続 伊方原発3号基

人類にとって貢献度の高い発明を3つ挙げるなら自動車、コンピュータ、原子力発電と考えます。
その影響度を示す事例として3つの発明品は大量に人間を殺害していることが挙げられます。
自動車は交通事故、毎日どこかで死亡事故が起きています。
コンピュータはインターネットを通じて多くの犯罪手段に利用されます。
ISの兵士の勧誘もこれがあることで実現され戦闘やテロ攻撃で大勢の人が死んでいます。
そして原子力発電はその前に広島、長崎原爆投下、大国の度重なる原爆実験による被爆。これと同じベースの技術を発電事業に転用し
チェルノブイリ、JOC臨界事故、福島第一原発、次はどこか・・・
高効率、便利性と引き換えに現在も起こり続けている現実です。

中学生のころオートバイに興味を持ち、得られる情報は雑誌のみという環境の中
タコメーターとかセリアーニなどという初めて見る単語が出てきて意味も分からず記事を読みあさりました。
やがて文章の前後関係や用語辞典を読んだりして単語の意味は自分なりに解釈するようになりました。
バイク好きの同級生がカワサキZ750のTWINとFOURが発売されたときに
「TWINは2スト、FOURは4ストに違いない」と言っていたので心の中で笑いました。
こういうことは中学や高校では教えないので自動車やオートバイに乗らない人は大人になっても知らない人もいるようです。

それと同じように原発に関する知識も大学で勉強した人や発電事業に関わる人でなければ知らないことばかりではないでしょうか。
私もそんな原発無知の一人なんで2輪雑誌読みあさる中学生レベルに調べてみました。

伊方原発.jpg

佐田岬半島の根元、瀬戸内海側から見た伊方原発

先日熊本大地震が起きた中央構造線の真上に設置された原子炉です。

ここが同様な地震に見舞われたとき、どのような被害を想定するでしょう。

再稼働が決定した今、避難ルートだけは真面目に検討した方がいいと思います。


オートバイを知るとき、どんなメーカーがあるか調べましたね。
国内は4メーカーが常識ですが、日本の原発メーカーは3社です。
東芝WH(ウエスティングハウスエレクトリック) 加圧水型軽水炉(PWR)
日立GE(ゼネラルエレクトリック) 沸騰水型軽水炉(BWR)
三菱重工 沸騰水型軽水炉

炉の形態としては高速増殖炉(FBR)、これは2050年ころを商業ベースに開発中ですから実用化は未定の段階です。

福島第一原発事故以来、全国で43基もの原子炉が停止中で5年も経過しているのに、原発関連の社員は保守点検だけの役割で原発による売り上げは一円も無いにも関わらず給料を貰っているはずです。
もちろん一般家庭や企業からの電気料金から給与捻出されているわけで、関係ないと思う人もこれを維持するための資金を払っているのです。
知らなくても大勢に影響ないと考えるか、自分たちが払っている電気料金の使い道に対して注目するかは自由ですが、少なくとも国策でやっているエネルギー政策が我々の生活や未来を支えていることに興味を注いだ方が有意義ではないでしょうか。

福島は日立GEの沸騰水型軽水炉
伊方は東芝WHの加圧水型軽水炉 軽水は普通の水です。それに対して重水は中性子を減衰させる効果があるため量子線治療などに使われる特殊な水です。

加圧水型と沸騰水型の違うところは原子炉内を満たしている冷却水が沸騰して配管を循環している沸騰水型に比べ、加圧して1次冷却水の沸点を上昇させ高温になった冷却水で2次冷却水を蒸気にしてタービンを回す圧力としている点です。

前者は放射能化した水がタービンや腹水ポンプなどシステム全体を回るため、保守点検時の被爆に対する配慮をしなければならない。
後者は1次冷却水のみ放射能化するので蒸気タービン以降のシステムは低線量であること。

大地震の場合は強固な原子炉や格納容器が破壊することは考えにくいが、この冷却水やポンプを固定している部分が外れたり亀裂が入って、冷却水が噴出し建屋内が高濃度放射能で汚染された上、原子炉が空焚きになってメルトダウンすることが懸念さます。
新規制基準に適合したとしても予測不可能な大地震の揺れに一点の亀裂、破損が起こらない配管ができているとは到底信じられません。

現状では大震災に見舞われたときはアウトの可能性が高いので放射能が漏れた地域は双葉町、大熊町と同様な結果になると思います。
あの美しい故郷の景観も永遠に見納めとなることでしょう。
唯一つ出来ることは生きている間に原発を大震災に見舞われないように祈るだけです。

原子炉といえば核燃料が必要ですね。
どうやって核燃料は製造されているか。
やはり国内のメーカーは3つでした。
三菱原子燃料
グローバルニュークリアフューエルジャパン
原子燃料工業

原料となるウラン鉱石は外国から買い付けています。
おそらく三井金属のような商社がオーストラリアや南米の鉱山と契約して採掘してもらっているでしょう。
なぜ日本にウラン鉱山が無いかというと、日本の国土は地殻変動でできた比較的新しい土地だからです。
それに比べて太古から大陸だった土地は古い地層が浸食されて地中深かった層が地表近くに露出しているためと考えられます。レアアース、レアメタルの類も同様ですが
地球がドロドロと熱く柔らかかったころ宇宙から飛んできた隕石に含まれた元素で、比重の大きいものが地中深くに沈んで固まったものが鉱石です。
鉱石ウラン自体は放射能も低レベルで人体に被害を及ぼすこともないので、民間の工業地帯でウランの精製(化学的処理や遠心分離などにより不純物を取り除く)しても周囲の環境に問題ないとされています。
そうやって濃縮されたウラン235(同位体)は粉末にされて圧粉成形したペレットに加工されて鋼鉄の筒に詰め込まれたのが燃料棒になります。
鋼鉄の筒の内部には高温になると分解して中性子を吸収して加熱制御できるジルコニウムで被覆されています。
核爆弾と原子炉の違いは核分裂反応を制御しているか否かということにあるのです。

ですから日本は核兵器を持たない変わりにいつでも核転用できる材料を保有すると宣言しているのです。
すなわち核を作れる技術を持っていることで抑止力を発揮しようとしているわけです。
プルトニウム239(同位体)はウランの核分裂反応で人工的に作られる元素で核分裂時の発熱がウランより大きいので原子炉の燃料として効率が良いといえます。
同時に核爆発のエネルギーが大きいということになります。

さあ我が国の抜け出すことが不可能なエネルギー政策のスパイラルに、いやでも巻き込まれていくことにお気付きになっていただければ幸いです。

核の惨禍を完全に消し去る方法は全国民が江戸時代の生活に戻ればよいだけですが、それができないから回避不能だと考えられるのです。


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