2013年7月アーカイブ

最強の娯楽はTVだ、ということで鈴鹿8耐はBS12chで、なんと無料で観戦できます。モビリティランドに感謝いたします。

今年で36回目になる同大会ですが、古巣の狭山レーシングは第1回大会から連続出場で今年はHONDASAYAMA R・HAMAMATU&HTECという長い名前の合同チームで29位の成績でした。TVには映りませんが一応チェックしております。

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2時間ほどの時差で8時間中継なんで、全部観ていられません。ハイライトで観ました。

川越最速のライダー清成龍一選手はトップ走行中転倒してTSRレーシングチームの8耐3連覇の夢はストップしました。

清成選手とは12年くらい前に守谷でMX練習に行きましたが、鉄フレームのCR250で凄い空けっぷりなんです。コーナーでホイールスピンしながら戻さないので草むらにコースアウトしていましたが、この転倒を見ていて思いました。走ることに関して全く余力を残さないで常に限界で攻めているから他のライダーより速いのだと。

雨降りのモトビレにわざとオンロードタイヤを履かせたXR100でスライドコントロールの練習に行くという彼らしい走りでした。

CIMG2671.JPG優勝したMUSASHI RT HARC・PROのライダー、レオン・ハスラム選手。

ハスラムといえば私らの年代ではロケット・ロンですね。NR500でGP500を戦ったライダーの息子さんです。

名前だけ知っていたロン・ハスラムは一度だけ英国出張中にドニントンのWスーパーバイクでノートンロータリーに乗っているところを見たことがあります。

私の最初の配属先、狭山品管に朝霞研究所から赴任されてきた先輩がいまして、赴任の挨拶で「NR500でロン・ハスラムの担当メカニックでした」という言葉を思いだします。その後、彼は「アーブ・クドウ」というニックネームで親しまれていました。アーブ・カネモト(KバリントンやFスペンサーの担当メカニック)に風貌が似ていましたので、誰かがそう呼んだのでしょう。

因みに同時期、片山敬済のNR500担当メカニックはビトーR&Dさんですね。相当な年月を感じます。

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今回の注目の一つは、やはりケビン・シュワンツでしょう。

すっかりGPレジェンドになってしまわれたと思っておりましたがTEAM KAGAYAMAのライダーとして見事3位入賞という実力はただのレジェンドではないと思いました。

表彰式でのコメントもカッコ良過ぎてたまりませんでした。

この番組観れてちょっとだけ幸せでした。

 

 

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ライバルの清成選手が早々に姿を消し、無敵の感じがする高橋巧選手とHARC・PROCBR1000RRの走り。

ラスト1時間で雨が降りだしても冷静にスリックタイヤで安全走行して凌ぐ判断力は王者の風格です。

本田茂樹さんは、やりたいことやっていますね。世界の頂点ですからね、メディアももっと扱ったほうがいいと思いますよ。

川越の清成選手も埼玉県や川越市から表彰されてもいいくらいなんですがね。世間はオートバイレーサーに対して冷たいもんです。

オンロードバイクのスリップオンサイレンサーの製作を時々頼まれます。車種やオーナーの希望もまちまちですが、中には不可能な加工、採算が取れそうもない加工を言われることもありますので、その場合は理由を説明してお断りする形になります。

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今回も安易にお引き受けしたのですが、少し悩みました。

サイレンサーエンドのパイプがφ75というサイズで、通常使っていないパイプです。

必要数は10cm足らずが一個だけなので定尺5.5mの化粧管を仕入れることをためらいました。おそらく他に使う機会もないだろうと思ったからです。

そこで、たまたま予備で取ってあったSUS304の厚肉パイプがありましたので、削り出すことにしました。結構な重切削なので旋盤の前に立って2時間向かいます。事業形態は自己都合ですが、製作コストは最初に決められていますので、効率は悪いですが出費を抑えるために努力をしています。

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構成パーツは全てSUS304です。自分でデザインしたわけではなく、お客さんの指定なので可能なかぎり忠実に成形を進めました。

左下の焼け色が付いた部分がφ75のサイレンサーエンドです。インナーパイプはもっと細いので飾りもの的要素ですね。

 

 

 

 

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専用のサイレンサーバンドも作って取り付け完了です。

取り付いたサイレンサーを見ると何の苦労もなさそうですが、現行車はワイドタイヤの上、リヤフォークがゴツい上にツインショックということで、サイレンサーの取り付け位置を最適にするジョイントパイプの曲げカーブが肝心なところです。

あまり調整できないですがオーナー好みの音色になっているか気になるところです。あくまで好みの問題なので推奨するものではありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

約10ヶ月ぶりにレース出走しました。去年から夏場は体力消耗のため走らないことにしましたが、7月までと決めてトレーニングしてきました。その内容は暑さに慣れることだけですが、最近は割といけるようになりました。コツは心頭滅却することです。

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場所はオフロードヴィレッジです。参加台数は減っているのでパドックも余裕あります。

レース出走するには明確な目的があります。私の場合は09モデルで14モデルも発売されているので5年落ちということになりますが、全然関係ないです。旧型車で現行モデルと同等に走れれば面白いじゃないですか。

モータースポーツはニューモデルに買い換えるだけではなくメンテナンスして維持する技術も競うというわけです。そのためにはチョイ古マシーンのほうが都合がよいです。

エンジンは自分でOHしたノーマルで最後のキャブ車、サスは股下70cmに合わせて全長を3cmほど下げてあります。フレーム地上高が低いので専用レーシングスタンドです。

出走クラスはE250とE450ですが台数少ない(6台、5台)のでジュニアと混走で12台しかいません。

第一レースのE250はスタート3番手で中盤まで3位走行でしたが、中弛みでペースが上げられず抜かれて4位でした。

午後のE450では、なんとホールショット。5年落ちマシンでも対等に走れる証明をした気分でしたが、路面が固い所に散水の影響であまりコーナー攻められません。小兵はこういうところ苦手意識ありますね。再び3位走行中抜かれて4位でした。

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これがオフビレ名物散水ショーです。無人でコース全域濡らせることができるのはいいですけど、ベストな走行ラインは殆ど滑ります。

天気がよくても泥で汚れますので洗車機も必需品になります。

路面はコース整備が良くでギャップが少ないので、この滑りだけが難関だと思います。

雨降りだと全体の滑りが均一になるので走りやすいですが、ここの場合は乾いているところとの著しいμ変動を攻略しなければなりません。

 

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最終レース、GPとSE混走のヒート2スタートです。

GPクラスは元国際Aか現役だと国際B級くらいのライダーが出走します。SEの上位も国際B級予選通過ラインだと思いますので、現役も練習がてら出てくるようです。

現役かそうでないかの尺度は個人差があると思いますが、私の考えでは速さの問題ではなくて、公式戦で昇格を目指すかポイントランキングを競うことを目的にしているか、ということなので、私のような時々走っているのは現役とはいいません。辞める人はキッパリと辞めるわけですが、仕事がら辞めているとオートバイに対して興味が無くなるといけないので忘れない程度にやっていきます。

参考までに最近エントリー台数が減っているMCFAJのMXですが今大会のプログラムを元に数字を見てみました。全出走台数145台ですが、ダブルエントリーの人が多いので人数は約半分で72名ということになります。

年代別の割合は

20代 3%

30代 26.8%

40代 44.1%

50代 15.8%

60代 11%

MCFAJは40代のライダー層が多いことになります。20代より60代のほうが多いということがMXの高齢化を象徴している数字だと思います。

そして、役員の方の高齢化もあります。あと何十年もちこたえられるか、私たちの頑張りに掛かっているのかもしれません。

チャンバーの凹みがどの様に直っていくか、実態がわからないためか質問を受けることがあります。そこで調度よい修理依頼が来ましたので掲載してみます。

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機種はRMX250Sで半年ほど前に販売したものです。

転倒したらしく大きく凹んでいます。

 

 

 

 

 

 

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真横から見ると酷い状態がわかりますね。

修理方法は棒を溶接して引っ張るとか、裏側に穴を開けて棒で突くとか、おっしゃる人がいますが、仕上がりを想像すると恐ろしいですね。

空気圧をかけてガスバーナーで炙る人もいますが、鉄板が酸化してしまって外観も強度も落ちてしまいます。

この程度の凹みなら水圧方式が簡単でしょう。

 

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口元とテールパイプに治具を取り付け水押しの準備は整いました。

この角度が変形の入り具合がわかりやすいですね。

それでは圧力をかけていきます。

 

 

 

 

 

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圧力は物と状態によって調節しますが、この場合は35気圧かけています。

圧力だけでこの程度戻りますが、これから板金ハンマーを使って形状を整えていきます。

 

 

 

 

 

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およそ10分ほどハンマーで叩いて均していきます。

方法は高い所を叩くと水圧がバックアップになって低い部分を押し上げてきて同じ高さになります。

路面の固い所に当たったのでしょう。傷が沢山見えますが、これはこのままにします。

サンダーで研磨すれば傷は目立たなくなりますが、板厚が薄くなってしまうのでこのままのほうが強度が保てます。

これくらいの修理なら2回、3回と繰り返しても再使用できます。

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跳ね石で小さい凹みができていますが、実は大きい凹みより直りにくいことがあります。

それは固いものが食い込んで鉄板が伸びてしまっていることと、水圧を受ける面積が小さいのでバックアップされる荷重が低くなることが要因です。

 

 

 

 

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しかし、大体痕がわからない程度に直りました。

棒を溶接して引っ張っていたらこのように仕上がらないはずです。

但しこの方法で直せるのは、断面が真円のパイプに限ります。楕円パイプなどは、圧力で真円になろうとしますので形状が変わってしまいます。そういうパイプは面倒ですが切開板金するしかないでしょう。

 

 

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最後に治具に取り付けて歪みの確認をします。歪みが大きいと車体に取り付かなくなることもありますので矯正が必要です。

これはラインナップ品なので、これが可能ですが、社外品は形状が違っていて治具に取り付かないので、歪みの確認ができません。

その場合は車体合わせで確認する方法を採ります。

 

 

ようやくできました。サイドカバーとリヤフェンダーが一体になった独特のデザインのため、サイレンサーの位置決めをちょっと考えておりました。

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形状はこのとおり、モトクロッサーと同様にヘキサゴンタイプです。

公道仕様のためディフューザーを追加してあります。

クローズドコースを走るときはディフューザー外してフルパワーにするとより楽しめるでしょう。

実はノーマルサイレンサーの出口には蓋が溶接されていて排気の抵抗になっていたため、改造はせずに、新作にしました。

 

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重量はノーマル2.8kgに対して2kgに仕上がりましたが容量はアップしていますので、騒音低めでパワーも向上しているでしょう。

セル付きなのですが、バッテリー上がりで回りません。

しかし、チョーク引いてキック一発で始動しました。ノーマルだと、始動性が悪く長くセルを回し続けないと始動しずらいと、オーナーが言っておられましたので、始動性も改善されたようすです。

音量は・・・明らかに静かなので計測するまでもありませんので、やめます。

オートバイ関係の製造、修理を生業とする以上はオートバイに乗ることを怠ってはならないと考えています。それは、次のような経験によることが考えの根本にあったからです。2輪メーカー(自動車メーカー)の社員は2輪好きが殆どで、職場は業務だけでなく趣味やスポーツ関係も2輪にドップリ漬かった人の集まりだろうと思っていましたが、実際はそんな人は少数派で休日まで2輪など見たくもないという人さえいました。どちらかというと2輪嫌い、業務だから仕方なくやっているという感じがしました。あまり自社製品に自信と誇りを持ってないで働いていた社員が多かったのですね。

自分はどうかというと、2輪に乗ってなかったら今の仕事につくことは無かったでしょうし、乗っているからこそ興味や意欲が沸いてくるものだと思います。

忘れられないレースが幾つかありますが、国際B級昇格を決めたレースも、その一つです。87年の関東選手権MX、場所は尾瀬オフロードコース。最後の狭山工場での生産となったCR125と250の87年型をキャラバンに積み込み会場に乗り込みましたが、朝から雨で駐車場もスタックしそうな状態でした。ダブルエントリーで予選、決勝と進んで行きましたが、125のレース内容は覚えていません。そして、運命のジュニア250決勝はスタート直後2コーナーあたりで転倒、泥水の中に倒れてしまいました。無我夢中で再スタートして最後尾から追いかけていきました。すると最後の上りで大勢のライダーがスタックして立ち往生していました。これからが本領発揮です。スタックしているマシンの隙間をジグザグにかわしながら登って追い上げていきました。結局20台くらい抜いて8位でチェッカーを受けました。チビだから雨のレースは不利だろうとは言わせたくありません。そしたら、クラブ員か他チームの誰だったか忘れましたが、私より獲得ポイントを知っている人がいて「おめでとうございます、来年昇格ですよ。」と声をかけてくれました。「お前は足が短いから無理だ」とか「早くやめてロードレースに転向しろ」とか私に罵声を浴びせてくれた人たちに感謝します。それまで苦労してきたことが報われた瞬間でした。MX途中で止めていたらこんな気持ちにはなれなかったでしょう。そのとき24歳でした。

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EC250のマフラーはあと2日くらいで完成予定です。

バックオーダーも一生懸命進めておりますが、まだ3ヶ月分くらいは残っていますので減っている気がしません。

社外マフラーの修理や新規製作の仕事はお断りして仕事量を減らしているのですが、なかなか正常な受注状態にできません。

そんな中でもMXの練習に行こうとしているのが、馬鹿げていると思われそうですが、上記の理由で、乗ることを諦めたら仕事に対する思いも冷めていくだろうと思います。

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チタン板堅いなー。

鉄の棒や木槌のような道具は使いますが、基本的に手の力で曲げていますから限界があります。

金型起こして、プレス成形とかドライカーボンとか発注できるほどの数量ではありませんので、ハンドワークで板金製作が頼りです。

 

 

 

 

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新車のレーサーに付いてくるサイドスタンド。どこかの洗車場に置き忘れて無くなってしまったのですが、純正部品で¥2580なのにわざわざ作ってしまいました。

調度在庫の鉄棒があったのでコストは数百円で出来ていると思います。

加工時間も15分くらいですから、仕事中に息抜きする程度です。

手間をかけると愛着が沸くので置き忘れたりしないでしょう。