1979年型CR250Rビンテージモデルのリプレイス用パーツです。
毎度ホーリーエクイップ様からのご注文のロット生産で100台以上生産したはずですが
難易度が高く安定した品質でお届けすることが難しい現状です。
今回製造上の問題で一部変更されたチャンバーと、分解を簡略化できるサイレンサーを新たに
製造することにしました。

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支給いただいた治具に合わせて
エキゾースト取り付け完了しました。
変更点は水圧膨らまし製法のパイプですが
φ100の90°曲げの成形時に
結構な確率で鉄板が破裂してしまい
歩留まりが悪い状態が続いていましたので
破裂しない方式で、巻いたリングを繋いで作るようにしました。
失敗する度に5時間くらいのロスが出ておりましたので
10回失敗すると50時間タダ働きということになりますのでやむを得ず作り方変更です。
(老眼のためなるべく溶接時間を減らしたい)

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段取り回数を少なくできるので
同じ物を連続して作った方が効率がよくなります。

また過去に作った実績があっても
半年以上期間が空いてしまうと
作り方を忘れてしまうのです。
何故なら、毎回治具に合わせて微調整する部分が多いのですが、それらのコツは数値化されてない勘と手作業によるものだからです。
何処を切って何処を繋ぐと車体
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にピッタリ
合わさるか、最初は分からないですよ。



今回ホーリーエクイップ様のリクエストで
アルミサイレンサーになっていますが
前側はノーマル風にスチールとの組み合わせになっております。

治具も支給いただいたものなので
取り付け位置が同等に作りやすいです。








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ノーマルサイレンサーは切断しないと
グラスウールのリパックが出来ませんでしたが
今回はスナップリング止めのサイレンサーエンドになっておりますので
スナップリングプライヤーで簡単に外せる構造です。

エンドのシールは内径φ48、線径3.5mm
のOリング
スナップリングは外径φ55、厚さ2mm
モノタロウでReliableです。


2010年に新車購入したCRF150Rを乗り続けています。
今年で14年目ですがエンジン関係はシリンダー、シリンダーヘッド、クランクシャフトが2年前に新品交換されていてピストン廻りは4か月毎、ベアリング、オイルシールは2年置きくらいで交換してきましたから
購入時から変わっていないのはクランクケースだけになっていました。
普通のユーザーは全部品交換する手間と金額を掛けるより2,3年置きに車両を入れ替える方が安上がりと考えるでしょう。
ここでは、新車に買い替えるほどの理由がない。
モデルチェンジされて仕様変更がない限り、消耗部品をメンテナンスすることで性能は維持されるはずである。
そのような考えで14年も同じ車体を維持してきたわけですが、購入した当時の年齢が47歳ということに
年を取ってしまったことを認識するばかりです。

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故障したわけではありません。
問題なく走りますし、
ただ14年も使ったクランクケースが何らかのダメージを負っていることは明らかで
新車のような感覚でないことは認識していました。

また少し仕様変更されているようで
このエンジンはミッションとエンジンオイルが別系統になっていてクランク室の圧力は大気開放されない構造になっています。
これがピストンの上下運動でポンピング・ロスを生んでしまうため、クランク室に横穴が設けてあるのが現行の仕様です。
これで前回のエンジンとどのようにフィーリングが変わるのか試すことができます。
仮組みしたケースにトランスミッションが入っていますが、点検のため全バラにしましたのでギヤチェンジの動作確認のため入れてあります。
このあとケース開けてクランクシャフトやその他部品を組み付けていきます。