KLX450クランクケース修理

カワサキのビッグオフロードKLX450のエンジンを修理することになった。基本設計はレーサーKX450と同様に見えるが、これはセル始動用のギヤが追加されているのが特徴だ。

CIMG0161.JPG 時期が年末なので部品の発注が既に終了してしまっているが、今回は部品の交換が目的ではないので

分解組み立てに必要最小限度の部品だけ手配して全バラすることにした。

CIMG0160.JPG これが不具合の箇所

オイルドレンのネジをなめてしまったらしく、アルミで作ったネジを溶接で追加したようすなのだ。

しかし、ここにミスがあってオイル洩れが止まらないということが不具合なのである。

一箇所のオイル洩れのためにケース交換をすることは、非常に高額な出費になるので回避したい気持ちは理解できるが

不具合を解消してケースを使い続けるためには手間を惜しんではならないという例である。

 

オイルはドレン穴から排出されていてもケース内はオイルが付着した状態なので、溶接の熱でオイルが噴出してくるはずだが、アルミの溶接にオイルなど不純物が巻き込んでしまっては溶接不良となって

上から溶接棒で肉盛りしてもオイル洩れはとまらないだろう。

従って手間は掛かってもケースをばらして

内部を脱脂してからでないと完全な修理は不可能と思うのである。

ネジの修理はヘリサート挿入でよいと思われがちだが、KX系のオイルドレンはネジの途中に横穴が空いていてオイルが抜ける構造なので、ヘリサートでは横穴を塞いでしまってオイルは抜けなくなってしまうのである。

CIMG0162.JPG

エンジンを分解していく途中で不具合が発生した。

ドライブスプロケットのロックナットが緩まない。フライホイールホルダーで回り止めをしながらソケットレンチで緩めるのだが

ホルダーのアームが広がってスプロケットの山を乗り越えてしまう。明らかにオーバートルクで締まっているようだ。

 

インパクトを最強にして緩めようとするがビクともしない、ナットの角をなめてしまっては分解不可能になってしまうので、フライホイールホルダーより確実にスプロケットを固定するため、治具を製作することにした。

スプロケットの谷底とクランクシャフトの3点を固定する治具は即興で考えた。在りものの材料でこしらえる。エンジンが転がらないようにチェーンで作業代と連結させて、緩めトルクをかける。

通常のレンチでは全く緩まないのでパイプで延長して渾身の力をこめて、ようやくナットを回転することができた。部品の交換は素人でも組み立つように設計されているものだが、このようにイレギュラーな作業をするとき、経験と技術が修理作業の結果を左右するものと考えるのだ。

CIMG0163.JPG ちょっと足止めされてしまったが、ばらし終わったエンジン。

この状態で問題のクランクケースを洗浄して脱脂することができる。

オイルドレンの上にオイルポンプが装備されているので、オイルが相当残った状態なので、溶接する場合は必要な作業なのである。

このあと不具合部分の削除を行って、新しいオイルドレンを構築する作業に入る。

CIMG0164.JPG

ケースをフライスに固定してオイル洩れの部分を切削して除去する。

アルミが溶け合ってない欠陥の部分も明らかになってくる。

元の肉厚を削りすぎないように注意しながら出来るかぎり平に仕上げる。

 

 

 

 

CIMG0165.JPG

古いネジ穴をドリルで抜き取り、あたらしいネジを差し込んでTIG溶接で肉盛りする。

オイルで汚れた部分を切削してアルミの地金を露出しておけば、オイル洩れの原因となる欠陥は発生し難くなる。

目視では問題ないように見えるが、念のため洩れ検査を行う。

 

 

 

CIMG0166.JPG

これはケースの内側からオイルドレンが浸るように湯をいれた状態。

湯を入れる理由は熱でアルミが膨張するのでピンホールなど小さい欠陥があるとたちどころに湯が滲みでてくるので水洩れを発見しやすいことである。

またオイルを入れてしまっては含侵された油分を脱脂することが困難になるが

水であれば熱で簡単に蒸発するので再溶接する場合でも問題にならない。

こうしてケース分解した状態で水洩れ検査しておけば組み立てOKということになるわけである。

 

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