リヤショックのオーバーホール

通常の製造業務では切り粉や粉塵が舞うことがありますので

エンジンやサスなど精密機器の組み立ては、業務終了後に行います。

従ってショックのオーバーホールはもっぱら夜の仕事ということになります。

今夜のメニューは2010モデルYZ250Fのリヤショック。 IMG_0322.JPG

ショックのオーバーホールは20年前からやっていましたので、構造の変化を見てきました。

2000年代に入って圧側のアジャスターに高速側が追加された以外は殆ど変わってないというのがリヤショックの構造でしょう。

もちろん構成パーツの寸法やスペックは進化しております。

バイク雑誌の影響でオーバーホールにはバルビングというダンパーの仕様を変更することが含まれると思い込んでいる人が少なくないと思います。

私は20年前にサスの動きを良くしようと考えバルブを変更して走ったりしましたが、性能を悪くしてしまって、満足な練習ができなかった経験があり

バルブ設定のデータがはっきりしていないバルビングは時間の無駄なのでやらないことにしました。

従って、分解洗浄して点検とオイル交換が主な作業内容となります。 IMG_0323.JPG

2010モデルでも3ヶ月も経つとこのようにオイルは泡立っています。

泡が立つことで正規の減衰力が発生しなくなります。

エンジンオイルと同様、高熱と高圧によってオイルが劣化するため、定期的に交換することが望ましいのです。

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最初に分解するときは、ダンパーロッドの頭が加締められており、工具では緩みません。

私は旋盤を使って加締め部分を削ってからナットを緩めます。

サンダーで削ることもできますが、粉塵が舞ってしまったり、火花が洗浄液に引火するのを防ぐ必要があり

旋盤で切削する方が効率が良いのです。

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全バラにして洗浄します。

新しいマシンなので損傷は全く見られません。

左端のワッシャーのようなパーツがバルブを構成するシムです。

青色はスプリング材を熱処理した焼け色を表しています。

シムは逆止弁の役割をしており、圧側のシムはバルブの下側に積まれて、ピストンが上昇するときだけ開いて減衰力を働かせます。

伸び側のシムはバルブの上側に積まれてピストンが下降するときだけ開いて減衰させます。

当然、圧側のほうが大きい圧力を受けるため、枚数が多い方が圧側のシムです。

材質はどちらも同じばね鋼ですが、マイクロメーターで厚さを測定すると、違いがあることが解ります。

圧側が0.25- 0.32mm、伸び側が0.15- 0.16mmということで

1枚のシムの厚い方がばね定数が高いので使い分けているのでしょう。

このことから、シムの材質、厚さ、外径、枚数など複合のファクターを組み合わせて減衰力を調整するわけですから、バルビングという作業は専門メーカーの分野と考えております。

そういうわけで通常のオーバーホールは分解、消耗部品交換までが守備範囲です。

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