会社員時代、最初に配属された部署名。85から87年の3年間でしたが
埼玉製作所での2輪生産の歴史も同時に終わりました。
当時担当していた市販モトクロッサーシリーズ、KA3、KA4、ML3という機種で、車名が
CR125、CR250、CR500を同時期に量産立ち上げるための確認テストをすることが仕事でした。
実走耐久は別のグループが担当して、私は主にフレームやリヤフォークの単体耐久。
フレーム単体耐久とはヘッドパイプやリヤショックアッパーブラケットを剛性のある治具で固定し
シーケンス制御したソレノイドバルブを使ってエアシリンダーを作動させ、ステップを下方に引っ張り、加重を繰り返す耐久テストです。
入力の数値は実走応測で決めます。事務局が国際A級ライダーに連絡して雇い、桶川のモトクロスコースを走ってもらいました。フレームには応力の高そうな場所に歪みゲージを貼り、一回の計測で50か所くらい応力を測定します。
ライダーには当時は磁気テープでデータを収録するアンプ内蔵の特注レコーダーを背負って走っていただき
大ジャンプの着地など最大応力が発生する数値を再現した加重を台上でシュミレートして耐久条件としました。
社内の基準では100万回繰り返し荷重して亀裂が発生しないことを合格としました。
耐久終了後カラーチェックで亀裂の有無を調べ、もし亀裂が発生したならば、対策要求票を設計部門に送って設計変更の検討をするという流れです。
これを量産する前に確認して不具合を洗い出さないと、販売してから問題発覚することになるので重要な業務内容であったと思います。
86年からAMAモトクロスは市販車ベースのレギュレーションに(ワークスマシン禁止)改変されたので
私の勤務した工場からDベイリーやRジョンソンが乗ってAMAモトクロスを戦ったCRを送り出したことが、人生で最も充実した仕事の一幕ではなかったでしょうか。


その後、職場は4輪の部品品質係に移動となり、新機種プロジェクトや新工場建設プロジェクトを経て退職し、物作りの世界へ入ってきましたが、退職して28年、完成車技術課時代から34年経っても
モトクロッサーからは離れられませんでした。

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2019年MCFAJモトクロスシリーズも
今日開幕しました。

MCFAJは96年から走っているので23年も続けていますが、止めれない理由は全然納得いってないからですね。

最近は高齢化のため体力の衰えも著しいことは自覚していますが、なんとか衰えに歯止めを掛けたいという強い熱望からです。






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オフロード仲間のサノさんやハセガワさんがスタートグリッドまで手伝いにきてくれました。
足届かないので助かりますね。

なんとスーパーベルレーシングのヤマグチさんまで
コース脇で確認できました。
大した走りはできませんが
強風のコンディションでこれが精一杯の走りです。
SEクラス16台中ヒート1、10位ヒート2、12位の総合11位という結果でしたが
老化防止が主目的なので、また次回頑張って走りましょう。






全日本シーズン前になると毎年作っている気がします。
YZ250Fのノーマルマフラーを改造しているのです。

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マフラーを変更するには根拠が必要です。
手間をかけて作り変える根拠があるのですが、ノウハウに関わる部分は公開できません。


そのかわり、マフラーの役割について解説しましょう。

多くの人はマフラーは排気を促進する機能があると思うでしょう。
それは逆で、排気を滞らせる役割を持っているのです。

排気ポートが開いて高温の排気ガスが音速で排出されエキパイを通ってマフラーへ達しますが、排気ガスは水の流れのようにパイプを流れているわけではありません。
圧力の高いところから低いところへ移動(膨張)しようとして
高圧の燃焼室から圧力の低いマフラー側へ移動すると考えるのが正しいです。
そして排気ガスが必ずしもパイプの後ろに移動するわけではありません。
排気ポートが開いていれば燃焼室へ戻りますし、吸気バルブも同時に開いているタイミングではインテーク側まで達します。(バックファイヤー)
以上のことを踏まえて、音速で移動した排気ガスの後に起こることが問題になります。
移動した排気ガスの後は真空状態になります。
このことを利用してマルチエンジンでは次の排気を負圧で引張り、排気速度を増す集合管の方法がありますが、ここではシングルエンジンに限定して考えます。
もし、マフラーが無かったらどうなるか、排気は一瞬で完了して大気中に爆音となって拡散していくでしょう。最も早い排気の状態ですが、それと同時に燃焼室内に吸入された混合気も負圧で引っ張って排出するでしょう。
直ぐに排気ポートが閉じて混合気の一部は燃焼室に留まって、次の圧縮、燃焼へ繋がっていくでしょう。
そこで排気された一部の混合気は本来燃焼してエネルギーになるはずのものが、無駄に排気してパワーダウンを起こす要因となってしまうわけです。
上記は分かりやすく極端な例を挙げましたが、要するに抜けのいいマフラーがパワーアップする根拠にはならないということです。
音速で排気された後の真空を適当にコントロールできれば吸入された混合気を逃がさないで本来のパワーを発揮することができると考えるのです。
それができるのが、排気の圧力を適当に減衰させるマフラーです。

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純正のマフラーですから中身に問題はありません。信頼性の高い構造を採られていますから使わない手はないです。
排気ガスの圧力をコントロールするのに
エンドパイプの仕様を変更して調節しているわけですが
金型作って成形するには生産数が少ないですから資金的に無理です。

そこでステンレス板を板金して拵えて、現実的な価格に抑えようとしています。

異形断面のサイレンサーにインサートして
φ5の穴8か所がずれることなく一致しなければ装着不可能なので非常に慎重な作業です。

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サイレンサー本体に仮組みして
8か所の穴にM5ビスを取り付けて装着確認後、バフ研磨して完成です。

ノーマルはリベット止めなのでM5ビスに変更することでメンテナンス性が向上しています。





明日は積雪の予報なので発送は週明けということにします。





これは仕事の時間外でやっている自己啓発です。
寝る時間が遅くなるだけですね。

日曜日に練習行ってローンチ使ってみました。
手助け無しにセットすることには成功しましたが、不具合もわかりました。

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不具合とは走行中にフォークガードに加締めたリベットがアルミのリングを擦ってガリガリと音をたてます。

もう少し薄型のリングが必要です。

そこでステンレスバンドにストッパーを溶接して薄型リング作りました。
アルミ製より2mmクリアランスを確保することができました。






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こっちの方が見た目もスッキリですね。

ステンレスバンドなのでフロントフォーク外さないで取り付けできるようになりました。










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これで走行中も擦らないでしょう。

静的な測定ではクリアランスあったのですが、振動でフォークガードがしなって当たっていたようです。
やはり稼働部分は動的な検証をしないと
わからないものです。

本番まであと一回練習に行くので再度確認です。
どうやってローンチ一人でセットするか、全然アイディアが湧いてこなくて
一日経ったら突然ひらめき、思いついたら直ぐ試さないと気がすまないので

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こんなもの作って試してみました。

ひらめきから1分後には試作取り掛かっていました。
加工時間1時間くらいで、頭の中に描いたものは実物となって目の前にあります。

あとは装着して実施するだけです。

要件は一人でフロントフォークを沈めて
ローンチをセットすること。
作業時間は器具の装着、取り外し含めて1分以内でないと役にたたないでしょう。


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フォークガードにタイヤチューブを切って作った輪ゴムを引っかけて、ストッパーを押した状態にして
アウターチューブにステンレス板で作った
スライダーを装着します。

ストッパーのピンがスライダーを滑って上がってくれば手を使わないでセットできるはずです。


そして、フロントブレーキ掛けたまま
フロントフォークを勢いよく沈めます。



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思ったとおり、一発で成功でした。

3回ほど試してみましたが
確実にセットできます。











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スライダーは下側に抜き、輪ゴムを外せば
スタートグリッドに向かえるというわけです。

小さいライダーは手足が届かないのはどうしようもないので、道具で補えばよいという
シークレット・ソールみたいなものです。


今度練習に行くのが楽しみで仕方ない。


日曜は仕事があるから行けないけどね。

電子制御のローンチコントロールはF1では禁止になりましたが、2輪では合法的に存在しています。
電子制御で燃料や点火時期を発進専用にコントロールして後輪のトラクションを稼ぐ技術です。
電子制御が無い車両の静止状態からの全力発進はアクセルワークとクラッチミートの繊細な操作と、
後輪に荷重するように体重移動や左右に蛇行することを抑えるバランス感覚など多彩な運転技術を瞬時に発揮しないと前には出られないものです。

そしてオフロードにも電子制御はありますが4輪やリッターSSのような複数のセンサーや大容量のECUが積むのが難しく、完全なシステムは開発できてないように思います。
そこで簡単なデバイスでライダーのスタートテクニックを補うようなことが一般的な方法です。

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今ではほとんどの選手が使っているであろう通称ホールショット・デバイス。
実は大勢が使っているので必ずしもホールショットは取れないデバイスです。

なんで今更この話かというと
17年前に作ったのが出てきて、当時はCR85に付けていたのですが
これつけていてもウイリーになってスタート失敗しているのに、外してみたらホールショットだったり、付けなくても結果は関係ないということで、02年以降使っていなかったのですね。

結局スタートの良し悪しは、グリッドの状態や集中力が左右するもので毎回路面コンディションに対応するしかなかったわけです。
そう思い続けて今年になって使ってみようと思ったのはフルサイズでは試していなかったこと、昔作ったのをちょっと加工すれば使えるということです。
作らなくても1万円くらいで売っているものですが、自分で加工することをしないで安易に済ますことも許し難いことです。

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もうちょっとうまく出来んかなと考えて改良は続けていくと思いますが
とりあえず使ってみることにします。
2月から早速レース始まるのでそのとき結果が分かります。

これはノーマルのフロントフォークですが
私の体重では固いので、沈めてセットするのに一苦労です。
K・ロクスンみたいにジャックナイフしてブーツのヒールでセットするような技術があればいいですが
スタート前に手助けなしにセットする方法を考えましたので練習してから本番に臨みたいと思います。

このデバイス、どんな役目なのか分からない人もおられるかもしれませんが、
オートバイがウイリーするときに沈んだフロントフォークが伸びあがる動きをするので、その動きを止める働きがあるんです。
従ってウイリーしにくい=アクセル全開でスタート出来るという図式です。
逆にリヤサスが入らなくするアンチスクワット方式もあるようですが、電子制御サスペンションの話ですから、フロントもデバイスつけないでストローク止められるかもしれませんね。




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やはり17年前に作ったデバイスは気に入らなくて
やり直しました。

SUS304丸棒からストッパーピンを削り出し
圧縮バネなど変更して、ひと廻り小振りな寸法にしました。








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フロントフォークの圧縮には難儀しますが

サイティングラップ後スタートグリッドにつく僅かな時間でセットできないと使えません。

やはりジャックナイフしてヒールでセットする練習するか
近くの人に頼んで手伝ってもらうか、どちらかにするでしょう。




エンジンオーバーホールですが交換する必要ないベアリングがあります。
クラッチレリーズシャフトを支持するベアリングです。

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クラッチカバーの内側に圧入された小さいベアリングなので、動力とは関係なく消耗する部品ではありません。

お客さんが交換用の新品部品を送って来られていた中に、ここのベアリングが入っていたので、問題ない部分ですが交換しておきます。







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ほとんど交換しない部分ですが
特殊工具つかわないと抜き取りは不可能なので、工具作りました。

工場の隅に転がっているφ10の鉄棒を切って使いましたので材料代は推定100円以下です。

M6のタップとM8のダイスで棒の両側にネジ切りしただけなので加工時間15分くらいです。

M6ボルトの頭はφ9に削ってあります。
これでベアリングの奥に引っかけて引き抜く方法です。

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作業時間30秒くらいでベアリング抜き取り完了です。

難易度ゼロでした。











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新しいベアリングを入れるときは
圧入部を下からバックアップして
上から棒を使って打ち込みます。
ベアリングが突き当たる荷重を感じたら必要以上に荷重しない手加減が重要です。

これは10秒くらいで圧入完了です。

オーバーホール総額で決めてますので
特殊工具作成の費用は不要です。







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普段は受注したチャンバーやサイレンサーの製作で粉塵が舞う職場なので
エンジンやサスペンションなどの機械ものを分解するのは時間外ということにしています。

なので夜か休日に分解整備作業ということになります。







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これはCRM250RR用になります。

ラインナップ品CRM250AR、RMX250S、DT200WR、KDX125SRの
チャンバーかサイレンサーを注文順に
順繰り順繰り作っています。

現在お待ちのお客さん16名で、24品作ることになっています。
ようやく去年の9月分に取り掛かったので
1月分まで完成するのは4月ころの予定です。




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去年頼んであったヘルメットのペイントが仕上がってきました。

豹紋が原案より細かく手が入っていて
びっくりしました。

ペイント屋さんの技法が込めてありますのでご鑑賞ください。








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今年のモトクロス用です。
有名ライダーのレプリカヘルメットは無難だと思いますが、
自分の顔だと思うので、デザインに注文を付けて塗っていただくことが
オリジナルペイントの目的でしょう。








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紙に描いた原案に従い
色やラインをアレンジして貰った形です。

「一生ウチのヘルメットを被っていただきたい」
とおっしゃられたので
走りの方も練習して恥ずかしくないようにしないといけないな。