ワークスパフォーマンス修理記録

国産リヤショックのメンテナンスは90年代からやってきました。
リヤショック専用オイルは一斗缶で2缶以上空っぽにしましたから100台以上やったと思います。
それでも方式が異なる外国製のショックは全然わかりませんでした。

なぜ外国製が国産と違う方式かというと、パテントの権利に抵触するため、同じ構造の製品を勝手に営利目的で製造販売すると訴えられて販売不可能になるからです。
ショーワやカヤバが同じ構造のショックを使っているのは、オートバイメーカーの設計図に基づいて
製造しているからです。
即ち、同じ図面で2つのメーカーに手配できる体制を取っているのです。
これは、ショックに限らずタイヤ、ホイールやベアリングなどあらゆる部品で同様に2社手配されて量産されているので
これに参入できないメーカーは独自方式で作らざるをえないことになります。


では今回の修理依頼は米国ワークスパフォーマンス社のリヤショック、ロッドの曲がりを直すことでした。

CIMG6945.JPG

車体取り付け状態でロッドの曲がりが認められます。

オイル漏れは認められません。

この状態で少なくとも2レースは走ってしまったようです。


曲った原因も定かではありません。






CIMG6946.JPG

スプリング外すと明らかに、エンド・アイの向きが違いますね。

この状態で
取り付け長、軸間距離400mmのショックなんですが
フルストローク110mmのところ
75mmで止まります。
35mm分が入っていかないことになります。






CIMG6947.JPG

ロッドを抜いて、バルブを分解すると
構成部品は僅かこれだけです。

国産に比べるとシンプルな構造ということがわかります。

しかし、この時点で分解手順に間違いがあることに気がついてなかったのです。







CIMG6948.JPG

とにかくロッドの曲がりを修理しなければなりません。

定盤に置いて最大変位になる高さを計測

ロッド径φ12.7なので
高さから差し引き2.81mmセンターから曲がっている状態です。


修理方法は両端2点支持し
最高部位をハンマーで叩きます。
ロッドに圧痕がつかないように
両端はアルミブロック、
プラスチックハンマーにて荷重を加えます。

CIMG6949.JPG

一発叩いて、定盤に置いて確認

ロッドの固さを確認する目的です。

2回目叩きます。
これで定盤に置いて転がしても一切隙間が
確認できないくらい修復しました。

毎日何万回も鉄板叩いてきましたので
金属の固さや変形させる力加減が備わっているため、あっさり直せるのだと思います。





CIMG6950.JPG

バルブを取り付け、シリンダーに挿入して
動作確認しました。

フルストローク、スムーズに入ります。
ロッドの曲がり修理はこれで完了ですが

ホーリーさんに電話で相談したところ
窒素の封入に専用治具が必要なことがわかり、送って充填していただくことになったのですが

窒素充填後のショックの動きに違和感があり、ホーリーさんで検証して再組立てしていただいたレポートの公開を
ホーリーさんから許可をいただき以下に示します。


ワークスショック.JPG

バルブに3つのスチールボールとスプリングを抑えるプレートがついているのですが

穴位置がずれて、位置決めのプレートが持ち上がっているのが確認できます。











ワークスショック2.JPG

正規品と比較すると、このとおり
位置決めのプレートが曲がっていました。

組付け時にずれたことがわからず
ロックナットを締めた結果です。


油圧プレスで平坦に修正していただきました。







ワークスショック5.JPG
シールケース側がネジで締結されているのも分からず、
トップキャップだけを外してロッド挿入したので中の状態が見えないままナットを締めたことが原因です。

正しくは専用工具でシールケース側を外して、ロッドとバルブは外で小組してから挿入ということです。
ワークスショック4.JPG

その証拠に
シールケース側が国産同様に圧入と勘違いしてクサビを入れてしまいました。

当然外れなくて諦めるのですが
凹んだ部分をクランプでバックアップして
修復していただきました。

ホントお手数かけました。







ワークスショック6.JPG

窒素ガス封入もこのように専用工具がないとできません。
外側10気圧に加圧した状態で
封入ビスを締め付けできる治具です。

これがなくっちゃ始まりません。

2度と頼まれることはないと思いますが
今度、同社のショックを修理することがあったら迷わずホーリーさんへ送ります。







「エエダンピングになったと思いますー」

分かりやすく動画レポートで説明いただきました。

最初は窒素ガス封入のみの依頼だったのですが、ガス封入後にオイル漏れや動作不良など確認されたらホーリーさんの判断で修復をしていただきたいと連絡したので
その不具合内容と作業内容の明細として添付データ送っていただいたものです。

世の中には満足な作業もせずに工賃を請求する業者もあると聞いていますが
ここなら信頼して頼めますのでお勧めしておきます。

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