デントリペア


正月から騒音を立てるわけにもいかず、通常の業務とは違った内容の作業をしてみました。
部品取りに使っても構わないということで、預かっていましたアルミタンクですが
僅かな凹みがあるため、このまま商品にはならない状態ですが、部品取りにして壊してしまうには惜しいと思って修復してみることにします。

CIMG3962.JPG
非常に僅かな凹みですが、醜い表面です。
これが中古車に付けて売るとすると、査定に影響するでしょう。
なんたってタンクはオートバイの顔と言える重要な意匠部品だからです。

自動車の板金修理工場に頼むと100%
パテ修正して塗装されることでしょう。

また修理代が安ければそれで問題ないと考えるお客さんも多いことでしょう。

しかし、本当のレストアということを目指すならパテ修正は、ハッキリ邪道であると申しておきます。
なぜなら、レストアの大儀は「元の状態に復元する」ことだからです。
メーカーで製造する部品も同様ですが、図面通りに作る(修復する)ことが命題なのであって、図面と違ったものを見た目だけ誤魔化して商品にするなどということが、製造屋(修理屋)のやることだとは到底考えられないことです。
従って素材のアルミだけを修正して形状を復元することに専念します。

CIMG3963.JPG

タンクの上面にも僅かな凹みがあります。
見過ごしても問題ないと思われるかもしれませんが
もし、新車のオートバイにこれくらいの凹みがあったとするなら、あなたは買いますか?

おそらく100%のお客さんが、クレームを言つけて、「別のに取り換えてくれ」と言うに違いありません。
手間を惜しまずこれも修復することにします。




CIMG3966.JPG

凹み修理にはいろいろな方法がありますが
僅かな凹みのためにタンクを切開して板金する方法は最後の手段としておきます。

切開ということは、問題ない部分を切ってしまうということで、修復したとしても、さらに傷物になってしまうこともあり得るのです。

最新の外科手術では皮膚や筋肉にメスを入れる部分は最小にする方式を取ります。
それは、患者に対する負担軽減や術後の回復を早めると同時に傷跡が目立たなくできるからです。

それと同様に修理痕が最小になる方法としてデントリペアがあります。
凹み箇所に届くようにアクセスツールを作って行うので、修復毎に専用となります。

CIMG3967.JPG

タンクに大きな力が加わりますので、車体に装着して行うより、タンク固定用の治具を作って万力に取り付けて安定させます。

タンクの口金にダメージを与えないため、保護キャップを取り付けた上でアクセスツールを差し込みます。

上部の凹みはこの方法で容易に修復できました。
ツールで力を入れ易い位置だったのです。



CIMG3964.JPG


側面はツールに力が入らず無理でした。

こちらはオーソドックスな方法で
棒を溶接して引っ張ることにしました。

位置を変えて数箇所引っ張って
元の表面より高めに盛り上げておいて
ハンマーで叩いて高さを修正します。

溶接痕は平滑に研磨してから叩きます。





CIMG3965.JPG

引っ張ったり、叩いたり繰り返して、大体満足な表面に出来たと思います。

どんな凹みでもOKとは言えません。
修理痕を最小限度にすることが目的です。

手間と経験が必要ですが、レストレーションの定義に沿ってやることがビンテージ品に対する畏敬を表すことになるでしょう。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.precious-factory.com/mt4/mt-tb.cgi/500

コメントする