2013年6月アーカイブ

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エンジンが不調にならなければ見過ごしていたことでしょう。

2輪車運転歴35年になりますが、最初からCDI点火のオートバイしか乗ってこなかったので、点火時期が狂ってエンジン不調になった経験もなかったのです。

調整したといえば、ステータベースの取り付け穴をずらして早める程度ですから問題もおきません。

ところが、今回のように明らかな不調はポイント式のバッテリー点火でなければ経験できなかったでしょう。

上死点前8度で点火して22度まで進角させる目的も理屈ではわかっていても、実際にそれが外れてしまったらどうなるか、身をもって体験できました。

5000rpm付近から加速不良に陥ったあと、一応キャブレターは全バラ点検し異常がないことを確認した上で点火時期に的を絞って点検しました。

まずポイントギャップが怪しかったですがローターの刻印とステータベースの合わせマークで確認したところRL共、3度くらい前側にずれていました。この程度であれだけ不調に陥るものかと半信半疑でした。他の原因があるかもしれないですが、とにかく点火時期を正確に合わせてから試運転してみないと分りません。ポイントギャップを調整しましたが中々ピッタリ合いません。少し早めの位置でしたが我慢できずに仮組してエンジン始動してみました。これが大失敗で、アイドリングが全く狂ってしまっていきなり4000rpmまで上がって回転が落ちません。アクセルワイヤーの調整が悪いかと思いましたが、ワイヤーは全閉で遊びがありますし、やはり点火時期の問題だと考え、もう一度慎重に合わせてみました。すると不思議なことにアイドリングは1000回転付近で安定しましたので一安心。

しかし、加速不良が直っているかは走らないと分りません。アクセルをあおってみると、レスポンス良く吹け上がります。明らかに以前の調子悪さを感じません。期待して道路で試運転に出かけました。

アクセル急開したり、高回転まで引っ張ってみます。全く問題ないどころか、明らかに性能が良くなった感じがしました。これで点火時期が僅かに狂っただけでエンジン不調になることと、正確に調整することで本来の性能を発揮できることがわかりました。 CIMG2521.JPG

この旧型車がポイント式のバッテリー点火であったおかげで今更ながら点火時期の重要性を思い知らされた次第です。

調整不要のCDI点火車しか乗っていなかったら永久に分らないことだったでしょう。

まあ、オートバイに関することでも分っていることは極一部しかありませんので、一生勉強です。

TVで東大医学部教授出身の救急医療担当の先生が話しておられましたが、「医療に関しては、殆ど分らないことだらけです」

患者さんが不安にならないように分ったふりをして診断するそうです。

だから私ごときは「オートバイに関しては殆ど分っていません」と言うことにします。 

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自分のオートバイが調子悪いと、まるで病気になったようにやる気が出なくなるものですが良くなった途端、気分爽快。

暫らく放置していたモトクロッサーの前後サスの整備に取り掛かってしまいました。

真夏は乗らないことにしていますので、それまでの間、走りを楽しむために、こっちの方も調子を整えて、そろそろ始動していきたいと思います。

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空中浮遊するチャンバー。

ではないです。塗装して乾かしているだけです。

クロームめっきもガンコートもお金を出せませんというお客様のためにデイトナの耐熱ペイントを吹き付けて差し上げます。

錆び止めには充分ですが、耐熱200°Cということでエキパイ付近から焼けていきます。

焼けた部分をワイヤーブラシで掃除してタッチアップしていただければ長持ちすると思います。

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今月のお持ち込み第2段、ということで西班牙のGASGASです。

エンジンはヤマハ、フロントサスはマルゾッキ、リヤサスはオーリンズという混血マシーンですが、国産トレールモデルより格好よいですね。これで公道走れるのがグッドです。

セル付きも私のようなチビ太にはありがたいです。

自走してそのままダートへ入れるわけですから理想的なオフロードマシンと思います。レーサーばっかり乗っているとこういうの羨ましく感じます。

何を頼まれたかは、また後日追々と。

原動機のお勉強をしましょう。

ポイントギャップの規定値は0.3ー0.4mmですが、この範囲内で点火時期が適正位置にできればコンタクトブレーカー及びポイントカムの交換は必要ないと考えられますので、ポイントギャップの調整をしてみます。

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このようにポイントカバーとACGカバーを外しておこないます。

ACGカバーを外すとエンジンオイルが漏れてきますのでオイルは抜いておきます。

ローターに刻まれたタイミングマークを見る覗き穴はありませんし、クランクボルトをTレンチで回転させる必要もありますので、このように露出させます。

エンジンかけてタイミングライトで見る方法もありますが、多分オイル飛散して大変なことになります。

 

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2気筒で180度クランクなので、トップマーク(上死点)とFマーク(ファイア)が180度反対側に刻まれています。

センターボルトをTレンチで回してクランク角度を移動します。

このFマークは上死点前8度の点火タイミングを示しています。進角はスパークアドバンサーという機構を使って遠心力を利用して自動で行っています。進角範囲は11°ー14°ということですから合わせて19°から22°の上死点前点火タイミングということです。

 

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点火時期の確認方法はマニュアルどおりですが、12V3Wの電球をポイントの電極に繋ぎ、片側をエンジンにアースさせます。

ポイントの左側はLシリンダー、右側はRシリンダー用に分れています。カムの回転はクランク回転に対して2分の1に減速されていますので、クランク軸2回転でポイントはLR、1回づつ点火させます。

ポイント接点が離れる瞬間に誘導電流が発生して電球を点燈させます。ポイント接点が接触して消えます。

その間にシックネスゲージでポイントギャップの最大点を探り、0.3mmになるように二つのビスを緩めて調整します。LR両方行ったら再度点火時期の確認を行います。

ポイントギャップの規定値に幅がある理由は、狭い方は接点の消耗を抑えるため、広い方は必要な誘導電圧を生むため、ということがひとつ。もう一つはポイントカムの作用角を利用して点火時期を調整するためです。ポイントギャップが広いということは作用角が広いことを意味します。その結果、点火時期が早まります。逆は点火時期が遅まるということになります。このポイントギャップの規定値を外さないと点火時期が適正にならない場合にコンタクトブレーカー交換が必要になるわけです。

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2気筒なので頭の中だけでは分りにくいと思います。エンジンの行程とクランク角度を略図に書き示しました。

吸入、圧縮、爆発(燃焼)、排気の4行程ですが、全部で720°、LRのクランクは180°ずれて動いていきます。

そしてL側の吸入上死点を0°とした場合にL側は360°手前で点火、R側は540°手前で点火ということをクランク角度で表現しています。ポイントカム角度はクランク角の半分です。

整備士の人なら、当たり前の話ですがエンジンさわったことのない人にとっては難義なことだと思います。

 

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CJ360Tです。76年製造の車なので現在でも快調に動いていることが驚きでした。

しかし感動も束の間、試乗したときから症状が出ていましたが、誤魔化して乗れる程度の軽いものでしたので、気にしていませんでした。

ところが譲り受けてから満タン一回分、距離にして130kmほどで絶不調になってきましたので点検を開始します。

コンタクトブレーカーを最初に疑っていましたが、コンタクトブレーカーやポイントカムが消耗した場合は部品交換が必要になるため新品入手してから行う予定です。

今回は70年代のキャブレターは調子悪くなると聞いていましたので、今更ながらCVキャブを初めてバラしてみます。若い頃乗ったCB400TはCVキャブでしたが、調子が良かったですし乗った期間も2年足らずでしたのでバラして点検したことがなかったのです。

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その前にどんな症状かというと、キック始動は容易に出来ますが、低速走行もまあまあ普通です。アクセル開けていくと5000rpm付近でパワーが無くなります。スピードも60キロくらいしかでません。

片肺になった感じの性能です。明らかに故障している状態なので、直るまでは走行できません。

帰りついてブラグの状態をチェック、火花は両側良好に出ています。電極は左が茶褐色に対して右は黒色のカーボンに覆われています。右側に不完全燃焼の兆候が認められます。

ポイントの調整不良で点火時期や高回転の点火不良が起きていることが懸念されますが、今回はキャブレターが正常な状態か確認をします。

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現行車しか乗ったことない人はCV(コンスタント・バキューム)キャブなんか知らないでしょう。

アクセルではベンチュリー前方のバタフライバルブの開閉により吸入空気量を調節するだけです。

低速時はプライマリージェットから加速高速時はダイヤフラムに取り付いたジェットニードルが負圧(正確には吸入圧力)で押し上げられ、セカンダリージェットからガソリンを吸出します。

即ちエンジンが要求した量のガソリンを供給するということでスムーズな加速、定常運転が可能となる謳い文句です。

スライドバルブの動きは良好でバキュームの通路に異常は認められません。

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各ジェット類を外し、エアー通路の導通も確認しましたが、不調の原因になる異常はありませんでした。

短期間に症状が悪化したことを思い出すと、キャブレターに問題はないと考えられます。

再度組み立てて別の原因を探ってみることにします。

旧車を乗ることの楽しみの大半は直すということだと思っているので、メーカーさんには悪いですが新しいオートバイは調子が良すぎて直すところが無いので欲しくなりません。

これでも当時の技術者が必死になって役に立つ物を作ろうと考えた作品なのですからリスペクトして維持していきたいと思います。小さいパイロットジェットやエアーベントの穴加工が驚異的に精密で、けして侮れない技術であることを痛感します。こういう精密加工技術をベースに進化して今のクルマが成り立っていることが想像できます。

今月の持込車両、第一弾DR800。同車のワンオフマフラーは4台作ったことがありますが、毎回違う仕様でした。それは、カスタムされていることがあったためです。

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持込み車はカスタムのレベルが高いです。

本職のオートバイ屋さんですと、中古車に手間を掛けると安く売るわけにいかなくなるので、販売店ではこのようなレベルの旧車は見かけません。

おそらく全バラして、シャーシもエンジンも全塗装されています。一点の汚れもありません。そればかりか前後サス、ホイールとブレーキは新品に換装されています。他にも過充電対応型レギュレターやパルス式メーターなどモディファイ箇所は多岐に渡っています。

オフロード車を17インチに変更した場合、前下がりになってキャスターの立った姿勢になりますが、この車両は春日部のテクニクスで前後バランスをチューニングされたようで、姿勢に違和感がありません。カヤバの気液分離タイプのフロントフォーク、ニトロン製リヤショック、ハードブレーキングでノーズダイブしないようにサスを固めてあることでしょう。フロントブレーキはブレンボの対向ピストン。キャブレターはビトーR&DのFCRで走りは完全にオンロード志向に変わっていると思われます。

シートは野口装美でスポーツカーに使うアルカンターラ生地をダブルステッチで縫ってあります。

こんなスペシャルマシンに何をやるのかと思ったら、塗装中のタンクシュラウドが右側だけ熱変形するほどエキパイが熱いそうで、ダウンマフラーに変更して少しでも熱を逃がしたいそうです。よってDRとしては初めてのレイアウトでマフラー新作することにしました。

今、作戦を立てているところで、明日から着手予定です。来週の今頃には形になっているはずです。

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長いエキパイを作る前にサイレンサーから掛かります。サイレンサーの位置を確認しながらエキパイの取り回しを決めるためです。

エキパイの長さは充分ありますので、オフロード車のように途中にタイコを付けなくてもよさそうです。

このクルマは車検を通すために、排気音を近接騒音で94dBクリアさせる必要があります。

マフラーステーはアルミ板をフライス加工して作りますが、今日は来客のため、加工は明日に延期します。

CIMG2617.JPGオフロードタイプの車体なので、ダウンマフラーをマウントする場所はありません。

タンデムステップの取り付けボルトを利用してサイレンサーマウントブラケットを削り出しました。

平面の板だとスイングアームの真上になってしまいますので、サイレンサー側にオフセットさせてあります。

これで、サイレンサー固定の準備が整いました。

 

 

CIMG2618.JPGモトクロスでは縦方向の振動が強力なので振動に耐えられる固定方法にこだわりを持っています。剛性を確保しながら必要じゃない重量も軽減します。

マフラーは転倒しなくても振動でダメージを受けて劣化する部分があるので、可能なかぎりしっかりと固定するのがポリシーです。

サイレンサー出口には脱着式のディフューザーを付けてあります。

今日は雨なので天気が回復したら音量測定をして、必要に応じてディフューザーを調節します。

 

 

本日はMX練習日でした。場所は軽井沢MPですが、来週のMCFAJに向けての事前練習ではありません。数少ない関東地方のマウンテンコースですが、去年は一度も来ませんでしたので偵察がてら練習しておくことにしました。レースは出なくてもマシンだけでなく人間のコンディションもレースレディにしておくのがライダーだと思うのです。レースとはクラスは何であれ、やるかやられるかの世界ですから遊び半分にやるもんじゃありません。調子を整えないで走るのは怪我の元ですから。

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ここへ来たもう一つの目的は浅間山を観ることです。以前は夜移動とかでゆっくり観る機会はありませんでした。

日本有数の活火山です。2009年にも噴火して軽井沢に火山灰を降らせました。ここは火口から4km地点、鬼押しハイウェイからの眺めで晴れて雲の少ない早朝にこのように観えます。 

崇拝する剣豪宮本武蔵は青年期を戦いに明け暮れた生き方をしていたのに、熟年期は一転して、いかに戦わずに勝負を収めるかに終始したといいます。

彼なりに戦いに勝つことの意味を考え、多くの敵を殺したとしても、生き残らなければ勝ったことにはならないという結論に至ったのでしょう。戦に勝ち続けて最後に殺されてしまったら、それは負けたことに等しいという考えです。侍は主君が雇っている戦の道具に過ぎないということなのです。レーシングライダーがメーカーの戦の道具ということに似ています。勝てなくなったら、もっと速いライダーと交代していただくだけですからね。大阪夏の陣、冬の陣、関が原の合戦など有名な戦で生存を続けてきた宮本武蔵だからこそ戦いの意味が分ったということです。

企業の戦いも似ています。ライバルメーカーにシェアを奪われないように商品開発や販売合戦を行うわけですが、どんなに大儲けしても最後に負債を抱えて倒産しては負けなのです。儲けは少なくとも生き残ることが重要であると思います。

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軽井沢MPの標高は知りませんが、カップヌードルの袋の膨らみ方で気圧の低さが実感できます。カップの中は1気圧ですから。

当然、キャブセッティング(FIも)が変わってきます。埼玉で調度よかったのが、ここでは濃い症状がでます。走行不能なほどではないですがエンジンのパンチが効いていません。ワンランク絞って少しトルクが痩せた感じでアクセルワークに集中するトレーニングです。ギャップも多いのでトラクションをなるべく稼ぐようにタイヤが跳ねないライン取りもコース攻略には重要です。

 

翌日に疲れを残さない程度に練習したら帰り道からちょっと脇道へ逸れて、榛名湖へ。

ここは実写版「頭文字D」のロケ地でもあります。公道封鎖して違法に収録したとして、販売禁止になった韓国映画でしたが榛名湖から榛名神社を繋ぐ数キロの峠道がまさしくドリフトバトルの現場だったようです。技術指導のT屋K市さんは地元、碓氷峠で練習した話をラジオで語っていました。24歳でプロのレーサーになるまで練習用のガソリンとタイヤを買ったことが無かったといいます。全部解体屋で調達したわけですが、お金を使うだけがプロになる道ではなくて、多分センスがないと同じことをやっても成功しないという意味のことを言っておられました。そんな彼自身、練習中の事故で生死の境を彷徨って生還したわけですから強運も必要ということでしょう。

この日は近年では最高にオートバイの集団を見ました。好天に恵まれたのもありますが、道路を走っている半数以上はハーレーでないかと思うほどハーレーの大群でした。群馬県は大きなディーラーがあるんでしょうか。時々見かける国産車は新型は少なく、CBやW1、Zなど旧車ばっかりです。やはり旧車ディーラーも、この地方では多いのかもしれません。

そういうわけでちょっと日常から逃避した一日でした。

初めてローボーイと呼ばれたチャンバーのレイアウトが採用された機種は88年型CR250です。125では翌年の89年型でした。それまではどうだったかと言うと、シリンダーヘッドの上をチャンバーが通っていましたので、ガソリンタンクはその上に位置しました。そういうオフロードバイクの形が定着していたため、ローボーイが採用されたとき、非常に斬新なアイディアだと思いました。その目的は低重心化、チャンバーの取り付け位置は勿論、ガソリンタンクと搭載される液体の位置を下げるということでした。

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これはDT200WRのチャンバーとサイレンサーですが、今月中にあと2台作らなくてはなりません。車体合わせのワンオフマフラーも2台予定していますので、まだまだ時間的余裕がありません。

ローボーイはチャンバーがシリンダーの横を通って、テールパイプがフレームの内側を通ってサイレンサーが上向きに取り付いたタイプのことを指します。

 

DT200は91年型くらいが最終型と思いますが、まだローボーイにはなっていません。Y社ではYZ250が93年型からローボーイタイプが採用されていますが、H社から遅れること実に5年です。他の国産メーカーも同様でしたが、結局H社のアイディアを全メーカーが真似したという形になってしまいました。

そんな車体デザインの混迷期が90年代前半にあったと思います。他にも97年型CR250がツインチューブタイプのアルミフレームをオフロード車で最初に採用しましたが、他の国産メーカーでアルミフレームを採用したのが8年も遅れていて、アルミフレームも基本構造はH社と同タイプを全メーカーが取らざるを得なかったという結果です。技術者というものは他人のアイディアは真似したくないものです。自分のアイディアの優秀性を認めてもらいたいと思うのが人情です。

しかし、そのプライドを捨てても同じ方式にせざるを得なかった理由は、他の方式では越えることができないアイディアだと悟ったからでありましょう。

新技術の分野でH社とY社は非常に競合しました。世界が恐れて禁じた楕円ピストンは、エンジン設計の天才、入交さんのアイディアでしたが熱効率とピストンの軽量化、機械損失の低減などを目的として2つのピストンを一まとめにしたもので、1気筒あたり8バルブに2本のコンロッドだったことが2ピストンの名残りでした。これに対向したY社は真円ピストンでレイアウト可能な最多バルブを試作テストしたらしいですが、1気筒当たり10バルブまで行ったそうです。その結果最も効率の良かったのが5バルブだったのでY社の特許ということですが、4バルブのほうが費用対効果が良いことに気づいて4バルブに戻りつつあるようです。