チビテク

四国地方では鉛筆やタイヤがすり減ることを「ちびる」といいます。埼玉へ配属されて「タイヤがちびる」と申しましたら先輩には通じませんでした。私の場合は正真証明のチビでしてMXライダーとしては全く不利な体型なので、周囲から「辞めた方がいいよ」とか「ロードレースにしろ」とか好き勝手なことを言われてきました。馬鹿にされたから、ハイそうですかと引き下がらないのが私の性分です。やってみなくちゃわからねえじゃねえか、今にみておれと反骨精神むきだしでMXに挑戦していきました。

スリーサイズは157センチ 52キロ 70センチ。 70は股下寸法ですね。中学生のころ160センチにならなかったら人生は終わりだということで自殺しようと考えたこともありましたが、バードハイとよばれたアメリカのバスケットボール選手の写真を見て、小さくてもかっこいいヤツがいるもんだと知りました。170センチ足らずの身長で2m超の選手を出し抜いてゴールを決めるスピードとジャンプ力。その後、雑誌ポパイに掲載されていたSXの記事でジェフワードのことを知り、完全にやる気が沸いてきました。柔道なら柔よく剛を制す、相撲なら舞の海が曙を倒す、など小さいやつが大きいのを倒すシーンが逆に魅力があるということでチビテクを追求してきました。会社の先輩が「東福寺はオートバイが傾く前に足が着くから転ばないけど、お前は足が届いたころにはオートバイが傾きすぎてコケるんだ」と言われましたので足を着かない走法に必死で取り組みました。狭山工場の部室に福本さんが来たとき直接アドバイスをもらったことがありました。「竹沢選手のように下半身をホールドして、上体でバランスを取るように乗るといい」ということで竹沢正治さんのフォームを参考にさせていただきました。

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実は30才になったらMXは辞めようと思っていました。実際に今の仕事を始める前は3年くらい完全に足を洗っていました。

最後に全日本に出たのが92年の九州大会でしたが、当時29才になっていて出場ライダーの上から2番目の年齢で、10代の若いライダーに負けることがみっともないと思うようになっていました。国際B級も5年目で、全く進歩がみられず、自分の能力の限界も見えてきた状態ですから30前に辞めると決めたのです。

ただ一つ希望がありまして、21世紀のオートバイはどのように進化しているだろうということで、21世紀のマシンには乗ってみたいと思っていました。そこで2000年モデルのCR125を新車で購入してまたやり始めたという経緯です。ライセンスも失効していてNBからやり直しですが、関東戦で優勝も果たしてNA昇格しましたが怪我して仕事に差し支えるようになったので、125は辞めて80で遊ぶ程度に変更しました。クラブマンMXがメインですが10年もミニバイクに乗っている間に125は4スト250に変更され21世紀のオートバイもちょっと違ってきました。再び21世紀マシンに乗ると決めましたが、2000年モデルより車体のサイズが拡大されていて、チビライダーには益々不利な状態です。シート高がスポンジを削ってあるにも関らず94センチもあり私の股下寸法では20センチ以上足りません。ただし現役時代もノーマルで乗ったことはありません。サスペンションやシート、ステップを自分専用に改造して対応していました。今回も自分専用の改造を施していきたいと思います。あのリッキーカーマイケルも他のマシンよりハンドル一本分低いマシンを作って走っていたのが印象的でした。来年にかけ仕事の合間にコツコツと作っていきたいと思います。

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車高を下げるために、フロントフォークは全長を30mm短くしました。

方法は、ダンパーロッドのストッパーに30mmのカラーを追加します。このままでは、スプリングにプリロードが掛かってしまいますので、スプリングのストッパー位置も30mm上方へ移動します。

そのとき、フォーク内のオイルチャンバーの容積も減少しますのでオイル量も調整します。フォークアウターはインナーチューブ内径φ44からインナーロッド径φ12.4を差し引いた面積に30mmを掛けるとオイル量21ccが算出されますので、標準オイル量368ccから21cc差し引いた量を入れます。フォークインナーのオイル量はカラーの容積5.8ccになりましたので標準オイル量187ccから差し引いて入れます。こうすることで、全長を詰めたフロントフォークでも標準の減衰性能を発揮できるはずです。

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リヤショックはピストン下部のストッパーに15mmのカラーを追加しました。

このショック長でリンクを介したリヤの車高変動は、リヤアクスルアジャスターボルトのロックナット付近で計測して33mm下がりました。

リンクプレートを伸ばして、車高を下げる方法は間違いでしょう。後ろ下がりになるだけでなくリンクの作用角が変わりますので、正しい減衰特性が得られなくなるはずです。

通常、空車時(サス全伸び)と乗車時のリヤアクスル移動量をレースサグといいますが

レースサグを100mmとるのが推奨されています。即ち乗車しただけで100mm車高が下がるわけですから、予め30mm下げておいてもサスペンションの性能は殆ど変わらないでしょう。そして、20センチ股下寸法が足らないところを17センチにできれば、足付き性は大きく改善されることになります。

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ステップはノーマルの上に15mm幅のプレートを追加します。

4スト車はステップからシートまでの高さがあり、スタンディングで体重移動するとき、内股がシートに当たって動きが制約されます。ステップを上げることによって股下のクリアランスが増えて体重移動する範囲が広がります。

 

 

 

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シートのスポンジもノーマルの厚みは必要ありません。厚さも減らしますが、特に角に丸みを持たせるように削ります。腰をずらして片足を着くときにシートの角が邪魔になるためです。

こうやって車高の高いマシンも体格のハンディの少ないチビ太仕様に仕上がりました。

これが私が乗車前に行う儀式です。

 

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