学徒出陣

古いオートバイのリプレイスはエキスパンションチャンバーだけでは済みません。

それをマウントするためのステーも廃盤になってしまって入手困難な状態です。

年数が経つとゴムが硬化したり剥離したりしてしまうので新品に取り替える必要があるのですが

純正部品が廃止になっている場合は別機種から流用するか、新作するしかありません。

CIMG0135.JPGのサムネール画像 ラバーを焼付けするには専門メーカーに依頼するしかありませんので、現行車のラバーを組み込むマウントステーを作りました。

  アルミの丸棒から旋盤でカラーを削り出します。30個加工するのに1日掛かりです。

プレートはフライスで加工しますが30個で6時間ほど掛かりました。

このあとカラーとプレートを溶接します。

 

 

 

 

30個くらいの加工は量産とは言えませんので自動機で作ると割高になってしまうので汎用機を使ってハンドワークで加工するのです。

大体どれくらいの数量が量産と言えるか、それは全自動の加工機で製作したり、金型を製作してプレスしたりダイキャストや鍛造をしても、妥当な単価で販売できる数量ということになります。

時々、「3台くらい頼みますから安くなりますか?」というお客さんがいますが、ハンドワークを3回繰り返すだけなので安くできる理由はありません。

私は1ロット(1回に手配できる材料や加工数の大きさ)少なくとも1000個くらいから量産だと思います。

ハンドワークと量産では製造方法や設備が全く違うのです。

ホンダの狭山工場では4輪車を1日に2000台製造する能力がありました。1勤で500台、2勤で500台のラインが2つで、毎日2000台の完成車が生まれてくるのです。

4輪ですからホイールは8000個、ショックも8000個、ブレーキも8000個、しかも毎日供給できないと完成車が組み立たないことになります。部品メーカーはそれに間に合うように毎日量産し続けなくてはなりません。もちろん不良品は一つも許されません。部品メーカーの生産能力は驚異的です。

それよりも親会社は、エンジンのダイキャストから機械加工、組み立てを1日で2000台完成させますし、ボディーもプレス成形から溶接組み立てをしてホワイトボディー2000台完成させますから

その生産効率はどの部品メーカーも凌ぐでしょう。世界的に見ても輸送機器関連の製造工場としてはトップクラスなのではないかと思います。

CIMG0136.JPGのサムネール画像 溶接が完了したマウントステー

これに市販のラバーとカラーを組み込めば完成です。

チャンバーの取り付けのためジャストサイズでなければならないのですが市販のラバーマウントステーで満足な物が見つからないために製作する必要がありました。

 

 

 

 

 

標題の学徒出陣と関係ないではないかと思われそうですが、全工程で10時間以上も旋盤に向かって加工しながら思い出したことがありました。

昭和5年生まれの父親が中学生のころ、戦闘機に使う部品を製造するために旋盤に向かって働いていたことを

故郷の東予港のあたりを私が子供のころ「飛行場」と呼ばれていましたが、飛行機も飛んでないのになんで飛行場か?と疑問に思っていましたが、戦時中は戦闘機の滑走路があったということを聞きました。

兵隊に行けない学童や婦女子は兵器工場でお国のために働かされていて大変だったと思いますが私たちは、自由で恵まれているなと思うのです。職業の選択は自由ですし、休日にオートバイ遊びに出かけられるし、親たちの苦労の後で私たちは何不自由なく育てられて優雅な生活を送っているわけですから

今の苦労は昔の人から比べたら、全然生温いことなんだろうなと、考えながら旋盤に向かっていたのでした。

こうしている現在でも、一番近い隣国で戦闘態勢が行われていて、好む好まざるに関係なく強制的に巻き込まれている人々がいることを考えると

そこへ行かなくていい、法律や国家に守られながら好きなことが出来ている自分たちの立場を非常にありがたいことだと思い、この自由な時間を大切に過ごしていかなければ勿体無いと思っているのであります。

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