2018年2月アーカイブ

2018年モデルCRFを見て重大なことに気付きました。
ホンダが81年にシングルショックになったときから、吸気系を避けるためにリヤショックが右側にオフセットされていました。
私ら強度グループはフレームの応力測定をおこなっていました。
量産前のテスト車に歪みゲージを貼り、国際A級ライダーを雇って桶川のコースで実走計測した経験から、フレームの右側センターパイプ、ピボットの上付近の応力が左より高いことがわかっていました。
即ち、リヤクッションの荷重がフレームの右側に偏ってかかっていることを表しています。
だからギャップで跳ねられてオートバイは左向きに傾いて転倒する確率が高いはずです。
転倒はしなくてもリヤショックからの入力でフレームが捻じれる動きになります。
そこで捻じれ剛性を確保するためにフレームの強度をあげないとギャップ走行で真直ぐ走れない乗り物になるのです。

そこでリヤショックがセンターに持って来れることがどれだけのメリットがあることか、
捻じれ剛性を落とせるので同じ剛性なら軽いフレームが作れるということです。
最低重量が決められていますから、車体の軽量化できた分を補器類に回せるというメリットがでてきます。
これはFIの導入でスロットルボディをリヤショックの横に持ってくる必要がなくなったことに起因しますが
ヤマハは後方排気モデルからセンターショックになっていたので、優位性は証明されていますね。
こういうことがシングルショックになって36年の年月を経て変革されたことで、モトクロッサーは面白いなと思うのです。


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2018モデルCRF250Rマフラー

作っただけです。
これからいろいろなことが分かるでしょう。


軽量化のため、チタンとアルミの複合です。

金型、プレス機、ベンダーなど一切ありません。
全部手巻きのハンドメイドになります。





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チタン製エンドパイプ

チタンはバネ鋼のような性質なので
曲げるのが難しいです。
成形できる形状には限界がありますが
紙の図面を描いて形状をデザインしています。
コンピューターは使いません。
(CAD持ってないからね)







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アルミの筒にエンドパイプをはめ込む
キツさを調整するのに神経をくばっています。
キツ過ぎると組立てが困難になるし
緩いと排気漏れになってしまうので
絶妙の公差で板を曲げていくのですが

機械的な製造は一切ないので手加減だけが頼りになります。

やった人じゃないと分からないですね。





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マウントできました。

左右対称だから作りやすいでしょうと言った人がおられましたが

ゼロから作るものにやりやすいと感じることはありません。

シングルエンジンなのに2本も作るのかという気分です。







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18モデルのマフラーは左右の張り出しが大きく、その部分だけは直したいと思っていました。

このレイアウトで満足だと思います。
サイレンサー内部にバッフルは入れていません。
ストレート構造のパンチングですが
騒音計測してみました。

2mMAX法で

モードセレクト標準で107.2dB/A

アグレッシブで109.3dB/A
測定器誤差を鑑みても余裕の消音性ですね。

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サイドカバーとの隙間

ノーマルはストッパーラバーに当たる位置まで広がっているので、15mmほど内側に追い込んだ取り付けレイアウトになっています。


ついでに重量比較ですが

ノーマル左右共 2.0kg

SPLマフラー左右共 1.6kg

なかなかの軽量化です。

とりあえず今週末のMCFAJ開幕戦から使って耐久性など確認したいと思います。
(テストライダー雇うカネがないんで自分で乗ります)


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モードセレクト、アグレッシブで走行しました。

中速までは普通の加速で過激な感じではないのでスムーズに乗れますが
高速域に入るとパンチが効いてくるので
ジャンプなどで狙った着地位置より飛びすぎてしまって戸惑う場面がありましたので
体を慣らしていく必要があります。

全体的なフィーリングはコントロールしやすい、回せばパワーも十分という感じでした。


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一番の目的、マフラー後部の張り出しを内側に追い込んだ形状

ノーマルマフラーはサイドカバーにフィットした位置なので、かなり横幅狭くできました。
タイヤが擦らない程度でスリムな方が
転倒も多いモトクロッサーに適していると考えています。