ヒートブロック

夏場の問題、オーバーヒートです。
夏場でもドライ路面なら大した問題ではありません。
毎回冷却水の残量を確認して減っていれば補充しておけばいいだけです。
しかし、ヘヴィマディとなるとエンジンの負荷が格段に増加し、エンジンを壊してしまうことになりかねません。

CIMG5685.JPG

CR85に乗っていたころ冷却水の水温を計測したことがあります。

しどきのマディでオーバーヒートになり
たった2週で冷却水が吹き始め
熱ダレで全くパワーが無くなった経験があり
オーバーヒート対策が急務だと思ったのです。

計測場所は桶川(セーフティパーク埼玉)で
ドライ路面とマディと両方実施しました。
計測方法はデイトナのデジタル水温計を装着し、3分間の暖気運転後、コースイン。
3周目の水温を走行中に読み取るという内容。

センサーはラジエターの上面の給水付近にテーパーネジを加工して取り付けました。
ウォーターラインは、ラジエターで冷却された水がウォーターポンプへ降りてきて
シリンダー、シリンダーヘッドのウォータージャケットを回り、ラジエターに上がってくるので
ラジエター上部の水温がヘッドの次に高温であると考えました。

結果はエンジン始動後1分程で水温は80°Cになります。
走行風が当たらないと水温の上昇は早いです。
ドライ路面へ走り出すと1周目で60°Cまで下がります。
真剣に全開走行3周目で80°Cまで上がりましたが、そのまま温度は安定したまま走りました。
ドライ路面ではタイヤの転がり抵抗が少なく、走行風もよく当たるので水温は安定するようです。

別の日にマディ路面で走らせ、泥が重いので全開にしてもスピードが遅い状態でした。
スタックはしていませんが1周目で110°Cを超え、3周目には130°Cまで上昇してラジエターキャップの弁が開いて冷却水が吹き始めました。
そのまま走り続けると水が無くなりオーバーヒートということになったでしょう。

以上はノーマルラジエターにクーラントを入れた状態での計測です。

ドライは問題ないとして、マディーの熱ダレを防止できればパワーアップしたのと同じことですから
何としても対策したいと考えました。

最初はラジエターにアルミタンクを追加して計測しましたが、全く効果ないどころか
ノーマルより水温が高いことがわかりました。
冷却水はシリンダーを冷やしているだけではなく熱を運ぶ役割をしているので、温まったお湯の量が増えた結果、ラジエターの冷却性能は変わらないので水温も冷えないということでした。

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冷却性能を上げるためにはラジエターのコアを増やす⇒空気との接触面積を増やす。
これが最も確実な方法と考えました。

CR85はシングルラジエターですが、ノーマルより縦に50mm長いコアを用いてラジエター製作しました。

実走計測の結果ノーマルより同条件で5℃下がることがわかりました。
それでも130°Cの状態が125°Cに下がるだけでは熱ダレは免れないですが
航続距離(時間)は稼げるはずです。

また110°Cで水が沸騰して吹いてしまうコンディションでは水が吹かないで済むかもしれません。
オーバーヒートの弊害は最悪はピストンの焼き付きで走行不能ということですが
ダメージはピストンやシリンダーだけではありません。
クランクケースのサイドベアリングのスリップする限界は冷却水の温度で80°C以上と言われています。
シリンダーからクランクケースに熱が伝わって膨張するのでベアリングの圧入が緩むことになります。
すると圧入面でベアリングがスリップしたりクランクの振動で叩かれて傷がついたりスラッジが隙間に入ったりします。
すると芯が狂った状態になり、高回転が回らないエンジンになってしまいます。
これはエンジンが冷えてもダメージは直りませんから、使い込んだエンジン同様にパワーが落ちるということになり、ケース交換しないと新車のパワーは出ないということです。

ロードレースではベアリングの交換は1回だけだそうです。2回目の圧入では圧入荷重が出ないので使えないエンジンになるのでロックタイトで圧入面を接着して動かないようにして、ベアリングの寿命がケースの寿命ということになります。

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ラジエターの大型化と同時に
冷却水を冷却効果の高いものに取り替えて計測しました。

こちらも同条件でノーマルクーラントより5℃下がる効果がありました。

特製ラジエターとヒートブロックでマイナス10℃達成です。

一般的には特製ラジエターは入手できないので現行車で冷却水が減るという人は
これを入れてみるのも効果的だと思います。
(ヘッドが歪んでいるとかガスケットの不良などの根本原因は要修理ですが)
熱を吸収する違いは比熱の違いにあると思うのです。
水より熱しにくい液体が熱を奪う現象は、鋼の焼き入れを例にすると水焼き入れより油焼き入れがよいということで説明できます。
800°C以上も加熱した鉄ですから水では瞬時に沸騰して焼き入れ効果が損なわれますが、油の方が多くの熱を奪う能力があるから焼き入れに適しているという理由です。

水温下げてオーバーヒート対策に効果はありますが、レース毎に効果が落ちるということなので
コストが掛かりますが、対策しないでエンジン壊すのと天秤にかけると夏場だけ入れておくのが無難だと思います。


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