2014年8月アーカイブ

時間がありませんので、こういう残業は歓迎できません。
知り合いのオートバイ屋さんから頼まれたので仕方なくやりました。
時間がないだけでなく、社外のアフターパーツと思われますので、自社オリジナル品を長期間待っていただいているのに先に加工できる道理がありません。
そういうわけで残業ということにしました。
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ダイキャスト製のスタビライザーですね。
35年くらい経過したものでしょうか。

画像は既に加工完了したものです。

どこを加工したかといいますと








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ボルト穴の近くに亀裂が見えます。
皮一枚でつながっています。

アルミ合金ですから大気中で劣化したわけではないでしょう。

80年ころの大型バイクはフロントフォークが細く、ハンドル周りに剛性がありません。
スタビライザーでボトムケースを連結することでフォークの捩れを防止できますが
そのためにスタビライザーに応力がかかっていたことでしょう。
従って金属疲労が原因だと考えられます。
金属疲労は事故で過大な荷重が掛かった場合を除き、大半は設計不良です。
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問題のクランプ部分だけを新造したわけです。
ダイキャスト品の形状を模倣するには
3次元測定により外形をデータ化してCNC加工機で製作するのが今風だと思いますが
この部品1個だけ作ると莫大な費用がかかるでしょう。

そこで汎用の旋盤とフライスだけで丸棒から削りだします。
ダイキャストのプロフィールのように丸みを帯びた形状はできません。
平面と円弧を繋いだ形状にデザインし直しです。

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切断した端材から丸棒であったことがわかるでしょう。

切り粉と合わせて8割はスクラップになります。
加工時間は10時間程度です。
いくら請求するかわかりませんが
時給で換算すると平均的なサラリーマンの2割くらいしかもらわないでしょう。

「断わればいい」とか「もっと値上げしろ」とか声が聞こえてきそうですが、人間関係はそんな簡単にいかないものです。

ドローイングナンバーと読みます。図面番号のことですが、そのまま部品番号となって、製品を作ったり部品発注する基の番号となります。
今回はパーツの在庫が無くなってバックオーダーになった部品の製造ですが、ひょんなことから溶接工程だけ請け負う3次メーカーとして働かせていただきました。
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6角パイプにフランジを溶接するだけの単純な作業ですが、久々に量産気分です。
元請けの会社、N田製作所さんの経歴と驚異的加工技術に魅了されることになりました。

これは6角パイプとフランジの手配と穴加工がN田さんの領域です。
一本あたり8箇所の穴加工があり、108点なので864箇所,板厚4,5mmにφ8,5の穴を空けるのも大変なことですが、特筆すべきはパイプ内側にバリが一切出てないことです。パイプ内面ですから面取りは不可能です。
どのようにしてバリの出ない穴空けをおこなうのか?その手法をN田さんに聞きました。
原理は分かりましたが実際やるとなると、私の技術では到底無理だと思いました。これが加工職人の技術力です。
2次メーカーですから一般ユーザーに部品がどこで製造されたかはわからないでしょう。
しかしN田さんの加工品は2輪ユーザーならほぼ100%お世話になったことがあるはずです。
たとえば、キックアームのボス、鍛造素材に穴加工して内面にセレーションを割り出し加工とか。
横型単気筒エンジンのインテーク、鋳造のエルボーの両端に角度の付いた面だしとオフセットされたフランジのボルト穴加工。
ドラムブレーキのアームやカムの加工、セレーションは割り出しして位置決めのポンチ打ちとか、
誰でも見た事のある部品たちですが、どこの会社で加工したか知らなかったのです。
こんな物もあります。
4気筒のセンターにタイミングギヤがあるタイプのクランクシャフトとか、当然ギヤより大きい外径の丸棒から削り出しです。
コンロッドなどは単純な方、アルミメッキシリンダーの内径研磨とポートの面取り。
これらに共通することは加工難易度が高く普通の加工屋さんが嫌がる(加工不良になる可能性が高い)品物ばかりということです。
N田さんは御歳70過ぎですから経験50年以上のベテランでしょう。
親会社はこういう難易度の高い加工を押し付けてこられますが、後継者はいないので将来困ることになると思います。
加工できる会社は多く存在するでしょうが、問題はコストを決められていますので、難しく手間の掛かることに高額報酬を求める会社では親会社の要求に応えられないのです。
こんな物も見せてくださいました。
ブレーキホースの加締める前の金具です。ブレーキ液漏れなど絶対あってはならない重要保安部品ですが、その内部の加工も超A級難度だと思います。
これの加工には特殊な刃物を自作して単能機で対応したそうですが、刃物代は殆どかからないそうで
クズ鉄屋へ行って捨ててある超鋼チップをもらってきてロウ付けバイトをこしらえるので、特殊刃物で汎用品は無いそうです。
ブレーキホースのメーカーに日輪ゴムという会社がありますが、ホンダは最初、日輪ゴムにバカにされたそうです。「直接取引はしない、製品がほしい場合はマツダかNISSANを通して買ってくれ」と言われたそうです。
N田さんは見事にホース金具を作って見せました。技術力の高さを専門メーカーに認めさせた瞬間だったと思います。
身近に貴重な加工技術者がおられて、何10年も2輪車の製造分野を支えて、今でも現役であることがわかったことに感動いたしました。

会社員みたいに残業手当はつきません。予定より多く働くだけで体力と時間が消耗します。
残業理由は予定の仕事以外に納期が決まっている仕事があるためです。
以前お買い上げいただいたサイレンサーの仕様変更です。
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ロードレースですから低速より高速のパワーが重要だと思い、素人考えで内径大き目に作ってあったのですが
「低中速のトルク感が少ない」というインプレッションと
内径小さい別のサイレンサーに付け換えると改善された、という情報によって
仕様変更することになりました。
チャンバーが一つしかないワンオフなので他の同一機種でも同様かは不明です。

分解したサイレンサーの構成パーツ。
ダウンサイジングしたパンチングと、それを保持するカラー前後、左右で4個作りました。
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パンチングを差込み、内径に段差がないように寸法をそろえてあります。

外径は既存のパイプに圧入する寸法です。










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カラーは元のパイプに圧入してあります。

エンドピースを差し込む段差を残してあります。









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そしてワンランク細いエンドピースを手曲げでこしらえて、溶接です。

これでダウンサイジング加工完了です。

あとはグラスウール詰め込んで組み立てれば残業終了となります。


今日も工場内38℃ありました。
その上火炙りに溶接ですからアチチです。
世の中には鋳造や熱処理の工場もありますから、それよりマシだと思います。

ビンテージチャンバーはTIG溶接で昔の風合いを表現することは難しいと判断しました。
そこで思いついたことは、ガス溶接で作ることです。
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15年前はチャンバー作りはガス溶接で行っていました。

愛用の吹管は田中式00号。
20年前から使っています。
いや、途中で壊れたので一回更新して2機目になります。
ゴムホースもひび割れて全部取り換えました。長い年月使ってきたのです。

TIG溶接の方がビードのコントロールが容易でガス溶接を使う必要がなくなっていたのですが、外観を昔風に再現するためには製法も昔と同様にやらなくては違った感じに出来上がってしまうのです。
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そして15年ぶりにガス溶接で接合したチャンバーを作りました。

スズキのテスト屋さんが、一生懸命に板金溶接してこしらえたであろうチャンバー部分の再現です。

ところどころアレンジしていますが、大体こんな感じでいいのではないでしょうか。
駄目と言われたら、限界なので自殺するしかありません。




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焼け幅が広いのがガス溶接の特徴ですが
熱原はアセチレンと酸素を混合したガスを燃やした火炎です。
アセチレンと酸素の混合比は目盛りがあるわけではなく、火炎の色や大きさを見てガス量を調節します。
鉄に火炎の先端を近着けると焼けてきて鉄板が液体になる瞬間を待ってからトーチを移動させていきます。
初心者は鉄が溶ける状態や早さが分からないので均一なビードが引けないみたいです。溶接棒は一切使いません。
肉盛りの必要な場所だけ溶接棒を溶かします。
そしてもう一つの特徴は溶接ビードをハンマーと当て金を用いて叩き均してあることです。TIGではこの工程はやりませんので接合部に角が出ますが、ガス溶接では丸みを帯びた形状になります。ビードが生のように柔らかいのでこのような成形が可能となります。

72年は私、小学5年生でモトクロスなんて単語も知らなかったと思います。
もちろん吉村太一さんもジョエル・ロベールも名前を聞いたのは何年も後です。
最近でこそ、J・ロベールはネイションズのベルギーチーム監督として、TVに写っただけで分かるようになりましたが、彼がチャンピオンだったころのマシーンとなれば記憶にないのはもちろん、画像だってインターネット見るようになってからのことです。
そんな72年型ワークスマシンの復刻をやろうというのですから驚きの企画です。そのうちのマフラーの部分だけ我社で作ることを頼まれているのですが、安易にお引き受けした結果、分からないことだらけで参りました。
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物を作るのに図面が無いんですから、お手上げです。
寸法も自分で決めてくれということですから無い知恵を絞って寸法決めていますので時間がかかってしまうのは仕方ありません。

数枚の画像から形状を推定して型を決めていますが、どうしても分からないアングルがあって確認したくてもできない、もどかしさ。

大体のシルエットは出来ていると思い込んで作るしかありません。
これで展開してみます。

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開いてしまえば単純な展開図ですが
この妥協点に至るまで時間が掛かってしまいました。
日程的に限界がありますので、これで製作に取り掛かりたいと思います。









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パイプ繋いで車体とのレイアウトを確認してみます。
これ以上寄せられないクリアランスで出来ています。
ダウンチャンバーをフレームギリギリに収めるために、このようなデザインになっていることを改めて気付かされます。
大体5mmクリアランスを目指して取り回ししています。
車体合わせでないと製作不可脳なシビアさです。



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マウントステーも溶接して固定しました。
あと5台作りますので、今月は日程に余裕がありません。
お急ぎの加工依頼、修理等には当分の間対応できませんので、ご了承ください。


東日本最大のビンテージMXイベントの模様を、私中心でありますが収録してあります。
初参加で雨、などという酷い仕打ちに耐えながら奮闘するコンマイおっさんの姿を観てやってください。


RM125は30年ぶり、2ストレーサー運転するのは8年ぶり、路面はマディという多重の不安要素の中、無謀にもチャレンジしましたが、全身ズブ濡れで涼しかったので、想像より快適に過ごせました。
来年、また行くか?と聞かれたら、来年違う事やってそうなのでお答えできません。
思えば、私が菅生へ走りに行くときはいつも大雨だったような気がします。
何故か?
あそこは著名な人だけでも4人死んでいます。
矢島金次郎さん、乗本周作さん、秀孝さんの息子、沙耶の兄貴、
志半ば無念の死だったと思いますが、あそこには献花の一つもありません。
コース側では危険のないように配慮したコース作りはしてこられたと思いますが、安全性にも限界があるでしょう。結局、乗り手の意識と運が決定することです。
私の場合は霊的な物が守ってきたということで、レース日に雨を降らせてスピードを遅くし、こけても柔らかい路面で怪我もしないようにしてくれているのだと思っています。
だから、あそこではいつも雨です。

くぬぎ山荘の前の道をロードコースが見えるところまで上がっていくと、高井幾次郎メモリアルがあります。
幾さんが転倒死亡したコーナーが見下ろせる位置に石碑が奉ってあるのです。
故人の功績を称えるとともに、いつまでも忘れないでいてあげることが大事なことだと感じます。

わざわざ民族の大移動のように混雑する時期に里帰りはしません。だから田舎の墓参りも行けません。
仕事の遅れも理由の一つですが、今年ばかりは自分の無能さを痛感することになりました。
どうやら高齢の親が危ない状態で、本来は子供が病院に連れていったり、付き添ったりするべきなのですが、埼玉に住んでいては不可能です。親の介護などという事態になれば仕事と両方は不可能でしょう。
仕事を取って親を見捨てるか、親の介護のため仕事を辞めるか、究極の選択を迫られているような気がしてなりません。
親としては、息子が定年退職したら実家に戻ってもらって面倒をみてもらおうと願っていたことでしょう。
ところが息子は定年退職するべき会社にも行っていない。仕事を辞めて親の介護に専念できる経済的な余裕もありません。
どうしたらよいものか、しばらく悩んでみることにします。

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今月のチャンバー作り
今までと違うことは、チャンバースペックがありません。
現品も見本もありません。
寸法が全くわからないことです。
テリー・グッドさんの画像だけを参考に複製するという前代未聞のやり方です。
だから型作りに難航しています。
兄弟車種と思われるTM250のパイプを作って仮止めしながら、画像と違う部分の形状を変更していくという作業ですが
型代1万円で1週間以上掛かっています。
製作代金は型が完成している前提の料金なので、ここ1週間は日当千円以下(材料、消耗品もここから払うので)で働いています。もっと早く作らないと倒産することになります。
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あと一日くらいで型作り完了するでしょう。
そのあとは二日に一台ペースで注文台数、一気に作っていきたいと思います。

それまではバックオーダーも、急な加工、修理依頼も一切受け付けできませんのでご了承ください。




いつまでもこの仕事できそうにありません。来年のいまごろどうしているか、全く予断の許さない状況であります。

伊予小松は私の地元、予讃本線の最寄駅です。田舎町なのでMX色は全くありません。
あのような町で地元企業に就職していたら絶対に無かったことです。
そんな幻のクラブ名でエントリーして見ました菅生のビンテージMXでした。
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一応イベントなので自前の古着を出してきて着てみました。

練習走行前なので汚れていませんが、この後全身泥まみれになります。

田んぼで泥かけあう「泥祭り」の風習にちかいものです。
雨対策はゴーグルレンズの撥水処理とエアクリーナーの水侵入対策だけしておきましたが、やはり台風接近の菅生ですから、甘い考えは吹き飛びました。

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一回乗ってくるとこんな感じですが
電装やキャブの問題もなく、RM125は優秀なモトクロッサーです。
運転手の腕が悪いのに快調に走ってくれます。
しかし、現行モトクロッサーのようにパワーがありませんので、パワーバンドをキープできなかったら深い泥につかまって進んでいきません。
年式の30年差というものは、これほど違うものかという体験も貴重なものでした。



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パドックを見て回るのも楽しいビンテージMX

TTさんとこのマシンは古さと美しさが目をみはります。
ハスラー90の初期型とやらですが
当時の90ccクラスに使ったキットパーツ装着しているそうです。
エンジンかけてもらったら排気音は現行のリッターバイク以上です。
音量規制なし!これもビンテージのよいところ。



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これもTTさんのハスラー250初期型だそうです。古いんだけど、さりげなく取り付いたスペシャルパーツたちによって非常にまとまりがいいです。
正統派の改造は近年のカスタムバイクの姿とは比較にならない崇高な感じがします。

このあと泥のコースへ惜しげもなく走り出していくのですが、運転手さんのテクニックも熟練したもので安定して周回を重ねられる姿をみて驚きました。



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ホーリーさんとこの展示車、無限ME360
今日納車だったのでしょうか。
これ乗るひと幸せですね。

ほんと一点でも部品が欠いても仕上がらない特殊車両を何台も作られて、頭の下がる思いです。
ここに世界標準を感じるのであります。






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第1レーススタート!
リンク付きや空冷の混走ですね。
まだまだ台数がそろわないので
完全クラス分けをするとレース成立しなくなりますので、
レース形式ですから結果にこだわるのは当たり前ですが、マシンの仕様やライダーの体力年齢が違うので、自分の物差しを持って走られるのがよろしいのではないかと思います。




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今日、このひと一番速かったですね。
89CR125で、黒字に3桁ゼッケンがAMAナショナルのような雰囲気でした。

水冷エンジン、前後ディスク車がこれからはビンテージMXで増殖してくるでしょう。








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セニアスポーツクラス、2ヒート走りました。
両方ともスタートはホールショットさせていただきましたが、2コーナーで直ぐに抜かれて
ヒート1はKYBジャンプ前のコーナーで転倒して最後尾からの追い上げ。

ヒート2も2コーナーで抜かれて、目標に無転倒を掲げていたのに、コース外に転落して自力で戻れずオフィシャルの方に助けていただいてゴールできましたが
パドックへ帰ったときは他のライダーは片付けが済んでいました。
積み込み完了したらパドックには誰もいませんでした。ゆっくり国道4号線を走り、家についたのは夜中の12時でした。


モトクロスは運動です。体を使ったスポーツだと捕らえています。現行車であろうと旧車であろうと、道具を使ってするスポーツはこれに限ったものではなくて、トライアスロンやマラソン、野球に体操に格闘技 etc、どれもあり得ない状況で闘うスポーツです。上位に昇るためには地獄の練習をしてくるのはどの競技も同じことです。嫌だと思えばやめておけばいいだけです。

30年ぶりに空冷ツインショックでマディーレース走った感想は、マディーを制するテクニックも体力もノービス時代と変わらんということです。30年やっても一緒、しかし、やってなかったらもっと駄目。
こういうことが分かった一日でした。


最終レース、セニアスポーツ ヒート2です。
路面コンディション悪化のため、ヒート1出走者半分くらい棄権で台数少ないです。

月日が経つのは早いもので、前後ドラムブレーキ車の整備を2014年にやることになろうとは20歳ころに想像できたでしょうか?
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前後ワイヤー式のブレーキなので、ワイヤーインジェクターの出番です。
この道具は30年前から使い続けています。

CRC556をブシューと噴射して
ケーブル内を浸透し
ワイヤーの反対側からCRCが噴出したときの気持ちよさ。
ノービスのころはレース毎にやっていたメンテナンスですが、やってないとライバルに負けてしまう気がしていました。
ブレーキパネルのグリースアップも同時に行います。

今週末はスポーツランド菅生でビンテージDEモトクロスがありますが
台風接近が予想されますので摺動部分のグリスアップは旧車にとっては重要な作業となります。
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破れたグリップラバーの補修にはシューズドクターを使います。
破れたグリップから泥が侵入してアクセルワークに支障が出ることを防ぐためです。
新しいブリップに交換すればいい、という考えはビンテージMXの分からない人ですね。
スズキの純正グリップを見て、触っていたいから補修しても使い続けたいのですよ。

高性能を求めたいなら新型車に乗ればいいだけのことです。

シューズドクターはプロのレストアでもご用達でダメになったゴム製品全般の再生、補修に使われている裏技です。


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雨でなくてもタイヤは重要です。エンジンやサスは騙しだまし乗れても、チビたタイヤ(西の方ではチビル、東では減る、と言います)
では上手く走らせることができません。
元々腕が悪いんですからタイヤのグリップ力に助けてもらうのはズルくないですよ。

フロントはIRCのIX07S現行のパターンですね。
リヤはDUNLOPのMX51ですが18インチなので選択肢は少ないです。
私的にはブロックの角があれば、どれでもOKです。

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78年型のフロントフォーク
アウターチューブのクリア塗装が剥がれ、腐食と汚れで見栄えが悪かったので、磨きました。

上が未処理、下が磨き後です。
サンドペーパーで一皮剥いて、ナイロンたわしで数分磨けばこのとおり。





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今日は工場の温度計が40°Cを指していました。
実はこの季節を待っていたのです。
CJ360(76年型)のタンク内を高圧洗浄します。
CBヨンフォア専門店のシオハウスさんからタンクコーティングの手法を教わっていたのですが、今回は自己流の方法にトライしてみます。

タンクの錆が悪さしてキャブレター不調になっていたのを解消したいためです。

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洗浄した水を捨てただけでこのような錆が出てきました。
推定これの3倍以上は入っていたようです。

こんなものがガソリンに混ざっているのですから、まともにエンジン動いているのが不思議なくらいです。







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そしてサンポール投入、
一本全部入れます。
粘性があるので全体にいきわたるように水1リットルいれて希釈します。
サンポールは9.5%塩酸なので、結構強力に鉄を溶かします。
あまり長時間入れておくと鉄板を侵してしまうので、時々ひっくり返しながら1時間くらいかけて錆を溶かしました。

抜いた廃液はお見せできないほど汚い汚水になっていました。



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内部洗浄した後は酸が残らないように流水でタンク内を満たし、何度か捨てて、乾燥させます。
この高気温が乾燥を促進してくれます。
1日で乾燥は無理なので夜間はエアコンの室外機の前で加熱させておきます。

乾燥後はコーティング剤を入れます。
ワコーズ、タンクライナーを使ってみます。
250ccで20リットルタンクに処理できるそうです。

完全乾燥は1週間後なので、お盆あたりガソリン入れて試運転してみます。