2023年11月アーカイブ

去年はレースメカニックなどで自分のレースが中途半端になってしまい、おまけに11月のレースで足首骨折までして厄年でしたから
今年はMCFAJ(クラブマンMX)のSE150クラスに全戦エントリーして完全燃焼しようと臨みました。
10戦出場、第2戦のマディーでリタイヤした以外はポイントを重ねることができて
年間ランキング3位獲得できました。(生涯初です)
60歳になって体力が衰えてきたのでこれくらいで満足するか、今年果たせなかったヒート優勝を目指して努力を重ねるか、今のところ決めてないですが年が明けるころに判断したいと思います。

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肉体のトレーニング(腰痛改善が主)も重要ですが、なんといってもレースマシンのチューニングが走りを左右するモトクロスです。

エンジン、サスの調整をメインに1年間取り組んできましたが
実はこの車体、2010年に購入したもので
既に13年乗り続けているのです。
去年の全日本LMXの3位入賞もこのマシンによるものです。
何もしないでトラブル無しの結果が得られるはずはありません。
エンジン、シャーシ、電装、全ての部品が総入れ換えされニューモデルと遜色ないように維持しているつもりでしたが
今年の猛暑、セッティングに悩んでエンジン不調になったり、2ヒート制のどちらかのヒートはスタートに失敗したり、転倒に巻き込まれたりして
満足な結果が得られなかったのです。
総取り換えと書いたのは一部間違いでクランクケースは2010年のままです。
長時間運転に使用したクランクケースは歪んでしまって設計値の寸法精度でなくなっているはずなので
シーズンオフに新品にして、文字通り総取り換えのエンジンになります。
年間通してレース参戦してみると、いろいろと発見することがあって、ノウハウは明かすことができませんが来年はさらに発展させる目論見であります。(仕事はせんのかい!)

もちろん心身共にリフレッシュして、仕事も意欲的に取り組んでいけるためのレクリエーションです。
70年代旧車モトクロッサーのチャンバーは、ご注文された時だけ小ロット生産していますが
前回生産から数か月や1年以上経過すると忘却曲線に従い作り方を忘れてしまうので
取り付けレイアウトの隙間10mm以下の部分などは実車で確認しないと保証できなくなります。

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サイレンサーは直線的なパイプなので
取り付けの差は出ないですから支給品で確認します。

問題なくハマることは分かりました。

幾つかチェックポイントがあります。







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ダウンチューブとパイプ内側の隙間
5mm設定とします。













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ガソリンタンク下とフロントフェンダーとの
最も近い部分で10mm空いています。
前後どちらに移動しても当たりそうです。











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この位置でシリンダーヘッドとの隙間は
最も近いフィンの角で8mm空いています。
ここも僅かに後ろに傾いたら当たります。
前に傾くとフェンダーに擦るというわけです。

このパイプを基準に組み立て治具に隙間を記しておいたので、今回の製造ロットは同じレイアウトを守れるはずです。

ワンオフ製作だと比較するものが無いので
1回クリアすればOKですが
ロット生産の場合はクリアさせる回数が増えるのでその分難しくなります。

来月半ばまでこれに掛かりきりになる予定です。

77年型を継続しながら現代まで販売されているTS185。国内に輸入される台数は限られているため
発売当初より高騰しているらしいので既に高値の華になってしまいました。
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色はオーナーさんの趣味で塗り替えられています。ミリタリーな感じです。

ワンオフチャンバー作ったら製作者は何するか。
試し乗りですね。
アバウトな外観の注文しか受けていないので、スペックやパワーフィーリングは全くのお任せというわけで
ノーマルよりパワーダウンなどということがあったら商品になりませんからね。

久しぶりに乗った空冷2ストローク単気筒。
まあまあ実用には十分な性能ですが新車といえどもスペックは旧車なので
このフィーリングを頭に記憶した状態で
ワンオフチャンバーに交換、再度試し乗りです。
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エンジン掛けた瞬間、音の違いで笑みが零れます。
さあて、低速スカスカのピーキーでないことを祈りながらクラッチミート。

出足はノーマル同等です。低速も普通にあって半クラッチなど必要なく発進できます。
そして加速。
タコメーターついているので数値で確認できます。
8000rpmからレッドゾーンのメーター読みで
シフトアップポイントは7000rpm付近。
針の動きが明らかにノーマルより早いです。
そしてトルクの谷はありません。一気にレッドゾーンです。

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一般道ですが80km以上出ているので必要ないですが、さらに引っ張ってみます。
11000rpm過ぎても頭打ち感なく伸びていきますので、ストレスなく乗れるエンジン特性ですが、それなりにエンジン消耗するはずなのでレッドゾーン以下を守っても十分走ります。

そんなに回さなくても空冷2ストロークのモトクロッサーそのものの響きが心地よいです。
道路脇のみんなが振り返る感じで、ずっと聞いていたいサウンドです。

二度と作らないのでオーナーだけの特権です。

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サイレンサーは取り外し不可な溶接タイプに
指定されていたのでこのとおりです。

グラスウールはメンテナンスできるように
パイプエンドがリベット止めになっています。

異例のテールパイプ短さなんで、付きレスがノーマルよりよろしいでしょう。

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マウントステーはブレーキペダルのアジャスターボルトからブラケットを取り付けしましたのでフレーム側は無加工です。


サイレンサー位置はしばらく吟味しましたが
ここがベストでしょう。これ以上考えられません。




それでは納車の日までお預かりしておきます。