2022年1月アーカイブ

ありふれた形状ですが、滅多にやらない加工なので悪戦苦闘しました。

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他の人はどうやって作っているか知りません。
こうすれば出来るんじゃないかという一例です。



最初はフレア加工から始めます。
パイプエンドを横に広げます。






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テーパー状に面取りした穴に押し込んで
パイプエンドが裏返しになるようにして圧入します。

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下まで押し込んで抜きます。











再びフレア加工。

先端がテーパー状の棒を押し込んで
パイプエンドを広げます。

エンドが広がったら逆さまにして
テーパー穴に圧入する。
これを3回繰り返すことでパイプエンドが
カール形状になります。




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これで加工完了です。

ツインマフラーなので2個です。











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実はこれだけ失敗しました。

形状不良なのがおわかりでしょう。

加工トライが1回で成功するとは限りません。

どのような原因で失敗するか、やってみて初めて分かるといったものです。
大体コツは掴めました。





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Φ54のパイプの極小曲げが無理なので
輪切りにして繋ぎます。

これからバックシールド用のフタを作って溶接です。



去年からお預かりのビモータ用マフラー、材料が入荷しましたので加工を始めます。

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0.8mmチタン2種板のロール曲げです。

長さが、これまで最長の450mmもありますので、いきなり3本ロールでは曲がらないです。

そこで鼻曲げは、このような方法を採りました。
曲げRより小さめの棒を板の端末に当てて曲げます。
この状態でダンプカーのアオリを持ち上げるようにして力任せに曲げます。



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この辺はロールでは曲がらないので予め曲げておきます。

ロールベンダーの会社はあるのですが
なるべく内作で加工することがコスト削減の秘訣ですが、知恵と労力は掛かります。

棒に巻き付けて全部巻くことはできません。
曲げRが均一にならないためです。
Rが均一でないと真円パイプ作ることは不可能です。




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あとはロールベンダーで巻いていきますが
Rの緩いとこ、キツイとこが出来るのでロールのすき間を調整しながら巻いていく必要があります。

道具があれば誰でも簡単ということはないと思います。
ハンマー持っていても上手に板金できないのと同じです。

材料代も高価なのでお釈迦にしないように慎重に進めていきます。
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大まかに曲がれば、芯棒に嵌めて形を整えて真円パイプに成形していきます。











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450mmのパイプなのでバックシールド用の治具を作りました。
板をお付き合わせして、裏側をアルゴンでシールドして溶接する方法です。

酸化チタンは脆い性質なので、バックシールドして酸化を防ぎます。







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付き合わせ溶接できました。

付き合わせの端に溶接棒をチョットだけ置いてナメ付けするだけです。
なるべく止めないで一気にビードを引くようにしています。

熱で歪んでくるので、また芯棒に嵌めて矯正します。


このパイプを基に次の部品が加工されていくことになります。



エアブラシの上手な先輩から助言をいただき、メインフレームのサンドブラストを施しました。

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実は以前から機会があれば頼もうと思ってきた表面処理屋さんが近所にあって
その会社へ持っていきました。
うちからクルマで5分の場所なので気軽に行けます。

その会社は大手企業も多数依頼されているそうで、なんと宮内庁の仕事もやられたといいます。
皇室の護衛に使っているゴールドウイングが経年劣化しており、天皇のご意見は買い替えでなく修理して使うということなので
フレームは再塗装になったそうで
そのときのサンドブラストを請け負ったということです。
この上ない信頼度です。
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ヘッドパイプやボルトの穴は全てマスキングしてあります。
そのまま塗装へまわすので、塗装範囲とブラスト範囲が同じというわけです。

特に強力ボルト(8T以上)の締め付け座面に何トンもの圧力が掛かるので
塗膜を介して締め付けるのはNGです。
エンジンマウントやリンクの取り付け面はマスキングで塗膜が乗らないようにするのが
設計上の組み立てだと思いますので厳守しております。


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前後ハブとリヤリンク

ベアリングの圧入面のマスキング方法は
アルミカラーを製作し、軽圧入して
隙間ができないようにボルト・ナットで締め付けです。

ドリブンスプロケットとブレーキ・ディスク取り付け面も当然マスキングしてあります。


これで塗装の準備が整いました。


狭山品管強度グループのメンバーにとって忌み嫌う「鉄ミニウム」、高張力鋼管のフレームやリヤフォークなどアルミ風にシルバー色に塗装した部品のことをそう呼んで揶揄していました。
重いくせに軽合金であるかのような外観に見せる意味が分かりません。
市販モトクロッサーは本田の戦闘機、宗一郎さんが生きていたころは車体色は赤と決まっていましたが
ご逝去された後から赤フレームを止めてしまいました。
市販ミニモトクロッサー初の4スト4バルブエンジンのCRF150Rはアルミフレームの試作車もあったそうでライバルメーカーの出方次第で発売に踏み切る用意はあったみたいですが、結局鋼管フレームで落ち着いたことで「鉄ミニウム」としてシルバー色塗装になりました。
元テストグループとしては戦闘機の色ではないなと思い、違う色で塗装して乗っていました。
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2010年に新車だったCRFですが、今年で12年も乗り続けています。

途中でエンジンや足回りのオーバーホールはしているので、機能的には問題ないですが
フレームの塗装は色褪せや剥がれで劣化が著しいので、再塗装のため全剥離しました。






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12年乗ったと思えない程度良好です。

錆びや凹みが全く見当たりません。
高張力鋼管フレームは強靭です。

アルミフレームではこのような外観は保てないでしょう。







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前後ハブとリヤリンクも同色で塗装しようと思っています。

剥離に当たって高圧洗浄など掛けるため
ベアリングは全て抜き取ってあります。

剥離の方法はスケルトンで塗装を侵して浮き上がったところを高圧洗浄で飛ばしますので、凹んだところも隅々まで剥離できます。






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剥離したサブフレームは新品同様です。

溶接課から出荷されたばかりのようです。

泥水入って腐食しないように穴埋めしてあったのが功を奏しました。








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複雑なパイプワークやガセットなどプレス部品。
溶接課ではMIG溶接の職人が組み立てしているので、アルミフレームより製造コストが掛かっているのではないでしょうか。

クロモリ鋼が最高の材料ですが、材料コストが軽合金より高いので、機械的性質が高く比較的コストが低いことがハイテン材(高張力鋼管や板)選定の理由です。


さて、塗装はプロにお任せするのでマスキングまでが私の作業。
仕上がりは続編で公開します。











土曜日はいろんな人が来て、仕事中断でした。
ラインナップ品の85チャンバー製作中にテールパイプが欠品しているのを忘れていて、材料買ってくるまで完成しません。
開き直って自分の仕事に変更しようとしていたら、予約されていた車両の搬入がありました。

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オレンジのフレームは自分のですが
10年前の塗装なんで新たに塗り直そうと思って外したところです。

問題は奥のシーツを掛けた車体です。
普通の車体なら多少埃が付いてもタオルで
拭き掃除するので、シーツ掛けたりしないです。

しかし、これは取り扱いが厳重注意なことは明白な車体です。



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以前に何度かワンオフ製作で頼まれたことのある、ちょいふるマシーンさん所有のビモータ・TESI・1Dです。

例の如く、ちょっと古い名車を仕入れては
不具合の部分を全て改善し、外観はもちろん機能的にも復活させた車体ばかり所有する同氏ですが、今回のは最もヤバイです。

それは外装が完全に仕上がっているので、汚い手で触るのもハバカれるのです。

これは約30年前にイタリアの高級車メーカー、ビモータのドゥカッティ水冷エンジンを初めて採用したので1D(ワンディー)と名付けられました。TESI(テージ)の特徴としてフロントサスのスイングアーム方式とハブ・ステアの操舵システム。この機構は現行のTESI・H2にも引き継がれていますが、この91年型が最初のモデルということです。
独創的な設計ですが、一般的なテレスコピック・フロントフォークと比較してどうでしょうか。
乗った人しかわからないと思いますが、ハブの中に上下をテーパーローラー・ベアリングで支持されたキング・ピンによりフロントホイールがステアする構造で
通常のフロントフォークに対して、ノーズダイブによるキャスター角の変動が僅かであると考えられます。
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アクスルシャフトを固定するアームに左右タイロッドが連結されていることで
タイロッド長の調整でキングピン角度(=キャスター角)の変更ができるようです。

キャスター変動が少ないということはブレーキング中のコーナリングやアクセルオンにしたときのチャタリングも調整次第で無くせることを考えたかもしれません。

それにしてもフェンダーやカウリングのパールホワイトは先に施工されたマルケジーニのキャストホイールのパウダーコートと同色に調色されていて
赤色のラインはスイングアームのキャンディー・アルマイトと同色に調色されたので
全体のまとまりが秀逸となっています。
施工は寄居町にある純正塗装を完璧に仕上げていただけるドリーム商会さん。
この夜、業務の打ち合わせに来たペインターさんがこれを見て30から40万くらいは掛かっているねと感心していました(価格は聞いてません)が、新車同様か、ショーモデルでも納得する感じです。
なので、私が取り扱い厳重注意なのはお分かりでしょう。

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えーと、ウルトラ・スウェードのシートレザーが張られた特注品は
ホンダのダカール・ラリー車にも採用されている野口シートに発注されたもので、シートベースやウレタンもこの車体のために起こされたそうです。

価格は聞いていませんが、最初の状態から比べると満足度は100点でしょう。




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トップ・ブリッジが、フロントフォークのクランプでないので、小さいです。
幅広のタンクカバーとハンドルのクリアランスが気になりますが、フルロック・ターンする乗り物ではないので、これで十分なのでしょう。

しかし、30年前のオートバイとは信じられないくらい近未来的デザインで驚きの塊です。




あー、このあと怒涛の作業が待っているのですが、この車体についての依頼は抜けの悪い(851のノーマルだと思うのですが)
マフラーを取り換えるということです。851のストロークアップで900になっているらしいですが(ドゥカティ最初の水冷エンジンだから鋳鉄スリーブのため、ピストンとシリンダーが定期交換部品で、その部品コストを量産並みに抑えたいため、クランクシャフト大端位置変更のストロークアップにしたはず)
その関係でエンジン特性がマイルドになっているのか、今年になって交換したという水温センサーが影響して燃調が濃かった(水温検知しないと冷間状態のままとECUが判断する)のか、正常な運転状態が分からないですが、センサー交換後に快調になったということなので、託された使命はストレート排気のマフラー製作だということで、材料の取り寄せから始めます。
チタン材で全部切り板注文するため、設計図描いてから2週間くらいシート掛けたまま別の作業することになります。

元国際A級、Y田部さんからの依頼でKLX250改のエキゾースト製作しました。
22年初仕事になりますが、私に手間を掛けさせないためなのか材料支給で車体お持ち込みいただきました。
別機種の社外エキパイとカワサキKXFの年式不詳サイレンサーを切ったハッタして付けてほしいという内容です。

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エキパイ切ったハッタして、全然別物の形状にしてフィッティングしました。

KXのサイレンサーは切断なしで、マウントステーだけ溶接追加して取り付きました。

ほぼ一日で出来ましたので、通常のワンオフ製作より大幅に時間短縮です。
それなりに安上がりになります。
(お友達価格)




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支給されたエキパイはもっと長いものでしたが、不要な部分を切除してパイプの向きと接合部の直径を合わせて、溶接で組み立てします。

材質はSUS304のようです。

レゾネーター部分はそのまま流用です。
管長が短いので少しでも容量があった方が都合がいいからです。
(管長短いと低速トルク落ちると思います。)
サイレンサーミドルパイプが長いので、まあまあのバランスだと思います。


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サイレンサーマウントブラケットの位置を合わせるためアルミ板t8.0を溶接で追加しています。
ミドルマウントはフレームのネジ穴とミドルパイプ側のネジ穴が離れているので
ステンレス板を介してボルト締めしてあります。

私は前職強度屋だったので、取り付け部分の信頼性に配慮して作っています。





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サイレンサーの位置は、車体持ち込み時に打ち合わせした通りにやっています。

250レーサー用のサイレンサーですが
エンジン始動して、アイドリング時が非常に静粛です。
この年式では近接騒音の94dBを目指していたはずなので、高回転ではそれなりにレーシーなサウンドに変わります。





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サイドカバー装着確認して全行程完了です。

社外の外装とタイヤも新品で、あとは何するんでしょう。
Y田部さん自動車塗装屋だから外装オールペンするかな。
完成形見たいから
暖かくなったらツーリングでも誘ってもらおう。





路面の凍結が無くなってきた午後、試走してみました。これはキャブ車なのでチョーク引いて暖気運転し、3分くらいでアイドリング安定してきたので近所の裏道でぶっ飛ばしてみました。
心配していた低速は全く問題なく、極小ターンも楽々回れます。交通量のないストレート、加速時のレスポンスが鈍いのはCVキャブの特徴で、負圧に応じた可変ベンチュリーの賜物。
マイルドだけど谷間の無いトルク感で一気に加速し、数秒で100キロに到達してさらに伸びる感じなので
250トレールなら十分な性能だと思います。フラットなエンジン特性で乗りやすいのでバトラックスBT46のタイヤのグリップ性能を楽しみながら峠攻める姿を想像してしまいます。
                                                                                                         
去年の大晦日は正月に乗るバイクの整備日。水漏れしていた150のW/P修理してオイル交換、いつ交換したか分からないR25のオイル交換。マルチメーターのオイル・トリップをリセットして、ツーリングに出発です。
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生まれも育ちも四国の私には縁のない神社ですが、長瀞の近く宝登山にお参りです。

毎年、干支に因んだ大型の絵馬の前に自家用車を持って来れば無事故安全を祈願してもらえる霊感商法だと思いますが
素敵な図柄で好評です。

私は信じられるのは自分だけだと思うので、騙されても影響がない程度にお付き合いすることに決めています。




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神社近くの駐車場ですが、ハラグチさんとこのツーリングは落ち着いた年配ライダーしか参加しないですが、バイクショップの番頭、秀斗君のバイクが一番古い69年型虎イアンフ・ボンネビルという組み合わせ。
私のは新し目のR25。新しい方が故障しないから手間を惜しむ人には適しています。
最近改造する意欲も失われました。






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3日はモトクロスですね。正月だからとゆっくりしていては体が鈍ってしまうので、いい運動になります。

多分コースから一番近いところに住んでいる私ですが年に3回くらいしか来ないので
会う人口々に「ここで見かけるのがめずらしい」と言われます。
私的には他に行くところが多すぎてここに年3回も来ていることが、頑張っている感覚なんですがね。

最近乗り始めた桶川SLといい、モトビレとかミニサーキットに集中した練習になっていますが、細かいテクニック凝縮した走りしないとタイムが短縮できない感覚があって、割と真面目に取り組んでいます。
テクニックといっても40年も2輪乗り続けた、悪いクセを直して快適安全に走れるように考えているだけです。特に休日のモトビレは台数多めなんで、好きなライン取りだけでは前走者抜けません。
そこで、相手に迷惑にならない差し方でラインを少し変えて抜くようにしています。
相手の動きは事前に読めないことが多く、最初から決めてコーナー入ると読まれてしまってブロックされるんです。
そこで先読みはしないで動作をかける1秒前に相手のラインが確定したらフロントタイヤを差し込んでいきます。インかアウトは相手の動き次第、そうすればブロックしようとする人はアクセル戻しているのでその間にパス出来るという寸法です。
但しそれは、タイム差が少ないライダーに対する方法で、5秒以上速い人はインでもアウトでもどこからでも抜けるくらい速度差があるので考えなくてもいいでしょう。
何事も長期的予測と一瞬先の予測があると思うのですが、私の場合は2輪や4輪の運転、溶接トーチの動かし方、約1秒後に起こることを予測して動作するようにしています。時間はその積み重ねなので失敗しないための予測が無事故安全の秘訣だと考えています。

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サーキットの必需品、ラップタイマー
現役時代には全く必要としなかった機器ですが
本日の走りを自己分析するのに役立っているので去年くらいから活用しています。
マイラップスと違って走行中に前の周回タイムが見れるのでサインボード代わりになります。
一昨年、安モンのGPS使っていたのですが
1年放置していたら使用不能になったので
去年、赤外線にしました。
コース脇に発信機置くだけで、どのコースでも計測できるので便利です。
なかなかクリアラップ取れないですが55秒代の実力だとわかりましたので、毎回1秒更新を目標に練習に励みたいと思います。