2013年12月アーカイブ

2輪車(単車)とは道路を走ることのできる乗り物のことです。レーサーに乗るということは、同じ場所から少しも動いてないわけで、乗り物としての役割は果たしてないことになります。動かさないで置いておくだけの単車も同様です。

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調子が悪いまま乗り続けることも、意のままに操れないわけで、乗っても不快なだけですね。

順法運転を心掛けるなら、高性能である必要はありませんが、ノーマル本来の性能から逸脱しているなら直ちに修理すべきでしょう。

実はこの単車、うちに来てからある問題を抱えていて、原因がわからず、すっとごまかして乗っていました。

思い当たる節があったので、キャブレターを外して問題の箇所を特定しました。このツインキャブはスロットルバルブを中間で連結して動作するようになっているため、バルブを開閉するシャフトがキャブレターを横に貫通しています。

キャブレターに対し内側の穴はフェルトシールで隙間を埋めていて、外側は真鍮のカップが圧入され密閉されています。

ところがL側キャブにはカップが圧入されていましたがR側キャブには、これが付いていません。おそらく走行中に脱落したのでしょう。

これが無くなったときの症状とは、エンジンは普通に始動しますが、スロットル全閉でアイドリングが6000rpmまで上がってしまいます。これの原因が2次エアーの吸い込みだとは前から疑っていましたが場所を特定するのに時間が必要だったのです。

当然キャブが薄い症状がでていて、寒さのせいで旧車のせいもあり、セッティングが狂っているかもしれないと思ったりしましたが、今回の修理で原因が特定できましたのでひと安心です。

パーツリストにも載っていない部分なので、アルミでプラグを加工して圧入しました。フェルトシールも粘着性の持続するビスタックを浸み込ませて組み付けました。

アイドリングは1700rpmで安定しました。

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やっぱり玄関から乗っていける単車でないといけませんね。

30日ですけど近所の丸亀製麺にうどん食べに、わざわざCJ360でいきました。

これが調子悪い単車では行く気がしませんからね大事なことです。

さあ、すっきりしたところで続きに取り掛かろうか。

 

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年末の追い込みです。

左右エキパイの曲げが終わったところです。

これからマフラー部分の形状をデザインします。

完成後はクロームめっき仕上げになります。

 

 

 

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今回は二重管にします。

めっきの焼け色を抑える目的ですが

実はエキパイのサイズが排気ポートより大きいのです。

排気の乱流を防止する目的で排気ポートに近いサイズのパイプを挿入しておきます。

 

 

 

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マフラーの前側の部分ですが

二重にします。板厚の分、縮小したパイプを挿入しています。

目的は、溶接ビードを研磨によって消してしまうため、排気圧で溶接面が剥離することを防ぐことです。内側のパイプが圧力を受け止めます。

後で4本マフラーの製作が控えているのですが、同じ方式で作ろうと考えているので製造トライを兼ねているわけです。

 

 

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パイプを仮り止めしてマフラーのレイアウトを検討しています。

年末の大掃除のため一旦中断して、正月明けに続きをやります。

 

 

 

 

 

 

(メリー クリスマス 伊太利屋) Motocicletta(モトチクレッタ=モーターサイクル)

Corridore(コリドーレ=2輪レーサー)

ミケーレ・リナルディ  アレッサンドロ・プツァール  アンドレア・バルトリーニ  アレッシオ・キオッディ  アントニオ・カイローリ ・・・MXに偏ってるので

ロードも、 ジャコモ・アゴスチーニ  マルコ・ルッキネリ  フランコ・ウンチーニ  バレンティーノ・ロッシ ・・・・ みんな共通項もっています。

無宗教の私はNataleも仕事であります。Eveだけローストチキンとケーキが特別食で飲酒しないのでシャンメリーで乾杯です。

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またもや空冷エンジンがやってきました。

工場には順番待ちの車両が5台も預かっているのですが、これは半年も前から頼まれているのに時間が取れずにいましたので

全部スッキリ片付くのを待っていたらいつになるかわかりませんので、今やることにしたCB400の2本出しマフラーですが

適切な寸法の材料を鋼材屋に問い合わせると在庫が無くて、お取り寄せになってしまいました。

年内に入荷できるか心配になってきました。

材料が無いからと遊んでいるわけにはいきません。

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別の車両のチャンバー作りに着手しておこうと思います。

参考に採寸したチャンバーを元に取り回しを検討します。

円形の鉄板はパイプの内径を表し

中心の軸はパイプの長さを表します。

見本のチャンバーは車体に取り付きませんので、新たに形状を決めなくてはなりません。

 

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作りたいチャンバーの形状はこんな感じで、車体は80年代初期のものなので、レトロな巻きチャンバー製法で作ろうと思っています。

250の巻きチャンバーは実に15年ぶりになりますが、昔を思い出しながら進めていきます。

これは来年の2作目になる予定です。

 

 

では今年最後になると思いますので雑談を書かせていただきます。

幸か不幸か仕事も遊びもオートバイに関することばっかりやってきましたが、近年になって葛藤と戦うようになってきました。老化現象による体力低下で物事を悲観的に思うようになり、2011年の震災、原発事故が引き金となって、これからのオートバイに対する取り組みを変えていかなければならないんじゃないかと思い始めました。

およそ10年ほど前から化石燃料の枯渇やCO2排出による異常気象が顕在化されるようになり、このままでは人類の文明の存続に関わる問題が頻発することになると思わざるをえません。消費者はクルマや電化製品を快適な生活、利益の追求や快楽娯楽のために消費し続けるということになっていますが、いつまでも同じようにやっていかれると本気で思っておられる人はどのくらいいるでしょう。

現状でも自動車メーカーはPHVやEVの方向でシフトチェンジしていますし住宅関連も太陽光や自家発電を進めています。20年前とは明らかに違う動きです。深刻なエネルギー事情や異常気象が起こることを想定して緩やかに変化していく兆しです。おそらく私が生きていられる30年か40年くらいの間にガソリンを燃やして動くエンジンの全部は消滅しないと思っていますが、次の世代の途中で無くなってしまうのではないかと思います。

クルマだけではありません。もっと大量に化石燃料を使う航空機、大型船舶、火力発電があります。おそらく貴重な燃料を温存するために優先順位をつけて延命は図ろうとしますが、数万年の人類の歴史から比較すると一瞬の間で使い果たしていくと思います。日本近海にメタンハイドレートが現在の火力発電で100年分まかなえると発表されましたが、100年後は無いという意味でもあります。

自分の世代だけもてばよい。未来永劫安心できるエネルギー政策はあるのか。殆どの人は同じ考えですから今の生活レベルを落せません。「オートバイはガソリンを消費する乗り物だし、排気ガスも出すから乗るのはやめよう。」と考える人がいたとします。しかし、そんなことは偽善で自己満足の考えに過ぎないでしょう。なぜなら

例えば、動物を殺してはいけないと言いながら肉を食うというふうに、何のおかげで自分の生活が成り立っているかを忘れているということです。オートバイ遊びが出来る背景には部品や完成車を作る無数のメーカーが存在し、それら製品を製造したり、輸送するにも燃料が大量に消費されます。一部の愛好家が遊びを止めたとしても何の効果も出ないでしょう。

まして全員で消費を止めれば資源の消費は減速できると思いますが、自動車産業は日本の重要な産業ですから国家の存続に関わる問題になるでしょう。自動車でもオートバイでも購入して乗り続けることによって、多くの人が収入を得て別の商品の購買にも波及して国家が維持できるという図式なので、一部が節約に走ったとしても何のメリットもないわけであります。

ニュース番組などを見ていますと、原発推進の考え方は既に古く破滅的なことで、代替エネルギーが未来を左右していくようです。その筆頭は水素、資源はほぼ無尽蔵、有害な物質も生成されません。安全性さえ確保されれば割と早い時期に普及していくかもしれません。太陽光の分野も電池に蓄えることが既に古く、直接動力に変換できるようになるでしょう。もちろん、最も消費率の高い冷暖房も地熱や太陽光に変わっていくでしょう。そして、どうしてもガソリンが必要なエンジンのみバイオ燃料に対応するように開発されていくという未来像が見えてきました。

私の故郷愛媛には、みかんジュースの絞りカスを原料にしたバイオエタノールの精製に成功し、社用車すべてを自家製燃料で走らせている企業があります。ブラジルでは、とうもろこしから出来るバイオエタノールで走るクルマが国内の半数を占めているといいます。できる企業が既にあるのに政府はお金の使い方が分からず、高い燃料を言い値で買い続ける対策に原発を推進しようとします。

中国は国土も広く、人口が多いのに月へ行ってウランを取って来ようと計画したりします。おかしい人と、真剣に将来を見据えている人との格差が経済以上にありすぎるのではないかと思ってしまいます。

そういうわけで未来のオートバイは燃料やエンジンが今とは違ったものになって残っていくと思いますが、やはり私には関係ないことです。それが乗れるようになるころは生きていませんから、だから今までのオートバイを大切にしていこうと腹を決めているのであります。

 

安易に引き受けてしまって、またもや後悔の念に苛まれていますが、引き受けるに至った理由の一つに必要条件がなかったことが挙げられます。コストも制限されていませんし、サーキット走行目的なので音量や排ガスの規制もありません。作り手としては全く自由な要件なので、引き受けやすかったのです。取り掛かるまで日数も長かったので、やり始めてから考えればよかろうと思っておりました。

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L型ツインのリヤバンクは後方排気でエキパイ長が極端に短いのです。

ノーマルはマフラーというより箱型チャンバーです。後方排気の容積をチャンバー内の隔壁で距離をかせいで確保していると思われます。

触媒はフロントバンクのエキパイの途中とリヤバンク用はチャンバー内に装着されているのですが、排気効率を上げるためかハニカムをぶち壊して筒抜けにしてありました。

どうやらこの車体のスポーツマフラーが販売されていないか、べらぼうに高額なものしか無いようです。

隔壁によるマフラーの構造はノウハウがないためオーソドックスにパイプの延長で対策しようと考えましたが、ノーマルのマフラーしか取り付けようのないリヤフレームとカウルの形状のため、このような取り回しを余儀なくされました。

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これがノーマルのマフラーです。テールカウル下のスペースをいっぱいに使ったデザインです。

マウントはM8ボルト(中央)とM6(前側)2本の3箇所でぶらさがっている形です。

いわゆるマウントブラッケットなるものが無いので、新作マフラーの取り付けに苦労しているところです。

このマフラー単品で重量8.6kg

ライセンスプレートとテールランプをマフラー下に直接取り付ける大胆な構造で合わせて9.6kgになります。

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サイレンサーは左右独立したものを連結し、

ジョイントのパイプ2種類と燈火類を取り付ける金具を作りました。

マフラー全体の重量は5.6kgでノーマルより3kgの軽量化になりました。

 

 

 

 

CIMG3184.JPGレイアウトの都合上、サイレンサーの長さに制限があります。

リヤタイヤエンドから出ないように取り付け位置を決めましたが450マフラー2台分の容積を確保するため、このような大きさになりました。

外側から取り付けボルトにアクセスできない構造なので、取り付け金具の製作に丸二日も費やしてしまいました。

上がってしまったリチウムイオンバッテリーも新品に交換しましたので、明日エンジン始動してみます。

 

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翌日、メインスイッチを入れてセルボタンを押しても、全くセルモーターが回りません。

インジケーターや燈火類は全て正常に動作します。

お客さんにその旨を伝えたら、「持ってくる前からおかしかった」といいます。

「バッテリーあがりかと思っていたがセルモーターが焼きついているかもしれない」とも言われましたので、ここで排気音の確認はできないなと諦めかけていました。

ダメ元でセル始動数回、トライしてみました。

すると1回だけクランクが回転したので、もしかするとOKかもしれないと思い再度トライすると、2回転3回転」と段々回り始めました。5回目くらいにアフターバーンが起きたので確信して、もう1回トライしたら始動できました。

リチウムイオンバッテリーは活性化するのに少し時間が必要らしいです。しばらく電気を流しておくと能力が上がってくる性質です。それとコールドスタートでオイルが固かったことも影響していたと思います。

暖気1分くらいでアクセルあおってみますと、なんとレスポンスのよいエンジンか!ちょい開けで1万瞬時に回ります。音はトルク感ありそうな低音で、思ったほど爆音でないことからサイレンサーの容積が適切であったことが伺えます。ツインエンジンだけどマルチのような吹け上がりです。

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延長したリヤバンクのエキパイのはみ出し具合です。カウルの横方向は収まっているのでライディングには影響ないでしょう。

こんなオートバイに比べたら、私の所有車なんてカブみたいなもんです。

スーパーバイクを乗りこなすライダーを尊敬します。私は、このシート片足しか付きません。腕も真っ直ぐ伸ばしてやっとグリップに届きます。

危険なので試乗はやめておきます。