2015年7月アーカイブ

リバース・トライクと呼ぶらしいです。英国で1990年から350台ほど生産されたカスタム・カーで
ベースとなる車体は1940年台のモーガンを使用し、エンジンにCX500を搭載し、CX650ターボ、モトグッチ1100とモデルチェンジをおこなったらしいので、これは初期のモデルですね。

CIMG4582.JPG

日本名GL500のエンジン搭載しています。
フロントはダブルウィッシュボーンでスポーツカーらしいスタイルですが
シャフトドライブの2輪エンジンなので
後輪はリヤフレームをそのまま移植した構造です。
重量配分が極端にフロントヘビーなことは予想できますが、旋回性能は4輪より圧倒的に優れていると思います。(リヤスライドしやすい)
車重も350キロくらいなので、加速が2輪並によいそうです。



CIMG4581.JPG

私が在職中に社長だった方がオーナーだそうで、元HRC監督が車検取得してこられて
公道走行可能な状態です。

英国で認定され当時の保安基準を満たしていれば日本でも車検取れるということです。

鉄のパイプフレームに鉄板のボディーで前後のフェアリングはグラスファイバー製という、いたってシンプルな車体です。
フロアシフトに改造されていますが、リンケージを介してワンダウン・フォーアップのシフトは2輪のまま、リバースギヤはありません。バックは降りて押せばよいのです。

左右に振り分けられたエキパイの先はGL500のノーマルマフラーで、音が少々つまらない。そこで適当な社外マフラー改造してつけるくらいなら新造してしまおうということでマフラー作りを依頼されましたが
かつての代表取締役のクルマですから、これは業務命令と心得て、全ての予定を変更して即取り掛かることにします。



タンク板金、溶接が終わっても、まだまだ先があります。

CIMG4371.JPG

アッパーロアー接合する前に、430の特徴であるラバーマウントの穴を加工します。

穴の縁からガス漏れしないようにφ22のカラーを差し込んで、両サイド溶接して密閉させます。


その後アッパーロアー接合面を全周溶接して容器になります。




CIMG4372.JPG


全周溶接できたら、キャップとコックを取り付け水没させます。
ピンホールなどあれば、直ちに気泡がでてきて発見できますが
これは一発OKでした。(プロなら当たり前)










CIMG4373.JPG

容器が完成しても、大事な加工が残っています。
後部マウントブラケットです。
3mm厚の板をプレス成形する金型を、これ1台だけのために作る気力が沸きません。

φ115の丸棒から削り出したリングから、一カケラだけ切り取ってつかいます。
ゴムバンドを引っ掛けるフックの一部になるだけですが
取り付けが上手くいかずに丸二日失敗を重ねてしまいました。



CIMG4375.JPG

こんな感じでゴムバンドのフックになるのですが、フレームに仮付けして取り付け位置を確認したにも関わらず

これではシートベースの前部が当たって取り付かないのです。
炙って下向きに修正したりしたがダメで
結局、切り飛ばしてやり直しすることにします。







CIMG4376.JPG

裏側はこんな状態ですが、これは取り外すと大工事になるので、外さないで利用します。












CIMG4377.JPG

ようやくシート取り付けに成功しましたが
シート無しで作っていたら完全に不良品でした。
キックも踏んでみたいですがエンジンはありませんのでノーチェックにします。

一応フロントフォーク取り付けた三つ又も左右に切って隙間を確認してあります。







CIMG4378.JPG

これで3年お待ちいただいたタンクができました。
これが出来ないうちは次の仕事はしないつもりでおりましたが
右肩の骨は出来ていないので、当分の間、療養モードになります。


あいかわらず、毎日のように注文が入るのですが、3月以降のオーダーが全部止まっているんですから、納期のお約束はできません。
突発の修理もご遠慮ねがいます。

ウエットカーボンなので高温に耐えられないことはご了承済みと思いますが
お客さんと協議の上、損傷した時点でカーボンパイプを交換するという前提でのサイレンサーです。
ワークスレーサーのようなドライカーボンを使用すれば耐久性は格段に向上すると思いますが
以前、別の機種でドライカーボンの見積もりを取ってみたところ、サイレンサーの材料代だけで
本体価格の10倍以上が必要と分かりましたので断念した経緯がありました。

ですから、これはあくまでカーボンファイバールックの樹脂パイプと捉えていただきたいと存じます。

CIMG4363.JPG
KX65なので子供さんのモトクロスに使用されているものでしょう。
半年くらいでメンテナンスのため送られてきました。

案の定、熱で溶けて、サイドカバーの縁が食い込んで穴があいています。

リベット穴も緩んで、アルミキャップに動揺がみられます。
このまま使用続けると確実に破損してしまうので丁度良い時期だと思います。




CIMG4366.JPG

弊社商品なので格安の千円で交換しますが、2台で36箇所のリベット穴位置を合わせて空け直して組み立てるのに半日費やします。

排気ガスが樹脂パイプに直接当たらないように内壁にガスケット材を仕込んでおきました。
しかし、リベット穴の磨耗は対策不能なので
定期的にメンテナンスするしかありません。





CIMG4367.JPG

ハイ、フレッシュなカーボンパイプに直りました。
リベットも新規カシメなので、パイプの動揺はもちろんありません。

これも、他人と違った方式を貫くための涙ぐましい努力です。








CIMG4365.JPG


ついでにチャンバーの凹み修理も依頼されましたが、全体の歪みに加え
凹みの大きさよりも、鉄板の伸び具合が修理の可否を左右します。

このようにエキパイ外径の小さい場合は圧力で直すとき荷重を受ける面積が少ないため殆ど戻りません。

窒素封入してバーナーで炙る手法もありますが、専用治具を作る気力が無くて
切開して叩き出すことにしました。



CIMG4370.JPG

鉄板の歪みが大きくて、元通りというわけにはいきませんでした。

大変見苦しい修理痕でありますが、再使用に不都合はないと思いますのでお許しいたいとう存じます。

タンク本体の板金が完了したら、次は機械加工部品が2つあります。
給油口のネジと燃料コックの台座です。

先ずは私の下手なフライス加工によって作られた台座です。
CIMG4361.JPG

これといって特筆することはないですが

ガソリン漏れを止めるのはOリングの役目です。
そのOリングが密着する面の加工は
端面から1.8mmの深さで、フィルター穴と同心で削るだけです。

M6ボルトは奥が袋になっていてボルト穴からはガソリン漏れはない構造です。




CIMG4362.JPG


ねじピッチ4.5ですが、当方のオンボロ旋盤にギヤが足りずに加工できませんでした。
そこで、近所のモトクロス仲間の本間さんに頼みました。
汎用の旋盤で見事に加工していただきました。
予備で2個作りましたが、一個は使う予定がないので、430タンク作ろうとしている人がいましたらお譲りします。

ネジ外径はφ44.5です。

ところで本間製作所の社長は、あの有名な野口種春さんのレーシングチーム、「スポーツライダース」の出身で、ヨーロッパメーカーと初めて契約した日本人モトクロスライダー鈴木都良夫さんの先輩にあたる人です。

若い人は野口種春さんから説明が必要ですね。 60年代、デビューレースが富士登山レースで練習無しの8位、浅間火山レースでは市販のヤマハYDSで125クラス優勝しています。
レース引退後に設立した「スポーツライダース」から輩出したヤマハワークスライダーはモトクロスの鈴木忠男、東福寺保雄。ロードレースは平忠彦。
東福寺さんと平さんはアマチュア時代から野口モータースで一緒に働いたそうで、当時の月給は5万円(70年代)だったと両人からききました。
野口モータースは早くから北米に進出してロードレーサーTZのチューニングを行っていて、野口さんに教わった弟子の一人がDGパフォーマンスを立ち上げ、DGでチューニングを習ったミッチ・ペイトンがプロサーキットを立ち上げたという図式です。
野口さんがいなかったら北米のチューニング業界も今とは違った形だったでしょう。


今日は一日サンダーマンです。
溶接したばかりのアルミを削るのは意匠を施すためです。

CIMG4358.JPG
先ずは盛り上がったビードをサンダーで削ります。
削り過ぎると修正が効かないので慎重に行います。
溶接はあっという間にできますが
完全にけずるには10倍くらい時間がかかります。

タンクの表面は溶接で歪みます。
ビードの端が引っ張られて凹んでくるので
これを修正するために
アッパーとロアーの組み立て前に行います。


CIMG4359.JPG


そしてダブルアクションかけます。

デフォームが分かりやすくなります。
僅かな凹みを見つけて裏側から叩いて修正します。

組み立ててから気付いても修正は不能ですからこの段階が仕上がりを決定します。







CIMG4360.JPG

ロアーハーフはサンダーが入らない形状なので、サンドペーパー手仕上げです。

セメント型で叩き出したのでハンマー痕が多くて滑らかになりません。

アルミ板金はイタリア職人が有名ですが
昔のGPレーサー用のカウリングもアルミ板叩き出しで作ったものでした。
最近はこういうことしなくてもハイテクのモデル造型機とプレス加工で高品質なものが作れますから板金職人目指す人もいなくなったのではないかと思います。

私は資金がないのでハンドメイドしかありません。

溶接は下手です。とてもじゃないけど溶接専門で商売できるほどの技術ではありません。
ガス溶接も、とりあえず火がつけられる程度です。
厚板なら被覆アークがやりやすいですが、1mm以下は無理です。
TIG溶接は左手に障害があって手が震えてしまうのです。
利き腕は右手なので、ガスのトーチは右手で持つのですが、TIGの電極は左手で持ちます。
左腕の上腕骨骨折してから骨にステンレスワイヤーの束が入ったままです。
そのせいか電極のスイッチを入れたときにステンレスワイヤーがコイルのようになって腕を震わせてしまうのです。
左手で慣れてしまったTIGを右手に持ち替えても、ビードコントロールが不器用でだめです。
左手が震えないように必死で我慢しながら行っているのです。

CIMG4356.JPG

タンクの内側を先に溶接します。
タンクはガソリンの容器ですから
ガス洩れがあってはなりません。
外側は研磨するので、溶接ビードは無くなってしまいます。
内側の繋ぎめを肉盛りすることで、完全な容器になります。

アッパーとロアーの接合部は最後に溶接しますからビードは削りません。





CIMG4357.JPG

次に外側を溶接します。
タンクの外側は意匠になりますから
繋ぎ目が無くなるまで削ってからサンディングで研磨します。

口金やコックの穴あけは切粉が入らないように先に空けておきます。

口金のネジが特殊ピッチのため、旋盤の換えギヤがありませんでしたのでNC加工にします。


何故、得意でもない仕事をやっているか。
目的は置いといて、方法論だけ言いますと
上手な人に頼めばいいではないか。
上手な人とは専門職ですね。専門職は高いはずなんですよ。
ある機械メーカーの金属加工の作業工賃は1時間あたり3500円で算出すると聞きました。
10時間で35000円。(設備代、材料代は別で)この時間工賃でタンク作ったら200時間で70万円ってことになります。
メーカーの試作なら普通だと思いますけど、一般のお客さんが一つの部品にそういう大金は払えないはずです。だから人件費削減して買えるくらいの値段にしています。



3年くらい前に製作を頼まれたアルミタンクを今頃になって作り始めました。
取り付けを合わせるフレームはお預かりしていますので、ご注文は継続していると勝手に解釈して
アルミ板を木ハンマーにて叩き始めました。

CIMG4351.JPG

ここまで成形するのに二日掛かりでした。

タンクの製作するのに必要なプレス機や金型などの設備は一切ありません。

板金鋏と万力、木ハンマーだけです。

セメントで造型しましたが、叩き台にはなりませんでした。アルミ板の形状を当てがって確認するために使います。

鉄板の作業台の上で叩いたら、大変な騒音で、警察に通報されたり、仕返しの嫌がらせをされても詰らんことになりますので
床のコンクリートの上にウエスを敷いて叩くのが一番静かでした。
ようするに、一般家庭の軒下で出来るくらいの道具ですから、どのような物ができるか保証できません。

CIMG4353.JPG

叩き出したアルミ板を仮止めして、形状の確認をしました。

すると、このままでは問題があることに気がつき、明日やり直しすることにします。

私は根気が無い方だと思いますので
同じ作業を繰り返していると段々仕事が雑になってくるので、気晴らしなどしながらゆっくりやるようにします。

去年はチャンバー6台分、奈良まで納品に行ったあげく、キックが当たって全部持ち帰ってやり直したんですから、
これはやり直してもタンク一個なんで大したことありません。

CIMG4354.JPG

不具合箇所を修正してアルミ板を仮止めしました。

この後、本溶接して研磨すればタンク本体は完了ですが、今度は溶接の鬼です。

口金とコック、後部ブラケットもこれから作りますので4日くらいの作業と思います。