人がいることがわかったことである。

その人は吉田さんというのだが、私がホンダに在籍中からの知り合いで、生産設備を作るホンダエンジニアリングに所属していて、実験室を任されていた人物である。

オールアルミボディのNSXを立ち上げるときアルミのスポット溶接の条件など自動車では経験が無かったため

吉田さんの実験室でスポット溶接のテストピースを作っては、私の職場の試験機で強度テストを繰り返していたのでよく知っていた。

それはアルミの板厚とナゲット径と溶接電流の関係を調べて、溶接ロボットにティーチングするHES(ホンダエンジニアリングスタンダード)規格として量産で運用された。

2輪車では2輪駆動の特許も取得しており、80年代のオフロード雑誌でも取り扱われていたのでご存知の人も多いと思う。

そんな吉田さんはホンダの創世記に旋盤工として採用され、GPマシンのエンジンパーツ製作を任されていたそうだ。

RC166の6気筒エンジンは一本のワンピースクランクで吉田さんのハンドワークで削りだしていたという。

加工中、背中越しに宗一郎さんが見ていたという話も聞いたし、Mヘイルウッドが試走するときも立ち会ったという貴重な話もしてもらった。

現代のオートバイはCADで設計したデーターでマシニングセンターが動いて加工するので、人間の手で作られた部分は皆無である。

しかし、当時のオートバイは鉛筆で書かれた設計図に基づいて手動の加工機で製作されたもので

それでホンダという社名を世界のメーカーや2輪ファンに知らしめたという意味で後世に残したい一台のオートバイにしたいと強く思うのである。

ニッサンVG12が老朽化のためホンダRF1に乗り換えました。

低床ミニバンのため車高が低い割りには充分なカーゴスペースがあります。 IMG_0397.JPG

後部座席を取り外すと、このとおり。

オートバイの積み込みは余裕の広さですが、まだ内装が綺麗なので座席にタイヤを押し当てるのは気が引けます。

そこで作ってみたのがタイヤ止めです。 IMG_0398.JPG

床はコンパネなどは敷きません。泥が落ちれば、マットを下ろして水洗いしますので簡単です。

タイヤ止めはアルミ製。業務終了後、夜8時に思いつき在庫の材料を適当に選んで、急拵え。

10時には出来上がっていました。

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実際に積んでみるとこんな感じで、同じ型のクルマにのっている人が450、2台楽勝で入ると言っていたのも納得です。

タイダウンのフックも天井のグラブレールが調度よい位置なので、新たに取り付ける必要もありませんでした。

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タイヤ止めをセンターに置くと座席をリクライニングさせられます。

床に固定しなくても前にずれることはありませんので、任意の位置に置くことができて、テントや発電機など荷物の量に合わせて積み方を変えられます。

RF1は実はトランスポーターとして最適なパッケージなのでした。

松山オートテックは愛媛県松山市の山中にあるMXコースで、県民の水瓶「石手川ダム」をさらに山奥へ進むと、瀬戸内海が広がる絶景の山の尾根の部分を切り崩したMX場が現れる。

ゴルフ場も隣接しているのでコースまでの道路は完全舗装された環境のよさ。当時のMXファンなら五明(ごみょう)という地名で知られている、そのコースは通称パチ台と呼ばれていて

コースの一番低い位置にスタートとフィニッシュジャンプがあり、高低差100mくらいの斜面を一気に上ってからパチンコ台のようにクネクネとバンクのついたタイトコーナーを曲がりながら下ってくるので

下からコースの状態が80%くらい見えるので観戦しやすいコースだった。

松の木の山林に黄色い山砂のコースは日本のMXコースの中でも一番美しかっただろう。

そしてカワサキ ダートクルニクルスの記事を読んでいて懐かしく思った。

チームグリーンの平井監督の話だったが、最初に育てたA級ライダーは中深迫正と菅原義広。

その前にチームグリーンとして成功したのがスーパーノービス調所伸一と鈴木南平だったことを

平井監督が語っている。

そして、その舞台が全日本四国大会の松山オートテック、83年のレースだった。

コースの一番高いストレートが終わった左コーナーの向こうは青い瀬戸内海が見えるはずだが

ライダーにはそんな景色は目に入らない、バンクのコーナーを立ち上がったら、菅生の大坂より長い下りジャンプが待っているからだ。

そのジャンプを最初に飛び出してきたのが、調所伸一と鈴木南平のカワサキだったわけだ。

私も鮮明に覚えている。現地には行っていないがライディングスポーツ誌の見開き2ページを飾った写真が、その場面だったからだ。

調所選手の逸話は、桶川のレースで優勝したあと、「フロントフォークがいつもと違う」と言ったので

フロントフォークをばらしたら、片方のフォークにオイルが入ってなかったという話。

片方のオイルがなくても勝てるくらい速かったということだ。

鈴木選手はバイクランドジャパンの御子息、木更津サーキット(イーストバレー)や飯倉スポーツランドも経営していた、あの鈴木さんである。

2人は早くMXに見切りをつけて別の道に進んだと聞いたが、ワークスライダー養成チームとしてのチームグリーンの活躍の原点は彼らだったに違いない。

ハンチング帽にサングラス姿の平井監督は全日本MXの名物となっていた。そんな平井監督と私は一言だけ会話したことがある。

86年の国際B級ゼッケン2はクレイジー安藤さんだ。

安藤さんは石神覚さんのポイントワンに所属していたころから狭山レーシングと縁があり、

カワサキに乗り換えてジュニアライダースに所属してからも、狭山のトラックで全日本遠征していた。

菅生の全日本のときB級の予選でサインエリアにいたとき、平井監督が私に「安藤は予選通過したかー」と尋ねられた。「ハイ、通過しました!」 たったこれだけだが忘れられない。

国際Aは私にとって神様だ、そして監督は神様を育てている創造神なのだ。

安藤さんは前年、カワサキに乗り換えて鈴鹿で4位に入った。申請すればA級昇格できたのだが

「申請A級はインチキだ」と言って翌年、優勝するつもりでいたのに成績不振で折れてしまったのだ。

平井監督はカワサキに乗って速かった安藤さんにも期待をかけていたのだろう。

話は逸れてしまったが

松山オートテックは85年、先輩の井本さんがB級ゼッケン9の年に全日本四国大会として最後のレースを開催した。

その日のマーシャルは四国のトップライダー三原達夫。

国際Bの公式練習は三原選手と井本選手の一騎打ちだった。

四国選手権のトップライダーの松山でのスピードを見せ付けたいという思いと

一桁ゼッケンが田舎B級に負けてはいけないというプライドが、走りに表れていた。

そして、三原選手の御子息は後にチームグリーンへ入るほど成長し、親の意思を継いだと思われる。

その選手の名前は三原拓也、四国で8番目の国際A級ライダーとなった。

 

A級250でヒート優勝したのがMX界1のイケメン立脇三樹夫選手だったのが印象的だった。

その後はゴルフ場建設予定地になってしまい閉鎖したと聞いている。

注文されていたアルミタンクが出来上がりました。

この150はフレームの形状が違いますのでノーマルフレームで合わせても

うまくフィットできるか判りませんので車両ごと預かりました。

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形状や容量の指定は何もありません。

要件はアルミで作るということだけです。

その目的を聞く人がいるかも知れませんので、断っておきますが

この車両は35万円のアルミフレームに取り換わっています。

タンクも8万円かかりますが取り換えたいと思っても不思議じゃないんです。

レースの成績を良くしたいとか、もっと速く走りたいという人には不必要なパーツです。

同じ性能なら人が持ってないものが欲しいと思うでしょう。

何10年もオートバイに乗ってきた諸兄なら誰でももっている願望です。

ただ、それは何処のお店にも売っていないし、探しても見つかるはずもありません。

残された方法は作るだけです。

金型もマシンもありません。板金鋏とハンマーと溶接機が主な道具です。

あとは形状をデザインする脳と両手が働いて形にします。

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これで一つ難題が片付きましたので、明日から注文されているマフラー作りにとりかかれます。

ショックの減衰力を簡易的に測る方法は、スプリングをはずしたダンパーを

ヘルスメーターに押し当て、一定の速度で圧縮して荷重を測る方法がありますが

詳しく調べるには機器を用いる必要があります。

私はメーカーで試験機を使って、重要保安部品のスペック適合の合否を判定していました。

減衰力の前にスプリングのバネ定数を測定する方法から説明します。

バネ定数とは、バネが弾性変形をしている状態の1mm変位させるのに必要な荷重。

単位はkg/mmで表します。

使用する試験機は引っ張り試験機、機械式(ねじにより変位する)で最大荷重10トンで最大変位1mまで計れます。

精度が0.1gまで保証されたロードセルと1μまで保証された変位計で荷重とストロークを同時に計測して出力します。

この試験機でコイルスプリングを1回ストロークさせただけで、荷重ーストローク線図をレコーダーに作図しますので、ばね定数が容易に求められます。

次にダンパーの減衰力をどうやって測定するか

私は振動試験機を使いました。サギノミヤ製で、最大振幅1m、最小周波数10Hzで

定格荷重10tのロードセルと1μ精度の変位計つきの油圧式アクチュエーターが運動します。

振動波形は正弦波、矩形波、任意の波形と周波数を自由に設定可能で、荷重制御か変位制御のいずれかを選択します。

油圧シリンダーに対して垂直に支持したダンパーを圧縮します。

ダンパーはピストンスピードによって減衰力が変動しますので、荷重制御にして、大荷重に設定するとピストンスピードが速くなるということです。

計測データは出力されて、荷重ーストローク線図を記録しますので、初期、中間、底突きなど任意の状態の減衰力が荷重で読み取れるということです。

この振動試験機はストローク回数の設定もできるので、耐久テストや、フロントフォークの慣らし運転にも応用できます。

では、ショーワやカヤバといったサスペンションメーカーはどのようにして

実走で減衰力やピストンスピードを計測したかといいますと

テスト車に特注の計測器を組み込んだフロントフォークやリヤショックを取り付け実走します。

ダンパーロッドはピストンが固定されていますのでダンパーロッドに歪ゲージを貼り付けて荷重較正

して専用のロードセルを作成していました。

計測した電気信号を電波で飛ばしてコース脇の記録計でデータ収集します。

こうやって設計上のバルブ設定と実走による計測で減衰力のシュミレーション行ってサスペンションという製品

作りに反映させているところを垣間見たのでした。

通常の製造業務では切り粉や粉塵が舞うことがありますので

エンジンやサスなど精密機器の組み立ては、業務終了後に行います。

従ってショックのオーバーホールはもっぱら夜の仕事ということになります。

今夜のメニューは2010モデルYZ250Fのリヤショック。 IMG_0322.JPG

ショックのオーバーホールは20年前からやっていましたので、構造の変化を見てきました。

2000年代に入って圧側のアジャスターに高速側が追加された以外は殆ど変わってないというのがリヤショックの構造でしょう。

もちろん構成パーツの寸法やスペックは進化しております。

バイク雑誌の影響でオーバーホールにはバルビングというダンパーの仕様を変更することが含まれると思い込んでいる人が少なくないと思います。

私は20年前にサスの動きを良くしようと考えバルブを変更して走ったりしましたが、性能を悪くしてしまって、満足な練習ができなかった経験があり

バルブ設定のデータがはっきりしていないバルビングは時間の無駄なのでやらないことにしました。

従って、分解洗浄して点検とオイル交換が主な作業内容となります。 IMG_0323.JPG

2010モデルでも3ヶ月も経つとこのようにオイルは泡立っています。

泡が立つことで正規の減衰力が発生しなくなります。

エンジンオイルと同様、高熱と高圧によってオイルが劣化するため、定期的に交換することが望ましいのです。

IMG_0324.JPG

最初に分解するときは、ダンパーロッドの頭が加締められており、工具では緩みません。

私は旋盤を使って加締め部分を削ってからナットを緩めます。

サンダーで削ることもできますが、粉塵が舞ってしまったり、火花が洗浄液に引火するのを防ぐ必要があり

旋盤で切削する方が効率が良いのです。

IMG_0325.JPG

全バラにして洗浄します。

新しいマシンなので損傷は全く見られません。

左端のワッシャーのようなパーツがバルブを構成するシムです。

青色はスプリング材を熱処理した焼け色を表しています。

シムは逆止弁の役割をしており、圧側のシムはバルブの下側に積まれて、ピストンが上昇するときだけ開いて減衰力を働かせます。

伸び側のシムはバルブの上側に積まれてピストンが下降するときだけ開いて減衰させます。

当然、圧側のほうが大きい圧力を受けるため、枚数が多い方が圧側のシムです。

材質はどちらも同じばね鋼ですが、マイクロメーターで厚さを測定すると、違いがあることが解ります。

圧側が0.25- 0.32mm、伸び側が0.15- 0.16mmということで

1枚のシムの厚い方がばね定数が高いので使い分けているのでしょう。

このことから、シムの材質、厚さ、外径、枚数など複合のファクターを組み合わせて減衰力を調整するわけですから、バルビングという作業は専門メーカーの分野と考えております。

そういうわけで通常のオーバーホールは分解、消耗部品交換までが守備範囲です。

オンロードタイプのチャンバー製作を依頼された場合、

装着するサイレンサーを支給されることもあります。

サイレンサーがなければ排気系は完成しないのでサイレンサーも同時に製作します。

ここに示しますのは、オンロードタイプの車種に装着する

最も簡単な作りのサイレンサーの製作工程です。 IMG_0315.JPG

先ずはアルミの筒

1mm厚のアルミ板を3本ロールという機械で巻いてパイプを作ります。

量産は材料メーカーに注文して押し出し成型しますが

本品は少量生産のためハンドワークで巻きます。

ロールで丸めた板の端面をつき合わせてアルゴン溶接します。

これが手作りサイレンサーの基本です。 IMG_0316.JPG

これはインナーパイプ

穴径とピッチを指定したパンチングメタルを材料屋で注文して作ってもらいます。

これは0.8mm厚のステンレスです。

パイプ径が小さい場合は3本ロールが使えません。

内径に近い鉄棒に巻きつけて成型します。

巻いた板の端面は突き合わせてアルゴン溶接します。

パイプの前後は差込みするので0.1mm程度の嵌め合い精度が必要です。 IMG_0318.JPG

これらはサイレンサー前後の蓋とエンドパイプ

真円のパイプは旋盤で丸棒から削り出します。

ハンドワークなので最も時間が掛かる部分です。

曲げパイプは手曲げによるものでパイプエンドは旋盤で加工したリングを溶接してあります。

IMG_0319.JPGグラスウールをインナーパイプに巻きつけて詰め込んでいます。

高密度のウールより柔らかい方が音の吸収はいいようです。

2ストのサイレンサーは断熱ウールで充分な消音性能があります。

 

IMG_0320.JPG

エンドキャップを取り付けて、リベットで加締めて組み立て完了。

2ストはチャンバーで排気温度が下げられているので、アルミリベットでも耐熱性はOK。

ウール交換する場合でも整備性がいい。

バフ研磨はアルミサイレンサーの標準仕様です。

 

IMG_0321.JPG

チャンバーの取り付けに欠かせないフランジの製作。

円筒形のものは旋盤で、板状のものはフライス盤で加工しますが

マニュアル式の機械なので切削には手間がかかります。

上のパーツ8点、削り出すのに1日仕事です。

これで2気筒エンジン2台分のチャンバー、サイレンサーの製作完了しましたので

来週はアルミタンク作りにかかります。

MX用マフラーのお客様、お待たせしてすみません。

オートバイが限界を超えた時、転倒する。ライダーなら誰でも経験があるのではないだろうか。

転倒のメカニズムを考えることで転倒しない方法も見つかるのではないか。

転倒の形態は大きく二つに分けられると考えられる。

一つは横倒し、タイヤのスリップやバランスを崩して横に倒れる形態。

もう一つは縦回り、フロントタイヤが接地した状態でリヤタイヤが持ち上がって転倒する形態。

ハイサイドというのはこれらが複合で起こったと考えられる。

今回は後者の縦回り(前転)について述べたいと思う。

2輪車が転ばないで走り続けられる理由としてジャイロ効果が挙げられるが、それだけではない。

ジャイロ効果とは回転する物体が重心を軸芯に保とうとする働きで、前後ホイールの軸芯が移動する

ことに対して外力を加えなければならないのである。

車輪が回転している限り2輪車が自立して走行できるのはこのためと、もう一つの理由がある。

トライアルなどスタンディングスティルでは車輪が回転しなくても、ライダーが左右バランスを取りさえ

すれば自立していられる。

これはバランスが崩れた重心位置を中央(タイヤ接地点から垂直軸上)に戻す操作を行っているため

である。左右ステップの荷重調節やハンドルを切ったり上体の移動を積極的に行うことで可能となる。

ではジャンプなど空中で車体の姿勢をコントロールできるメカニズムはどうであるか。

ジャンプでエンジンの回転を上げるとリヤが下がる経験を多くのライダーはしているだろう。

これがジャイロ効果の影響だとするとリヤだけが下がる理由の説明がつかない。

リヤブレーキをかけるとリヤホイールが持ち上がってフロントローの姿勢になる。

これはジャイロ効果は関係なく、回転モーメントが主な原因ということになる。

ブレーキパッドがディスクを挟んだとき、ブレーキサポートを介してリヤフォークを下方へ押す力が働く

同時にリヤアクスルを上方に持ち上げる反力が発生する。

即ち、リヤフォークとリヤアクスルの距離で生じる回転モーメントがリヤホイールを持ち上げているのである。

では、エンジン回転を上げた場合は、ドリブンとドライブスプロケットの間でチェーンによる張力が高まる。

これは、リヤホイールは回転速度を速め、車体を後ろ向きに引っ張る動きが同時に作用しているのである。

ただ、回転モーメントはこれだけではない。

タイヤが接地した状態でエンジン回転を上げると車速が上がると同時にフロントが浮き上がりウイリー

状態になることがある。

先ほどのチェーンの張力に加え、クランク軸の慣性モーメントも大きく影響している。

普通のエンジンは車輪の回転と同じ正転でクランク軸が回っている。それは同時にエンジンケースを逆転させようとする

反力も生じているのである。そして、そのモーメントの大きさは正、逆において同等である。

エンジンケースの逆転はエンジンマウントを介してフレームに対して同じ回転を与える。

即ちクランク軸の慣性モーメントが車体のウイリーにも寄与しているということである。

それでは逆にエンジン回転を減速させることがフロントロー、ジャックナイフ状態へ移行することに寄与するということである。

ジャンプやギャップでホイールが引っかかったり、跳ねてしまったときに前転してしまうのは

当たったときにエンジン回転が下がってエンジンケースが正転することで車体の前回りを誘発していると考えられるのである。

もちろん、ホイールの跳ね上がりはサスペンションの動きや、重心の位置なども大きく関わっている

わけだがそれが起こってしまったときにアクセルワークで悪影響を及ぼしたり、コントロールできたりす

ることは間違いない。

先日、MXデモデイ会場で久々にモトハウスプロダクツ山下さんと雑談したときの内容。

YZ450Fスペシャルマシンを前に質問をしてみた。

「なぜ、ダンパーロッドをアルミで製作したのですか?」

その答えを要約すると以下のとおり

アルミの材質は7075で、ニッケルめっきの上、クロムめっき、チタンコートを施してある。

アルミ化したのはロッドだけでなく、バルブを組み込んだピストンやシールケースも同様である。

その目的は、軽量化はもちろんだが、熱ダレによるダンパー性能の低下を防ぐものだという。

アルミのシリンダーに鉄のピストンでは熱膨張の違いで隙間ができてしまい、ダンパーの性能は著しく低下する。

 

なるほど、これでわかった。鉄をアルミに置き換える軽量化だけでなく

7075超超ジュラルミンで強度を確保し、アルミ地にクロムめっきとチタンコートで硬さも純正品以上に

仕上げてある。

そして本当の目的は構成パーツの熱膨張を均一に起こさせ、熱ダレの影響を低減することにある。

これだけ施せばノーマルのサスペンションと比較して、レース後半の安定性が顕著に違うと思われる。

それに掛かるコストも相当なものだろう。一般ユーザーではそのコストに対するメリットが理解できないほど

高額な投資と思われるが、他ではやっていないことを実際にやって確認せずにいられない情熱を感じることができた。

そこで、「熱ダレが問題であることは私も感じていましたが、液化窒素のタンクを積んで、ある程度、

加熱されたダンパーボディーに噴射してはどうですか?」

と以前思っていたことを話してみた。

(ニトロ(元素名ナイトロジェン=窒素)は強心剤やダイナマイトの原料に使うニトログリセリンとは全く別物で、エンジンの吸気側から超低温の液化窒素を噴射して空気を圧縮させ充填効率を上げるという加給の一種をニトロチューンと呼ぶ)

すると山下さんは、ダンパーにウオータージャケットを設けて、冷却水を流してみたことはあったという。

しかし、効果は感じられず、熱だけが原因ではないかもしれないということで終了した。

メカニズムの薀蓄などは本を読んだりして誰でも語れるものだが、手間とコストを掛けないと知りえない

話をしてくる山下さんは、商売人というより技術者といえるだろう。

もう一つの話は10YZ450Fの後方排気を改造するということだ。

新型の450は重量配分のせいか解らないが、フロントの安定性に欠けるということで

後方排気のステンレス製エキパイが相当な重量であることから

エキパイをチタニウムでフロント通しに作り直すというものである。

同時に長いサイレンサーも極力前方に移動させて、軽量化と重量配分をフロントへ移動させてみるという試みである。

そのエキパイの加工を請け負うかもしれないので、今度MHで実車を前に打ち合わせすることにした。

実際に製作に取り掛かった場合はレポートすることにしたい。

 

【サイドビュー】

新車のマシンを走らせる前に、先ず自分好みの仕様にコーディネートする。

コンセプトは、買ってきたものは(メーカー純正品以外は)極力使わない。自分で手間をかけた部分だけがオリジナルなのだ。
新品のホイールをばらして、リムはアルマイトにハブは塗装で足回りを引き締めて魅せる。
エンジンも下ろしてフレームやリヤサスも塗装する。
やはり、うちのレーサーは黒が純正のカラーだろう。
しかし、プラスチックパーツは本職のデザイナーが作った純正のままがいい。
実は黒と赤の色のコーディネートが最強の色相なのだ。
余計な飾りも不要、ノンスポンサーを強調することが、オリジナルの意気込みを表現する。
要するに、人にやってもらったことに対してあまり価値観を見出していなくて 自分で手間をかけた部分にマシンいじりのロマンを感じているわけだ。

【サイドカバーはずし】

ノーマルと明らかに違うスタイルはエキゾースト。
チタンニウムのエキパイは去年から使用している物でエンジン特性が気に入っているので再使用した。
焼け色が変わっていくのも楽しみの一つ。
全体が焼けたら、サンドペーパーで磨いて何度でも新しい焼け色を楽しめる。
一見ノーマル風のサイレンサーは中身とエンドパイプがオリジナルのものに取り換えてある。
シングルのエキゾーストをデュアルに作り変える試みだが、排気音とパワーの出方を変更する目的だ。
アルミのブレーキとチェンジペダルは他機種の純正部品で流用しただけ。
フロントエンジンハンガーはノーマルの高張力鋼板から超ジュラルミンの削り出しに取り換えてある。

【リアフォーク・スプロケット】

150R最大の欠点であるリヤフォークの強度不足を対策した補強リヤフォーク。

7Nー01材で曲げ応力が最大になる箇所の断面積を30%増して対応している。
町工場はメーカー任せにする必要はないのだ。
一見スペシャルのスプロケットはノーマルベースで112個の穴空けをして軽量化した。
ノーマルはなんと、820gも重量があるのだが、570gまで落とした。
しかし、タロンのアルミは270gしかないので2倍の重量だ。(残念)
但し、耐久性は3倍くらい期待できるので、コストパフォーマンスで断然勝っているはずだ。

【デュアルマフラー】

テスト中の新型構造はマフラー内部で二股に分岐させ、2本のパンチングパイプを通って排気され る。
ノーマルの開口面積と同等の2つ穴にした場合、約1dB排気音が上がることが分かった。
排気を2列にすることで排気ガスの流速があがるためと思われる。
これがパワー的に有利だということを示しているのだが、あとは、パイプ径の調整をすれば音量のコントロールも可能だ。

とにかく、いつも同じマシンに乗っていたのでは、ライディングそのものの情熱が冷めていってしまうので 常に新しい試みと、ベストコンディションを保つメンテナンスを怠らないことがモトクロスを長く楽しむ秘訣ではないかと思う。

2スト車の車体に4ストエンジンのスワッピング(換装)は何度もやってきた。 しかし今回のスワッピングは今までのとはわけが違う。

これまでのエンジンは旧式の空冷2バルブであったのに対し、これは新型の水冷4バルブだ。 おそらく日本で初めての組み合わせだろう。前後サスペンションはホワイトパワー。リヤはリンクレス。 ブレーキはフォーミュラの対向ピストン。国産には採用されないヨーロッパ製品が目を引く。 画像はエンジンのレイアウトを検討している様子でエンジン位置は決定したがフレームのパイプは繋がっていない。高くなったキャブレターにあわせたエアクリーナーの変更、シリンダーヘッドをかわしたガソリンタンク製作、フレーム中通しの専用エキゾーストパイプetc.難題山積みである。 おそらく実走できるのは夏頃だろう。

 この製作計画を聞いて殆どの人は無意味だとか、改造しないでそのまま乗るのが一番いいとか思われるだろう。 実は製作を担当している自分自身も同様に思っていたのだが、製作を諦めさせる説得をしながら、自分の気持ちが完成させて走らせてみたい方向に変化していった。

これを無意味なことと思う人は、マシン選びにどれ程の理由があるだろう。 メーカーのイメージであったりレースで上位を走る機種であったり、バイク店との付き合いであったり。いずれにしても明確な根拠は存在しないはずである。しかも、高額な支払いをして手に入れたマシーンも翌年にはあっさりモデルチェンジされて旧式になってしまう。本当に乗りたいものを決める手段が完全にメーカー任せになっていて、お客さんは踊らされている状態だ。そんな宛がわれたような選択肢では、ただ流行にながされて、他人の真似しかしない日本人の一員になってしまう。

他人と違う方式を試みる精神がこの車両の製作に現れているではないか。 これが完成して走っている姿をみて、どんな乗り味なのか興味を持つ人は多いだろう。しかしその答えは作った者、乗った者にしかわからない領域だ。

 無意味だと思う人には一生わからない答えだろう。 そしてこの製作を実現する手段に弊社を選んだ依頼者に満足していただくために腕を振るわなければならない。

チャンバーは溶接が主な作業と思われがちだが、実はこのような部材の成形に製作時間の大半を費やす。紙の上に設計されたパイプはテーパー状で、複雑に曲がっているため、形状を思い通りに仕上げることに長年の経験が必要となる。写真のパーツは一台分でつないだ全長は1メートルほどになる。ここまでできれば8割完成したも同然。 溶接でつないだパイプの完成品。成形された寸法精度が上手くできていれば溶接は容易にできるが、誤差が多いとつなぎ目に段差が出来たり、カーブが狂ってきて不良になる。パイプの成形が完成品の良否を決定する。この後、治具に装着し、テールパイプやマウントステーを取りつけて完成するが、全工程で15時間費やすのに、溶接は2時間くらいの作業だろう。コンピューター制御の工作機械全盛の世の中だが、チャンバー製作は自動化が不可能な手工業の世界でしか実現しないのだ。
アルミタンクはワークスモトクロッサーだけの物ではない。70年代後半までは量産車がアルミタンクだったのに、大物は金型でプレス成形されるが、溶接などハンドワークの部分に熟練が必要なため、生産性のよいプラスチックタンクへと変更されていったのだ。 昨今のビンテージオフロードの盛り上がりで70年代後期のレーサーもレストアされレースに参加する台数も増えてきた。ところが30年も前のプラスチックはどうしても劣化が進み、軽い衝撃でも割れてしまって、ガソリンが漏れてしまうのだ。接着材で補修しても耐ガソリン性のものはなくて使い物にならない。塗装しても揮発するガスで塗膜が剥がれてしまう。 そんな悩みを解決するためにアルミタンクを製作することにした。タンク専門の会社に依頼すると、量産とそっくりな形状の品物ができるが、必要なモデル代、金型代、を負担した上に製作費がかかるので、すくなくとも35万円は かかるらしいが、お客さんの依頼は1個だけなのでそのような金額では諦めてしまうだろう。今回はプレス成形を行なわない方法、アルミ板から叩き出す板金手法で作ったタンクだ。 全体のデザインを決めるアッパーハーフをハンマーで叩きながらカーブをつけていく。見本と見比べながら感を頼りに曲げていくのだ。一枚板では不可能なので、要所要所分割して成形して溶接で組みたてていく。フレームに組みつけるロアーハーフも車体に取り付け確認をしながら成形していく。アッパーとロアーを接合する前に形状を整えないと、後からでは叩けないのだ。溶接が全て終了したら、水を満タンに入れて洩れがないか確認する。エアーを入れて水没させる方法もあるが、加圧してタンクが膨らんでしまうことがあるので、水を入れた方が安心なのだ。これでプロの塗装を施せば、アルミ製の複製タンクであることはよく観察しないと気がつかないだろう。 アルミタンクはけしてワークスチームだけのものではない、むしろ庶民的な旧車マニアのためにあるのだ。