新型スロットル

軽井沢で痛めた右手首が、まだ腫れていて痛いです。
ペンで文字書くのも難儀なくらいなので、ハンマー振るとき激痛に耐えかねて床に落としたりします。
こんな状態なのに今週末はレースがあります。
冷静に考えると止めておけばいいのですが、来年どうなっているか分からない状況では今年しかありません。
冷静さを優先していたら何もできないでしょう。

CIMG6278.JPG

4ストモトクロッサーが初めて発売されたのが04年。
そのときからスロットルホルダーの構造は変わっていませんでした。
強制開閉なので、整備性と操作性そしてコストを両立した見事な作りだと思っていました。
しかし、操作性は新品の状態ならまあまあ動きがいいのですが
グリップパイプやケーブルに給油した潤滑剤の溶剤が揮発して粘度があがって固くなってくるとアクセル開閉が重たいフィーリングになってしまいます。

特にモトクロスはスピードの競技ですから操作の重いアクセルでは手が疲れるだけでなく開閉タイミングが遅れるので、入りたいラインから外れてしまったりするので
常に清浄化してスロットルやケーブルの摺動を滑らかに保つ必要がありました。

そこで2017年CRF450のスロットルとケーブルのセットに交換です。
実に13年ぶりの設計変更ですが、これは良いですよ。
まるで1本ケーブルの2ストモデルなみに軽い操作性です。
スロットルボディーの位置変更で若干ケーブルが短いのでワイヤリングを見直せば問題なく旧型に取り付きます。
これで痛めた右手首の負担を軽減できるでしょう。


ホンダは26年前に辞めた会社ですが、今思い返しても恐るべき企業でした。
4輪の足回り部品でドライブシャフトを真岡ssで内製している以外は全部品外注メーカーです。
ホイール、ハブ&ディスク、ブレーキ、ショックアブソーバ、アッパー&ロアアーム、スタビライザー、
主要な部品で社内製は一つもありません。
何故でしょう?
技術力が無い?
資金力?
いえいえ、社内で作るより既に実績のあるメーカーに頼んだ方が安いからです。
結果的に量産部品の単価を下げた結果、完成車の販売価格を抑えられたということです。
自社で開発している物は、もっと難しいことに挑戦しているのです。
例えば新材料の研究。
内製部品としてはボディーの主要パーツ。
鉄板の強度や耐食性を一般の鋼材より高めた特殊成分の材料を開発しているので
鋼板は新日鉄にホンダ専用の製造ラインを設けてコイル状に巻いて搬入していますので
ホンダと同じ鋼材は一般の材料商では買えません。

軽合金も同様に足回り部品、エンジン部品ともにホンダで開発した、JIS規格に特殊成分を添加した本田専用合金を鋳造や鍛造の分野で使用しています。
これら軽合金材料も、昭和電工、神戸製鋼、住友軽金属などのアルミ精錬工場から作ってもらっているので、やはり一般の材料商では買えません。

このようにメーカーと協力して開発して出来た部品を扱うメーカーを1次メーカーと呼び、
(本社購買が決めた発注先という意味が正式)
1次メーカーが信頼して後工程の一部を発注するメーカーを2次メーカー。
さらに2次メーカーが一部の加工や処理を依頼するのが3次メーカーというふうに
下請け、孫請けという関係が構成されています。
そんな孫請けメーカーでも大手さんから量産の発注が来たということで、
大喜びする企業がありますが無理もありません。
3次メーカーといっても不具合を出してしまっては親会社が被害を被るわけですから
そりゃどんなに小さい会社でも業績や保有設備など調べてから1次メーカーをとおして発注かけるので
なかなかホンダの量産なんか請け負える企業は少ないと思います。

内製部品で最もすごいなと思った部品はエンジンコンプリートです。
過去はFC(鋳鉄)シリンダーブロックでしたが、私が在籍中にアルミシリンダーに置き換わっていました。
アルミダイキャストのシリンダーブロック専用工場を敷地内に建設して製造しています。
鋳造技術は他のトップメーカーの工程を全て検証して練りに練った生産ラインなので
世界に誇れる鋳造技術でしょう。
そこに前出の開発した新材料を投入して作っているんです。
主流は3000ccクラスのV6や2800の直4でしたが
一体成形のシリンダーブロックに6発同時加工のホーニング、電鋳マスクによるニカジルめっき工程
全て一環した製造ラインで処理され、3D計測して合格品のみ組立て工程へ流れるというしくみで
一日に驚くべきことに2000基のエンジンを組み立てて生産ラインに乗せるという
スーパーファクトリーですから、ホンダの正社員は誇りに思ってよいと思います。

私ら下々の者にはとてもとても頭があがりませぬ。



補足ですが、何故新材料の開発を続けなければならないか、
省エネと高効率は同じ意味であることは分かりますね。
では、高効率化に貢献するのは部品の軽量化です。
軽量化のためには材料の強度を上げなければ成り立ちません。
だから現行の、これからのクルマに課せられる要求を満足するために
新材料の開発は不可欠、
こういうことです。


あの会社が作ったオートバイにずっと乗っていたいよ。(これが本音)

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