エンジンオーバーホールですが交換する必要ないベアリングがあります。
クラッチレリーズシャフトを支持するベアリングです。

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クラッチカバーの内側に圧入された小さいベアリングなので、動力とは関係なく消耗する部品ではありません。

お客さんが交換用の新品部品を送って来られていた中に、ここのベアリングが入っていたので、問題ない部分ですが交換しておきます。







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ほとんど交換しない部分ですが
特殊工具つかわないと抜き取りは不可能なので、工具作りました。

工場の隅に転がっているφ10の鉄棒を切って使いましたので材料代は推定100円以下です。

M6のタップとM8のダイスで棒の両側にネジ切りしただけなので加工時間15分くらいです。

M6ボルトの頭はφ9に削ってあります。
これでベアリングの奥に引っかけて引き抜く方法です。

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作業時間30秒くらいでベアリング抜き取り完了です。

難易度ゼロでした。











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新しいベアリングを入れるときは
圧入部を下からバックアップして
上から棒を使って打ち込みます。
ベアリングが突き当たる荷重を感じたら必要以上に荷重しない手加減が重要です。

これは10秒くらいで圧入完了です。

オーバーホール総額で決めてますので
特殊工具作成の費用は不要です。







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普段は受注したチャンバーやサイレンサーの製作で粉塵が舞う職場なので
エンジンやサスペンションなどの機械ものを分解するのは時間外ということにしています。

なので夜か休日に分解整備作業ということになります。







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これはCRM250RR用になります。

ラインナップ品CRM250AR、RMX250S、DT200WR、KDX125SRの
チャンバーかサイレンサーを注文順に
順繰り順繰り作っています。

現在お待ちのお客さん16名で、24品作ることになっています。
ようやく去年の9月分に取り掛かったので
1月分まで完成するのは4月ころの予定です。




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去年頼んであったヘルメットのペイントが仕上がってきました。

豹紋が原案より細かく手が入っていて
びっくりしました。

ペイント屋さんの技法が込めてありますのでご鑑賞ください。








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今年のモトクロス用です。
有名ライダーのレプリカヘルメットは無難だと思いますが、
自分の顔だと思うので、デザインに注文を付けて塗っていただくことが
オリジナルペイントの目的でしょう。








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紙に描いた原案に従い
色やラインをアレンジして貰った形です。

「一生ウチのヘルメットを被っていただきたい」
とおっしゃられたので
走りの方も練習して恥ずかしくないようにしないといけないな。


今年初めの製作物はKDX125のサイレンサーでした。
年末に完成していたチャンバーとのセットで発送です。

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絶販の車種ですが去年治具合わせにてラインナップに加えたのですが
隙間関係が他機種に比べて厳しいもので
毎回苦心して作っています。
ありがたいことに
ご購入いただいたお客さんから
取り付け完了のメールが複数寄せられ
画像添付されたものや
「問題なく取り付き、ノーマルに比較して高回転が伸びるようになりました」などとインプレッションが書かれたものまで

徐々に実績を積んでいくことで、実車取り付けしなくても安心して発送できます。
CRMやRMXは何百台も作ってクレーム打ち上げが無かったですが、最初のころは毎回ナーバスになって作っていたのを思いだします。
まだ大量にバックオーダーありますので、ご注文即対応できる日はいつのことか、今年中の目標としておきます。

仕事ではない目標は去年以上にあります。
去年はWワークしようと思って派遣会社登録して会社勤めしていたんですが
派遣の担当者が私のことを日系外国人と勘違いしていたのか少数の日本人社員が大勢の外国人を使って大量生産する工場へ送り込まれ、苦労を経験しました。
守秘義務があって詳しく言えないのですが製品がコンベアーで津波のように押し寄せてきて
決められた作業を全力でこなさないと製品がコンベアーからあふれ出してしまうので、10時間休みなく走り続けるような仕事量です。
外国人でも仕事のキツさで逃げ出してしまうような職場なので日本人が来ないのは当然かもしれません。
結局、低賃金長時間労働でWワークは無理なことがわかり、同じ低賃金なら自分の仕事をすればよいということに落ち着きました。
幸い「できるまでお待ちします」と言ってくださるお客さんが多いので、ご期待に沿えるように製作業務進めてバックオーダー無くすことが先決です。

父親の遺言で「先祖から引き継いだ土地を人手に渡ることなく守ってください」というのがあり
実家と畑を引き継いでいるので、時々愛媛まで帰って管理する作業があります。
短い滞在期間では、なかなか広い藪になってしまった山林を綺麗にするのは困難です。
自分ひとりで人力でやるには限界がありますから、重機の導入を計画していますので今年中かどうかわかりませんが山の畑はミニコース作る計画を企てています。
田舎には農業委員会などという組織がありますが年に数日しか現れないゲリラ戦法でいきますので
文句言いにきても家には誰もいないということです。

モトクロスの方は乗り始めて37年くらい経ちますが、MCFAJは96年から走っているので23年も続けていることになります。90年代は400台オーバーだった同連盟のレースも近年は100台ちょっとくらいまで減少し、予選がないどころか、スタートグリッドも各クラス半分くらいしか埋まらない低迷ぶりです。
新人が来ないうえ年輩は止めていくので自然の流れではありますが、去年ダメダメな成績ながら全戦真面目に出走したおかげで、今年のSEクラス5番が連盟からの指定ゼッケンということで
年寄の私が止めないようにランキングというご褒美を与えて、ライセンス料とエントリー代を集金しようという手筈です。
レース止めないことに何のメリットもないように思われるかもしれませんが、「年の割には元気ですね」と言われる秘訣はモトクロスにあると思っているので、これも走り続けることが目標です。
多分止めたらズルズルと怠惰な生活を送って衰えていくことでしょう。

長年家とモトクロス場の往復しかしていなくて関東近郊、四国などにも走りたい道路がたくさんあります。
残された健康年齢は長くないと実感してきたこのごろ、新たなオンロードの相棒も来たので、多忙な合間を縫って可能な限り走りだしたいと思っています。暖かくなったら箱根か伊豆か房総のどちらかに行っていると思います。

ざっとですがこんな予定でおりますので、今年もよろしくお願いします。



モトクロスは30歳ころに区切りをつけるつもりでしたが、全然止めず25年経ってしまいました。
一回くらい450乗っておこうと思ったが、キック始動が嫌になって、今度こそお終いと思っていたら
セル付きツインカムエンジンが発売されるというので、やっぱりホンダのツインカムエンジンに乗ってみたいという願望からCRF250Rに乗り換えたのが去年の2月です。

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10か月乗ったのでエンジン降ろして点検です。

走行時間は大体一回に20分×4ヒートを月2回ペースなので26時間くらいです。

オイル交換は3回毎、部品交換は一切してません。








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バルブクリアランス、4バルブ共規定値内
バルブフェイス全然減ってないですね。
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この時点で開ける必要ないんですが
ピストンリング交換しようと思ってシリンダー外します。







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今回一番興味のあったツインカム
ホンダのモトクロッサーとして初の機構なので最後に乗っておくべきだと思っていました。

タイミングギヤは排気側だけ圧入で吸気側はボルト止めになっていますが
圧入ギヤはずれる恐れがあります。

某メーカーのツインカムもずれてバルタイ狂ったのを見たことあります。
これはカムチェーンで同調してますから安全かもしれません。







1本リングです。

ピストンヘッドのカーボンは除去しないといけません。

ピストンピンが黒いのはDLC(ダイヤモンド・ライク・コーティング)に
耐摩耗性と低摩擦の表面処理なので全く摩耗してないようなので再使用します。






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最新のツインカムはフィンガーフォロワー式が主流になってきています。

ツインカムと言えばバルブ直押しのリフターというカップを使っていましたが
ロッカーアームにDLC施すことでリフター式よりフリクション低減できるでしょう。

小さいですが鍛造と研磨加工で高強度、高精度を実現しているようです。

左右対照でINとEXで同じ部品ですが、厚みを揃えるためバルブ同様に同じ位置に組付けます。


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ピストンとシリンダーヘッドのカーボン除去しました。

カーボン堆積は熱サイクルの妨げになります。
エンジンパワーは燃焼室圧力に比例しますが熱サイクルは高温と低温の差が大きいほど有利になるので冷却のためピストンのカーボンは除去しなければならないのです。

バルブフェースのカーボンは機密漏れになるのでバルブも磨いておきます。
これはチタンバルブなので酸化チタン被膜を保護するため擦り合わせはNGです。


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エンジン組み上がったのでフレームに載せたら夜中になってしまったので
もう寝ます。

明日完成するので週末には練習行けるでしょう。

遅い走り初めです。












HUM(honda of UK motor)に出張していたころ鈴鹿SSからの日本人駐在員から聞いた話ですが、英国のバイカーたちは正月にドーバー海峡を渡って(巨大なホーバークラフトのフェリーに乘って)
フランスへ行き、パリ・ダカールラリーのスタートを見に行くのが恒例だったそうです。
緯度が日本の北海道より高いので極寒の時期だと思うのですが、人気の車種はヤマハ・テネレやカワサキZZRが多く、凍結しているかもしれないモーターウェイを走って大型バイクがわんさか集まるという熱狂ぶりだそうです。
モータースポーツの国は一般バイカーも筋金入りなのですね。
私も初日の出暴走ではないですが太平洋側まで走って日の出見ようか一瞬思いましたが
この寒波であえなくやめとけモードに入っております。
寒いときは工場に籠ってもの作りがよかろうと思います。

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車体無しのワンオフ製作をお断り続けたKDX125SRチャンバーですが
せっかく需要があるのにラインナップしないのは心苦しいので、治具製作して作りはじめ
やっと3台めですが、隙間2mmの部分が3か所あって雁字搦め、毎回苦心しながら作っておりますので効率も悪いです。
安易に引き受けるもんじゃないですね。





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4台めのチャンバーは年末までかかりますが、サイレンサーとセットのご注文なので
来年の初荷がKDX125チャンバーとサイレンサーのセットになる予定です。











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ZX10Rのフェンダーレス化に着手しました。
私物なので売り物ではありません。

下がノーマルのリヤフェンダーとライセンスマウント。
欧州規格のためか、リヤタイヤの後ろまで伸びていてスッキリしてません。

そのためアルミ板金で小型化しました。

今時フェンダーレス・キットなんか幾らでも売っているだろうと思いますが
買って来て済ませていたのでは、何の楽しみもありません。
部品製作は自分で作って楽しむ遊びだからです。他人が作ったものを買って来てつけていては何も分からないままになってしまうでしょう。
買い物することを反対するわけではないです。少なくとも物が売れることによって経済に貢献するわけですから必要なことでもあるのですが、全部そうだとするとオートバイ乗りはカネ払って乗るだけみたいになってしまいます。


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フェンダーの後ろですから目立たないようにブラック塗装にしました。

リヤフレームにボルトオンするライセンスマウント
ウインカーハーネスを下からカバーするプレートと反射板取り付け用のステーの3点がフェンダーレス化に必要な構成部品です。






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ライセンスプレートがタイヤ後端より引っ込んだ位置になっています。

ライセンス・ランプとウインカーは純正品を移植してあります。

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秀逸なデザインのテールランプの下に野暮ったいパーツが見えない方がいいではありませんか。
法規制に合わせて最もシンプルなデザインを目指したつもりですが
社外品がどうなっているかは
一度も検索したことがありませんので
似ているものがあるとすれば偶然だと思います。






このZX10まだ高速道路で少し乗っただけで一般道での操縦性はよくわかってないこともあり、近所でUターンの練習でもしておこうと思い乗り回してみました。
35年以上モトクロッサーメインに乗ってきましたが、ハンドリングに対して全く不安が無いというか
熟成されたステアリング・ジオメトリーのため誰が乗っても違和感がないように作られているわけですが、一昨年に450のコーナリング立ち上がり時チャタリングが出てハンドルを抑えるのに力が入って疲れていたところ
ステムのオフセット2mm違いを試す機会があって、乗ってみたら完全にチャタが解消されていて腕に力を入れる必要がなくなったのでした。
翌年モデルからオフセット2mm変更とステアリングダンパーはオプションにモデルチェンジされていました。
僅か2mmで、と疑問に思うかもしれませんが操縦性はカタログ数値で表せない部分で、むしろ最高出力などのデータより実際に乗った時に感じる重要な走行性能だと思います。
これが長年の開発、車体設計の積み重ねで培ってきた数値ですから、ただ機械設計に詳しい技術者でも分からない2輪車のバランスに関わる設計はテストライダーと車体設計屋の連携がなかったら成し得ないクルマ作りでしょう。

話を戻します。ZX10の高速道路でのレーンチェンジは、初めてのリッターバイクということもあり比較するものがない、しかし100キロ以上で直進性が強いという感覚とイン側のハンドルを押してやるとあっさり傾いてレーンチェンジしていきますが、直ぐに直進に戻るという感覚です。
これは走っている限り重さは感じないが直進性の強い、またはタイヤがスリップしない限り転びにくい特性なんだろうなと思いました。
そして近所の道路です。真っすぐ走りながら軽くスラロームしてみます。
やはり予想は的中です。定常走行で勝手に起き上がってきます。
寝かせるのに意図的にバランスをくずして傾けてやらないと真直ぐ走っていこうとするんですね。
このことを理解して操縦することでかなり安心感がでてきます。
それはタイトカーブで狙ったラインより外側に膨らんでしまうのを補正してやればよいということです。
セパレートハンドルの上、タンク幅が広くリーンアウトでは内側の腕がタンクに当たるのでフル転舵はやりにくいのです。
そこで肘を外側に這って腕の短さを補うように上体をイン側に移動するライディングポジションをとることでフル転舵をキープできます。

さてステアリング・ジオメトリーはというとキャスター角25° トレール107mm
現行のCRFと比較するとキャスター角は2°29"立っている。トレールは9mm短い
この数値だけみるとCRFよりキャスターが立っていてトレールが短いので直進安定性よりハンドリングの軽さを重視していると考えられます。
では実走で直進が強いと感じたことに矛盾が出てきますね。

ここで誰も語らなかったキャスター/トレールの関係です。
フレーム単体を計測してもキャスター角は不明です。キャスター角の定義は、タイヤ接地面を基準とし、これに直行するフロントホイールセンター上の垂線とステアリング中心を通るラインが交差した挟角のことを表します。
トレールの定義は、同じくタイヤ接地面上でフロントホイールセンターを通る垂線とステアリング中心線の延長線がタイヤ接地面と交差する点との距離を表します。
このことからキャスター角というのは代用特性であり、物理的作用はトレールが影響していることが分かります。
2輪車の運動性能を勉強した人は周知のことと思いますが、走行中にフロントタイヤはステアリング延長線に引っ張られて回っていることになります。
ここでキャスター角で傾いたステアリングを切ったらタイヤの接地面は中心からトレッドのイン側に移動します。
するとタイヤの横から押される力が発生します。
これはワイドタイヤまたは深いバンク角の方が力が強くなります。(オフ車とリッターバイクの違い)
この力が元に戻ろうとしてステアリングが直進状態に向かいます。これがトレールの示す直進安定性の作用です。
ただトレールはキャスターだけで決まりません。ステムのオフセットでも変わりますし、オンロードはフロントフォークのセンターアクスルが主流ですがオフ車はリーディングアクスル(フォークの前にアクスルが設定)が主流なのでセンターアクスルよりトレールが短くなります。

ではなぜCRFのキャスター・トレールでハンドリングが重くならないか?一つは車重と重心位置が影響しているはずですが、ここでは置いといて一番の理由はサスストロークにあります。
カタログ上のキャスター・トレール値は空車接地においての寸法です。
乗員の体重や乗車位置の前後でキャスター角が変動することは当たり前ですが、ロングストロークで前向きに走っている限り、ギャップやブレーキで前下がり即ちキャスターが立つ方向に動いています。
またどういう場合にオートバイが不安定になるかというと、減速時または下りのギャップに於いてです。これは空車時よりキャスターが極端に立ってくる姿勢だからです。
そこでライダーは車体を安定させるために乗車位置を後ろにしたりアクセルを開けたりしてバランスを調節します。それこそが運転技術の違いが出る部分であるのですが
何もしないと不安定になってしまうジオメトリーを安定させる方向で空車時の寸法を決めているということです。
ですからカタログ上のキャスター・トレールの比較では矛盾が生じていた直進性の部分は動的な数値を考慮したら車体設計者の意図が垣間見れるのではないでしょうか。

因みに私はリッターバイクでは足が付かないのでアクセルターンは確実に転倒するのでトライしませんが、ZX10のステアリング切れ角でUターンできる道路幅は6メートル(普通の2車線)、アップハンドルなら4メートルでもいけると思いますが、これ以下の道幅では90°ターンまで、または降りて切り返すことにします。何より周囲の状況を視覚でとらえて確認できなかったらむやみに方向転換しないことが安全運転の秘訣かなと思います。