スタビライザー

時間がありませんので、こういう残業は歓迎できません。
知り合いのオートバイ屋さんから頼まれたので仕方なくやりました。
時間がないだけでなく、社外のアフターパーツと思われますので、自社オリジナル品を長期間待っていただいているのに先に加工できる道理がありません。
そういうわけで残業ということにしました。
CIMG3774.JPG
ダイキャスト製のスタビライザーですね。
35年くらい経過したものでしょうか。

画像は既に加工完了したものです。

どこを加工したかといいますと








CIMG3775.JPG


ボルト穴の近くに亀裂が見えます。
皮一枚でつながっています。

アルミ合金ですから大気中で劣化したわけではないでしょう。

80年ころの大型バイクはフロントフォークが細く、ハンドル周りに剛性がありません。
スタビライザーでボトムケースを連結することでフォークの捩れを防止できますが
そのためにスタビライザーに応力がかかっていたことでしょう。
従って金属疲労が原因だと考えられます。
金属疲労は事故で過大な荷重が掛かった場合を除き、大半は設計不良です。
CIMG3777.JPG

問題のクランプ部分だけを新造したわけです。
ダイキャスト品の形状を模倣するには
3次元測定により外形をデータ化してCNC加工機で製作するのが今風だと思いますが
この部品1個だけ作ると莫大な費用がかかるでしょう。

そこで汎用の旋盤とフライスだけで丸棒から削りだします。
ダイキャストのプロフィールのように丸みを帯びた形状はできません。
平面と円弧を繋いだ形状にデザインし直しです。

CIMG3778.JPG

切断した端材から丸棒であったことがわかるでしょう。

切り粉と合わせて8割はスクラップになります。
加工時間は10時間程度です。
いくら請求するかわかりませんが
時給で換算すると平均的なサラリーマンの2割くらいしかもらわないでしょう。

「断わればいい」とか「もっと値上げしろ」とか声が聞こえてきそうですが、人間関係はそんな簡単にいかないものです。

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