神戸製鋼検査データ改ざん問題

これは私がホンダ在職中に取り決めを交わした材料メーカーですから
退職した今は関わりのない立場でありますが、一言いいたいと思います。

トヨタでもホンダでも大量リコールの報道は目につきますが、これらは製造者が本当にわからなくて
出荷後に問題が発覚したものが殆どだといえます。
使い続けるとユーザーに迷惑をかける可能性が高いため、対照号機の無償交換を実施するものですが
今回の検査データ改ざんは即リコールという結論に至らないでしょう。

あくまで推測ですが、材料メーカーは輸送機器メーカーと製品の開発段階から材料の仕様について
協議し、試作テストを繰り返した後に量産化決定するのが普通です。
その材料仕様は図面同様の効力で製品はこれに適合してないと不良と判定して出荷しないのが原則です。
そこで一部不合格のスペックテストがあったのだろうと考えられますが、不合格データを合格に書き換えて出荷したという不正内容のようです。
両者で交わした契約どおりに製造と検査が行われなかったので契約不履行ですから、出荷停止して
正規品と取り替えるといった手段がとれそうにない大規模の問題です。

そもそも金属材料を製造する現場で重大な手抜きがあったとは考えにくい、おそらくJISの規格は満足した材料はできているはずです。それはミルシート(成分分析書)確認でわかります。
おそらく輸送機器メーカーが開発した特殊材料に規定された機械的物性の確認テストで数値が下回ったのを書き換えたのだろうと思います。
ニュースでも言ってましたが「データより納期優先」ということでスペックテスト不合格で材料ロット全て破棄して作り直す時間的余裕がなかったのが不正の原因だということです。
やり直していると合格するのにいつまでかかるかわからないし、契約したすべての顧客(メーカー)の生産計画を見直しさせる事態になるはずです。

さて、すでに出荷納品済みの自動車や電車、航空機はどうなるでしょうか。
軽合金だとボディーの大部分に使われているかもしれませんね。組み換えとなると稼働しているものを止めて、ということですが組み換える場所や人員も容易には確保できないでしょう。
現実的には不具合の影響度と組み換えの損失を考慮して、何もしないということになるでしょうが
製造メーカーはスペックを下回ったデーターを収集して実機でどれくらいの影響があるか保証する作業が発生することになるでしょう。
そのための人件費が掛かってくるので神戸製鋼側に請求するという形になるのではないでしょうか。

実際、不合格であった機械的物性がなんであったかは不明ですが、運転中に短時間で破損するという危険性ではなく、寿命が正規品より短くなるといった結果になると思います。
例えば100万キロ走行できるはずの自動車が50万キロで破損部品がでてオーバーホールが必要になるとか。
航空機は非常に問題ですね。最近飛行機のパネルが空から落ちてくるニュースがありましたが
同様のことが増えてくるのではないかと。
日常の点検頻度を増やさないとこれからはいけないでしょう。

契約通りに材料の製造が出来なかったメーカーを責めるべきか、より高品質、高性能を目指して
過大な要求を突き付けている輸送機器メーカーを鎮めるべきか
いずれにしても便利さを追求し続ける文明全体で考え直す必要があるのではないかと思います。
「本当に必要なんですか」


j自動車の場合は国土交通省の型式認定を受けていなければ販売できません。
国交省は定期的に製造メーカーに立ち入り監査を実施しますが、必要なのは
検査成績書が保管されていることなので、データの信憑性までは問いません。
品質保証部門が信用されているからですね。
ところが、取引先とはいえ改ざんされた検査結果の材料で製造されれば、
車両は認定時の規格を満たしていないと取られますので、国交省としても
騙されたという形で、取引先の監督不行き届きを問うでしょう。

神戸製鋼の管理担当者もルール違反承知の上で苦渋の決断だったでしょう。
軽合金メーカーは他にもあります。住友金属や昭和電工など技術力で肩を並べるメーカー揃いです。

同じ性能なら価格の安いものを選ぶ、企業なら当然のことだし複数のメーカーと競合するのも
当たり前のメーカー選定方法です。
おそらく発注を獲得するために、他社との競争に勝つため、販売価格を下げて
輸送機器メーカーと契約したのでしょう。
品質保証は製造コストに反映されます。そこを安く見積もられた。

品質保証なしで製品作るとどうなるか、某国製品をみれば明らかですね。
実用強度は満たさないばかりか、取り付かないものまであります。
製造者は販売価格を下げなければ商品が売れない。
または宇宙ロケットやジェット機のようなビッグプロジェクトといえども予算には限りがあります。

だから、素材メーカーには価格を下げるように圧力があったかもしれません。
材料のロットアウトなどやっていては、納期に間に合わず顧客(メーカー)に迷惑がかかり
発注量を減らされるなどのペナルティーが課せられることになります。
そうなると管理者責任重大で、そのプレッシャーに耐えかねてデータ改ざんに至った。

以上のような推察ですね。
ホンダの場合は品質部門は製造コストには関わっていません。
本社購買や原価企画室が決定することなので、検査費用などについては考慮していません。
設計から提示されたスペックを遵守するだけの役割ですから。

やはり高性能、高品質なものは限られた顧客だけのものなので、製造コストはかかっても、
販売価格が上がってもしっかりと保証して作られるべきだと思いますね。

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