2016年12月アーカイブ

S80チャンバー

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エンジン換装した車体なので
専用設計です。

他の車体にはつきません。

取り付けレイアウトはこれでいきます。

年末なのに掃除もできていないので

完成は来週にします。






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テールパイプはジョイントで

同じ物二つという指示に従い
2台分です。












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サイレンサーの取り付け位置

本年はここまでです。


明日はしどきで走り納めとします。

3年ぶりにCRF250のキャブレター車も走らせます。

今から30年くらい後のビンテージMXのカテゴリーはキャブ車とFI車で分けられるかもしれませんね。

ドイツではガソリンエンジン車の新車販売を禁止する法案が成立したばかり
30年後はガソリンエンジンのオートバイは生産されていないかもしれませんので
今のうちに存分にやっておかないと後悔することになるでしょう。
そのころは私も80代ですから乗ってないと思いますけど。



日本の近代史が最も変革を遂げた時期は幕末から明治維新のころだと思いますが
特に鉄鋼の製造という分野において横須賀製鉄所なくしては語れないでしょう。

徳川幕府末期の勘定奉行、遣米使節団目付役を務めた小栗上野介忠順が中心となって
フランス人造船技師、フランソワ・レオンス・ヴェルニーを代表とする技術者たちに依頼して
日本で初めての近代的造船所を横須賀に建設したのは慶応元年(1865年)ということです。

名称が「横須賀製鉄所」と呼びますが鉄鋼の精錬ができたのではなく、軍艦や外国船舶の修理を行う
ドライドックという設備が主な事業であったようです。
当時は鉄鋼材料も工作機械も輸入に頼っていましたので西洋並みの機械技術に追いつくことが命題であったと考えられます。
そのなかでも日本の製造業として最も歴史的価値があるのはオランダ、ロッテルダムから輸入したスチームハンマーだといえるでしょう。

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3トンスチームハンマー

江戸時代に初めて導入された鍛造マシン

ヴェルニー記念館に展示されている、この機械は130年間現役で働き続け
90年代末期に発注を受けた仕事は
空母インディペンデンスの部品であったということから難易度の高い特注部品の成形が可能だったということが驚きです。

その後解体されショットブラストで錆落としや全部品の点検、再生を経て、当時の風合いに近い塗装を施して
この記念館の建設中に据え付けられたそうです。
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0.5トンスチームハンマー

同年式1865年製を示す鋳出し文字が巨大アームの側面に刻まれています。

江戸時代の役人や鍛造職人たちが、この刻印を読んだに違いないことから
自分も同じ物を見ることができるロマンがここには存在します。



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横須賀製鉄所にて3トンスチームハンマー稼働中の写真は70年代のもの

大きなヤットコで1200°Cに加熱した鋼材を二人掛かりで抑えます。
後方の台に乗った作業員がレバーを操作してハンマーの上下運動をコントロールします。

動力は蒸気機関でハンマーの上部にあるシリンダーに蒸気圧を送り込むバルブを手動で操作してピストンを昇降させる構造です。

江戸時代にこれを動かして造船所で使う設備の部品を製造することから始めたマザーマシンなのです。
そのころの動力は牛、馬、水車と人力しかなかった日本にとって圧倒的かつ革新的な機械だったのです。

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製品の例ですが

フックの鍛造工程を表しています。
金型に素材を置いてハンマーで打った状態は上下の金型の隙間にフラッシュ(バリ)が
はみ出します。

これを上にある型でプレスして、バリ切り一発成形します。







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これはフックの素材が丸棒であることを表します。

φ50くらいの丸棒の先端を叩いて尖らせてあり
金型に合わせたカーブに曲げるところまで
ハンマーで成形します。
その後、金型に置いて一発成形します。

そして上のバリ切りの型に付け替えて次の工程へ移行するわけです。






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日本政府は、このように歴史的に意義の高い重要文化財を保存する活動に動き出しています。

やはり実物が保存されていることが、人々の意識に残すことができる唯一の方法であろうと思います。

古さと性能の高さ、
これを作った人の知恵と労力

そして日本の近代化の先駆けとなった革命の動きに
ただ感動を覚えるのです。



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ヴェルニー公園の対岸に横須賀製鉄所の敷地があり、当時から現役のドライドックが並んでいます。

海上自衛隊の潜水艦が碇泊されていますが
噂によると世界最高の潜航能力を持っているらしく(軍事機密)
中国や北朝鮮の潜水艦は、これに狙われることを恐れて攻撃できないと言われています。





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東京湾岸から三浦半島を横断して
相模湾岸へ足を延ばし

油壷マリンパークへ行きました。


イワトビペンギン

癒されます。
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カリフォルニアアシカ


何も演技なし










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スケルトン標本

見事な染色技術に息を呑みます。













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チョウザメの群れ


原始のサメだそうです。










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ミノカサゴ

この世のものとは思えない美しさ













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生き物は
どんな人工物よりアーティスティック







下はニホンウナギ
絶滅危惧種






もうすぐ年末ですが、最後にいい物見れました。











このニンジャはチャンバー製作で終わりません。
県外から車両お持ち込みのため、いろいろとオプションをご注文いただきました。

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グラブレール

フルカウルモデルのため
取り回しするのに持つところがないという
問題を解決するものです。

パイプを曲げて、切って、溶接。

図面などはありません。
頭の中で描いた絵をハンドワークで作り上げるだけです。

リヤフレームに取り付ける場所はありませんので、リヤフェンダーに穴を空けて
マウントブラケットを溶接した後にフィッティングしたものです。
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塗装して取り付け完了です。

グラブレール下側の棒はサイドバック載せて走るときにタイヤと擦れないためのガードです。











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上がノーマルのバックミラー

下が取り付けたいバックミラー

しかし、取り付け座面が全然違う向きなので
取り付け不可能です。






そこで



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ノーマルのカウルステーに取り付けできる
アダプターを製作しました。

無垢のジュラルミンから削り出しました。
頑丈な作りです。











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バックミラー取り付け完了

狙い通りの位置で後方視界良好です。













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こんなフロントビューですが
満足いただける位置だと思います。

(これ以上どうしようもないですが)












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ご指示どおりラジエター前面に遮蔽版取り付けました。

走行風を遮るものなので
暖気運転は相変わらず必要でしょう。








それから


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キャブレターのJNクリップ段数
1段下げました。
見たことないキャブだったので試運転してきました。

開け始めの息付きが改善されています。
寒冷地仕様にセッティングすれば
もっとよくなるでしょう。



これにてご依頼の作業は終了いたします。

新車で買える唯一つの2ストロークモデルですから最後の新作チャンバーになると思います。

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カワサキKDX125SRのスケールアップ盤エンジンですから
KDX125ベースでダウンチャンバーにしてみました。

オンロードモデルより中速域のトルクアップを狙ったスペックですが
新設計なので、実走確認したいと思います。







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相変わらず暖気運転に時間がかかります。
サーモスタット無しなので冷却水全体がお湯になるまでエンジンは温まりません。

5分くらい掛けてスタートしますが
4000rpm以下でクラッチミートすると
ストールしそうになります。
10分くらい走行すると低速の限界が上がります。
2000rpmから半クラッチなしで発進できますが低速トルクは全く期待できませんので
クラッチ使って4000rpm以上キープした方が快適に走ります。


パワーバンドは少し広がった感じがします。
5000rpmあたりからトルクが出てきて10000rpmまで一気に吹け上がりますがピーキーな感じでなく
フラットな立ち上がりで乗りやすいと思います。
サーキットでないのでオーバーレブ特性まで確認してないですが、7000rpmからの加速感は10000でも頭打ち感はありませんので伸びていく感じがします。
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キャブレターはVM28でノーマルだと思いますが、気温が低いせいか全体的にリーンな感じがします。
おそらく熱帯気候に合わせたセッティングのまま輸入されているせいでしょう。

低速などはパイロット系をリッチに変更すればもっとついてくると思います。
焼き付き防止にもメイン系をリッチに変更しておいた方が安全でトルク感も向上するでしょう。

分離給油なのにマフラーエンドが濡れてないのが証拠です。

まとめは、KDXより少し高回転型ですが
2ストらしい加速が味わえるエンジン特性です。


近所のテストロードへ向かう際、ラブホの前を通っていく時のことです。
仕事車が休憩に入る時間帯、正午をねらっていくのですが
ラブホの門は見通しが悪いもんと決まっていますから
こっちは注意して通過しているのに黒塗りの国産車がニュルっとでてきました。
運転手の顔を見てやったら昼間っから間抜け面のオッサンと阿保面の女が乗っていて、
「あんな奴らに突っ込まれて怪我したら大事だな」と思いました。
ライダーは忍者のようにNinjaに乗る。

13年ぶりに車体合わせで製作したRMXチャンバーを治具に取り付けてレイアウト確認した後、
治具更新して新造しました。

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RMX250Sチャンバー

今回はサイレンサーもセットです。

価格25700円と12300円(税込み)
送料(本州)1000円

ラインナップ品なので受注生産できます。








RZV500チャンバーのフロントバンク右側の修理状況です。

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社外品マフラーの修理依頼はお断りしております。

他メーカーのやるべきアフターサービスを弊社でやってあげる理由はないからです。
直すところが無ければ諦めてください。

不慮の事故で大事なマシンに傷がついて、なんとか修復をしたいとお考えの人が、インターネットで検索されて弊社に問合せされてくると思いますが
どんな場合でもうまく直せるわけではありません。
殆どのお問合せは「修理の可否」と
「修理の金額」を問うてこられます。
凹み修理は滅多にやらないので規定の料金や確立された修理方法もありません。
現品を確認しない限りわからないというのが正直なところです。
私はメーカー寄りの考え方なので、
自分で直せる人以外は古いクルマを維持し続ける努力をするより
新製品が常に生産されているのですから
新しいのに買い替えるのが現実的です。


大した凹みではないですが、異形断面なので水圧成形は不可能です。
形が変わってしまいますからね。

水圧成形は真円パイプのみ使用可能な方法です。

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二重構造なので切開板金も不可能です。

裏側から叩けない以上は引張るしかありません。

棒を溶接して引張りだしますが

擦り傷が消えるわけではありません。








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もちろん一回で元に戻ることはありません。

画像は2回目の引っ張りですが

微妙な凹みが散らばっていて
5か所くらい引張り出しました。

溶接痕はグラインダーで研磨して消すのですが
擦り傷が消えるまで研磨すると
板厚が無くなってしまうので
削ることはできません。




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普通の修理ではやらない方法ですが
エンジン内部の肉盛り等に使うデブコンで
擦り傷を埋めて、サンドペーパーで面出ししました。
完全硬化するとアルミ材程度の硬さで
耐熱温度1000℃だそうなので
排気熱くらいは問題ないでしょう。

板金パテでは剥がれてしまうと思います。







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本来、剥離して再塗装が理想ですが

お客さんが自分で塗装すると言われるので
耐熱塗料だけ吹いておきました。

艶消しなのでノーマル色にこだわるなら
板金塗装工場に依頼されるといいでしょう。












日本で買える最後の2ストオンロードモデル、ニンジャ150。
タイ・カワサキ生産なので正式には外車を輸入したそうですが、既に100台以上のオーナーがいらっしゃるらしいです。
エンジン外観から推定して、KDX125SRを基本に新規金型でダイキャストしたシリンダーとケースです。
フレームは高張力鋼管製のメインパイプがツインスパーのダブルクレードルで剛性が高そうです。
前後サスペンションも減衰調整なしのシンプルなもので、ノーブランドの油圧ディスクブレーキなど
車両価格を抑えるアイディア満載の廉価盤モデルですが
その走りはと言いますと、一般道では十分に危険な領域のスピードが出る動力性能です。
日本の道路事情では、この排気量が最も真価を発揮できるサイズではないでしょうか。
4スト250モデルは完全に凌駕する加速性能と軽快な操縦性です。

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今回お客さん持ち込みの車両でワンオフ製作するエキゾーストのため

エンジンキャラクターを確認するために
近所のテストコースで試乗してみました。

ノーマルエンジン特性を頭に叩き込んで
新設計するわけですが
見本はありませんので世界に一つのエキゾーストになると思います。(安いけどね)

調子よかったらラインナップに加えると思います。
外国製のアフターパーツは出回っているらしいですが、サーキット向けで
日本の道路を走らせるには問題があるようです。

エンジンキャラクターを決める数値として排気量とボア/ストローク比がありますが、実はこれだけでは不十分で同じ排気量、ボアスト比でもポートタイミングや圧縮比が違うとまるで違う性格のエンジンになるのです。
ボアとストロークの寸法が同じエンジンをスクエアと呼び、それよりストロークの長い、短いで
それぞれロングストローク、ショートストローク(オーバースクエア)と呼んでいますが
一般的にロングストロークはトルク型と思われがちです。
トルクはクランク中心からクランクピン中心までの距離(ストロークの半分)×ピストンヘッドに受ける燃焼圧力で決まります。
ここにはピストン重量とコンロッド重量とフライホイール重量による慣性力とシリンダーとピストンの間で起こる摩擦抵抗が加算されますので
コンロッド長(ピストン側圧に影響)やピストン重量、ピストンクリアランス、潤滑オイルの種類など
部品毎の仕様がすべて影響してくることになります。

しかし、販売店や一般ユーザーはエンジン部品を寸法差まで指定して購入することができません。
規格の範囲内で違う寸法の組み合わせが届けられるわけです。
だからエンジンの当たり外れが生じてしまうのです。

ところがメーカーの試作部門やワークスマシンでは精密測定された複数の部品の中から、最も有利な寸法の部品を選択して組み合わせることができるのです。
たとえばラジアルボールベアリングなどは、回転時の偏りを無くすために転がり抵抗が増大しない範ちゅうで隙間を詰めて作ります。
リテーナーを加締める前にインナーレース、アウターレースの摺動面とボールの寸法を精測して選別してから組み立てるので指定の隙間のベアリングが作れるわけです。

ピストンクリアランスも近年主流になっているメッキシリンダーでは焼き付かない程度のきつめにホーニングします。水冷でアルミシリンダーであれば温間時のクリアランスが安定しているので、
ピストンの首振りで側圧が増大したり、機密が漏れるのを防ぐための寸法管理ですね。

量産車ではそこまで手間が掛けられませんので、オーナーに納車される物には若干の違いがあるものだと言えます。
ただ別の個体で乗り比べしないから分からないだけですね。

某モトクロス全日本チャンピオンが量産のチャンバー10本取り寄せて全部乗ってみたら、全て違うフィーリングだったというから、一番気に入ったものだけ選んで使っていたという実話があります。

さて、このニンジャ150ですが
オーナーが訴えていた「水温が全然上がらない」という意味がわかりました。
コストダウンか熱帯地方向けかわかりませんがサーモスタット無しなので
冷却水がお湯になるまで時間がかかるのですね。
適性温度は60℃と言われていますから
その温度になるまで暖気運転が必要です。
冷えたエンジンでは適性クリアランスが出てないためにエンジン回転が重くパワーもありません。
そして、アイドリングでは水温が上がりません。(サーモスタットないので)
暖気運転からガンガンエンジン回しましょう。そうすると結構短時間で暖気できます。

水温計はラジエター下部に設置されているようです。だからメーターの針はあまりうごきません。
ラジエター上部やシリンダーヲータージャケットを直接触れて温度を測るとわかりやすいです。
オンロード仕様の味付けのためか低速トルクは期待できないものです。
ノロノロ運転は全くつまらないパワーですが
7000rpmあたりからパワーが出てきます。
10500rpmからレッドゾーンなので7000から10000rpmが美味しいパワーバンドでした。

10500rpmまで引っ張ってシフトアップするより8000rpmあたりでシフトアップした方が加速がよいでしょう。
引っ張ってしまうと、それ以上伸びないので、最大トルク付近の8000から8500rpmを狙ってシフトアップすることが、このエンジンを最大限速く加速させるコツでしょう。

注文は伊豆の峠を走るときにレッドゾーンまで回さないでいいように中速トルクを増やしてほしいということでしたが、研究開発できる予算や設備はありませんので、そういう細かい注文にはお答えできませんが
同系列エンジンと思われるKDXのノウハウでいくと、申し訳ありませんが、新作するエキゾーストでは
全域パワーアップになってしまうと思いますのでご了承ください。