■ リペア・難易度A級の修理

溜った残務を終わらせないと、新たな仕事にかかれません。必死でやってます。

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腐って鉄板に大きな穴が開いている
CL50マフラーです。

このようになったら普通は修理しません。
捨ててください!

ところが20年来の知人から紹介されたということで、修復を頼まれました。
(顔知ってるくらいじゃダメじゃよ)

一応、捨てたらどうかと進言したら
どうしても使いたい、形にはこだわらないから使えるようになればいい。

このように言われるので渋々うけました。
しかも、予算はいくらか?
これは安い方がいい、年金暮らしなんで新しいの買うつもりもない。
こういうわけですよ。そりゃうち以外でやってくれる業者さんは見つからないかもしれません。

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金はかけられませんから
金型作ってプレス成形など無理です。

ハンドワークで取り替える部分の板金部品を作りました。

表と裏で若干違う寸法ですので
2種類の部品になっています。








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切断して内部構造も確認できましたので
同様の寸法で復元してあります。














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直したとこが長持ちするように
開いているうちに錆止めの耐熱塗装を施しておきます。













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左右の板金部品を合わせて溶接し、
修理品と結合しました。

これで実用上は純正相当でしょう。

錆落としや耐熱塗装はお客さんが自分でやりたいそうなので
このままで修理完了です。








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ご希望通り、インナーバッフルは抜けるようにしてあります。

腐ったマフラーではバッフル脱着不可能でしたので。

工作時間は1日かかりましたので1万円くらいはもらいたいです。





一件落着
今日の残業はコレです。
もうすぐ全日本MX開幕ですから、凹んだエキパイの修理も日程が決まっています。

日常的にやらない修理なので記録に残しておかないと

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2017CRF450のエキパイ社外品です。

早くも凹ませていますが
このまま使うことはできませんね。


直しましょう。









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修理後の状態です。

傷は残りましたが、性能は完全に回復しているでしょう。





修理方法はパイプの開口部(3か所)を塞いで、窒素で加圧します。(およそ10気圧)
直したい部分をアセチレンバーナーで炙って赤熱します。
凸部を板金ハンマーで叩いて均すようにして形を整えると丸く戻ってきます。

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密閉する治具が引っかかるように
ストッパーリングを溶接しておく必要があります。

また直すこともあるので、このまま付けておくとよいでしょう。










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修理作業は3分ほどで終わりですが

蓋を3か所作らなければできませんので
一日掛かりになってしまいました。

修理代ようけもらわんと合いませんね。










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180度曲げのパイプの凹みを直した場合
カーブが10mmほど広がってしまうことがあるのですが
そのときは曲げ戻せば、取り付けに問題ないですが

今回のは1mm以内の歪みだったので
このまま修正なしで取り付くでしょう。

13年ぶりに車体合わせで製作したRMXチャンバーを治具に取り付けてレイアウト確認した後、
治具更新して新造しました。

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RMX250Sチャンバー

今回はサイレンサーもセットです。

価格25700円と12300円(税込み)
送料(本州)1000円

ラインナップ品なので受注生産できます。








RZV500チャンバーのフロントバンク右側の修理状況です。

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社外品マフラーの修理依頼はお断りしております。

他メーカーのやるべきアフターサービスを弊社でやってあげる理由はないからです。
直すところが無ければ諦めてください。

不慮の事故で大事なマシンに傷がついて、なんとか修復をしたいとお考えの人が、インターネットで検索されて弊社に問合せされてくると思いますが
どんな場合でもうまく直せるわけではありません。
殆どのお問合せは「修理の可否」と
「修理の金額」を問うてこられます。
凹み修理は滅多にやらないので規定の料金や確立された修理方法もありません。
現品を確認しない限りわからないというのが正直なところです。
私はメーカー寄りの考え方なので、
自分で直せる人以外は古いクルマを維持し続ける努力をするより
新製品が常に生産されているのですから
新しいのに買い替えるのが現実的です。


大した凹みではないですが、異形断面なので水圧成形は不可能です。
形が変わってしまいますからね。

水圧成形は真円パイプのみ使用可能な方法です。

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二重構造なので切開板金も不可能です。

裏側から叩けない以上は引張るしかありません。

棒を溶接して引張りだしますが

擦り傷が消えるわけではありません。








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もちろん一回で元に戻ることはありません。

画像は2回目の引っ張りですが

微妙な凹みが散らばっていて
5か所くらい引張り出しました。

溶接痕はグラインダーで研磨して消すのですが
擦り傷が消えるまで研磨すると
板厚が無くなってしまうので
削ることはできません。




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普通の修理ではやらない方法ですが
エンジン内部の肉盛り等に使うデブコンで
擦り傷を埋めて、サンドペーパーで面出ししました。
完全硬化するとアルミ材程度の硬さで
耐熱温度1000℃だそうなので
排気熱くらいは問題ないでしょう。

板金パテでは剥がれてしまうと思います。







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本来、剥離して再塗装が理想ですが

お客さんが自分で塗装すると言われるので
耐熱塗料だけ吹いておきました。

艶消しなのでノーマル色にこだわるなら
板金塗装工場に依頼されるといいでしょう。












前回のクラブマンMXで大内家長男のエンジンから異音がでていたので、異音の元を指摘したら
リキヤのエンジンOHを頼まれてしまいました。
リキヤはEJ150でポイントリーダーなんですが国際A斎藤ヒロシさんの長男が6点差で追ってきていますからレース中にエンジン壊れたらあっさり逆転されてしまう状況でした。
しかし、私が修理したからといって確実だとはいえません。
シリーズチャンピオンというのは1年間レースしないと結果が出ないわけですから、これを整備ミスで落としてしまうと責任重大なんであります。
だからレースメカニックなどという人の人生を左右する仕事は、私のような物忘れの激しい人間には務まらないと思います。

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分解してすぐにわかったことは3軸とバランサーのベアリングが全部ガタガタで
シャフトが暴れてケースを叩いている音でした。
破壊寸前のエンジンで走っていたわけです。
全てのベアリング交換を決定し、分解にかかったのですが
ベアリング抑えのボルトが緩みません
トルクスヘッドのM6サラビスですから
大した締め付けトルクではないはずです。

ちょっと緩んだ直後にトルクスの工具の方が割れてしまいました。


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下が割れてしまった工具。
同様のビスを何回も緩めてきたのですが今回は無理でした。

そして某カインズで買ってきたソケットが真ん中で、店員が自動車整備用だと勧めたのでした。

真に受けた私がバカでした。
一発で先端がグニャリと捻じれてしまい
これは焼きが入っておらんぞ、ということで速攻で返品して
上のTONE工具に買い替えました。

捻じれたやつは知らない商社名の製品でしたが、おそらく中国メーカーの粗悪品を値段が安いだけの理由で、使えるかどうか確認もせず仕入れたのでしょう。
安もの買いの銭失い

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緩まない原因はネジロックで固着していました。
分解することは考えていないのでしょう。
組立てラインでは作業標準に従って組み立てるので作業標準決めたやつが5年後にメンテナンスすることを考慮してないだけのことです。
レーサーですから1年間トラブルが出ないことが最重要項目なんで、後のことは知らんというわけですね。

某ショップではレーサーを新車から全バラして組直すと聞いたことがあります。
人が組んだエンジンはメンテナンスに個性が出ていて好きでない場合があります。

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シリンダーヘッドもメンテナンスしておきましたが、部品の交換はなくクリーンアップが主な作業内容です。

バルブシートにカーボンを噛んでしまって気密が悪くなっていたはずです。










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同じ時間運転したクランクですから、この機会に新品交換です。
これが壊れるとケース全損する可能性が高いからです。

左が旧品、右新品、クランクウエブの肌が違うことがおわかりでしょうか。

旧品は外周黒皮なのに新品は全周切削されています。
当然コストや精度が違ってくるわけですが
量産でも途中で改良されていることが分かります。



今夜中にエンジンはフレームに載せて、先程エンジン試運転してきましたので、今週末のレースに間に合わせることができます。 一安心


日曜ですが休みなしです。
急遽修理しないとマシンが組みたたないということなんで
今日はコイツをやっつけます。

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立派なステアリングブラケットですが
ステダンの取り付けボルトの穴から
上下に割れています。

さてどうしたものか
依頼人は「溶接で付けてくれ」とおっしゃるので、「それはダメです」と説明をします。

このブラッケットの材質は成分分析しないと不明ですが通常なら溶接不可の材料です。
溶接で溶かすことはできますが、簡単に割れてしまって実用に耐えないでしょう。

そこで削り出しのブラケットをボルト止めにすることを進言しました。


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ボルト穴位置を3次元測定してから
ブラケットの加工寸法を決めますが
厄介なことに
ステダンの取り付けボルトはM7です。
一般的に使わないネジなので
タップ加工ができません。

幸いM7ナットを一個だけ在庫していたので
貫通穴にして締め付けする方法にしました。

ステダンのロッドはピロボールになっているので揺動するときにハウジングが当たらないようにブラケット端面に段付き加工をする必要がありました。



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フロントゼッケンの取り付け形状が複雑なもので、この寸法のブラッケットでないと装着できないことが分かります。

これで強度上問題なく使えるはずです。

こういうところが純正部品なら問題が起こらない完成品品質だと思います。

実はこのステアリングはステムのオフセットが2mm変更できるので、直進安定性を出せることが売りらしいです。

僕にはコストを掛けただけの効果を発揮できないと思うので(猫に小判)使えません。

お知り合いのS野さん所有のクランクシャフト

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ミニ耐久を長年走られていますので
スペアパーツは沢山お持ちのようですが
ノーマルをそのまま使うことはしないらしいです。

エンジンには何らかのチューンアップを施してないと競争する意味もないということ。
体力年齢や運転技術は衰えるだろうけど
経験値は蓄積されていきます。

これはXR80のクランクだけど
このまま使えない理由は100のシリンダーを使っているため。

100といっても腰上だけ交換というわけにはいきません。

ピストンピン径が80はφ13に対して100はφ15なのです。(←シンゾーさんから訂正の指摘が入り、φ15は改造ピストンのことで、ノーマルの100はφ14が正しい)
XR80エンジンに100の腰上を換装できない理由はわかりますよね。
そこでピストンピン径φ13のピストンを探すわけです。

みなさんがカネと手間をかけて探し当てたパーツ群をここで公開することはしませんが
部品の主要寸法を把握して別機種で流用できるものを探してきました。
ところが大方の純正部品が廃番となっていますので、新品部品の入手が困難です。
そこで集めておいた中古パーツを分解して使える部分を取り出す作業もしました。

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このクランクはタイミングギヤを取り替えるために
ベアリングプーラーでギヤとベアリングを抜き取ります。

専用工具使うと簡単ですね。









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これがタイミングギヤです。

左は80用14T
右は100用15T

今回は100用の15Tに交換するのが目的です。
何故ギヤの丁数が違うかというと
100のシリンダーは高いために80のカムチェーンでは短いので
チェーンのコマを足しますが今度はテンショナーで張りきれない長さですから
タイミングギヤの丁数をクランク側で1丁
カムシャフト側で2丁大きくしてチェーンの張りを調節してあります。

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問題はタイミングギヤを圧入するシャフト径が80はφ19.0に対して
100はφ21.0なのです。

基本設計がCB50と同様のXR80のままで
クランクシャフトの強度が保てなかったためのサイズアップでしょう。

クランクピン径も80がφ23に対して
100はφ26にサイズアップされています。

画像はφ19のシャフトに内径21のギヤを圧入するためのカラーを作りました。
肉厚1.5mmです。

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圧入時はクランクピンの反対側に治具を挟んでクランクが傾かないように固定します。

そしてベアリングとギヤを順番に圧入します。
ギヤの位置は100の場合、山がクランクピンのセンターに向くようにする。
(80は谷がセンターに向く)








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薄いギヤの内側に1.5mm厚のカラーですから必要な圧入荷重は期待できませんので
シャフトとギヤを溶接で止めます。

これでバルブタイミングが狂うことは避けられるでしょう。


こんなとこに熱を加えて大丈夫なのかと質問される方は
鉄鋼の熱処理を勉強してからにしてください。



S野さんの寿命を考えると、このベアリングを交換する時期まで乗っていないだろうという判断で、このまま嵌め殺しでよいということです。

ここで最初から100に乗ればいいのでは?と疑問に思う人は旧車センスありませんのでスルーしていただきたい。
これは100が発売されてない時代のエンジンなので、速さを追及するなら新型に乗るのが最善と思います。
あくまで旧車の耐久レースというカテゴリーの話です。
今回紹介しますのは、廃却すべき品物ですが、どうしても直したいと考える人の参考になるように実施した修理です。
くれぐれも私に同様な修理を頼まないようにしていただきたいと思います。
その理由の一つは修理作業する時間的余裕がありません。
もう一つは時間ができたとしても新しい物を作ることに専念したいということです。
まして社外品の修理などはお断りの対応をする時間が無駄になりますのでご容赦願います。

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ここに80年式CR250のチャンバーがあります。

何の問題もないようにみえますが

かなり大きな凹みが見えます。









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錆の状態が年式の割には軽度のものだったので
水圧に耐えられるか五分五分という感じだったので
一発膨らましてみて水が漏れるようだったらやめておくつもりでした。


旧式チャンバーの多くは腐食のため鉄板が凹み修理に必要な圧力に耐えられないことがありましたので
見た目で判断して無駄な作業を避けたいという意図があります。



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案の定、接合部が割れて、あっさりと水が漏れてしまいましたので
接合部を全部削り取り、全周溶接やり直しました。

このタイプのチャンバーはプレスのバリをシーム溶接(ローラーで加圧しながら抵抗溶接)するのが量産型ですが
これはTIGでナメ付けしただけなので
シーム溶接よりは圧力に弱いです。





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使い古したチャンバーなので
腐食した鉄板と内部に堆積したオイル分が燃えて均一な溶接はできません。

それから堆積したオイルが燃えて、すごい煙がでて工場に充満してしまうので迷惑度が高いですね。

不完全な溶接のため圧力でビードが割れて水が洩り、補修するということを20回くらい繰り返し、凹みはこの程度修復できました。

切開板金すれば難しくないかもしれませんが、切断して修復するよりは水圧修理の方がダメージが少ないと思います。
先週、軽井沢でクラブマンMXが開催されて、そのとき追突されて凹んでしまったマフラーを預かってきました。
カワサキのマフラーはエンドカバーだけ部品で取り替えられないそうで、サイレンサーボディ・COMPしか購入できないらしいです。
なんとかエンドカバーの部分だけ直したいと思うのは当然ですが、袋構造になっていて板金修理は困難です。

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中のパイプも溶接されて2重になっているため解体するのも厄介です。

こういう場合の直し方の1例を示しましょう。











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まずは凹んだ部分を切り取ります。

中身が露わになっていますね。

エンドキャップもサブチャンバーの役目をしているようです。










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新に鉄板を成形して溶接します。


なるべく元の板と段差が無いように付けるのがコツです。











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溶接痕を消すように研磨します。

パテ盛りではない証拠を表しています。












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マスキングしてエンドカバーだけ塗装すれば出来上がりです。

ほとんど修理痕は分からなくできましたね。

作業時間1時間くらいです。

板金修理って出来て当たり前のように思われていて、少しでも粗が見えるとマイナス評価されてしまう割りに合わない仕事だと思うのですが、どうでしょう?

凹んだエキパイほどカッコ悪いものはない。

先週末、軽井沢MPへ練習にいきましたが石の多いコースなので
跳ね石をエキパイにヒットさせてしまいました。

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尖った石が食い込んだ跡があります。

この手の凹みは直りにくいですが
このまま放置していては次々に石が当たって原型を留めなくなってしまう恐れがあるので早速直したいです。









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何年か前に作っておいた450用エキパイ治具がありましたので

作業時間は数分で終了です。











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窒素で加圧しながらアセチレンバーナーで炙ります。

食い込んだ跡は消えませんが凹みは大体直ったと思います。










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同じ過ちを繰り返すのはアホのやることです。対策を講じなければなりません。

石が当たって困る場所にはプロテクターを付けることにします。

φ45 2mm厚のアルミ6063パイプを
エキパイのカーブに併せて曲げます。

これを半分に切開してエキパイガードを作ります。



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これで跳ね石対策エキパイガードの完成です。

高額なチタンパイプですから安々と捨てるわけにはいきませんからね。

凹み修理も無駄な時間なので、やらんでいいに越したことはないです。

以上。

先日作ったエキパイがワンレースで凹んでしまいました。
いくら手間がかかっていようが、高額であろうが、潰すときは一発です。
程度によりますが、凹んだまま使っていては、本来の性能が出ないんじゃないか
またぶつけたらもっと酷いことになるんじゃないか心配しますね。

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転倒はしてないですが
他車と接触したんでしょう。

これくらいの凹みは簡単に直ると思います。











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やり方は示しますが、社外のエキパイ修理を頼むことはご遠慮ください。


エキパイの前後を治具で密閉します。

片側には窒素ガスを封入するバルブを付けてあります。

酸素でも出来ると思いますが、火炎で赤熱するときに酸化して材料が脆くなることを防ぐ目的です。




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スリ傷は残りますが、凹みは完全に修復できました。

炙りすぎると外側が酸化してしまうので
必要以上に加熱しないことがコツです。

難しい技術は特にありません。
高校の機械科以上の経験があれば誰でもできると思いますので、どうぞやってみてください。

先日、元無限ファクトリーライダーの伊田さんから、本物の無限チャンバーの研磨を頼まれました。

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サイクルサウンズ誌に載ったこのときのマシンです。
85年全日本選手権、国際A級125ccクラス
開幕から4ヒート連続優勝。
鮮明に覚えています。
その後無限からプレゼントされたME125は伊田さんの下に、そして東希和レーシングの先輩、岸さんの店(ラフ&ロード)で展示されて20余年の月日が流れ、持ち主のところへ帰ってきました。

その歴史に残るマシンから外されたチャンバーなので丁重に扱わせていただきます。

私のモトクロス人生において当時の国際A級ライダー(全日本ランキング上位5名昇格時代の)は神様と同じ、しかもチャンピオンからの依頼ですから「俺は研磨屋じゃないよ」なんて言える立場ではありません。
「へへー、承りまして仕りまする」という具合に研磨屋に持ち運ぶ役を仰せつかりました。

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まずさび落としに高品質なウエットブラストしてもらおうとしましたら
大きすぎて機械にはいらないと言われ、やむを得ずサンドブラスト頼みました。











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仕上がってきた状態です。

完全に錆が落ちていますが、光沢はありませんので、手仕上げすることにします。












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おっとー、腐食により穴が開いています。

これは溶接で塞いでから研磨します。












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全体をサンドペーパーで擦って艶出ししました。

今回はバフはかけません。
レーサーなのでこれくらいの仕上げが本物らしいと思います。

放っておくと錆びてしまうので、耐熱クリアーを吹かせていただきます。







サンドブラストなら知り合いでいくつか出来るところあるんですが、わざわざ八潮まで持っていってやってもらったのは、もう一つの目的がありました。

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これを見せてもらう用事でした。
去年の旧車天国に展示されたのは知っておりましたが実車は見ておりませんでしたので。

80年にジョニー・OがUSGP125ccクラスにスポット参戦して優勝したマシンのレプリカです。

本物は関東某所で見たことありますが、これは本物より綺麗です。
もっとも本物はジョニー・Oが乗って痛んでいるわけですから、当たり前ですが。

じつはこの車両のレストア前の姿も見ていましたから、変貌ぶりは精巧なフィギュアと言いましょうか、もちろん動くわけですから限りなく本物に近いでしょう。

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一般公開されているわけでなく、ここへ来ないと見ることはできないですが
「走る予定は?」と聞きましたら、
「土を付けたくない」ということです。

乗りもしないものにお金を掛けられる、最高の贅沢じゃないですか。
しかも、限られた人しか見れない監禁状態ですから、うらやましい限りです。

オートバイの楽しみは乗るだけじゃないことも理解できます。
コレクションホールのように歴史に残る車両がいつでも動く状態で保管されていることに目的があるのだと思います。

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古いだけの車両はたくさんあると思いますが、ほとんどがスクラップ状態で、いつかゴミになっていく運命です。

何十台も所有している人もおられますが、家族や親戚はその価値も分からないので、持ち主が死んでしまったら
同様にゴミになっていくでしょう。

そこで、このようにキチンと仕上げた車両であれば、誰かの下に渡って生き続けることができる。
歴史を継承する役割であると、私は思っています。




なかなかエンジンかけさせてくれないヴィンテージマシン。
アルミタンクに取り替えたのですが、燃料コックに問題が発生しました。
タンクにガソリンを入れた途端、コックがOFFにも関わらずガソリンが漏れ始めました。

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正面のプレートはリベットで固定されていますので
リベット切除して分解しますが
再組立ては不可能になります。

本来、新品にASSY交換するべき部分ですが部品入手が難しいので
修理することにしました。

GAS漏れの原因はゴムパッキンのヘタリと硬化です。
4つ穴が開いた円形のパッキンですが
上がリザーブ、下がONの通路で
右が出口に繋がり、左は回り止めです。

新にゴム板からパッキンを切り出し装着しました。
リベット止めのところをφ2.2mmで貫通させ、M2.6のネジ止めに変更しましたので再組立てできました。
ガソリン漏れはエンジン始動不良だけでなく引火して火災を引き起こすため、直しておく必要があります。
もう一つ不具合があって、ガス漏れするのにONにしても出口からガソリンが出てきません。
これではエンジン始動するはずがありません。

パーツクリーナーを通路に吹いてみると導通がありません。途中にゴミが詰まっているようです。
エアブローしてみると豆鉄砲のように固形物が飛び出して貫通しました。
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これで燃料コック復活です。

ガソリン入れてON、OFF動作確認、

リザーブは必要ないので
リザーブパイプは短くカットしてあります。

普通は故障しない部分ですが
40年も経過すると、思いがけないトラブルに見舞われるものです。





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今度はあっさりとエンジンかかりました。

良い圧縮、良い火花、良いガソリン
エンジン始動の3条件ですね。


カッコええのー  RMは!
これは記録的な損傷です。(本体は不思議に大丈夫です。)

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KX250F用のアクラポビッチです。

社外のマフラーは修理しない方針ですが
これは事情があって承諾しました。


ジョイントパイプ部を切断して
新たに作って交換します。

φ48.6チタンパイプは定尺4Mで
33000円しますので無駄にすると大変な損失になります。



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パイプは手曲げで行います。

ベンダーが無いだけなんですが
熟練の技が必要です。











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お預かりしている車体に合わせて
フィッティングです。

大体狙いどおりのカーブにできました。

TIGで仮止めしてから本溶接します。










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ジョイントパイプ完成。

マウントブラケットは元のパイプから取り外して
溶接すれば早いかもしれません。












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ミドルマウントBRKT、外してみましたが
フィッティングがイマイチ良くないので
オリジナルプレートで作りました。

これにてアクラポビッチジョイントパイプ修理完了。

「タンクはオートバイの顔だ」などと言っている奴が凹んだままのタンクを使っていたのでは信念に反する。
というわけで、チェッカーズのシマダさんからPV50チャンバー代金の代わりに頂いた3型RM125のアルミタンクを直すことにします。

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マジックで囲んだ部分が凹みです。















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目立つ凹みは3か所確認できます。

これらを、塗装する前に修理します。













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今回はこんな道具を作ってやってみます。

アルミ板にM8のネジ付きカラーを溶接し
鉄の棒をネジ込み引っ張るつもりです。












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凹み箇所にアルミ板を溶接して
バーナーで炙りながら引っ張ります。

かなり板厚が薄いらしく、
あっさり板が割れてしまいました。

こりゃあ余計な修復作業になったぞい。
やめときゃよかったな。
と後悔先に立たず。







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溶接しては削って均すを何度か繰り返し
メチャメチャな肌になってしまいました。

自分のだからいいけど、こんなに下手な修理では人のやつはできませんね。











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これ以上やっても綺麗になる気がしませんので
これくらいで止めておきます。

仕上がりは塗装屋さんに委ねたいと思います。

塗装はフラワーオートさんに頼みます。


社外マフラーの修理はいたしません。その理由は
それは他社の企画による商品だからです。
10万円を越す高額な商品にも関わらず、交換部品の販売や修理サービスの対応をしないということは
その会社の企画の一部ですから、社外品の顧客が希望するサービスを、関わりのない
弊社で受け持つということが必要のないことなのです。
ジャペックスのようにガエルネブーツの損傷においては顧客の注文に応じて修理サービスを行って、同社の製品を長く愛用していただくようにしている例もあります。
競技用車両ですから、耐久的に消耗するだけでなく一発の衝撃によって使用不能になることもあるわけですからメーカーの方で対応してもらうべきです。

しかしながら、今回の修理はお断りできない人物からの依頼ですから半強制的に実施することにしました。

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イゴール・アクラポビッチさんのCRF250マフラーです。

左マフラーが大きく凹んでいますが
ジョイントパイプが潰れ、マフラー内側がタイヤに擦ってしまうくらい変形していました。

その場合はサブフレームも歪んでいるはずなのでマフラーだけ直しても曲がって取り付いてしまうことをお伝えしたら、新品のサブフレームに仮組みして持ってきていただきました。



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これは潰れたジョイントパイプの修理後の画像です。
エキパイのように密閉して膨らますことはできませんので
切断してハンマーで叩いて丸めてから再溶接する方法を取りました。

これでパイプの向きは正常に修正されました。






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サイレンサースリーブを板金修理するため分解しました。

内部の寸法が私のオリジナルマフラーと偶然同じであることから、メーカーさんも同じようなことを考えているのだなと思いました。









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スリーブ叩き直して、見た目問題なくできました。

これで当分は使い続けられるでしょう。










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新品のサブフレームに取り付けて左右の整列も確認しました。

以前スコーピオンというブランド名だった同社は商標の問題でオーナー名に社名変更して業績を伸ばし、現在では従業員数450名という、マフラーメーカーとしては大企業になりました。

では日本で最大のマフラーメーカーとしては
私の知る限りでは三恵技研ですね。
三恵といってもリプレイスマフラーは作ってないので馴染みがないように思いますが
ホンダの2輪4輪全車種のマフラーを製造し標準装着されていますので、ホンダ車の全てのユーザーが三恵製マフラーを使用した経験があるということです。
アフターのマフラーは純正マフラーをベースに材質や寸法の変更を行っているので純正マフラーはマスター品という位置付けになるといえます。
ウエットカーボンなので高温に耐えられないことはご了承済みと思いますが
お客さんと協議の上、損傷した時点でカーボンパイプを交換するという前提でのサイレンサーです。
ワークスレーサーのようなドライカーボンを使用すれば耐久性は格段に向上すると思いますが
以前、別の機種でドライカーボンの見積もりを取ってみたところ、サイレンサーの材料代だけで
本体価格の10倍以上が必要と分かりましたので断念した経緯がありました。

ですから、これはあくまでカーボンファイバールックの樹脂パイプと捉えていただきたいと存じます。

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KX65なので子供さんのモトクロスに使用されているものでしょう。
半年くらいでメンテナンスのため送られてきました。

案の定、熱で溶けて、サイドカバーの縁が食い込んで穴があいています。

リベット穴も緩んで、アルミキャップに動揺がみられます。
このまま使用続けると確実に破損してしまうので丁度良い時期だと思います。




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弊社商品なので格安の千円で交換しますが、2台で36箇所のリベット穴位置を合わせて空け直して組み立てるのに半日費やします。

排気ガスが樹脂パイプに直接当たらないように内壁にガスケット材を仕込んでおきました。
しかし、リベット穴の磨耗は対策不能なので
定期的にメンテナンスするしかありません。





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ハイ、フレッシュなカーボンパイプに直りました。
リベットも新規カシメなので、パイプの動揺はもちろんありません。

これも、他人と違った方式を貫くための涙ぐましい努力です。








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ついでにチャンバーの凹み修理も依頼されましたが、全体の歪みに加え
凹みの大きさよりも、鉄板の伸び具合が修理の可否を左右します。

このようにエキパイ外径の小さい場合は圧力で直すとき荷重を受ける面積が少ないため殆ど戻りません。

窒素封入してバーナーで炙る手法もありますが、専用治具を作る気力が無くて
切開して叩き出すことにしました。



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鉄板の歪みが大きくて、元通りというわけにはいきませんでした。

大変見苦しい修理痕でありますが、再使用に不都合はないと思いますのでお許しいたいとう存じます。

いつも戯言しか書いておりませんが、今日の戯言

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お友達が乗って来たCBR1000R
車体価格2百万円だそうで、私には完全に高値の花なんで購入を検討しようなんて思ったこともないです。

だけど想像するのは自由ですよね。
オレがこんなの乗ったらどうなるんだ。
オートバイに虫がとまっているように見えるだろうな、傍から見て全然似合ってないだろう。だから結論ははっきりしているけど
現実的に交通手段としてこれが必要か、というと全然いらないし、性能引き出す前に速過ぎて危険だろう。
相当な自制心がないと命が危ない。
クローズドコースでモトクロスの方がよほど安全な気がする。

しかし、これを目の当たりにすると充分過ぎるほど魅力的です。うちにこれがあると、毎日磨いているかな。ときどき乗り回して、誰も見てないのに優越感に浸っていたり。ちょっとだけスピード違反して興奮してみたり・・・
CBRに限らず、贅沢品っていうものは他人が持ってないから魅力があるのでしょう。(こんなの贅沢品のうちじゃないと思う人がRC213VS買えるのでしょう)
「自慢する人は嫌いだ」という意見もありますが、私は嫌いじゃないです。自分が買えないものを見せてもらうことについては、モーターショーと同じです。家でもクルマでも、オンナでも一生懸命働いて儲けた代償、または類稀な才能を持って選ばれた証として手に入れたわけですから喜んで当然のことです。

いつも脱線してばっかりですが、今日はもう一つバカバカしい話をしなければなりません。

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基本的に社外品チャンバーの修理はやりません。
例えばトヨタ車の修理をホンダ販売店に持っていっても断られるのと同じです。
自社製品の製造が間に合っていないのに社外品修理に時間を割くことの矛盾に気が付いてください。

しかし、今回はあまりにもばかばかしいことをお見せしたくて掲載します。

これは凹んだのではなく、どうやら出荷時から車体の干渉を避けるために凹ませた形に思えます。
凹みが設計に入っているとは到底承服できません。
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これは右側面をぶつけて凹んだ跡でしょう。

これは直さなくてはなりませんね。
外観が醜いだけでなく、鉄板が振動で亀裂に進展することもあります。

しかし、依頼の内容はこの凹み修理ではないのです。
中古で購入されたらしいですが、金額が安かったのでしょう。凹みがあっても納得されたかもしれません。



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依頼の内容はこれです。

車種はCRM250ですが口元にフランジが付いていません。
分割式のフランジで脱落したのでしょうか?

お客さんに、前オーナーに文句を言ってくれと申しましたら
前オーナーも、最初から付いてなかったと言われたそうです。

なんか中古品の部品欠品で転売されてきた可能性があります。

これくらいの簡単な修理をやらなかったら、うちのような超零細企業の存在価値もないんじゃないか。
面倒で利益の出ない仕事は断る高級店と一緒にされたら堪らんですから、そういう印象を与えないために、敢て貴重な時間を割きたいと思います。

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依頼内容には無かったですが
簡単な凹み修理ですから、ついでにやっておきました。

キズは消えませんが、肉盛りして研磨するほどの手間をかける必要ないでしょう。

研磨すると、めっきの肌と違ってしまってかえって修理箇所が目立ってしまうのでこれくらいがベターと考えます。




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最初から凹ませてあった部分ですが
水圧だけでは、このとおり少しだけ押し戻した状態で止まっています。

外側の凹みだけを戻すのは圧力だけではないのです。
修復するのにちょっとだけテクニックを使います。

たまに「水圧だから駄目なんだ」というバイク店の人がいますが、未熟な修理を見たことによる先入観ではないでしょうか。

これはプラハンで元の凹みまで叩いておきました。

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そしてこれが依頼内容のフランジ製作です。
工作機械を持たない一般家庭の人は
フランジが欠品していたら途方に暮れると思いますが
私ら超零細では難しく考えてはいません。
こういう形状のものを作るのに、方法はいろいろあります。
ハイテク機器使うなら
レーザーカットやプラズマトレーサーで切るのが簡単でしょう。
これら設備は持っていないので
オーソドックスにはフライス加工でもいいですが、切粉の混入を避けるため
うちの場合は旋盤とコンターマシンで加工してベルトサンダー仕上げしました。手持ちの設備で加工しますので、外注などの費用や時間がかかりませんので話が早いです。

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そして首切りしてフランジ挿入してから溶接です。


超零細な町工場ですからフレキシブルな動きが売りですが
社外品の修理をやるときは、ネチネチと小姑のようになるでしょう。

やらないはずの社外品修理でも
特に安く仕入れて転売目的かなと
思わせる依頼内容だと、即座にお断りすると思います。


全日本MX会場でマフラーお預かりしてきました。

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YZ250F後方排気用です。

パイプエンドが凹んでいます。
中身にダメージはありませんが
このまま使用するのは格好悪いですね。

取り外して交換すればいいのですが
この際ですからデザイン変更してみましょう。






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先ずは全バラ検証。

なるほどー、よく分かりました。

新型なんでしっかりとした作り込みですね。
金型代が相当かかってそうなので
しばらくモデルチェンジしないでしょう。

以前のYZマフラーに比べると内径が大きくなっていてパワーが出そうです。





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パイプエンドをテーパーコーン状に作りました。

パイプの内径はノーマルと同寸ですが
長さが伸びていますので、音量に対するマージンが上がっていると思います。

材質はオールステンレスで強度も充分でしょう。





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サイレンサーの断面が異形なオーバルなので嵌めあい寸法を守るために
サイレンサー現品を預かって現物合わせする必要がありますので
パイプエンド単品のご注文はお引き受けできません。

費用はパイプエンド製作1万円
サイレンサー分解、再組み立て4千円
ステンレスリベット50円×8本
グラスウールヤマハ純正部品
送料(本州)1000円
代引き料400円

以上が費用明細となります。

飛び込みの修理は受け付けておりません。それは長期間お待ちいただいている仕事に専念するためです。それと同時に、エンジン修理などはここでなくても直せる業者さんは多数あると思います。
そういうわけで、修理依頼は他の手段をお勧めすることにしています。

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今回は知り合いの頼みなので、バイク屋へ行ってくれ、というのも角が立ちますから
先ずは状態を確認するために、お預かりしました。

KDX220SRですが、症状はピストンが割れてしまったのは分かっていて

どうやらクランク室に穴が空いているので
塞いでほしいということです。


仕事終了後にクランクケースをばらして洗浄します。


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Rケースですが貫通して大きな穴が空いています。

予想した最悪の場所の欠損です。

溶接肉盛りしたあとケース合わせ面を正確に擦り合わせなくては使えません。








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Lケースも欠損まで行ってませんが、荷重でずれていることが確認できます。

全体的にオーバーホールの時期だと思いますが、あまり金を掛けたくはないと思います。

また、こういう物を直して使い続けることより
新しいマシンに投資していただいた方が
オーナーさんのためだと、個人的には思っていますが、そのへんの判断は私が決めることではないです。




翌日、オーナーさんに破損状態を確認してもらって修理することで合意しました。

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大きな欠損のあったR側ケースの穴は
ピックアップした破片を溶接しました。














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亀裂のあったL側ケースは溶接にて肉盛り

デブコンで埋めるという案がありましたが強度保証できない理由で却下しました。

可能な限り母材に近い修復を試みるのが正統なやり方と思うのです。

肉盛りは最小限度にケース合わせ面より
少し高めにするのがコツです。

後の面出しの手間を掛けないためです。



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クランク室側はエアグラインダーで
均します。

ケース合わせ面はオイルストーンで
面研します。

面出し完了の目安は、凸凹がある状態では
オイルストーンが滑り安定しませんが
急に摩擦抵抗が出る瞬間があります。
そのときが平面度が上がった状態です。





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面研完了したらRLケースを合わせて
ボルト締めします。
修正部分が浸るように熱湯を注ぎ
気密漏れがないか確認します。

何故熱湯か?
ダイキャストの溶接はピンホールが出来易いので、冷間で塞がっているピンホールも熱膨張すると漏れる可能性があるので
熱湯で膨張させてみると完全にわかります。

漏れると再研磨になりますが、これは全く水漏れなしで合格でした。

後は交換部品が入荷したら組み立てるだけです。

オーナーさんから、「組み立てまでやって幾らだ?」と聞かれたので
知り合いだから「5千円くらいでどうですか?」といいましたら(部品代別途)
「それは駄目だ、もっと取ってくれ」とおっしゃるので、1万円くらいにします。
低品質の修理に飛び込みとはいえ、高額を請求するつもりはありませんので快諾ですね。



全然気が乗らない社外サイレンサーの修理ですが、3ヶ月も放置してしまって、今こそやる時がきました。
転倒のためか傷モンになったカーボンパイプをアルミに交換するだけの依頼だったのですが
損傷がフロントキャップに及んでいることが判り、一気に工数が上がってしまうため、優先順位から後回しになっていたのでした。

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カーボンパイプと同寸でアルミ板を巻いておきます。












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損傷していたフロントキャップも鉄板巻いて
溶接で修復しておきます。

リベット穴はアルミ筒を差し込んでから同時加工で
穴開けします。








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アルミパイプの溶接にはこれをつかいます。

パイプの内側にシールドガスの通路となるトンネルを取り付けて

表から突き合わせ溶接します。

裏ビードを酸化させないで健全な溶け込みを得られます。





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使い方はこんな感じです。

シールドガスは垂れ流しですが、流量を手元のバルブで調節して溶接作業します。

薄板の場合は裏側が酸化して溶接欠陥になりやすいので、溶接強度と作業性が向上します。







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アルミパイプにリプレイス完了しました。

頼まれたのは筒の交換だけですが
それ以外のことに労力が掛かる事例でした。
最大の難関はカーボンパイプの取り外しで、
前後キャップがパンチングと一体のため
パイプが抜ける力でパンチングが壊れていくという代物でした。

たぶん、安価にメンテナンスしようとするお客が、まともに分解できずに壊してしまうのが狙いかもしれません。
そうすれば、また新しいのが売れるかも(信頼を損ねるだけですが)しれないことを期待しての作りだと推察します。
とにかく人がいらなくなった中古品に手をだしていると、余計な金や労力が掛かるということです。


正月から騒音を立てるわけにもいかず、通常の業務とは違った内容の作業をしてみました。
部品取りに使っても構わないということで、預かっていましたアルミタンクですが
僅かな凹みがあるため、このまま商品にはならない状態ですが、部品取りにして壊してしまうには惜しいと思って修復してみることにします。

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非常に僅かな凹みですが、醜い表面です。
これが中古車に付けて売るとすると、査定に影響するでしょう。
なんたってタンクはオートバイの顔と言える重要な意匠部品だからです。

自動車の板金修理工場に頼むと100%
パテ修正して塗装されることでしょう。

また修理代が安ければそれで問題ないと考えるお客さんも多いことでしょう。

しかし、本当のレストアということを目指すならパテ修正は、ハッキリ邪道であると申しておきます。
なぜなら、レストアの大儀は「元の状態に復元する」ことだからです。
メーカーで製造する部品も同様ですが、図面通りに作る(修復する)ことが命題なのであって、図面と違ったものを見た目だけ誤魔化して商品にするなどということが、製造屋(修理屋)のやることだとは到底考えられないことです。
従って素材のアルミだけを修正して形状を復元することに専念します。

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タンクの上面にも僅かな凹みがあります。
見過ごしても問題ないと思われるかもしれませんが
もし、新車のオートバイにこれくらいの凹みがあったとするなら、あなたは買いますか?

おそらく100%のお客さんが、クレームを言つけて、「別のに取り換えてくれ」と言うに違いありません。
手間を惜しまずこれも修復することにします。




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凹み修理にはいろいろな方法がありますが
僅かな凹みのためにタンクを切開して板金する方法は最後の手段としておきます。

切開ということは、問題ない部分を切ってしまうということで、修復したとしても、さらに傷物になってしまうこともあり得るのです。

最新の外科手術では皮膚や筋肉にメスを入れる部分は最小にする方式を取ります。
それは、患者に対する負担軽減や術後の回復を早めると同時に傷跡が目立たなくできるからです。

それと同様に修理痕が最小になる方法としてデントリペアがあります。
凹み箇所に届くようにアクセスツールを作って行うので、修復毎に専用となります。

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タンクに大きな力が加わりますので、車体に装着して行うより、タンク固定用の治具を作って万力に取り付けて安定させます。

タンクの口金にダメージを与えないため、保護キャップを取り付けた上でアクセスツールを差し込みます。

上部の凹みはこの方法で容易に修復できました。
ツールで力を入れ易い位置だったのです。



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側面はツールに力が入らず無理でした。

こちらはオーソドックスな方法で
棒を溶接して引っ張ることにしました。

位置を変えて数箇所引っ張って
元の表面より高めに盛り上げておいて
ハンマーで叩いて高さを修正します。

溶接痕は平滑に研磨してから叩きます。





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引っ張ったり、叩いたり繰り返して、大体満足な表面に出来たと思います。

どんな凹みでもOKとは言えません。
修理痕を最小限度にすることが目的です。

手間と経験が必要ですが、レストレーションの定義に沿ってやることがビンテージ品に対する畏敬を表すことになるでしょう。

弊社は2輪販売店ではありませんし、エンジンチューニング屋でもありません。
エンジン整備について学校で習ったこともなければ、会社でエンジン組み立てする部署にも所属しておりませんでした。
そのため、整備方法が説明されたサービスマニュアルとは全く違った方法を用いることがあります。
マニュアルには一部の最小限度の説明が記載されていますが、細かな注意や手加減によって機械部品の組みあがり状態に差が出てくることの説明がありません。
あくまで自分の洞察力、機械の状態を目で見て判断し、手作業の感覚を頼りに作業します。

専用工具もマニュアルのように全ての工程でそろえていたら、1万円の工賃に対して10万円くらい工具代かけることになりますので、販売店のように頻繁にOH作業が無ければ利益を出すのは無理です。
そのため、良く使う専用工具は純正品を購入したり、自作工具を作って持っていますが、それ以外はハンドワークで分解します。

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たとえば、負荷の大きい高回転部分にはラジアルボールベアリングが使われていますが
圧入でケースを傷めないために、ストーブの上で温めて抜きます。
殆どがベアリングの自重で落ちますが
ガバナーのベアリングとウォーターポンプのシャフトのベアリングが落ちなかったりします。

(クランクシールが取り付いていません。再度暖めてベアリング入れ直します。
クランクシールのストッパーがケース外側にありますので先に内側からシール圧入しないとベアリング付けられない構造です。)

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これはLケースのメインシャフトを受けるベアリングですが、奥が突き当たりになっています。
引っ張って抜くしかありませんが、ニードルベアリングなのでインナーカラーがありません。
専用工具で上手く抜けるのか知りませんけど、ハンドワークで抜きたいとおもいます。

抜いたベアリングは再使用しない前提なので交換部品が確認できた時に限り外します。



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これは禁じ手です。
溶接に自信が無い人はケースにスパークなどさせて修正できなくなりますので、やめたほうがいいでしょう。

ボルトの頭をベアリングのサイズに加工して溶接します。
あとは自作のクランクシャフトインストーラーで抜くだけです。
ボルトは汎用ボルトを100個単位で購入していますので、材料代は100円未満でしょう。
専用のベアリングプーラー購入する理由が無いですね。


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抜くときはあっさりです。なんの苦労もありません。

しつこいようですが、新品の交換ベアリングを確認した場合に限ります。

圧入は再度ケースを暖め、自重で落とし込みますので、プレス機は必要ないですね。

一応組んでしまうと見えなくなる場所なので作業内容示しておきました。



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クランク組み立ては(株)井上ボーリングさんに依頼しました。
弊社は内燃機加工も外注ですが、設備、経験ともに頼んだ方が圧倒的に安価に済みます。
部品の運搬は実費で掛かりますので1往復あたり1000円いただきます。
外注費はマージン無し(ようするに利益はありません)なので
クランク組み立てだけ頼む人は、お断りしておきます。
ご自分で運搬するか、宅配便をご利用ください。

クランクウエブが錆びておりましたので研磨してあります。
新しいのは気持ちいいですね!

時間がありませんので、こういう残業は歓迎できません。
知り合いのオートバイ屋さんから頼まれたので仕方なくやりました。
時間がないだけでなく、社外のアフターパーツと思われますので、自社オリジナル品を長期間待っていただいているのに先に加工できる道理がありません。
そういうわけで残業ということにしました。
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ダイキャスト製のスタビライザーですね。
35年くらい経過したものでしょうか。

画像は既に加工完了したものです。

どこを加工したかといいますと








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ボルト穴の近くに亀裂が見えます。
皮一枚でつながっています。

アルミ合金ですから大気中で劣化したわけではないでしょう。

80年ころの大型バイクはフロントフォークが細く、ハンドル周りに剛性がありません。
スタビライザーでボトムケースを連結することでフォークの捩れを防止できますが
そのためにスタビライザーに応力がかかっていたことでしょう。
従って金属疲労が原因だと考えられます。
金属疲労は事故で過大な荷重が掛かった場合を除き、大半は設計不良です。
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問題のクランプ部分だけを新造したわけです。
ダイキャスト品の形状を模倣するには
3次元測定により外形をデータ化してCNC加工機で製作するのが今風だと思いますが
この部品1個だけ作ると莫大な費用がかかるでしょう。

そこで汎用の旋盤とフライスだけで丸棒から削りだします。
ダイキャストのプロフィールのように丸みを帯びた形状はできません。
平面と円弧を繋いだ形状にデザインし直しです。

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切断した端材から丸棒であったことがわかるでしょう。

切り粉と合わせて8割はスクラップになります。
加工時間は10時間程度です。
いくら請求するかわかりませんが
時給で換算すると平均的なサラリーマンの2割くらいしかもらわないでしょう。

「断わればいい」とか「もっと値上げしろ」とか声が聞こえてきそうですが、人間関係はそんな簡単にいかないものです。

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78年型のフロントフォーク
アウターチューブのクリア塗装が剥がれ、腐食と汚れで見栄えが悪かったので、磨きました。

上が未処理、下が磨き後です。
サンドペーパーで一皮剥いて、ナイロンたわしで数分磨けばこのとおり。





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今日は工場の温度計が40°Cを指していました。
実はこの季節を待っていたのです。
CJ360(76年型)のタンク内を高圧洗浄します。
CBヨンフォア専門店のシオハウスさんからタンクコーティングの手法を教わっていたのですが、今回は自己流の方法にトライしてみます。

タンクの錆が悪さしてキャブレター不調になっていたのを解消したいためです。

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洗浄した水を捨てただけでこのような錆が出てきました。
推定これの3倍以上は入っていたようです。

こんなものがガソリンに混ざっているのですから、まともにエンジン動いているのが不思議なくらいです。







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そしてサンポール投入、
一本全部入れます。
粘性があるので全体にいきわたるように水1リットルいれて希釈します。
サンポールは9.5%塩酸なので、結構強力に鉄を溶かします。
あまり長時間入れておくと鉄板を侵してしまうので、時々ひっくり返しながら1時間くらいかけて錆を溶かしました。

抜いた廃液はお見せできないほど汚い汚水になっていました。



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内部洗浄した後は酸が残らないように流水でタンク内を満たし、何度か捨てて、乾燥させます。
この高気温が乾燥を促進してくれます。
1日で乾燥は無理なので夜間はエアコンの室外機の前で加熱させておきます。

乾燥後はコーティング剤を入れます。
ワコーズ、タンクライナーを使ってみます。
250ccで20リットルタンクに処理できるそうです。

完全乾燥は1週間後なので、お盆あたりガソリン入れて試運転してみます。



























              

90年代以降のエンジンはメッキシリンダーばかりなので、ボーリング屋さんにお世話になる機会もめっきり減ってしまいました。
ボーリング屋さんはボーリングのみならず精密な穴加工、平面加工も得意なのでコンロッド作ったりクランク改造したりで頼んだのが10年くらい前になりますが、久しぶりに井上ボーリングへ行ってきました。
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DT125の傷がついたシリンダーのボーリングを頼みました。
サイズは0.5オーバーサイズで
ピストンサイズφ56.495
ボア φ56.5
ピストンクリアランス0.05を指定してきました。
空冷シリンダーなので水冷メッキよりクリアランス大き目に加工するのがセオリーです。

ホーニングは高精度なプラトー仕上げで依頼しました。
ホーニング仕上げ後はポートの面取りが必要です。
ボーリング屋さんでも頼めますが、自分で出来ることは他人任せにしないことがモットーなので、エアグラインダーで砥石切削します。
手仕上げですがC0.5くらいを目標に削っています。


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加工後にミツトヨの面粗度計による検査データーを添付していただきました。

面粗度計とは金属表面をプローブ(接触子)で直線的になぞり、表面の粗さを計測します。
1ミクロン程度の精度が保証された計測ですが電気的に検出してアンプで増幅するので可視的に判定が可能です。

プラトー(高原)の名のごとく山の高さが平坦なホーニングであることが分かります。
通常のホーニングだと突出した山が削れるまで慣らし運転が必要ですが、これは慣らし運転時間が早く終了できる処理です。
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エンジン積み込み完了です。
エンジン試運転も問題なくできました。
今回はYZチャンバーでピストン溶けたことによる修理だったので、ノーマルスペックのチャンバーで乗って帰っていただきます。
本来は軽トラで引き取りお願いするところです。
YZチャンバーをトライするときはメインジェット2ランクくらい濃い目にしてからセッティングしていただきたいと思います。(製作業務が停まってしまうのでオーナーさん自己責任でお願いします。)

試運転中、テールランプが切れているのに気がついたので、我社から徒歩3分のモトグラッドさんへ行って6V用の電球を売ってもらいましたので、この仕事はこれにて終了!

今回の修理方法を公開したのは、見知らぬお客さんからの依頼に応える目的ではありません。
貧乏くさく修理などせず、新しいエキパイを購入していただくことが2輪業界、アフターパーツメーカーにとってプラスになると考えているのです。実際、メーカー純正品、社外マフラーの販売元による修理は一切行っていませんし、整備士の正当な修理方法としては部品交換しかないわけであります。
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それでは、何故このエキパイの凹みを修理したかというと、依頼者には幾度となくお世話になっていること
これが無限というメーカーの品物で数に限りがあるという2点が理由であります。

凹んだエキパイ単品を送られて来ましても修理過程でパイプが歪みますから歪みの修正が必要ですが、車体合わせ無しでは確認もできません。
安い修理代で直れば喜ばしいことですが業界としてはデメリットになりますので、修理方法は公開しましたから、直したい人はご自分で努力してみてください。
おそらく大半の人は部品買った方が楽だということに気づくでしょう。
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パイプの前後を治具で蓋をして窒素ガス封入します。
圧力は10kg/cm2くらいが妥当でしょう。
酸素でなく窒素の理由は材料の酸化を少しでも防ぐ目的です。
パイプを加圧した状態で凹んだ部分を板金ハンマーで軽く叩きながら均していきます。
殆ど目立たない程度に修復できていますね。
パイプの曲げRが若干外に開きますので
内側に曲げ戻せば取り付けに問題は無くなります。

2輪レースでもロードとMXは異質なものだと思っています。人間とマシンの比率が、MXは人間の割合が大きいということです。マフラー取り換えたくらいでレース結果が大きく好転するとは思えないのですね。速さより音や外観といった嗜好の部分で選んでいる人が殆どでしょうね。
それからモータースポーツはプロの人は仕事ですから別ですが職業以外の人は部活動のようなものだと思っています。
私は中学時代は剣道部でしたから剣道やってない生徒と竹刀持って試合しても負けることはなかったわけです。2輪レースなら乗ることはもちろん、マシン整備や故障修理は2輪レースやってない人より出来るのが当たり前なわけです。
剣道だって竹刀や防具の手入れは自分でやって競技を続けるのですから、2輪レースで自分のマシンの修理を他人に頼んでいたのでは経験や技術が身につかないだけです。
私自身も最初は何にもできませんでした。30年以上やってきたから多少分かるようになってきただけです。体力は始めたころより大分落ちてますが・・・

最近のもの忘れの激しさに自分が恐ろしくなります。50歳にしてこの状態では60代で完全にボケてしまうのではないかと思えます。

例えばこんなことがありました。ストーブに火をつけるライターをエアコンに向けてカチカチとスイッチ入れようとしたり、お昼にラーメン食べようと思って包丁でナルトを切って包丁とまな板を洗って、包丁を包丁立てにしまおうとしたらナルトが立っていたり。

または灯油を買いにいこうと思ってポリタンクをスクーターに積んで走りだしたのに、家のそばのGSを通り過ぎて次の交差点まで突っ走って気がついたり。

今、何をやろうとしているか、または1分前の行動が記憶に無かったり、かなり重症のもの忘れです。

そしてついに仕事上のもの忘れで大失敗を犯してしまいました。

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このサイレンサー、材料支給で組み立てを頼まれたのですが

完成したつもりで梱包して荷物発送した後で、中に入れ忘れたものに気がついてやり直しするために依頼主に電話して返送してもらったばかりです。

中身のパンチングが後ろに抜けてこないためのストッパーを付け忘れたので、このまま納品したら、お客さんとこで問題が発覚するのではないかと思いました。

 

 

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早速、溶接を剥離して分解する前に、パンチングを引き抜いておこうとしたのですが、意に反して抜けてきません。

差し込んであるだけなので、バーナーで炙ってアルミを膨らませておけば緩むだろうと思ったのですがビクともしません。

パイプを中に突っ込んで力任せにど突いていたら、アルミの方が負けてしまいました。

結局、改修しなくてもパンチングは抜けてこないということが分かりましたが、これは偶然の産物であり、自分の設計では抜け止めが必要なことに変わりはありません。

この凹んだアルミも修復して無駄にしたりはしません。余計な仕事が増えただけです。

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しっかり溶接されたものを再使用できるように分解することは至難の業です。

切断したパイプの部分は寸法が足らなくなりますので廃却して新規に製作です。

やり直しするということは同じもの2回作るより労力が必要です。

往復の運送代も無駄になっていますし、もの忘れの恐ろしさを今更痛感するのであります。

 

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同じ失敗を繰り返さないために、新たに巻いたパンチングにストッパーリングの取り付けを確認しました。

1個品物が増えていますが、追加で頼まれましたので工賃をいただかないで運送代の足しにしていただこうと思います。

あと少しで組み立て完了のところで夜10時を回ってしまいましたので、近所迷惑にならないように、続きは明日の朝ということにします。

 

 

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翌朝組み立て完了しました。

全損になる可能性もありましたが材料の予備はないので、悪戦苦闘して改修しました。

アルミは柔らかいので溶接を剥がすときに歪んでしまうので、新品で作るより困難です。

私のもの忘れが原因で約束の納期も守れず、余計な運送の手配などしていただき、依頼者の方には大変申し訳なく思っています。

エンジンの組み立てなど、作業が決まっている場合は同じことを2回以上確認して締め忘れや未取り付けを防止できますが、初めてやる作業や方法が確立されていないことはミスが出る可能性が高いことを忘れないで今後の仕事に取り組んでいきたいと存じます。

先延ばしにしていたカーボンサイレンサーの修理を行いました。

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ほおっておくといつまでも出来ないので半端な時間を使ってアルミ板を巻いてカーボンパイプと同寸のパイプを作ります。

リベット穴、マウントステーの穴も同じ位置で開けておきます。

割れたカーボンパイプは廃却します。

 

 

 

 

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グラスウール詰めて組み立て完了です。

アルミスキンはカーボンルックのシートを貼って、エンブレムも移植して外観元通りにしました。

カーボンルックはビニールなので耐熱性はありませんが運転するだけなら剥がれたり溶けたりしないと思います。

試しにアルミ板に貼ってストーブに置いて放置してみました。柔らかくなりますが、即溶けることはないようです。

駄目でも下地はアルミなので実用上は問題ないはずです。

 

人生にはお金じゃない財産も必要ということで、音楽も70年代がいいです。FMでカセットに録音した音源を持っていましたが、就職して失くしてしまいました。勉強に疲れたときによく聴いていました。

 

 ROOM335、実に30年ぶりです。やっぱりあの頃が良かった、将来への不安と希望でじっとしていられなかった時代。

なんでも経験したことが新鮮に感じましたが、いまでは衰える一方で将来に希望は感じられません。したがって懐古主義に浸ります。

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2ストトレール用サイレンサーではこれが2番目に売れたモデルですね。

 

 

 

 

 

 

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RMX250Sサイレンサー

生産中止されて15年ほど経ちますが、大事に乗られているオーナーさんがいるようです。

 

今年のラインナップ品の注文生産はこれにて終了。と言いたいとこですが

まだ残務があります。

 

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CRM250RRチャンバーの凹み、歪みの修理ですが錆びの状態も悪く、まだ使いたいというご希望です。

このままお返ししてさらに錆び続けていくのが予想されますので、お客に無断で少し手入れすることにしました。

もちろん勝手にやった部分につきましては料金に加算することはしません。

 

 

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通常凹み修理はここまでで終了です。

クリア塗装が残っている部分は錆びていないですが、半分以上は塗装が剥がれて錆びてしまっています。

この部分をメンテナンスしたいと思います。

 

 

 

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まず古い塗装を剥離します。

ガスケットリムーバーを全体に塗布して放置しておくだけで塗料は剥離できます。

鉄板を露出できたらサンポールをかけながら束子で擦っていくと錆びは完全に溶かすことができます。

その後すばやく、酸が残らないように水洗いして乾燥させます。

再び錆びないように耐熱クリアを塗装します。

鉄のチャンバーを錆びさせない方法は3つです。

焼いて酸化皮膜をつけた後、防錆スプレー(レーサーはこの方法を取ります)

耐熱塗装を施す。(色は黒かクリアー)

クロームめっき処理

耐久性とコストが違うので用途に応じて選べばよいと思いますが、放置しておくと状態は悪くなっていきます。

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こんなものも来ます。まだ使いたいの?と言いたいところですが

一応直せるところを見せておこうと思います。

おそらく過去のチャンバー修理でイチニを争う酷さでしょうね。

 

 

 

 

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これは、こう。直るなと思ったところで終了です。

社外品なのでこれ以上手間をかけるつもりはありません。使えるようになれば、役目は果たしたといえるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

私らが子供のころはズボンの膝や上着の肘が擦り切れたら、継ぎ当てをして着ていました。着る物や食べる物が貴重で粗末にすると親から怒られたりしました。ですから使える物はなかなか捨てません。可能なかぎり直して使います。

競争原理主義であるはずのモトクロスをやるようになっても貧乏性のままで、チャンバーなどは転倒で簡単につぶれてしまうので、下手な板金修理で直して使い続けました。そんな苦労した経験から、安価に上手く直せればいいなと思って始めたのがチャンバー作りなので、スペシャルパーツとかチューニングとかの目的ではなく、高価な部品をあっさり交換するのでなく直して使うことで出費を抑えようという目的でした。

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エクボくらいの凹みですが、これを直してほしいという依頼です。

「金は持っている」といいますが、これが直ったとしても価値があるとは思えませんので、どれほどの難易度か確かめるためにやってみます。

 

 

 

 

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250のエキパイは以前、やりましたので治具がありましたが450のパイプには使えません。

450専用の治具を製作しました。

パイプの端面を密閉して窒素を加圧するための道具です。

 

 

 

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エキパイに加工が必要です。

治具が引っかかるストッパーを溶接してあります。

これがないと圧力で治具が動いてガス漏れしてしまうためです。

 

 

 

 

 

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窒素を10気圧かけてバーナーで赤熱します。

炙りすぎると酸化してチタンが脆くなってしまうので手早くやらねばなりません。

溶接ビードの真上なので、一般部より固かったですね。

 

 

 

 

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凹みはこの程度修復できました。

焼け跡が残りますので色は美しくないですが、凹んでいるよりはいいでしょう。

 

 

 

 

 

 

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こっちの方が重症です。

カーボンパイプは衝撃が加わると割れてしまいます。接着剤では再び剥がれてくるでしょう。

これは諦めてアルミで巻いて作るように頼まれましたが、忙しいので後回しにします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先週末、つまらん仕事に手こずり予定が狂ってしまったので時間を取り戻すために日曜も業務でした。おかげで先週完了予定だったサイレンサーを今朝発送できました。

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YZ85サイレンサーですが、ミニモト用商品としては一番多く作ったと思います。

2ストトレール用チャンバーに並ぶ主力商品となっています。

本当は新機種のマフラーを作りたいですが、大きいメーカーが競って新商品を出しますので、零細な個人商店は出る幕がありません。

そこで、どこもやっていない旧式マシンのマフラー作りが回ってくるという寸法です。

暇にならなくてありがたいことです。

 

CIMG2738.JPG先週預かったサイレンサーの修理をサクサクとやっていきます。

削れた部分を切り取り、新しいアルミ板を板金で丸みをつけた後、仮止めします。

気をつけることは、元の板と段差ができると溶接後に修正が効かないので、繋ぎめを同じ高さで止めるということです。

溶接で歪みますので、仮止めは多い方が狂わないでしょう。

 

 

 

CIMG2739.JPG全部溶接してからビードを研磨仕上げした状態です。

繋ぎ目がなるべくわからなく仕上げるところが腕の見せどころですが

あまり上手じゃないですね。

実は新しい物を作るより、部分的に修理して元どおりにする方が困難だったりします。

このエンドカバーは純正部品で¥4000で購入できるので、迷わず新品に交換した方が手間がかからないです。

しかし、私は部品交換屋ではないことを示したいために敢えて板金溶接することを選びました。

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削れてしまったサイレンサーボディは5cmカットしてリベット穴を空ければ再使用できます。

インナーパイプも5cmカットして差込部分を溶接します。

2013モデルのサイレンサーは5cmカットしても音量規制をクリアできることを確認してあります。純正品は消耗も考慮して騒音に対して余裕をもった仕様になっているのです。

全長が長いので、転倒でエンドカバーが衝突しないためにも短い方が有利です。

 

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板金修理したエンドカバーに色気を持たせるためにバフ仕上げとしました。

5cmショート化とポリッシュによる輝きでノーマルサイレンサーとは違った外観になるでしょう。

傷ついたから、あっさりと社外マフラーに取り換えるよりも、個性的になるとは思いませんか。

 

 

 

 

 

関東選の翌日、オフビレに伊田選手のお店で使うスノースクート用フレームの改修のため、打ち合わせを兼ねてMX練習に行きました。

偶然隣に止めてあったバイクキャリア積載のCRF250のマフラーが酷く削れているのが気になりました。暫くして持ち主が戻ってきたら、昔のミニモトライバルでした。彼の乗っていたCR125のチャンバーやアフリカツインのマフラーも作ったことがあったので思い出しました。

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問題なく乗り回していましたが、「これはどうした?」と尋ねたら

関越道でキャリアから落として引きずった、と言います。

タイダウンが引っかかっていたので、後続車に衝突されることは無かったのが不幸中の幸いです。

ハンドルもメチャメチャになったので取り換えましたが、マフラーは中身にダメージがないので走行に支障ありません。カッコ悪いだけです。

部品交換で治せばよかろうと思いますが部品代はマフラーボディ単品で¥42700もします。リベットも20箇所で¥1600します。交換工賃¥5000でやったとしても5万円オーバーですから悩むところです。

修理代5万円出すなら、社外のマフラーに取り換えてしまうところです。このマフラーは純正で¥88000もするのに驚きです。お金持ちでないと、なかなか取り換えないでしょうね。

しかし、彼は東京ドームの近くで飲食店を経営していて今度2店舗めを出す予定の実業家ですから新品交換などわけないことだと思います。しかもお気に入りの国際A級ライダーに現金スポンサーもしているそうです。

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その彼が私に「どうすればいいですか?」と聞くので

ダメなとこだけ作って取り換えればいいんだ、という具合にいつものように安易に答えてしまった責任をとるために、練習後マフラー外してお持ち帰りすることになりました。

修理代大幅削減は確実ですが、これにかかっていると仕事の予定に影響がでますので、納期はゆっくりでいいという確認をとって、再来週くらいに治したいと思います。

彼と彼の奥さんはスノースクートにはまりつつあるのですが、マイスクートを持っておらず、今度伊田選手のお店へ行く約束をしていましたので、スクート2台買っちゃいそうなので、伊田選手もうすぐ儲かりますね。

仕事というものは一人だけでは成り立ちません。需要と供給、そして自分の持ってないものを補ってくれる人脈が大事という一例でした。

これはライディングのセンスが無い寸足らずのチビがエキパイ修理を行った物語である。

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自分で作ったエキパイが大きく凹んで帰ってきました。

今までも、凹んだエキパイの修理は可能かと問い合わせがありましたが、綺麗に直すのは困難であることと、社外の製品の修理に時間をとられて自社製品の製造が遅れることは許しがたいことなので断ってきました。

しかし、今回は自社製品ですし従来だと変形した部分は切除して新たに曲げたパイプを移植する方法で直してきました。

実は新たに曲げて取り替えるのは材料代もバカになりませんし、手間も相当なものです。お客さんは新品買うより安いだろうと考えるのは分りますが、中古品に手間をかけるには、大量のバックオーダーを抱える現状では何とかして回避したいものであります。

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そこで、なんとか短時間でそこそこの品質の修理ができないものかと考え、修理治具を製作しました。

原理はエキパイを密閉して高圧ガスを封入し、凹み箇所を酸素バーナーで炙って柔らかくすることによってパイプを元の形状に戻すという方法です。

アルミはショックのリザーブタンクのキャップを流用して、バルブから窒素を封入することにします。

 

 

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治具装着はこのようになります。

ガス圧は高い方が直りやすいと考えられますが、パッキンの強度がどの程度かわかりませんので8気圧くらいからトライしてみます。

窒素封入する理由は加熱したときにチタンが酸化して脆化することを防ぐ目的です。

 

 

 

 

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案の定、常温ではビクともしませんがバーナーで赤熱することによって膨らんできました。

よーく炙ったほうが直ると思いますが、圧力で破けてしまうことを恐れて控えめにしておきます。

なにせ初めてトライするのですから、加減がわかりませんね。 CIMG2682.JPG

 

 

 

修理後はこんな感じです。小さい傷は残りますがパイプの形状はほぼ元どおりです。

実は組み立て治具で取り付け確認したところ、パイプエンドが外側に1cm開いていました。熱で歪みが発生しているわけです。

歪みは元の方向に力を加えて戻しましたから取り付けは問題ないでしょう。

しかし、ラインナップしてない機種や社外品のエキパイだと歪みの確認ができないのでやはり社外品の修理依頼はお断りすることにします。

やり方は示しましたので直したい人はご自分でトライしてください。

 

 

 

チャンバーの凹みがどの様に直っていくか、実態がわからないためか質問を受けることがあります。そこで調度よい修理依頼が来ましたので掲載してみます。

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機種はRMX250Sで半年ほど前に販売したものです。

転倒したらしく大きく凹んでいます。

 

 

 

 

 

 

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真横から見ると酷い状態がわかりますね。

修理方法は棒を溶接して引っ張るとか、裏側に穴を開けて棒で突くとか、おっしゃる人がいますが、仕上がりを想像すると恐ろしいですね。

空気圧をかけてガスバーナーで炙る人もいますが、鉄板が酸化してしまって外観も強度も落ちてしまいます。

この程度の凹みなら水圧方式が簡単でしょう。

 

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口元とテールパイプに治具を取り付け水押しの準備は整いました。

この角度が変形の入り具合がわかりやすいですね。

それでは圧力をかけていきます。

 

 

 

 

 

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圧力は物と状態によって調節しますが、この場合は35気圧かけています。

圧力だけでこの程度戻りますが、これから板金ハンマーを使って形状を整えていきます。

 

 

 

 

 

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およそ10分ほどハンマーで叩いて均していきます。

方法は高い所を叩くと水圧がバックアップになって低い部分を押し上げてきて同じ高さになります。

路面の固い所に当たったのでしょう。傷が沢山見えますが、これはこのままにします。

サンダーで研磨すれば傷は目立たなくなりますが、板厚が薄くなってしまうのでこのままのほうが強度が保てます。

これくらいの修理なら2回、3回と繰り返しても再使用できます。

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跳ね石で小さい凹みができていますが、実は大きい凹みより直りにくいことがあります。

それは固いものが食い込んで鉄板が伸びてしまっていることと、水圧を受ける面積が小さいのでバックアップされる荷重が低くなることが要因です。

 

 

 

 

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しかし、大体痕がわからない程度に直りました。

棒を溶接して引っ張っていたらこのように仕上がらないはずです。

但しこの方法で直せるのは、断面が真円のパイプに限ります。楕円パイプなどは、圧力で真円になろうとしますので形状が変わってしまいます。そういうパイプは面倒ですが切開板金するしかないでしょう。

 

 

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最後に治具に取り付けて歪みの確認をします。歪みが大きいと車体に取り付かなくなることもありますので矯正が必要です。

これはラインナップ品なので、これが可能ですが、社外品は形状が違っていて治具に取り付かないので、歪みの確認ができません。

その場合は車体合わせで確認する方法を採ります。

 

 

最近悩み事があります。バックオーダーで3ヶ月以上お待ちいただいているお客さんがいるにも関らず、レース用のマフラーの修理を頼まれることがあります。納期は次のレースに間に合うように指定されます。その修理を先に作業することで、バックオーダーの納期がさらに遅れるということになります。

先入れ先出しの原則でやっておりますので、注文の順番で作業するのが平等ということになります。スペアマフラーを持たないでレースに出られている人はスペアを購入されることをお勧めします。とても次のレースまでに修理を間に合わせることができません。

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社外マフラーも優先順位としては後になるでしょう。

自社の製品が間に合っていないのに社外品の修理を優先する理由がないのです。

高額な支払いをして手に入れたものを少々壊れたくらいで諦めたくない心理はよくわかります。

社外マフラーの製造元や販売店に修理を依頼しても断られる話を聞きます。それなのにこれらの製品に無関係な我社に修理が回ってくるというのもおかしな話。予め問題点は説明しておくべきだと思います。

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文句を言いながらも修理してしまうのは、送られてきたマフラーをいつまでも置いておくわけにいきませんので、サッサと片付けます。

修理といってもケブラーの筒にグラスファイバーで補修するのではありません。

同じような修理を以前にも数台頼まれましたが時間がないのでグラスファイバーで補強していましたが、今回は筒をアルミで作るという指示でしたのでやっておきました。

マウントステーは取り外して再利用するのでこのような治具に固定して溶接しました。

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グラスウール詰めてリベット止めして完了です。

画像では簡単ですが、丸一日掛かります。

その間バックオーダーの製作も後回しになっていることは言うまでもありません。

やはり、これからは先入れ先出しの原則に則って仕事を進めさせていただきます。

 

バックオーダーは1ヶ月分残っていますので、社外品マフラーの修理は優先的にはできません。2ヶ月以上お待ちいただいているお客さんの注文がありますので順番に進めております。

不運にもマフラー壊してしまった場合は、新しいものに交換されることをお勧めします。

また実車は殆どありませんので取り付け確認などが必要なほど変形している場合も保証できないことをご了承いただきたいと思います。

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カーボン樹脂製のエンドキャップが割れてしまって交換が必要ですが

補修パーツもありませんので、鉄板で作って代用します。

 

 

 

 

 

 

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ビレットパーツのマウントステーですがリベットが外から外せない構造でしたので、ボディーを切って内側のフランジを削除して外しました。

マウントステーの面積が小さいので加重を受けるとボディーに食い込んでしまう難点があるようです。

 

 

 

 

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チタン材は非常に高額になりますので、アルミ板でボディーを作って代用します。

修理というより半分製作という形になります。

メーカーから補修パーツが販売されることが理想だと思います。

 

 

 

 

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マウントステーの取り付け位置は全く不明なので実車をお借りしてマーキングしてから取り付けることにしました。

今回は隣の川越市在住の国際A級ライダー松本耕太選手のガレージにお邪魔してきました。

彼はお父さんの会社で働いているのでお給料でチャド・リードと同仕様の前後サスペンションを購入してCRF450Rに奢っています。モトクロスは気が向いたときだけ乗るというお気楽モードが信条のようです。レース出てもお金になりませんからね。

私は言い訳をしなければなりません。これで許されることとは思っていませんが、競技者、製造者、顧客などの立場を考慮した結果このような処置をとることにしました。

マフラーの製作依頼を受けて順番に作業を進めていますが、手作業のため2ヶ月程度お待ちいただいている状況ですが、突発で頼まれる依頼に対応しなければなりません。

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レース中のアクシデントでマフラーとサブフレームが曲がってしまい、タイヤがマフラーに擦りながら走行した結果このようになりました。

折れ曲がったジョイントパイプ、切れたバンド、エンドキャップ割れ、が損傷箇所です。

パーツを取り寄せて交換したらどうか?と言いましても高価で買えないと言います。

しかし、スペアの新品マフラーは来るということなので、これに金を掛ける気は無いということです。

それならば、金が掛からないように修理方法を考えなくてはなりません。金は掛けませんが、時間は丸一日掛かっていますので、その分お待ちいただいているお客さんの仕事が遅れるということです。時々、突発の仕事が入りますので作成した工程表の通りに予定が運ばないことが言い訳の内容です。

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ここが折れ曲がったジョイントパイプ部分ですが画像は炙り戻した後です。若干のシワが残っていますが、マフラーの向きは正常に修復できました。

曲がったサブフレームも正常な位置に戻して取り付け状態を回復しておきます。

 

 

 

 

 

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割れたエンドキャップはプラスチック製です。

このパーツは単品で購入できないそうで、マフラーASSYで8万円掛かるということで迷わず製作です。

コストを抑えるため鉄板で板金製作です。

仕上げはつや消しブラック耐熱塗装です。

 

 

 

 

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擦り切れたカーボンバンドは単品購入できるらしいですが1万2千円掛かります。

ここもアルミステーとステンレスバンドを作って代用です。気に入らなかったら部品発注してください。

オリジナルを見たことが無い人は改造したことが分らないでしょう。

96年型CR125のチャンバーです。弊社創業当時93年型CR125を所有していましたので、CR125チャンバーの製作、修理が主要な業務であった時期もありました。

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既に個体数が減っていますので、これで最後の修理と思い紹介します。

凹み具合は普通です。車体が横倒しになったり下から石などが当たればこのようになります。

 

 

 

 

 

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ホンダ純正チャンバーの特徴としてプレス部材を接合してパイプ状にする「シーム溶接」という工法が採られています。

これはガソリン缶と同じ工法で、いわゆるモナカ構造の接合部分を二つのローラーで挟みつけながら抵抗溶接していますので、接合部の気密性が高い工法と言えます。

しかし、シーム溶接の欠点としまして、プレス成型時に生じる板厚の減少と直角に折り曲げた断面形状が切り欠きの効果となって排気による高周波の振動で亀裂が生じることです。

亀裂が発生して運転を続けていると亀裂が伸展して、鉄板が欠落することもあります。

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このようにシーム溶接のリブの上から凹んだ状態ではリブが突っ張って、元に戻るのを邪魔しようとしますので、凹んだシーム溶接を削り落として溶接します。

 

 

 

 

 

 

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亀裂が入ったシーム溶接も削り落として突き合わせ溶接とします。こうすることで振動をうけても亀裂が入り難くなります。

欠落した部分は鉄板で塞ぎ、くもの巣状に伸びた亀裂も溶接して、水圧成型の前段取りができました。

古いチャンバーは内側にオイル分が付着していて、溶接は上手くいきません。鉄板が解けるときに内側で勝手に火がついて溶接ビードに気泡が混じってしまうためです。根気強く何度も修正する必要があります。

 

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下側のリブを削り落とすことによって凹みが盛り上がってきました。

パイプの強度が落ちていますので、あまり高圧はかけられません。水圧によって新たに亀裂が生じてしまいますので、いい加減で止めておきます。

 

 

 

 

 

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欠落部分を修復すれば主要な凹みも直ります。

亀裂は発見した時点で直しておけば、このような大作業には至らないで済んだでしょう。

このCRは大学の2輪部所有だということで、理系の大学であれば修理可能な設備をお持ちのはずですので、次回は是非、部活動で修理トライされるとよろしいかと思います。

難しい理論は必要ありません。手先の技能が如何に必要であるかが分る題材でした。

埼玉県にロードレーサーのアルミタンクを作るメーカーがありました。タンク作りが専門ではありませんが自動車の主に車体関連の部品を試作、量産できる会社です。

ロードレーサーの、しかも全日本やWGPの契約ライダー専用で、空気抵抗を減らすためニーグリップや肘の収まりがいいように、契約ライダーの体型に合わせて型取りされた形状で作るため少量だけ生産されます。

その製法について聞いたことがありました。タンクのモデルは粘土で成型して、モデルをセメントに埋めてメス型を取ります。そのメス型に離型材を塗ってセメントを盛ってオス型を取ります。そして、このセメントの型を使ってアルミ板を大型のプレス機で絞って、タンクの部品を成型します。上型と下型は別々に成型して溶接すればタンクが完成するということです。

弊社の場合は大型プレス機がありませんので、同じような手法はできません。簡単な形状に板金加工したアルミ板を溶接で繋いで組み立てますので、成型できる形状は制約されますので、得意な仕事ではありません。どうしても形状変更や容量変更が必要だというお客さんには、その必要性の度合いを聞いてからなるべくお断りするようにしています。それはタンクの組み立てに非常に時間が掛かるため、さらに仕事が遅れてしまうことを懸念するからです。

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現行車は全て燃料噴射になっていますのでガソリンを供給するポンプが内臓されています。

キャブレターの場合は燃料コックだけで済んだのですがFI用のタンクはこのような大きなフランジの製作が必要になります。

これはφ130の丸棒から削り出しますので大幅なコストアップです。

自動車業界では常識なのかもしれませんがインジェクターで燃料を高圧にして噴射するのは分りますが、燃費がリッター30km以上走るエンジンですから噴射量は極微量だと思うのです。それなのにこのような大きなポンプでガソリンを圧送しなければならない理由が理解できません。供給量はあくまでキャブ車以下のはずです。

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お客さんの依頼内容はタンク容量を15L以上にしたいということで、可能な限り大きくしました。

大容量のタンクでガソリンを大量に運ぶより軽いタンクで給油の回数を増やせばよいのでは?という質問が愚問でした。

このクラスに限らず、長距離走るライダーにとっては頻繁に給油することがわずらわしいだけでなく、出先でスタンドまでの距離が分らないときにガソリン残量が多いことが安心に繋がるということを、オートバイでツーリングした経験がある人なら理解できることだと思います。

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セロー250ですが、タンクの両側はシュラウドでカバーされていますので、横幅を増やすには限界があります。

従って上方向に容積を稼ぐ形になっています。角ばって見えるのも、3次元における限られたスペースで最も容積が大きいのは球体より立法体であるということで丸みを極力無くしています。

 

 

 

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非常にハンドル切れ角が深いため、ハンドル操作に影響が出ない最大限度の形状がこういうことになります。

ガソリン満タンで17Lを達成しましたので、仮にリッター30km走るとすると航続距離510kmになります。

250クラスのオートバイとしては最大級の数字ではないかと思います。

製作時間は40時間といったところです。金額は時給ウン千円で計算してください。

新車は原付2輪までFIになっていますので旧車に限っての話ですが、キャブレターも長時間使用したものは消耗してきます。スロットルボディーが磨耗したり、真鍮のジェット類も穴が拡大したりすることで本来の性能を発揮できなくなります。そういう場合はキャブレターセッティングしても不調になります。

以外と見落としがちなのはフロート室の油面ですが、これが狂っていると同じセッティングオーダーにしても性能が違ってくることになります。そこで正しい油面になっているか確認する作業が必要になります。

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通常、油面測定といえば、キャブレターを横にしてフロートバルブが閉じた位置で、フロートチャンバーの合わせ面とフロート高さの距離のことを示しますが、本来の油面の意味と違います。

フロートバルブの接点を曲げて油面調整するときの確認のための数値です。

では油面が適正かどうかを、判定する方法は次のとうりにします。

 

 

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ドレンプラグが装備されたキャブレターならドレンホースを使用すればよいだけですが、古いタイプのキャブレターはドレンプラグが無いものもありますので、その場合は左のようなドレン穴付きのキャップを作製します。

ノーマルは加工しないでアダプターとして使用します。

 

 

 

 

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ドレンキャップにビニールホースを取り付けて車体に取りつけします。

車体は垂直に立てないと油面が傾いて数値が変わってしまいます。

 

 

 

 

 

 

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ガソリンコックを開けて、フロート室にガソリンが下りてくるとビニールホースに油面が見えてきます。

キャブレターの設計値は油面がフロートの合わせ面の高さになるように設定されています。

キャブレターが前後に傾いている場合は中心付近の高さで判定します。これは中心の高さに合っていますので適正と判断できます。

4輪用のソレックスキャブなどは、フロートの台座をスクリューで高さ調整する機能がついていますが、2輪用は分解してフロートバルブの接点を曲げて調節するため計測の仕方によって判定しずらいので、この方法を採っています。

油面が低いとガソリンの吸出しが減り、高いと増えるという現象がおきますので、キャブセッティングは油面が適正であることが前提の作業になります。

 

 

 

 

 

 

 

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レストア界の最高権威、小林さんから溶接肉盛りを頼まれたケースカバー。

左ケースと思いますが、車種が分らない私が質問しましたら、ホンダSAだとおっしゃいました。1955年製の同車種ですが、最近まで実動で、イタリアで開催された2000kmのラリーを完走して年代別クラスで入賞したマシンだそうです。

ヨーロッパの旧車レースは日本とは比較にならない人気とレベルの高さが予想されます。

自分を育ててもらった会社のマシンですから、恥ずかしながら調べてみましたら、これがホンダの2輪車の歴史上重要な役割を担ったマシンであることがわかりました。 ドリームSA.jpg

ホンダコレクションホールの展示車画像から拝借しました。

たしかにこの車両の左ケースが同じ形状を呈しています。

これがホンダ初の4ストエンジン、OHC単気筒250ccです。

本田宗一郎さん直々の設計で、夢の4ストロークエンジンが完成したので、ドリームという車名を与えた最初のマシンです。

製造された1955年にレースに出場しています。日本にサーキットが無かった時代で

7月に第3回富士登山レースで250ccクラス優勝。11月の第1回浅間火山レースで250ccクラス2位入賞という快挙。因みにこのレースの優勝はライラックに乗る伝説のレーサー伊藤史郎でした。

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修理内容は、オイルドレンに亀裂が発生したため溶接肉盛りをすることです。

古いダイキャストですから表面を少し削って地金を出す必要があります。

酸化皮膜が溶接不良を引き起こすためです。アルミの溶接は交流TIGを使いますが、交流は極性が+ー交互に流れる高周波です。+イオンを衝突させ酸化皮膜を除去しながらー電子でアルミを溶かします。この酸化皮膜が強固な場合、除去できずに上手く溶けてくれないため、予め削っておくことが必要です。 

 

 

 

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内側もこの通り一皮剥いて、浸み込んだオイルの脱脂も行います。

 

 

 

 

 

 

 

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ネジ穴の内側から溶かすように溶接棒で埋めてしまいます。

ここに新たなネジ穴とボルト座面を加工するのですが、私の仕事はここまで

続きは小林さんのレストア工房の加工機で行います。

サンドブラストで全体を美しく仕上げて、消耗部品も新品交換して組み上げますので、新車同様のコンディションになるでしょう。

小林さんは、ホンダのワークスレーサー、ダブルプロリンクや2気筒RCなどの開発を勤め、オートマチックRC時代のHRC監督でしたが、その後、会社命令でコレクションホールの立ち上げを任され、茂木の展示車両は同氏の作品であります。

英国バーミンガムのモーターサイクルミュージアムも見た事がありますが、展示台数は多いですが、旧車のコンディションは悪かったと思います。それに比べて、茂木のコレクションホールは全車動態保存で外観も新車同様、F1やMotoGPの歴代チャンピオンマシンも保有していることで、間違いなく世界一の2輪4輪博物館であると同時にホンダの偉業を実物で感じ取れる、後世に伝えたい異空間であることを申し上げておきます。

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CRF250 10モデルのマフラーですが、インナーパイプのエンドキャップ部分で破損してパンチングパイプが中で外れてしまいます。

レーサーですから補償はありません。しかし、寿命の設定としては絶妙ですね。

去年のモデルですから1年間壊れなければクレームもつかないでしょう。壊れれば部品交換しなければ走れませんので、やむを得ず交換するのですが、この部品だけで2万円以上しますから、分解工賃など加えると3万円くらいの出費でしょう。

画像はエンドキャップを修復した後です。破損したキャップ部分に鉄板を追加して補強していますので寿命は大幅に伸びるでしょう。

分りにくいですが、エンドキャップの内側にエンドパイプを差し込むツバがあったのですが、パイプが中で暴れて無くなっていたので、ツバの部分も修復してあります。

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溶接場所はこのとおり、これで僅かな材料で元どおりの機能を果たすことができます。

修理代も純正部品で交換するより大幅に削減できました。

社外品のマフラーは修理しません。他店でお買い上げいただいた商品については、他店に依頼してもらいたいからです。

純正部品を修復してスペアマフラーにしながら我社の製品をお買い求めのお客さんに対するサービスとして安価にて提供するものであります。

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エキパイの凹み、熱影響のためか外側が延びて潰れたように変形しています。

曲げるときは、パイプの断面積がなるべく変わらないように注意して作りますが、激しく走行しているうちにダメージを受けてしまいます。

こういう状態のエキパイを修理するのに、チャンバーのように蓋をして圧力を掛けようとしても元通りにはなりません。

スッキリ直すためにダメージを受けた部分を取り換えます。

 

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メーカーによって特殊なサイズのパイプを使用している場合があり、パイプが入手困難で修理断念していただくこともありますが、

これはφ31.8でパイプの在庫がありましたので、直ぐに曲げました。

パイプベンダーという高価な設備はありません。万力とバーナーを使って手曲げによるものですが、内側40Rで潰れないように180°曲げて素材を作ります。

パイプのサイズが大きくなるにつれて曲げられる最小Rが大きくなっていきますので、車種によっては難しいものもあるでしょう。

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潰れたパイプは切除して新しいものに取り換えて溶接しました。

チタンパイプは材料代が高価で3万円くらい材料購入してエキパイ3台分が作れる程度です。

ダメージの無い部分を再使用することで、新品の半分以下のコストで修理することが可能となります。

勿論、予算に余裕がある人は新品購入された方が経済の活性化に繋がると思いますが、修理代を節約して、もっと有効なことにお金を使うことができるということです。

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97年型を最後に生産中止になってしまったTT250RのクランクケースR側です。

シフトシャフトのリターンスプリングが当たるφ8のピンが立っていますが、その圧入部分が半分欠損しています。

破断面の位置から、シフトアップ時の荷重で亀裂が生じたと推測できますが、圧入部の強度不足ですね。

症状としては、シフトペダルが踏み込んだまま戻らないということです。本来、ケース交換するべき不具合ですが、すでに絶販部品となっているので、仕方なく修理します。

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破片は無くなっているので、アルミ棒から切り出して欠損部分を整形します。

塗装は剥離材で除去し、ピンを差し込んだ状態でバイスプライヤで締め付けて溶接します。

アルミが収縮してピンが締まりますので強固に固定されるでしょう。

 

 

 

 

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溶接完了です。ノーマルより肉盛りしておきましたので、当分の間シフトチェンジに耐えられるでしょう。

しかし、最終型からたった14年で部品のラインナップが無くなるという恐ろしい事態です。

安心して古いマシンを乗り続けられません。幸い修理テクニックがあったので良かったですが、そうでなければ廃車するしかありません。

古い部品をストックするにも、倉庫代が掛かって儲からないことはわかります。オートバイはモデルチェンジが多すぎるのです。

新車買っても数年で旧式になってしまうので、次々乗り換えるか、モデルチェンジには付き合わないで長く大事に乗るということになりますが

旧型を救済し続けると新型を買わない人が増えるということでしょうか。オートバイは新しい方が性能がよくなっているのは当たり前のようですが、いつまで続くでしょう。2011年モデルも20年後には旧式と呼ばれてしまうでしょうか。

新しいものが生まれるのと同時に古いものも増え続けていきます。その救済をどこまで続けていくかがこれからのオートバイライフの課題だと思います。

 

2ストトレールは健在です。これは公道バージョン、オンロードタイヤでフロントインチダウンされています。

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外装も丁寧にカスタムされていて、大事に乗られていることが分りますが

94モデルなので登録から17年経過していて、走行距離は5万キロくらいだそうです。

さすがに、このまま乗り続けるのは不安だということでエンジンOHすることになりました。

社外のチャンバーも激しく凹んでいます。これはオーナーがヤフオクで凹んだ状態のものを安く落札したそうですが、普通は社外品の修理はお引き受けしません。それは、マフラーメーカーか販売店が対応すべき仕事だと考えていますので、私が社外品を使い続けるために救済する必要は無いと思っているからです。

トヨタの販売店にホンダ車の修理を頼むようなものですからね。そうは言っても、こちらのお客さんが、この車両を総合的に直したいと依頼してこられているわけですから、その一環としてチャンバーの修理も行います。

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リヤショックはオイル漏れの上、バンプラバーもウレタンが崩れて無くなっています。ショックもOHして機能回復しなければなりません。

チャンバーはエキパイ部分から全体に潰れていて、まともな状態ではありません。ここまで潰れていると商品価値はゼロだと思うのですが、ヤフオクではこのようなものに5千円の値段をつける人がいるそうです。明らかにスクラップであることを付け加えておきます。

 

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オイル漏れの激しいエンジン。シリンダーベースにコーキングが見られますが、ガスケットが吹き抜けていることが予想されます。

さすがに5万キロのダメージが蓄積されているのでしょう。

これから全バラして修復することにします。

 

 

 

 

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排気デバイス、KIPSの部品です。

遠心ガバナーにより駆動される可変ポートタイミング機構です。ラック&ピニオンで中央のスライドバルブと左右の回転式バルブが低速域と高速域の排気ポートタイミングを変化させて、幅広いパワーバンドを稼ぎ出します。

しかし、その部品点数の多さは4ストロークエンジンの動弁系より多く感じられ、メンテナンスの工数も、こちらの方が上です。

 

 

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エンジン部品全部。ばらすだけでなく、相当な汚れが付着しているので、全部洗浄してからメンテナンスに入るので非常に時間がかかります。

汚れが付着していると、小さい傷や磨耗の状態が判断できませんので、整備の方針を決めていく上で重要な工程です。

こうして、交換部品のリストアップが可能になります。

従って正確な見積もりはこの段階以降でないと分りません。

 

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エンジン整備には夏でも石油ストーブを使います。

ベアリングの交換にはケースを熱膨張させて、脱着します。これはケースにダメージを与えない方法で

プレス機を使った圧入では圧入面がかじって、小さい傷がつきます。そのため折角、真円に加工された穴やベアリングが偏芯してしまうので、それを防止します。

2010モデルから著しく大型化したCRFのサイレンサーですが、思わぬ不具合も生じています。

張り出したサイレンサーは転倒しなくても、通常のライディングでサイドカバー越しに圧迫されてデフォーム(凹み)が発生します。また角ばった断面のアルミは平面が広くなっていますが、排気圧で膨らもうとしますので、金属疲労により亀裂が入ってしまいます。

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上は2011CRF250R、下は2010CRF450R。

250方が450よりサイレンサーが大きいことが分ります。

これらのサイレンサーは純正部品で一個9万円もしますので安々と買い換えられるものではないでしょう。

レーサーモデルも高品質化して付加価値を付けていかないと商品として受け入れてもらえなくなるということは予想できますが、限度というものがあります。

私が自分の150用のマフラーを作る理由はクラッシュで一発破壊する恐れのあるものが、純正部品で5万円もするので、作る場合は半額程度のコストで済むからです。

この高いマフラーの仕様を設定する人たちは、元々高収入で中小企業の社員とは違います。その上、このようなレーサーモデルは会社の車両に乗れるため、自分で買う必要がないですから、一般庶民の金銭感覚は持ち合わせていないのではないかと思ってしまいます。

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これはどちらも国際A級ライダーが所有しているものですが、日本ではトップクラスの彼らでさえ、スペアサイレンサーを持っていないという現状からも、その問題点が感じとれます。

とりあえず、修理するためにはリベットをはずして分解しなければなりません。

現在バックオーダーの状況が2ヶ月分溜まっているため、新規の注文を先延ばしするか諦めていただくなどの対応をさせていただいている状態なので、作業する時間がとれるかどうかわかりませんが、修理してみることにしました。

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まずは450から

アルミ筒に絞りが入っているため

切断して別々に整形してから溶接です。

大体、元の形状に直りました。

 

 

 

 

 

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次は250です。

デフォームを均してから亀裂部分を再溶接です。

古い溶接ビードを削除して溶け込ませていきます。

ビードは平滑でないと、すぐに割れてしまいます。このあと外側にアルミ板を張り付けツインウォールにしますが

これは国際A級用なのでスペシャル仕様の加工を行います。

 

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音量に余裕があることと、加速力を増す目的でショートタイプに変更。

テーパーパンチングのため繋ぎめの外径を合わせて溶接しています。

アルミ筒はデフォームになりやすい外側をツインウォールにしています。

エンドキャップの嵌め合いがきつくて、経験のない人は組み立てが難しいと思います。

 

 

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グラスウール詰めて、ステンリベットで荷締めて組み立て完了です。

高価なマフラーなので、メンテナンスして寿命を延ばしてあげないと、亀裂が拡大して使用不能となって

余計な出費が出ますからね。

 

・・・ああ、また予定が遅れてしまった・・・

今週は休みなしで働きます。

 

「これ直すんですか?」一応確認のため聞いてみた。そしたら「直したい」という答え。

「ものすごく大変だよ」と言うと、「いくらぐらいですか?」というので「普通の3倍くらいかかるよ」

と答えたら、「新品買った方が安いですか?」と言うので、「そこまではいかない」ということで

契約成立して修理することになった。

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普通はこのように大破している場合は新品に交換するように勧めます。

それは修理に相当な時間を費やし、製作業務に差し支えるからです。

おそらく、これは、新品交換した上で直したチャンバーはスペアとして取っておこうということだと思います。

そして、直らなければ諦めると思うのですがダメ元で聞いてみるということは、私が直せるかどうか試しているのではないかと、思わせるのです。

これが直ったとしても私の評価が上がるわけでは無いと思いますが、もしかして直せないんじゃないかと思われることが、マイナス要素なので

この挑戦に応えることにしました。

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ここが荷重の力点だと推測しますが、鉄板が破けています。

圧力をかけて直すために、溶接して穴を塞ぐ必要があります。

 

 

 

 

 

 

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エキパイにシワがよって蛇腹のように曲がっています。

ここまでいくと、水圧では直りませんので

切断して鉄棒を当てがいながらハンマーで板金修理しなければなりません。

 

 

 

 

 

夜は騒音の出る作業は近所迷惑になりますので、この続きは明日ということにします。

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パイプを切断し、潰れた部分をハンマーで整形して溶接。

その後、水圧で元の形状まで膨らましました。

しかし、そのままでは歪みが大きく車体に取り付けができないくらいパイプの向きが変わってしまいました。

結局、4箇所の切断面を削ってパイプの向き矯正して取り付くようにしました。

 

 

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カワサキのビッグオフロードKLX450のエンジンを修理することになった。基本設計はレーサーKX450と同様に見えるが、これはセル始動用のギヤが追加されているのが特徴だ。

CIMG0161.JPG 時期が年末なので部品の発注が既に終了してしまっているが、今回は部品の交換が目的ではないので

分解組み立てに必要最小限度の部品だけ手配して全バラすることにした。

CIMG0160.JPG これが不具合の箇所

オイルドレンのネジをなめてしまったらしく、アルミで作ったネジを溶接で追加したようすなのだ。

しかし、ここにミスがあってオイル洩れが止まらないということが不具合なのである。

一箇所のオイル洩れのためにケース交換をすることは、非常に高額な出費になるので回避したい気持ちは理解できるが

不具合を解消してケースを使い続けるためには手間を惜しんではならないという例である。

 

オイルはドレン穴から排出されていてもケース内はオイルが付着した状態なので、溶接の熱でオイルが噴出してくるはずだが、アルミの溶接にオイルなど不純物が巻き込んでしまっては溶接不良となって

上から溶接棒で肉盛りしてもオイル洩れはとまらないだろう。

従って手間は掛かってもケースをばらして

内部を脱脂してからでないと完全な修理は不可能と思うのである。

ネジの修理はヘリサート挿入でよいと思われがちだが、KX系のオイルドレンはネジの途中に横穴が空いていてオイルが抜ける構造なので、ヘリサートでは横穴を塞いでしまってオイルは抜けなくなってしまうのである。

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エンジンを分解していく途中で不具合が発生した。

ドライブスプロケットのロックナットが緩まない。フライホイールホルダーで回り止めをしながらソケットレンチで緩めるのだが

ホルダーのアームが広がってスプロケットの山を乗り越えてしまう。明らかにオーバートルクで締まっているようだ。

 

インパクトを最強にして緩めようとするがビクともしない、ナットの角をなめてしまっては分解不可能になってしまうので、フライホイールホルダーより確実にスプロケットを固定するため、治具を製作することにした。

スプロケットの谷底とクランクシャフトの3点を固定する治具は即興で考えた。在りものの材料でこしらえる。エンジンが転がらないようにチェーンで作業代と連結させて、緩めトルクをかける。

通常のレンチでは全く緩まないのでパイプで延長して渾身の力をこめて、ようやくナットを回転することができた。部品の交換は素人でも組み立つように設計されているものだが、このようにイレギュラーな作業をするとき、経験と技術が修理作業の結果を左右するものと考えるのだ。

CIMG0163.JPG ちょっと足止めされてしまったが、ばらし終わったエンジン。

この状態で問題のクランクケースを洗浄して脱脂することができる。

オイルドレンの上にオイルポンプが装備されているので、オイルが相当残った状態なので、溶接する場合は必要な作業なのである。

このあと不具合部分の削除を行って、新しいオイルドレンを構築する作業に入る。

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ケースをフライスに固定してオイル洩れの部分を切削して除去する。

アルミが溶け合ってない欠陥の部分も明らかになってくる。

元の肉厚を削りすぎないように注意しながら出来るかぎり平に仕上げる。

 

 

 

 

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古いネジ穴をドリルで抜き取り、あたらしいネジを差し込んでTIG溶接で肉盛りする。

オイルで汚れた部分を切削してアルミの地金を露出しておけば、オイル洩れの原因となる欠陥は発生し難くなる。

目視では問題ないように見えるが、念のため洩れ検査を行う。

 

 

 

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これはケースの内側からオイルドレンが浸るように湯をいれた状態。

湯を入れる理由は熱でアルミが膨張するのでピンホールなど小さい欠陥があるとたちどころに湯が滲みでてくるので水洩れを発見しやすいことである。

またオイルを入れてしまっては含侵された油分を脱脂することが困難になるが

水であれば熱で簡単に蒸発するので再溶接する場合でも問題にならない。

こうしてケース分解した状態で水洩れ検査しておけば組み立てOKということになるわけである。

 

MTBプロライダー、日本人として始めて海外メーカーと契約し世界選手権を走った世界ランカー。

アジア選手権2連覇、JCFシリーズチャンピオンなど輝かしい戦績をもつダウンヒルライダー

井出川直樹選手はホンダレーシングとも契約してRN01で戦ったこともある。

現在、彼は京都のダイアテックと契約し、カナダのEVIL(イービル)というメーカーの自転車に乗っている。

しかし、このEVILは国内に1台しか輸入されておらず、

即ち井出川選手専用のプロトタイプでスペアマシンもない。

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これが、EVIL社スイングアーム、部品単価は聞いてないが、メインフレームだけで40万円くらいだそうだ。

これをハンドワークで1品だけ製作頼まれても、この前のスイングアームより3倍くらい手間が掛かりそうだ。大体、切削部品をこのクオリティで仕上げるにはNC(数値制御)マシンに頼るしかないわけだが、NC加工の工賃は段取り1回の金額なので1個加工するのと50個加工するのとあまり変わらないので、1個だけ加工すると莫大な金額になってしまうので普通はやらない仕事だ。

幸いこれは2箇所のヘアクラックを補修するだけなので問題はない。

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クラック2箇所、塗装を剥離してからTIG溶接することになる。

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亀裂を溶接だけでは再び発生してしまうだろう。

再発防止のために補強パッチを追加しておく、これで寿命は格段に向上するはずだ。

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こちらはビード肉盛りで様子をみる。

このスイングアームは左右非対称な接合方法で、こちら側だけ突き合わせになっていることが

強度不足の原因とおもわれる。

高負荷の足回り部品を溶接する場合、荷重の方向に対してなるべく長手方向に接合することが

セオリーなのであるが、突き合わせが最も不利な条件なのである。

いずれにしても日本屈指のダウンヒルレーサーが溶接修理を頼ってきてくださったことに感謝いたしまする。

今回のリペアはちょっと厄介なケース。

ねじ穴の再生といえばリコイルという方法が一般的だが、

KX65のオイル穴はねじの横から抜ける構造なのでねじ穴の横からφ6.0mmの穴空けが必要

リコイルには横穴の加工は不可能。

さらに問題はねじ穴が縦に割れて、欠損しているので穴自体が残っていない。 IMG_0332.JPG

             縦に割れたねじ穴

             中央にオイル穴がみえる。

残ったねじを削除して、新しいねじを溶接することにした。

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フライスに固定してエンドミル加工する。

ねじサイズはM10なのでφ15mmで切削。

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切削されたクランクケースと旋盤加工で新作したねじ。

 

 

IMG_0335.JPGケースにアルゴン溶接で新しいねじを取り付ける。

オイル穴はあらかじめ空けておいて位置を合わせておく。

新しいねじは7N01の丸棒から製作したのでダイキャストのねじより強度アップされている。

修理時間は1Hrくらいだが、エンジン全バラにして洗浄する必要がある。

完全な修復のためには手間を惜しんではいけない。

IMG_0303.JPG今回の修理品はRMX250Sのチャンバーです。

98年式弊社オリジナル製作の品物です。

下側に大きな凹みと横にも複数の中程度の凹み、テールパイプ根元付近も折れ曲がっています。 IMG_0305.JPG

 

水圧ポンプからの高圧ホースを口元につなぎます。

この状態でパイプ内は水を充填しておきます。

テールパイプエンドは専用治具で蓋をしています。 IMG_0306.JPG

 

ポンプで水圧を40Kg/cm2くらい掛けながらハンマーで叩きます。

凹んだ鉄板が盛り上がってきて元の形状に戻ります。

変形するときに少し鉄板が伸びるので全体的な歪が発生します。

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歪を修正しながら、治具を用いて曲がりチェックをします。

口元とテールパイプの位置を確認します。

完全に修復は不可能ですが、実用上は問題ない程度に直っているでしょう。

後はお客さんに送って、実車で確認をお願いします。

車体持込の場合は工場で取り付け確認をさせていただきます。

 

2スト車の車体に4ストエンジンのスワッピング(換装)は何度もやってきた。 しかし今回のスワッピングは今までのとはわけが違う。

これまでのエンジンは旧式の空冷2バルブであったのに対し、これは新型の水冷4バルブだ。 おそらく日本で初めての組み合わせだろう。前後サスペンションはホワイトパワー。リヤはリンクレス。 ブレーキはフォーミュラの対向ピストン。国産には採用されないヨーロッパ製品が目を引く。 画像はエンジンのレイアウトを検討している様子でエンジン位置は決定したがフレームのパイプは繋がっていない。高くなったキャブレターにあわせたエアクリーナーの変更、シリンダーヘッドをかわしたガソリンタンク製作、フレーム中通しの専用エキゾーストパイプetc.難題山積みである。 おそらく実走できるのは夏頃だろう。

 この製作計画を聞いて殆どの人は無意味だとか、改造しないでそのまま乗るのが一番いいとか思われるだろう。 実は製作を担当している自分自身も同様に思っていたのだが、製作を諦めさせる説得をしながら、自分の気持ちが完成させて走らせてみたい方向に変化していった。

これを無意味なことと思う人は、マシン選びにどれ程の理由があるだろう。 メーカーのイメージであったりレースで上位を走る機種であったり、バイク店との付き合いであったり。いずれにしても明確な根拠は存在しないはずである。しかも、高額な支払いをして手に入れたマシーンも翌年にはあっさりモデルチェンジされて旧式になってしまう。本当に乗りたいものを決める手段が完全にメーカー任せになっていて、お客さんは踊らされている状態だ。そんな宛がわれたような選択肢では、ただ流行にながされて、他人の真似しかしない日本人の一員になってしまう。

他人と違う方式を試みる精神がこの車両の製作に現れているではないか。 これが完成して走っている姿をみて、どんな乗り味なのか興味を持つ人は多いだろう。しかしその答えは作った者、乗った者にしかわからない領域だ。

 無意味だと思う人には一生わからない答えだろう。 そしてこの製作を実現する手段に弊社を選んだ依頼者に満足していただくために腕を振るわなければならない。

アルミタンクはワークスモトクロッサーだけの物ではない。70年代後半までは量産車がアルミタンクだったのに、大物は金型でプレス成形されるが、溶接などハンドワークの部分に熟練が必要なため、生産性のよいプラスチックタンクへと変更されていったのだ。 昨今のビンテージオフロードの盛り上がりで70年代後期のレーサーもレストアされレースに参加する台数も増えてきた。ところが30年も前のプラスチックはどうしても劣化が進み、軽い衝撃でも割れてしまって、ガソリンが漏れてしまうのだ。接着材で補修しても耐ガソリン性のものはなくて使い物にならない。塗装しても揮発するガスで塗膜が剥がれてしまう。 そんな悩みを解決するためにアルミタンクを製作することにした。タンク専門の会社に依頼すると、量産とそっくりな形状の品物ができるが、必要なモデル代、金型代、を負担した上に製作費がかかるので、すくなくとも35万円は かかるらしいが、お客さんの依頼は1個だけなのでそのような金額では諦めてしまうだろう。今回はプレス成形を行なわない方法、アルミ板から叩き出す板金手法で作ったタンクだ。 全体のデザインを決めるアッパーハーフをハンマーで叩きながらカーブをつけていく。見本と見比べながら感を頼りに曲げていくのだ。一枚板では不可能なので、要所要所分割して成形して溶接で組みたてていく。フレームに組みつけるロアーハーフも車体に取り付け確認をしながら成形していく。アッパーとロアーを接合する前に形状を整えないと、後からでは叩けないのだ。溶接が全て終了したら、水を満タンに入れて洩れがないか確認する。エアーを入れて水没させる方法もあるが、加圧してタンクが膨らんでしまうことがあるので、水を入れた方が安心なのだ。これでプロの塗装を施せば、アルミ製の複製タンクであることはよく観察しないと気がつかないだろう。 アルミタンクはけしてワークスチームだけのものではない、むしろ庶民的な旧車マニアのためにあるのだ。